その5
ポンポンは頭のいい子です。大ちゃんを使って色々な悪さをします。
たとえば、
ある年の元旦、母は母の兄弟と正月ゴルフを楽しむことになりました。
母は4人兄弟の長女、下に弟が3人います。その4人で早朝、ゴルフに出かけました。
そのために母は物凄く早く起きておせちを詰めたりお雑煮を作ったりしていたようです。
父と私たち姉弟は9時ごろ起きてきました。
そうしたら、目も当てられない状況になっているではありませんか!!!!
おせちのお重がひっくり返されて、蒲鉾は(全部食べずに)すべてが少しずつ味見されていて!!!!
ポンポンは自分では手を汚さずに大ちゃんにお重をひっくり返させるのです。そして、悠々といただくのです。
ああ、そういえば(夢うつつの中)ポンポンと大ちゃんが「ごはーーーーん」って鳴いていた気がしました。
母は可哀そうでした。
ゴルフを終えて、ルンルン気分で帰ってきた中、私たちに「正月からゴルフなんかに行くからこんな事になっちゃうんだ」とさんざん文句を言われました。
私が結婚してからも、ちょくちょくこんなことはありました。
静岡の親戚から畳鰯をもらって戸棚に入れておきましたが、ポンポンが大ちゃんに指令を出し、戸棚から畳鰯の袋を出すと、またまた食い散らかしておりました。全部食べるのでなく、すべてを少しずつもれなく味見する方法です。
大介はポンポンの事が本当に大事で、私たちが誤ってポンポンのしっぽを踏んでポンポンが「ギャー」と叫ぶと大介は私たちの足首めがけて噛みつきに来ます。
私が大学生の時、どこを探しても大介の姿が見えません。
わが家は4階建てのビルです。屋上の手すりをペンキ屋さんが塗っている事に気がつきました。
ペンキ屋さんがドアを開けたすきに脱走したのではと思いました。近所中を探しましたが見つけられません。
翌日になっても大介は見つかりません。
わが家のビルは1階が店舗、2階に社長室があります。その社長室に父がいます。
翌日の昼に父に「大ちゃんどうしたのかしら」と言いに行くと父の背中越しに見慣れたモコモコが何かを訴えています。
防音のガラスなので、なにも聞こえませんが口元が「にゃーーーーーー」って必死に訴えています。
どうやら大介は屋上からアーケードに飛び降りたらしいのです。そこで一夜を過ごし、父の背中越しに「助けてー」って訴えていたようでした。私はすぐに大介を窓から入れて「心配したんだよ」と抱きかかえました。
私が大学4年生のある日、ポンポンがトイレで苦しそうにしています。
急いで獣医さんに連れて行きました。
東京からも有名な俳優さんが通ってきている権威ある獣医さんです。
「尿路結石です。カテーテルをおちんちんに入れて、利尿剤でじゃーじゃーおしっこを流して石を出すから、このカテーテルをこの子が取っちゃわないように見張っていなさい。」と言われました。
そこからは、ほぼつきっきりの看病です。
しかし、ほんのひと時目を離して、ウトウトっとしたすきにポンポンはカテーテルを引きちぎってしまったのです。
おちんちんの穴が引き攣れてしまい、尿路も狭くなってここから病気との戦いになってしまいました。
ポンポンの尿路が狭くなってしまって、おしっこを出そうといきむと圧がかかりもっともっと尿路が狭くなります。そして逆にふっと力を抜くと自分がおしっこをしたくないのにポタポタと尿もれするのです。今ではペット用のおむつが出回っていますが、当時はなかったので、私が手作りでおむつを作りました。
美しいポンポンはここからずっとおむつを何年もつけることになってしまいました。
やっと、この頃、夢で見るポンポンのおむつが外れました。
きっと、うっとおしかったはずです。