その9
千葉での新生活が始まりました。
ダーリンは通信教育で中小企業診断士の資格を取ろうと猛勉強中です。
私はピアノや声楽を教えていましたが、それだけでは生活を支えきれません。
ダーリンは私の実家を手伝ったり、塾の先生のバイトをやったりもしていました。
しかし、大部分の時間を勉強に費やしていました。
つくづく思うのです。ダーリンは凄いです。
通信教育は自宅で一人でやるのでなかなか成果が上がりません。
送ってくる教材も、普通の人だったら徐々に手を付けなくなってしまい、山になってしまうでしょう。
しかし、彼は違うのです。
コツコツと勉強を続けられるのです。
千葉に帰ってきた年の11月のある日、
夢を見ました。
『八百屋さんにカナリアを買いに行く』という頓珍漢な夢です。
八百屋さんにカナリアを買いに行ったところ、カナリアがいたのですが、私は・・・
「この子じゃない!!!!私が欲しいのは髪の毛が逆立っていて、ほっぺが赤くて・・・・
私が欲しいのはそんな子だ!!!この子じゃない!!!!」
と、うなされて起きたのです。
ダーリンに、「これは、お告げだ!!夢の中で欲しかった鳥はオカメインコに違いない。今から買に行くよ!!!」
と言って、ペットショップに買いに行きました。
「オカメインコ下さい」といって入っていくと、店員さんが白っぽいオカメを見せてくれます。
「この子は性格も良さそうだし、綺麗でしょ?」と言いますが、私は籠の中にいる灰色のオカメインコから目が離せません。
何度も、店員さんがその美しい子を勧めますが、私の心は決まっています。
「こちらのインコをください」と、その灰色の子を指さしました。
店員さんは「ああ、並オカメインコの方ですね」
先ほどの美しい子は高級オカメインコだったそうです。
ここから、私たちとこの、並オカメインコ、トンちゃんの生活が始まります。
並オカメインコを連れて私の祖母に見せに行きました。
「お祖母ちゃん、今、オカメインコ買ってきたんだよ」と言って見せると
「あらあ、何!!この汚い鳥!ドバトみたい」って言うのです。
「よりにもよって、こんなに汚い鳥買ってこなくてもいいでしょ!!」って言うのです。
「いいの!!!目が合っちゃったんだから!!!」
トンちゃんたち、オカメインコは最初の年の冬が大切です。
最初の年の冬だけ温かくしてあげれば本当に丈夫なのです。
ダーリンが学生時代に使っていた小さなこたつにトンちゃんを入れて保温しました。もちろん、熱過ぎないように注意して。
トンちゃんたちインコは赤ちゃんの時も十姉妹や文鳥と違って自分でご飯を食べるのです。
十姉妹や文鳥はスポイトみたいなもので口の中に餌を突っ込んであげなければなりませんが、柔らかく粟をお湯で浸してあげれば自分で食べるはずなのですが・・・・
トンちゃんは食べてくれません。
お店では一人で食べていたはずなのに。
お店に相談に行くと「不思議ですね。では文鳥にするように、餌を口に突っ込んであげて下さい」と言います。
こうして、赤ちゃん時代のトンちゃんは本当に手のかかる赤ちゃんでした。
トンちゃんと24年間も一緒にいられるなんて思ってもいなかったです。
病気ひとつしない、素晴らしい我が家の息子でした。