プッチーニ作曲の有名なオペラ『蝶々夫人(マダムバタフライ)』
プッチーニは、はかなげで運命翻弄される、しかしけなげな女性を好んで題材にしました。
まさに蝶々さんはそうです。
しかし、蝶々さんはただ単にかわいそうな女性ではありませんでした。
最期まで、武士の娘の誇りを捨てずに、名誉のために自らの死を選んだ、ある意味で強い女性でした。
私はメゾなので、私の声質のために書かれたオペラではありませんが、逆にメゾが歌うことによって蝶々さんの強さが出たらいいなと思います。
あらすじ
親類たちの反対を押し切り、家族とも縁を切られ、信仰さえ替え、アメリカ海軍の士官ピンカートンと結婚した蝶々さんだったが、アメリカに帰国したきりピンカートンは3年も帰ってこない。
軽薄な彼は、実はすでにアメリカで妻を迎えていたのである。
そうとは知らず、ピンカートンを待ち続ける蝶々さんの身を案じる乳母のスズキや、領事シャープレスのそれとない警告も、蝶々さんの気持ちを変える事が出来ない。
彼女にはすでに、ピンカートンとの愛の結晶、息子がいるのである。
オペラの結末で、すべてを知った蝶々さんは息子をピンカートン夫婦に託し、「恥に生きるより、名誉を守るために死を」と自害するのである。