Cloud Chamber - 霧箱

Post date: May 17, 2011 1:04:44 AM

霧箱(きりばこ、cloud chamber)とは蒸気の凝結作用を用いて荷電粒子の飛跡を検出するための装置。 1897年にチャールズ・ウィルソンが発明した。 過冷却などを用いて霧を発生させた気体の中に荷電粒子や放射線を入射させると気体分子のイオン化が起こり、そのイオンを凝結核として飛跡が観測される。

霧箱はウィルソンによって実用化の研究が行われたことから、ウィルソン霧箱(膨張霧箱)とも呼ばれる。ウィルソンはこの研究で1927年にノーベル物理学賞を受賞している。

霧箱の原理はこれまでに、ジョゼフ・ジョン・トムソンの電子や放射線の研究やカール・デイヴィッド・アンダーソンの陽電子の検出など様々な粒子や放射線の観測や、コンプトン散乱、原子核衝突、宇宙線の研究など多岐にわたる用途で用いられてきた。ニュートリノの観測は霧箱では検出できず、泡箱を用いることにより初めて検出された。

【写真:UNIVERSE TODAYより

実験室的には注射器等を使って内圧を変化させる膨張霧箱ではなく、温度勾配を使う拡散霧箱が使われる。以下の図のように構成できる。

【必要なもの】

【注意事項】

ドライアイスはマイナス75度、膨張時の気体体積は450倍、もちろん窒息の可能性があるので取扱は注意。

手袋をする、長い秒数もたない、車など閉塞空間での扱いは注意しましょう(数キログラムでは問題ないそうですが)。

ペットボトルに入れてふたをする、などは破裂しますので危険な扱いです。

自然放射線の観察には精度と根気が必要です。

放射線源としてユークセンやラドンといったものが使われますが、低レベル放射線源であっても、こちらのリンクにあるような、扱いにおけるガイドラインは必要だと思います。

【霧箱関連取扱業者】

・理化学実験機器メーカー ケニス「簡易霧箱セット」 電話06・4800・0721(代表) http://www.kenis.co.jp/

簡易霧箱セットには各種ある。主に中学の理科向け。 SJ(直径10センチ)5,500円、KD(直径21センチ)21,000円。いずれも放射線源としてユークセン石(α線源)、トリウム(ラドンガス線源)、注射器つき。TK(55,000円)は戸田一郎先生監修で、円形の照明がついてくる。

なお「戸田式霧箱」は別途商品があり30センチ角の大型のもので、照明付き。4キロのドライアイスで6時間観察可能。88万円。

ケニスさんは戸田式霧箱で他にも自動冷却機能のついた展示用も開発しており、お値段724万5千円。これは日本科学未来館5階をはじめ、大型科学館で見ることができる。

ちなみにケニスさんは小売り直販をしていないので、購入に際しては代理店を探す必要がある。本学の場合は厚木市の(株)東明サイエンス 0462-22-3720が取扱しているとのこと。