長所を見る力7・欠点を見る力3

松下幸之助翁の著書『商売心得帖』PHP研究所、2001、の一項目のタイトルです。要点を引用をします。

「私自身としましては、元来、首脳者の心得として、つとめて社員の長所を見て短所を見ないよう心がけております。」

「部下をもつ人はなるべく部下の長所を見るようにし、またその長所を活用するようにすることが大切だと思います。それと同時に、欠点があればそれを正すように心がけることも大事でしょう。長所を見ることに七の力を用い、欠点を見ることに三の力を用いるのが、大体当を得ていると思われます。」

すばらしいのは、欠点ではなく長所を見る方に力を費やすことの大事さを説いたこと。日本文化は欠点を指摘する文化、長所に触れない文化が長く続きました。翁は旧制小学校しか出ていないことがコンプレックスになるのではなく、自らが知らないことをどん欲に吸収する強さにしました。

また、面白いのは数字で示していることです。別項「ポジティブ、ネガティブ感情比とパフォーマンス」では3:1以上のポジティブ感情比が高パフォーマンスのチームになると言っています。3:1です。松下幸之助翁は7:3です。ほぼ3:1です。偶然ではないと思います。

翁の数字は人材育成の実践から得たものと推察されます。ネガティブ感情の方が多いと推察される日本では、7:3というのは3:1よりも多いと読み取れます。

経営の神様が実践から得たポジティビティ―比率は、研究からも証明されたのです。