26章 好奇心とチャレンジ精神が新世界を生む:リーダーシップとモチベーション

○好奇心

 好奇心とは、読んで字のごとく、「奇なものを、好む心」です。幅の広さの「好奇心」と深さの「探究心」があります。「人と違ってる」というのは、奇なものを排除する、好奇心の薄い人の典型です。「好奇心」は、人によって広さ、深さは千差万別です。広い人は、興味関心の「ストライクゾーン」の広い人でもあります。どんなもの投げても受け取ってくれます。

 「好奇心」を大脳生理学的に言うと、脳の広いエリアを使うことです。好奇心の薄い人は、MRIで撮った像を見たことあるのですけが、脳がしぼんでいます。好奇心のある人は、脳が頭蓋骨までパンパンです。脳は使えば使うほど細胞が活性化するそうです。高齢者で活き活きしている方は、概ね好奇心が旺盛で、色々なことにチャレンジしています。三浦雄一郎さんのお父さん三浦敬三さんは、100歳近くまでスキーを続けるほど元気で、生活力のある方でしたが、頭蓋骨の内側まで脳がパンパンでした。

○子供の好奇心とチャレンジ精神に学ぶ

 お子さんをお持ちの方だと、「これなあに」「なぜなぜ」「やりたい」攻撃に会ったことがあると思います。子供は、何にでも興味、「好奇心」を持ちます。そして、できなくてもいいから、「やってみたい」とトライしようという「チャレンジ精神」があります。子供の頃に、皆さんが持っていた「おもしろそうだ」「やってみたい」という心です。

 「好奇心」は動物でも見られ、猫が糸をみてはじゃれ付いたり、色々なものに関心を示します。

 一般的に、歳を重ねるにつれ、ストライクゾーンが狭くなる、つまり関心の幅が狭くなり、「好奇心」がしぼみ、失敗体験も重なり、「体面があって失敗できない」「面倒くさい」になりがちで、「チャレンジ精神」もしぼむ傾向があります。これは「心の老化、心の乾燥」です。どなたでも子供の頃は「好奇心」を持っていたはずです。ただ、学習性無力症(No25参照)で失ってしまうのです。ですから、また取り戻しましょう。

○好奇心を高める:「違いを楽しむ/面白さをみつける」

 意識して「面白さ」を見つける努力について。「面白い」と思うポイントは、「違いを楽しむ」ことと「新しいことの発見」。良く見て、取り組んでみると、何でも面白いところがあります。例えば、何か新しさを発見すれば、過去との違い、これを楽しむこと。何でも受け入れてみる。違いを脅威や不安と考えず、面白がることです。「好奇心」ですから、「奇なもの=違い」を好むことです。「wrong(間違い)」ではなく、「different(違い)」の発想が大切です。

 そのためには、「観察」が大事です。例えば、お子さんの工作を見て、どこに面白さがあるか見つけるのもトレーニングです。ある人の趣味は「人間観察」。人に関心を持ち、観察し、その言動の背景を推測することで、関心が深まる。ある人の趣味は「タウンウォッチング」です。テーマを決めて待ちの中にあるそのテーマを探す。例えば、渋谷の街を探検して、いわゆる土産物でなくても、東京土産になるものを探す、など。

 「面白さ」は「内容」だけでなく、「やり方」にも発見することができます。例えば仕事。××の研究という仕事の内容だけでなく、その進め方にも工夫のしどころがあり、「面白さ」を作り出せます。

○好奇心を高める:「体験する」

 面白さは、頭ではなかなかわかりません。体験してみるのが一番です。子供にあるスポーツをやらせてみる。仕事で新しいミッションを与えてみる。新しい面白さを体験させてみる。流行の「面白い科学実験」がそうです。、科学を科楽(かがく)と書くのも一興だと思います。

 私は年老いて子供を持つ幸せに出会い、子供とともに過ごすことで自分の中に眠ってた好奇心を呼び覚ましてくれました。いろんなことを一緒にやってみること(体験)で、子供の好奇心に引っ張られました。

 また、仕事を渡す時に、面白そうにやって渡してますか。嫌そうに渡したら、絶対分かりますからね。「本当は自分でやりたいんだけど、やってみない」という感じです。

○チャレンジ精神育成:「チャレンジ奨励、失敗してもいい、失敗から学ぶ」

 「私は実験において失敗など一度たりともしていない。これでは電球は光らないという発見をいままでに、2万回してきたのだ」トーマスエジソン

 「失敗とは、よりよい方法で再挑戦するいい機会である」ヘンリー・フォード

 「失敗は成功の母」です。「失敗は、違う方法や考え方がある、ということを神様が教えてくれたのだ」というのです。失敗には学びがあります。筆者はこれを聞いて「なる程」と思い、失敗を恐れることがなくなりました。「やってみてうまく行かなければ改善すればいい。まずはやってみよう」と。一歩がでやすくなりました。

○チャレンジ精神育成:「まず決めて、行動し、習慣化する=行為自体が楽しい」

 「なせばなる、なさねばならぬ、何事も、なさぬは人の、なさぬなりけり」上杉鷹山

 「何もやらず、頭から「出来るわけが無い」と決めて掛かる発想が私は一番嫌いである」本田宗一郎

 若者に「やりたいことがわからない」という悩みを持つ人がいますね。実は、「やりたいことかどうかは、やってみないとわからない」というのが真実です。「まず決めてやってみよう(行動)」です。「まず決めること」そして「まず行動すること」。失敗したら修正すればいいし、小さく生んで大きく育てればいい。そして「習慣化すること」。気乗りがしないことでも、始めてみると案外気乗りして、熱中するものです。自宅で仕事をする時に良く感じるのは、始めるのが難しい、ということです。何らかの言い訳をつけて始めるのを先延ばしします。また、一度休みを入れると中々始められません。しかし、一旦始めてみれば段々乗ってくるものです。