Post date: May 7, 2012 6:46:12 AM
kameblog
気付けばなんと1か月ぶりの更新。いろいろあったもんな~。
まぁ、(本人が)気楽に更新するのがモットーなので別にいいけど。
で、ニチアサのこととか書きたいんだけど、たまりすぎて個別に書くことはほぼ無理なので、いつの日か別に書くことにしよう。
さて今回は、5月1日に見に行ってきた「仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦」の感想とか気になったこととかをテキトーに書こうかなって思う。
この映画面白いところとかはもちろんたくさんあったんだけど、大小いろんな部分で気になったところがすごーく多い映画だったと思う。
ので、色々書いてみる。
なお、この文章を書いているのは特撮見ながら四半世紀生きている男です。全体的に大人寄りの目線(かつ時々辛辣)だと思うのでそこのところヨロシク。
仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦
天ノ川学園高校にキャプテン・マーベラス率いる大ザンギャックが現れた。時を同じくして、エネトロンタンクのある街に門矢士率いる大ショッカーが現れた。
お互いの存在を賭けて潰し合う両勢力。その理由と目的は?残されたヒーローたちの行方は?世界はどうなってしまうのか?最凶最後の頂上決戦が始まった……というのがあらすじ。
2011年は大震災とかあって日本全土いろいろ大変だったけど、それは横に置いといて特撮、とりわけ現在進行でテレビシリーズをやっている東映の2大巨頭にとって2011年は重要な年だった。
仮面ライダー生誕40周年。スーパー戦隊シリーズ通算35作品。そして(おまけみたいなもんだけど)東映設立60周年。という全部が重なる記念の年だった。
なので、仮面ライダーは「オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー」という記念映画を。
スーパー戦隊は「ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」という記念映画を公開した。
これにとどまらず、レッツゴー仮面ライダーにキカイダーやズバットなどの石ノ森章太郎原作ヒーローが。
夏にはオーズに暴れん坊将軍(松平健本人)が。冬のMOVIE大戦は1号からストロンガーまでの伝説の7人ライダーとW・オーズ・フォーゼがそろい踏み。
正月にはゴーカイジャーにギャバンが出演(2012年はギャバン生誕30周年)するなど、怒涛のコラボ企画が目白押しだった。
ここまでくれば察しのいい人は見当がつくと思うが、今回の映画はこういったコラボ企画の現時点最大にして最後の作品ということになる。
で、前にこのブログで書いたんだけど僕自身そろそろ限界に達していたんだよね。この手の企画に。
MOVIE大戦MEGA MAXやVSギャバンは楽しめたけど、レッツゴー仮面ライダーや199ヒーローの方は楽しかったけど疑問点がいくつも頭に浮かんでスッキリ楽しめなかったんだよね。
理由は当然、制御できているかどうかに尽きると思う。ただでさえ無理がある計画なんだから制御することを放棄しちゃうと絵的な面白さのみでやっていく作品になっちゃうんだよね。
スーパーヒーロー大戦はまさに絵的な部分で90分ぶっちぎるというある意味パワー全開の映画だった。空回りなんだけどね。
良かった・面白いと感じるところは結構あったので挙げていこう。
・月のシーン。弦ちゃん・ユウキ・美羽が流れ星に手を合わせる部分は面白かった。流れ星→合掌→数が多すぎて願い事が足りないというボケ倒しのコンボ。
・大文字隼の大活躍。本編だと隼の生身アクションってなかなか見れないからこれはお得。映画ならではって感じ。
・フォーゼVSゴーカイレッド。これはよかった。アクティブに動くゴーカイレッドと、足を固めるフォーゼの対照的な射撃スタイル。さらにそこからのゴーカイチェンジとステイツチェンジ!燃えたね。
・ディケイドVSゴーバスターズ。こちらは逆にフォームライドに対し個々の能力をフル活用して対抗するゴーバスターズ。という集団ならではの手段が見れて良かった。
・比奈ちゃん怪人に攻撃。(物理的な意味で)最強ヒロインの座は伊達ではなかった。どんな状況でも対応できる比奈ちゃんマジ素敵。
・ディケイドVSゴーカイレッド。単体バトルとしては今作最大の見どころ。フォームライドとゴーカイチェンジを徹底的に駆使した大バトル。メイン同士の戦いだけあって一番の迫力だと思う。
・オーナー禁断の発言。まぁはっきり言えばここはもっと踏み込むべきではないのかとは思うケド、当時の裏事情が今や映画のネタになるっていうのはすごいことだと思う。
・ビッグマシン計画。大元は漫画版の仮面ライダー。超銀河王や黒十字王でも思ったけどコラボ作品の黒幕のチョイスはいつもすごいと思う。ザンギャックとショッカーのレリーフの合体っていうものイイ。
・同期によるバトル。中でもマスクマンとBLACK(共に87年)は世代的にもすごくうれしかった。あのシーンのマスクマンは世界一カッコイイマスクマンだと思う。
・オーズキー&ゴセイカードの使用。このシーンは文句もあるけど、コラボならではの戦略が見れて(一応)満足。
・フォーゼとウサダの会話シーン。絶対に会話しないだろうこの2人のシーンは日常的面白さがあふれていたと思う。こういうほっこりする会話シーンもっとあったらよかったのに。
・ロケットドリルゴーバスターオー。有無を言わさぬコラボの化身。「イトカワを超えた」必殺技は最高だった。このシーンは究極的コラボである強力必殺技でもあるので納得のクライマックスだった。
・宇宙キター!締めとしてはこれ以上ない終わり方だったと思う。ブルーバスターが一番ノリノリだったのもすごく良かった。恥じらいを超えた大人はいいものです。
以上が見て(かつ1週間後でも覚えていた)この映画の個人的にいい部分。これでこの映画の感想が終われば美談で済むのだが、そうもいかない部分がたっっっっっくさんある。
まずは大きな部分。この映画何がおかしいかって根本がおかしい。そもそもなぜマベちゃんは単独で行動したんだろう。スーパー戦隊をきちんと襲名したのならせめて仲間には話し通しとけよ。
なにより、この物語はいつ(&何故)仮面ライダーの世界とスーパー戦隊の世界が一つになったのか一度も説明していない。だから、話を進めるにあたって説明してほしいことが一度も説明されない。
観客に提示されるのは全部結果だけだ。マベちゃんとモヤシは紫の炎みたいなあの力をどこで手に入れたのか?2大勢力にどうやって接触したのか?そもそもの発案者は誰なのか?
全部返したはずのレンジャーキーをいつの間に回収したのか?(モヤシが回収して横流しした可能性もあるケド……)作中バカ王子は一度死んでいることが明らかになっているがどうやったのか?
そしてなにより、仮に2人が計画の阻止に成功したとしてそれでどうなるのか?世界はどうなるのか?融合したままなのか、離れて元に戻るのか?何一つ言及されない。
はっきりいってこれではいくら絵的に面白くても、ストーリーが足を引っ張りすぎだ。大味にしても限度がある。
大体今回の映画、メインキャストも変だ。パンフ見ても一番大きな扱いのフォーゼとゴーバスターズではなく、ジョー・ハカセ・海東・比奈ちゃんってどういうパーティーだよ。
ライダー部が特命の基地に行くとか、バスターズが月に来るとか普通そういうのを期待するだろ?
でもそんな場面は全くなく、バスターズとフォーゼは中盤さっぱり出てこない。代わりにこの4人。加えて(お世辞抜きで)大っ嫌いなディエンドが物語を牽引するという(僕にとって)軽い拷問のストーリー。
というかディエンド。予告編にもあった予測不可能とはコイツのことだったのか(ちげーよ)。
この作品のディエンドは最初から最後までいったい何を考えて生きているのか僕には全く分からなかった。たぶんディエンドもわかっていないと思う。
つーか、こんな大作であんなことしてこの後大丈夫か?少なくともこの映画見てディエンドに好印象もった人ってあんまりいないだろう。
頭おかしい人だとは思っていたけど、頭おかしいヤンデレだとは思わなかった。人って変わるんだね。
とにもかくにも、ディエンドのイメージどうする気なんだ東映は?これだけのことしてヒーローサイドのキャラクターにはできんぞ。
ディケイドという作品は(個人的には好きではないが)クロスオーバー物の接着剤としては見事に役割を果たしていると思うケド、今回限りではないだろう?
久々の登場であんな役押しつけてこの後があると思っているのだろうか?仮にもヒーローとして登場したやつを黒幕にすんなよ。ちゃんとした悪役用意してやれよ。
そして小さい部分。この映画、細やかな配慮がなされていない。こうした方がもっといいのにって部分が1回見ただけでも結構出てくる。
最大はジョーだろう。ジョーは絶対マベちゃんを殴り飛ばすべきだった。1発殴ってあとはOK。みたいにするべきだった。あいつら1年かけてあれだけの絆をつくってきたんだろう?
今回の事件はゴーカイジャー解散の危機だったじゃん。あれだけのことされて、何度も叫んで、いざネタばらしの時に笑顔でまぁいっか。みたいなことにはならんだろうコイツらなら。
加えて殴り飛ばせば、それはジョーと海東の対比にもなるじゃんか。モヤシと海東は1発殴ってOKの関係じゃないじゃん。だからあんなことになった。っていう意味でもいい対比になるじゃん。
あと、スーパースイッチの件。弦ちゃんは「新しいスイッチか。」って言っていたけど。あそこは多少無茶でもなでしこのこと言及してほしかった。
賢吾がなでしこのスイッチをもとに制作したっていうエピソードが一言でもいい。ちゃんと入れてほしかった。MEGA MAX見てるからなおさらそう思ったよ。
他にも、オーナーのメタ発言やはっきり言って無理やり以外の何物でもないデンライナー登場。あれ出すくらいならガレオンにタイムレンジャーのキーぶち込めばいいじゃん。
マベちゃんがジョーに渡せばいいじゃん。それなら先回りしていた(僕の妄想)理由が多少はマシになるじゃん。
オーズキー使っていきなりバズーカはねぇよ。ゴセイカード使うならディケイドに「スカイックパワー」とか一言言わせろよ。
イエローバスターがフォーゼに託すならエネルギー切れとかちょっとでいいから理由付けろよ。1回でいいからレッドバスターとフォーゼの必殺技発言の打ち合わせシーンとか入れろよ。
とまぁ、散々いろんなこと書いたけど、最終的に何を言おうか悩んでいたら、答えがパンフレットにあったよ。
このパンフ(700円)の後ろの方にプロデューサー達の座談会(なんと3ページ)があるんだよね。で、そこの序文にこんな一言が書いてある。
※こどもたちへ このページは、おとうさんやおかあさんがよむぺーじです。
今回の映画で僕がダメだと感じた部分って多分この一言に集約されると思う。結局この映画ってメインターゲット決めていないと思うんだよね。
制作陣(出演者も)がインタビューでよく口にする「祭り」。常套文句みたいになっているけど祭りってさぁ、綿密な打ち合わせとしっかりした準備があってこそじゃん。
今回の大集合シーン。見た人ほぼ全員が指摘できると思うケド泥だらけじゃん。泥が跳ねている音を消す努力もしていないじゃん。
だけど、製作陣のインタビュー見るとあの日しかなかったから強引に撮った。485人集合させることが大切だった。的なことを言うじゃん。これさぁ、誰に向かって言っているの?
小学校にもまだ通っていない子供?その親?僕みたいないい年した大人?業界関係者?
全員集合した絵を子どもに見せたいっていう言葉の裏でこんだけ苦労しました。というのを発表するのは悪いことではない。けど、それを観客に織り込み済みで作品を発表するのは果たして祭りって言えるの?
それは発表会と呼ぶんじゃないの?
この映画から最も聞こえる声は「今の子供に楽しんでほしい」じゃなくて「苦労して全員かき集めましたよ」の方だと思う。
そう考えると、この土台無茶かつ破綻しきったストーリーにも納得がいくし、ゴーバスターズとフォーゼが中盤全く出てこないことにも納得がいく。
言いたい放題暴言ぶちかましてきたが、この映画が歴史的にすごいことを成し遂げたことは絶対に評価すべき点だと僕は思う。
現在の放送中のテレビシリーズに加え、過去の出演者たちを揃え、485人ものスーツアクターを集合させ、きちんと商売になっている。これはすごいことだ。
でも、もうボロボロだと思う。っていうかボロボロだ。満身創痍だ。ひょっとしたら死んでいるかもしれない。
映画とテレビは決定的に違う。映画を評価するポイントとテレビを評価するポイントは違う。
また10年経ったらきっとこういった作品がまたあらわれると思う。(もっと早くに現れるかもしれない)
誕生することを僕は否定しない。きっと歓迎するだろう。でも、その時には今よりもずっとましな撮影体制を確立することが大切だと思う。
楽しいと思える部分はちゃんとあったし、コラボもので楽しい映画はこれまでにもたくさんあったから、次はもっといい作品が生まれることを期待します。
ガンバレ東映。
東映70周年と仮面ライダー50周年とスーパー戦隊45作品目が交わるその日まで!
上から目線だなぁ……。好き勝手言ってスミマセン。お金ちゃんと払ったから許してね。
あ、あと、プリキュアと一緒になるのはさすがに勘弁してください。
そんなことするくらいなら、キューティーハニーとセーラームーンとプリキュアが一緒にいる映画が見たいです。