24章 言う内容よりも、言い方で決まる:コミュニケーションの法則:リーダーシップとモチベーション

○メラビアンのコミュニケーションの法則

 コミュニケーションの法則というのがあります。心理学者アルバート・メラビアン「サイレント・メッセージ」1971によっています。

 人間のコミュニケーションは、言葉と言い方、表情・態度で成り立っています。人と人とのコミュニケーションの中で、それぞれどのようなシェアになっているでしょうか。結論からいうと、7%、38%、55%です。

  1.言葉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7%

  2.言い方(ボイストーン)・・・・・・・・・・・・・・・38%

  3.表情・態度等(ボディー・ランゲージ)・・・55%

 言葉のシェアは非常に低く、わずか7%です。言葉は大事なのですが、コミュニケーション実態は「言葉」で受け取るよりも「言い方」や「態度」で受け取ることが圧倒的に多い、ということです。

 例えば、ある上司が部下を叱ったとします。仮に、30分すし詰めにしたとします。「お前駄目だ。なっとらん。同じ過ちが多すぎる。ここはこうじゃないと思う。こうした方がいいじゃない」と叱責し、アドバイスをしたとします。その後、部下は同僚にどうだったと聞かれて「いやあ、○○さん、とにかく怒ってたよ」。この一言です。ほとんど中身は伝わらない。怒ってた、ということしか伝わらない。38%の言い方と55%の態度の合計93%の「怒ってた」しか伝わらない。こういうことが実際起っていませんか。それぐらい、ご自分の言い方、ボイストーン、態度でコミュニケーションしているんだということを意識していただきたいのです。

 つまり、話の中身より、言い方や態度で伝わることのほうが多い。極端な例ですが、非常に良い中身の話でも、人を馬鹿にした言い方や態度を示せば、それだけで拒否反応を受けたり、全く逆の受け取られ方をする可能性もある。あの人嫌いだから、全部だめ、ということも。

○人間は感情の動物?

 人間は感情の動物、人間にしか感情がないと言われています。実は、動物にもあるのですが、表現力は人間だけ圧倒的に豊かです。

 人を見るときにも、好き嫌いで見ている。モノを買うときもそうです。後で理屈をつける。始めは好き嫌い、直感で決めて、それをいかに理屈で自分を納得させるかという行為をしている。物を買う時も、「これだ」と思った商品を、色々な比較情報を集めて納得させるようとします。チラシやパンフレットを良く見るのは、それと類似の商品を買った人だ、という話があります。いろいろな理屈をつけて、自分の購買行動を納得させようとするのだと思います。「これでいいんだ」と思って安心するためにです。そういうことが人間の心の中で起こっている。ある程度直感で決め、あとでそれを理屈で裏付けようとしている。

 人と人の間でもよく起こっている。「この人は傲慢・尊大でむかつく」と思われれば、どんなまともな話も聴いてもらえません。ある人は奥さんに言われたそうです。「あなたの言っていることは正しいけど、その言い方がむかつく」と。

○要するに

 要するに、言い方や態度で伝わっているのですね。そこが日頃のコミュニケーションの中で起こっていますから気をつけてください。気持ちが、そのまま、言葉ではなくて、態度やボイストーンで決まりますから。気持ちをもってください。部下、お子さん、友人と話す時、言い方や態度がきつかったり、威圧的であったりしていませんか。