仕事を好きになる:好きこそものの上手なれ
たまたまついた仕事、ある人はお金のため仕方なく、ある人は面白いと感じる、ある人は使命だと思う。この違いはどこからくるのでしょうか。また、どうしたら仕事を楽しめるでしょうか。
古い話に石工の例があります。古代ギリシャの時代三人の石工職人がいました。ひたすら石を切って働いています。そこに一人の旅人が通り掛かり、石工職人たちに質問をしました。
「あなたたちは、何のために石を切っているのですか?」と。
一人目の職人「金をもらうため」
⇒「生理安全欲求・動機」です。生存の欲求・動機です。
二人目の職人「腕のたつ職人になるため」
⇒「自己実現欲求・動機」です。成長してこうなりたいという欲求・動機です。
三人目の職人「何百年もみんなが訪れることができる神殿を作っている」
⇒「価値貢献欲求・動機」です。役に立ちたいという欲求・動機です。
石工の話はこれで終わるのですが、もう一人付け加えましょう、「石を造作するのが好きだから」
⇒「好遂自律欲求・動機」です。自由に好きなことをやりたいという欲求・動機です。
※好遂動機、好きなことをやりたいという動機、は筆者の造語
これらの欲求・動機にどのような関係があるでしょうか。
自己実現や価値貢献は人を成長させます。ただし、好き=好遂自律がかけると息切れや燃え尽きを起こします。
好きだけだと成長はするがオタクで止まる可能性があります。誰かの役に立つ=価値貢献につなげることが大事です。
価値貢献だけだと燃え尽きの可能性があります。
好きが高じて自己実現し価値貢献出来、喜ばれてさらに好きになればそれは天職と呼べるかもしれません。
好き(好遂) ⇒ 自己実現 ⇒ 価値貢献 ⇒ 好き(好遂)
好きこそものの上手なれ。好きがパワフルな原動力です。
NHK番組『ニッポン知らなかった選手権 実況中! 第16回ホテルレストランサービスコンクール2022』で優勝したのは若きホテルサービスマンでした。彼女はとても内気な性格だったのですがサービスマンに憧れをいだき専門学校を出て職につきました。サービスマンの仕事が好きで、時間があればサーモンカットなどを粘土で練習しているとのことでした。ホテルでお客様にサービスをするのが大好きで、内気さはかけらもありませんし、コンクールでの調理や接客も凛としています。
好きこそものの上手なれ。好きな人にはかなわない。
どうしたら好きになれるでしょう。
堀場製作所のモットーは「おもしろおかしく」、面白さを見つけて仕事をしよう、何でも一生懸命やれば面白い、好きになれる、と言っています。突き詰めてみるのが一案です。
好きになる方法論として「ジョブクラフティング」があります。「仕事」「人間関係」「認知(見方)」をこだわって手作りするというものです。
仕事クラフティング
・仕事のやり方の工夫
・期間を決めて工夫・没頭し成長感、面白さを発見
・ロールモデルの仕事観察、模倣
・顧客の要望把握、業務改善
売れる人の接客やトークを研究すると色々な工夫があります。顧客の目線を読む、興味関心を読んで話題を選ぶなど工夫して試してみると売れ始めます。「面白い!」と感じ始めました。
人間関係クラフティング
・人間関係を変える工夫
・先輩、同僚、他部署の人、同業他社の人に相談・取材をする。顧客に密着する
・成長すると貢献度が上がり、ありがとう、と感謝や笑顔をもらう
ある日、中々決められない顧客の相談に乗り、じっくりと話しました。先輩に相談し、一緒に考えてもらい何案かお勧めし決まった時はとても喜ばれ「ありがとうございました」と感謝されます。顧客の役に立つことが使命だとと感じた瞬間であり、先輩とチームで成果を出し関係が変化した瞬間でもありました。
認知クラフティング
・考え方を変える工夫
・仕事の目的・意味を振り返る
・中間財を作っている人は完成品がどう使われているか見る、声を聞く
ある人は自動車会社に組立工として採用されます。単調に感じられる仕事でやりがいを感じにくかったのですが、ある日、テレビで、手伝った完成車が寄付で介護施設に納車されるのを目の当たりにしました。使命だと感じた時でした。目の前の仕事がこのように役立っているんだと考えが変わりました。