ポジティブ、ネガティブ感情比とパフォーマンス

ポジティビティ(ポジティブ感情、肯定感情)とは自己肯定的な心の状態。頻度の順で次の10の感情が挙げられています(フレドリクソン、2010)。ただし、10.愛は総合的な感情として最後に並べたようです。

対するのがネガティビティ(ネガティブ感情、否定感情)であり、自己否定的な心の状態です。怒り、不安、悲しさなどです。対比してみました。

 ポジティブ感情      ネガティブ感情                   

1. 喜び  「うれしい」   悲しみ/辛さ  「悲しい/辛い」

2. 感謝  「ありがとう」  当たり前/怨嗟 「当たり前/うらめしい」

3. 安心 「安心」      不安             「不安」

4. 興味  「おもしろい」  無関心      「どうでもいい/つまらない」

5. 希望  「希望がある」     絶望      「絶望」

6. 誇り  「誇らしい」      恥        「恥ずかしい」

7. 愉快  「楽しい」      不快       「うっとうしい/つまらない」

8. 鼓舞  「やるぞ」       制圧      「おさつけられた」

9. 畏敬  「すごい」    軽蔑       「だめだ」

10. 愛   「愛している」  憎悪       「憎らしい」


出典:『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』B. フレドリクソン、日本実業出版社、2010年をもとに筆者作成

感情比についての研究は、「ポジティブ感情 : ネガティブ感情=3 :1」をポジティブ感情が超えてくると、高パフォーマンスチームになる、としています。イメージとしては、「つまらない」「だめ」「つらい」「不安」が3回あっても、「おもしろい」「ありがとう」「うれしい」「楽しい」「安心」が9回以上あるチームは高パフォーマンス、つまり、成果が高いチームになるということです。

別項「認知スタイルとモチベーション」で書いたように、認知行動理論では「認知⇒言動⇒感情」が成り立つので、ポジティブ感情はポジティブ認知、ポジティブ言動によって引き起こされます。職場・チームのメンバーの考え方・口癖がポジティブであればある程、その職場・チームのパフォーマンスが高くなるのです。

ただし、大事なことは、ネガティブ感情がゼロがベストなのか、という問いです。

まず、ゼロにすることは現実的にできません。不安、悲しさ、恥ずかしさなどはゼロになりません。

また、ネガティブ感情にも良い側面があります。恐れは慎重さを引き出し、リスク感覚を研ぎ澄まします。恥ずかしさは自分を見直す力になります。

ですので、ネガティブ感情をコントロールしながら、ポジティブ思考(認知、言動)でポジティブ感情を増やすように工夫するのが得策となるのです。