XTAR VC2の説明書

投稿日: Jan 01, 2015 5:29:55 PM

XTAR VC2が最近のXTARの新しい充電器の中では久々に売れています、

まだ発売したばかりで日本語の説明書ができていないのでこのページで下書きを制作していきます。

基本的な動作については2014年のVC2のページに記載していますのでそちらも参考にしてください。

まずはご連絡まで。

2014.1.2

まずは一般にはとても分かりにくいUSB端子からの電源供給について、

USBの本来の最大供給電流は0.5A(500mA)です。

したがって、データ通信を伴う場合はその基本原則の規格を外れることは許されないのでデータ通信しながらの電力供給では最大0.5Aとなります、

ところが0.5Aでは充電が追いつかないUSB機器、例えばタブレット端末等が普及してきたためAC-USB電源アダプタを使用した際は0.5Aを超えて電流を流すという中華規格が発生し、それが今や世界中に広まりデファクトスタンダードになっています。

XTAR VC2の場合も4.2V*0.5A*2=4.2Wを供給するにはUSBの規格である5.0V*0.5A=2.5Wでは全然足りません、

0.5Aを超えて電流を流す場合は

    • USBで電源供給を受ける機器

    • USBケーブル

    • AC-USB電源

この3つがそれぞれのどんな組み合わせでも問題を起こさない工夫がされています、

データ通信ができない電源供給専用のUSBケーブルなら0.5Aを超えて電源供給できる。

そこで今回のポイントになるのがUSBケーブルで、 0.5Aを超えて電流を流すためにあえてデータ通信は行えないようにしたケーブルというものが存在します、

なぜかというと、「普通のUSB機器はデータ通信のリンクが確立しないと電源供給を受け付けないので、そのデータ通信が始まりさえしなければ0.5Aを超えた電流が流れる事も無いのでUSB機器が壊れるのを防ぐ事ができる」という仕組みです。

XTAR VC2等USBで電源供給を受ける充電器には一般にはこのケーブルを使用します。

例えばいろんなUSBケーブルがあって、それをXTAR VC2に使った時にどうしても充電電流が上がらないなぁという場合、もしかすると普通のデータ通信も出来るUSBケーブルを使っている可能性があるので、その場合はデータ通信の出来ない電源供給専用のUSBケーブルを使ってください。

p,s

USB機器自体が0.5Aを超えた電流を受け入れる仕組みを持っている場合はデータ通信出来るケーブルでも0.5Aを超えた電流を受け入れることも出来ます、その場合はあえてデータ通信できないUSBケーブルを使う必要はないのですが、AC-USB電源アダプタや、USBケーブルの組み合わせによってはやはり0.5Aに制限されてしまうこともあるので、もしメーカー純正のケーブルやAC-USB電源で高速充電を行いたいときはこの「データ通信の出来ないUSBケーブル」を使うのがポイントになります。

さて、このことを踏まえ説明書に記載する文章を考えると以下のようになります、 逆に考えると説明書の短い文章からその意味を読み解くってのは難しいですよね(^_^;)

説明書記載案

    • USBケーブルはXTAR VC2に付属の物をお使いください、それ以外のUSBケーブルでは十分な電力が供給されず充電スピードが遅くなる場合があります。

    • XTAR VC2に付属のUSBケーブルは本機専用です、他の機器には使用できない場合があります。

LCDディスプレイの電流表示は何を表しているのか?

LCDディスプレイの上段のメーターは電流を表示していますが、

果たしてこれはなんの電流のなのか?というふうにぱっと見にはよくわかりません。

下の写真では0.25Aを示しています。

これは充電中の各スロットの最大充電電流を表しています、

紛らわしいのですが、現時点での入力電流でもなければ、現時点の充電電流でもありません。

なぜこんな紛らわしい表示があるのかというと、それはUSBによる電源供給を受けているが故だったりします。

上の方でUSBケーブルやAC-USB電源アダプタ次第で充電器が受けることの出来る電流が変化することはご説明しましたが、

それらの様々な組み合わせで充電器が十分な電力の供給を受けることが出来ない場合充電時間がかなり伸びることとなります。

しかし、それは充電器の責任ではなく、USBケーブルやAC-USB電源アダプタ等にある責任です、

つまり、このメーターは充電時間が遅くなる場合の責任の所在をはっきりさせるためにあると言っても過言ではありません(^_^;)

例えば1スロットでしか充電していない場合はよっぽど貧弱なAC-USB電源でもだいたいは最大0.5A充電が可能なことが分かります、

同様に、2スロットで充電中の場合、もし両方が充電中の場合は例えば上の写真のように最大充電電流が0.25Aだったとしても

片方のスロットの充電が完了すると残りのスロットに電力を集中できるので0.5A表示に変わります。

このようにこの電流表示は充電器への供給電力の目安となり、同時に充電スピードの目安にもなります。

最大充電電流の意味。

さて、ここで何度も最大充電電流と書きましたが、これにも意味があります。

XTARの充電器は充電の行程で電流や電圧をコントロールし安全で高速でそして確実な充電を行っています。

    • 最初にバッテリーをセットするとまずは開放電圧を計測、

    • その後いきなり大電流を流すのではなく、微弱電流から始まって段階的に電流を増やしていき最大充電電流まで上がります、

    • 最大充電電流になるとその後はその電流のまま充電が進む定電流充電となり、その間にも電圧はどんどん上がっていきます。

    • 電圧をチェックしながら充電しているので、充電完了が近づくと今度は徐々に電流を下げます

    • 充電中の電圧が4.20Vになった時点で定電圧充電に移行しその後もどんどん電流を絞っていき充電電流が80mA(VC2の場合)になった時点で充電を完了します。

なお、XTARの充電器はパルス充電を行っていてパルスの無負荷の瞬間に開放電圧を計測しているので、負荷のかかっている時の電圧を計測している充電器に比べフル充電判定がバッテリーの内部抵抗に左右されにくくなっています、

それでも瞬間的な開放電圧と、ちょっと間を置いて落ち着いた時の開放電圧とではどうしても差がでますが、これは充電器の性能というより、バッテリーの性能や劣化に依存することなので、

逆に言えば充電完了から少し経った時の電圧をチェックして、4.20Vよりどれだけ低いかということでバッテリーの性能や劣化を判断する基準とすることも出来ます。

説明書記載案

    • LCDディスプレイ上段の電流表示はその時充電中のバッテリーへの最大充電電流を表しています。

    • 最大充電電流とは電流が変化する充電行程の中で最も電流が多い時の値を言います。

    • バッテリーへの最大充電電流は1本充電か2本充電か?USBケーブルの種類、AC-USB電源アダプタの能力、等で変化します。

    • 1Aをきちんと供給できるAC-USB電源アダプタを使用し、付属のUSBケーブルを使用すれば2スロット同時充電でも各スロットの最大充電電流は0.5Aになります。

2015.1.4

充電行程

XTAR VC2の充電行程は最近の他のXTARの充電器と一緒です

    • バッテリーをセットすると開放電圧を計測

      • VC2のLCDディスプレイ中段の電圧メーターもバッテリーをセットした瞬間はバッテリーの開放電圧を表示します。

    • 充電可能と判断すると段階的に電流を増やしていきまもなく定電流充電に移行

      • この時VC2の電圧メーターは充電負荷がかかった状態の端子間電圧の表示に変わります。

    • バッテリーを逆に入れているなど明らかに充電できないと判断した場合は電流を止めます

    • もし電圧が0V以上であれば過放電しているだけで復活しそうかな?と判断し微弱電流で短時間充電して少し休めてを繰り返します、

      • この状態をXTARでは「TC(トリクル)」充電と呼んでいます。

      • この時流す電流はバッテリーが発火や爆発を起こす事が全くない非常に微弱な電流です、

      • もしバッテリーが生きていればその微弱な電流でも僅かながら確実に充電されるのでその微弱な電流の積み重ねで充電が進みます

      • バッテリーの電圧が過放電と言われる電圧を上回った時点で通常充電に切り替わります

      • もしバッテリーがダメであれば内部抵抗が高くなっているためそのような微弱な電流程度ではうんともすんとも言わないので安全です。

    • 通常充電はバッテリーの電圧が低い時は「CC(定電流)」充電を行います

      • 定電流充電の時は上部メーターの表示する電流で充電しています

    • 充電中は充電開始時からの電流の積算値をLCDディスプレイ下段にmAで表示します

      • 電流の積算値はバッテリーが溜めた電流の量ではなく、充電器がバッテリーに送り込んだ電流の量です、バッテリー内部の化学反応のロスなどで実際に送った電流と貯まった電流には差がでますのでご注意ください。

      • 電流の積算値はバッテリーを取りはずしたり充電器の電源を外したりすると0に戻ります。

    • バッテリーの電圧が4.20Vになると「CV(定電圧)」充電に切り替わります

      • LI-ion充電池は充電中に4.20Vになったとしても、充電器から外すとがくんと電圧が落ちる場合があります、これはバッテリーの内部抵抗のせいで、充電電流が大きいほど開放電圧と充電中の電圧に差がでます、

      • そこで定電圧充電の領域では常に電圧が4.20Vになるように電流を調整します、つまり充電が進むに連れて電流を絞っていくことになります、電流が0の状態、つまり開放電圧を4.20Vにするためです。

      • しかし実際にはアキレスと亀の寓話のようになっていつまでたっても充電が終わらない話になるので(^_^;)あらかじめ決められた電流になった時点で充電を完了します。

      • VC2の充電完了を判断する電流は80mAです。

    • フル充電になるとLCDディスプレイ下段の電流積算値の表示が「Full」となりLCDディスプレイ全体が点滅します。

      • 充電完了で電流をストップさせますが、そのままバッテリーを差し込んでいると、定期的にバッテリー監視用に微弱な電流が流れます、この時18650等の容量の大きなバッテリーなら充電が進むこともなく全く問題ないのですが、容量が小さくなおかつ内部抵抗の小さなマンガン系(IMR****等)のLi-ion充電池ではそんな微弱な電流でも充電が進む可能性がありますので、充電完了後はすみやかにバッテリーを充電器から取り出してください。

これを説明書用に端的にまとめるのは難しいなぁ・・・

説明書記載案

    • バッテリーをセットするとLCDディスプレイ中段の電圧メーターはバッテリーの開放電圧を表示します。

    • 電圧メーターはバッテリーセット後すぐに充電中バッテリー電圧表示に切り替わります。

    • LCDディスプレイ下段には充電を開始してからの電流の積算値をmAで表示します。

    • 過放電を起こしているバッテリーは0V activation機能によりチェックを行い再生できるバッテリーはその後時間を掛け通常充電に移行します。

    • 過放電を起こしたバッテリーをセットして長時間たっても復活しない場合は諦めて下さい。

    • 充電中に4.20Vになってもフル充電にはなっていないので、フル充電にする場合はそのままお待ちください、

    • フル充電になるとLCDディスプレイ下段の電流積算値の表示が「Full」となりLCDディスプレイ全体が点滅します

    • 充電完了後はすみやかに充電器からバッテリーを取り外してください。

2015.1.10

LCDディスプレイの電圧表示は充電状況を示しているだけではなく、バッテリーのコンディションもわかる、

充電電流の積算計は「バッテリーの性能」を測ることが出来ますが、それに対し電圧メーターは「バッテリーのコンディション、つまり調子の良い悪い」が分かります。

例えば使いきったバッテリーを充電してフル充電までの積算電流を測ればどれだけ充電したのかがひと目で分かりますが、

それはそのバッテリーのその時点での容量という性能を計っています。

それに対し、電圧メーターは充電の経過を示すだけではなくその時のバッテリーのコンディションが分かります。

バッテリーをセットするとまずは開放電圧を示し、まもなく充電負荷時の電圧を示します、するとその電圧の差から内部抵抗の違いが明らかになります、

内部抵抗の高いバッテリーは電圧の差が大きく、内部抵抗の小さなバッテリーは電圧の差が小さいです。

「バッテリーを複数本使う場合はバッテリーのコンディションが揃った物を使う」という言葉の中には

    • 新品の時から同じくらいの充放電サイクルのものを揃える

    • ある程度使った後でも容量が同じくらいのものを揃える

だけではなく

    • 内部抵抗が同じくらいのものを揃える

という意味も含まれます。

したがって、例え容量が同じで、例え充放電回数が似たようなバッテリーでも、内部抵抗が大きく違うバッテリーは一緒に使わない、それが正しい「バッテリーを複数本使う場合はバッテリーのコンディションが揃った物を使う」です。

この電圧の差は充電開始時だけではなく、充電終了後にも利用できます、

基本的に充電は4.20Vで終了しますが、バッテリーの中には4.20Vにならずして充電を完了するものが有ります、

そこでまずは充電完了時の電圧、

次に、4.20Vで充電を完了しても充電負荷が無くなると電圧が下がります、

この

充電完了直後の電圧、

そして充電完了後にそのまま充電器に入れたままにしておいて数時間経った後の電圧

つまり電圧メーターでは少なくとも以下の5つの値を示してくれるのでその値を持ってバッテリーのコンディションを計ることが出来るのです。

    • バッテリー装着直後の充電開始前の電圧

    • バッテリーを装着し充電が開始された時点での電圧

    • 充電完了時の電圧

    • 充電完了直後の充電負荷が無くなった時の電圧

    • 充電完了後数時間経った時の電圧

たった一つの電圧メーターからこんなにも多くの情報を得られるのですからその情報を利用しない手はありません。

欲を言えば放電特性も揃えたいところですが(^_^;)上記の数値が大きく違わなければ放電特性も大きくは変わらないと思っても良いかもしれません。

説明書記載案

    • 電圧メーターの表示について

      • バッテリーをセットした直後はバッテリーの開放電圧を示します

      • バッテリーをセットして2~3秒で充電状態になり充電電圧の表示に変わります

      • 充電が完了すると再度バッテリーの開放電圧に変わります

    • 電圧表示が4.2Vになっても充電が終了しない訳

      • 充電電圧が4.2Vになると定電圧充電に切り替わって電流を徐々に絞りながら充電します

      • 絞っていった充電電流が80mAになった時点で充電を完了します

    • 充電完了後に電圧が下がる場合(開放電圧と充電電圧の差)

      • 充電完了後に4.2Vから電圧が下がるのはそのバッテリーの特性であって(主にバッテリーの内部抵抗による限界)充電器に問題はありません

      • 充電完了後にバッテリーの電圧が4.2Vより下がる幅が大きいほど内部抵抗の大きなバッテリーという判断ができます、

      • バッテリーの内部抵抗は元々そのバッテリーが持っている特性の一つを表しますが、劣化等によっても内部抵抗が高くなります。

      • バッテリーをセットした直後の電圧と充電開始時の電圧の差もバッテリーの内部抵抗の違いによります

2015.1.12

充電できるバッテリー

この充電器で充電できるバッテリーは定格3.6Vと定格3.7VのLi-ion充電池です、

※元々定格3.6VのLi-ion充電池はフル充電の電圧が4.1Vで定格3.7VのLi-ion充電池のフル充電時の電圧は4.2Vと、それぞれ別の充電器が必要でしたが、もうずいぶん前から定格3.6VのLi-ion充電池も容量アップのためにフル充電時の最大電圧が4.2Vまで対応するようになったため定格3.6VのLi-ion充電池も定格3.7VのLi-ion充電池も同じ充電器で充電できるようになっています。

Li-ion充電池と充電器の組み合わせの可否ですが、上記の定格電圧だけではなく、その容量も重要です。

上の方でも書いていますが、基本的に最大充電電流は1Cで、標準充電は0.5Cと見ておけばまずトラブルは起きません、

※IMR***等のマンガン系のLi-ion充電池は更に大電流での充電が可能ですが、可能だからといって大電流で充電しても劣化しないということではないので、基本的にはこの最大充電は1C、標準充電は0.5Cを推奨します。

VC2の充電時の最大電流は0.5Aですので、充電出来るLi-ion充電池は最小で500mAhです、IMR***系なら250mAh以上のものなら大丈夫と思われますが、充電時の発熱及びそれによる劣化を考えるとお勧めは出来ません。

※とはいえ私自身はIMR10440 350mAhLi-ion充電池の0.5A充電を時々やってしまいますが(^_^;)

あとはサイズの問題です、

まずは長さ、

充電できるLi-ion充電池の全長は16340(RCR123A)の34mmから、18700の70mmまで接点がスライドするのでそのまま充電できます、自己責任でスペーサーを使えばもっと短いバッテリーも充電できそうですが、短い場合その分容量も少なくなるので今度は容量の問題であまりお勧めできません。

次に太さ、

太さは最大26650の直径26mmまでOKです、細いぶんにはいくら細くても構いませんが、細くなればなるだけトレイの形状に合わなくて安定しなくなるので注意が必要です。

それと、プラス端子の形状がフラットトップの場合でも、充電器の端子がわずかに出っ張っているので基本的には充電できるはずです。私の手持ちのフラットトップのLi-ion充電池で充電できない物はありませんでしたが、皆が皆そうだとは限らないのでもしフラットトップバッテリーでプラス端子が接触せず充電できない場合は工夫してみてください(^_^;)

説明書記載案

    • 充電可能なバッテリー

      • 円筒形Li-ion充電池

      • 定格3.6V/定格3.7V

      • 定格容量500mAh以上

      • 全長34mm以上70mm以下

      • 直径26mm以下

      • ※フラットトップ型は充電出来ない場合が有ります。