その11
並オカメインコのトンちゃんは無事冬を越し、祖母の「ドバト発言」が嘘みたいに美しい鳥に育ちました。
ダーリンの事が大好きで、いつもダーリンの事を見つめています。
後ろに気配を感じると、トンちゃんがいつもダーリンを見ているのです。
トンちゃんの籠はピアノを置いてある部屋にあります。なので、彼はいつも音楽と共に過ごしていました。
音感もリズム感も素晴らしいです。
次の冬に、親友の珠美さんと3人でスキーに行くことにしました。
私はスキーをやったことがないのですが、ダーリンも珠ちゃんも「大丈夫だから、行こう!」と言うのです。
一泊二日のスキー旅行を計画しました。
大ちゃん(シャムネコの大介)とトンちゃんを実家に預け、信州にスキーに出かけました。
私はスキー板を置いたとたんに、「こりゃだめだ!」と感じました。
また、板を『ハの字』において滑り始めてしまったので「股が裂けますよ」という状態になってしまって、ひどい目に会いました。
「私は適当に時間をつぶしているので、珠ちゃんと準ちゃんは好きに滑ってきて」と言って二人を行かせました。だって、せっかく来たのに私のために滑れなかったら気の毒だから。
なんだか、寂しくなってしまい、涙が出てきました。こんなに可愛い子が泣いているのに、誰一人声をかけて来てくれません。スキー場で泣くと涙が凍って、ガジガジになり、ひどい顔になります。
ケチケチツアーだったので「アフタースキーはホテルで楽しもうぜ!!!」とはいきません。宿泊は民宿だったので、アフタースキーは、
『将棋くずし』をずーっとしていました。あの、ピチっとなったら負けという地味なゲームです。
次の日の午前中は「私は民宿で待っているから、珠ちゃんと準ちゃんは滑ってきて」と二人を行かせ、私は民宿で漫画を読んで過ごしました。
そんな、ひどいスキー体験だったので「私は一生、スキーはやりません!!!!」と言い切りました。
それ以来、私はもちろん、ダーリンもスキーに行っておりません。
1泊2日のスキーツアーから帰って来て、実家に預けていた大ちゃんとトンちゃんを連れてくると・・・
陽気な口笛が・・・・
どうやら、父がトンちゃんに口笛を教えたらしいのです。
タッカタッカ タンタン タッカ タンタン のリズムです。
これ・・・本当に・・馬鹿らしいのですが・・でも、私は父のこんなところが好きなのですが・・・
私の父が「ポンポンちゃん ポンポンちゃん」と連続して呼んでいると、いつの間にか「ポンポンちゃん」が
「んちゃポンポン」に入れ替わっちゃったらしいんです。
それが面白かったらしくて「んちゃんちゃ ポンポン んちゃ ポンポン」と歌になりそれを口笛にしてトンちゃんに教えたらしいのです。
たった、一泊二日でトンちゃんは日本一の口笛奏者になりました。
そこからは、例えばテレビでフルートの音が聞こえると、つられて、すぐに演奏が始まります。
ほとんどが『んちゃポンポン』のアレンジですが、作曲もします。
しかし、あまりアレンジをし過ぎるとオリジナルが崩れますので、時々、父にレッスンをしてもらってオリジナルに忠実に演奏が出来るように心がけました。
まあ、私たちが旅行に行くときは実家に預けていたというだけの話です。