6章 リーダーの2タイプ:リーダーシップとモチベーション

○リーダーの2タイプ:成果型と成長型リーダー

 モチベーション向上のお仕事で、メーカー、サービス業、インフラ事業の、のべ約2,000人の部課長さんとお会いし、かつ、そのモチベーション診断レポートに基づいて対話しています。また、ベストプラクティスレポートという、モチベーションの高い職場での上司の取り組み事例集のため、約100の部課長さんに取材し、のベストプラクティスレポートを作成してきました。その観察からリーダーには主に2タイプあると感じています。

 リーダーには色々な分類があるうちの、一つの分類法ですが、「仕事」と「人」という軸によるものに当てはまりました。「業務・課題中心」と、「人間関係中心」という分け方です。

・仕事への関心リーダー(成果型)

 仕事に成果に強い関心があるが、部下に関心が薄いタイプです。仕事の出来、パフォーマンス、完成度には関心がありますが、部下が疲弊しても関心がないとうタイプです。どちらかというと戦時型。ぎちぎちと回さざるを得ない戦時の場合、しょうがないこともあります。成果型リーダーは今の資産を使っている感じです。短期戦を戦っているので仕方がない。したがって、疲弊感が強い。ぐるぐる回っている状態ですから。異動希望や離職率が高い傾向があります。会議も緊張感が漂い、意見があまり出ません。

・部下の成長への関心リーダー(成長型)

 部下に対する関心が強く、仕事を通し部下を成長させ、仕事の成果を高めようとするタイプです。先の「人間関係中心」よりむしろ「人間成長中心」のタイプです。要するに、仕事は道具であって、人が伸びる。人が伸びることで、仕事も伸びる、というリーダーです。根っ子を伸ばしている。このタイプでは、長期的には人が成長しているので、仕事も成長します。成長していますから、つらくてもなんとなく伸びている感じがあり、心の元気が続きます。したがって、定着率が高い。

 職場の活気があるリーダーは漏れなく、継続的に成果をあげ、かつ、部下に関心を持ち、良いところを発見し、伸ばしてあげようという暖かい心を持っていることです。高い厳しい目標にも、チームで一生懸命楽しく取りもうという、兄貴や親父的存在を感じました。

 もう一つの特徴は、職場を家族と言い換えるのを共通項としている点です。「職場には8時間から10時間いて、一緒に仕事をしている。起きている時間の半分以上。家族との時間より多いかもしれない。であれば、家族と時間を過ごすように、お互いを大事にし、成長させ、気持ちよく仕事をしたい」というものです。会議では、成長型はわいわいがやがやしている。

○飲み会がリトマス試験紙

 「成果型」か「成長型」かを見分けるリトマス試験紙は、飲み会の出席率、7~8割です。成長型は7~8割以上、成果型は7~8割以下。なぜかというと、仕事を離れてまで一緒に飲みたくない。個人に興味ないですから、飲み会でも仕事の話をする。ある人は、「上司は私には興味がない、私の仕事にしか興味がない。飲みに誘われても、仕事の話かと思うと断っていました。」と証言しています。

○バランス

 全部が全部、成長型がいいとは言っていません。バランスだと思います。成果型でやらざるを得ないこともある。状況判断しながらバランスよく両方できることが大事です。くれぐれも、「成果型」100%はご勘弁下さい。