東赤石山、笹ヶ峰、伊予富士、瓶ヶ森 四国の縦走路

愛媛県  東赤石山1,707m、西赤石山1,626m、笹ヶ峰1,860m、寒風山1,763m、伊予富士1,756m、西黒森1,861m、瓶ヶ森1,896m

2006年11月23日~26日(小屋2泊、テント1泊)

(東赤石山)花の百名山

(東赤石山、笹ヶ峰)日本二百名山

(伊予富士、瓶ヶ森)日本三百名山

(東赤石山、西赤石山、笹ヶ峰、寒風山、伊予富士、西黒森、瓶ヶ森)四国百名山

258

すっかり涼しくなって、朝は肌寒いほど

澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込み

もう紅葉の山道を登る

秋の抜けるような青空が広がれば

心は山野を駆け巡る

(秋の山旅)

☁☁☁☁☁

一日目、やっと赤石越に到着。すぐ東赤石山の頂上に向かうが雨が降り出しており、ザックを置いて岩場を登る。振返ると八巻山が豪快に見えた。待望の頂上は大きな岩場で、小さな頂上標識。雨が強く、長居はできず。八巻山以外の遠景は雲海に隠れている。

なんとか銅山峰ヒュッテに辿り着いたのは17時(縦走路から30分だが、もっと長く感じた)。戸は閉まっていたが開けてもらう。ズブ濡れのレインウェアを干し、靴をぬぎ、着替え、薪ストーブで暖まる。生き返った。カレーをごちそうになり、本(赤石の四季)までいただいて感激。

二日目、息を切らせてちち山に登っていくと、枝が氷で固まったガラス細工のような枯木が立っている。

青空が広がり、雲海のかなたに東赤石の頭らしいのも見えている。昨日はあそこにいた。ずいぶん歩いてきたものだ。更に進むと、これまで見えなかった西側の寒風山、伊予富士、石鎚などの山並が見えてきて、やがて目指す笹ヶ峰のゆったりした姿が見えてきた。大きな山だ。

その西には三角形の寒風山が続き、その向こうに、ごつごつした伊予富士は雲をまとって、悠然と構えている。

更に瓶ヶ森や石鎚が並ぶが、やや漠然としている。雲海の上に島のように並ぶ三山が、西黒森、瓶ヶ森、石鎚山のようだ。四国の屋根の一角。

三日目、寒風山へは意外に手強く、2時間かかる。アップダウン多し。寒風山の直前で笹ヶ峰全景がちち山と並んで見えていたが、それが見納め。あとはガスに隠れてしまう。

寒風山から桑瀬峠までの下りで4~5人に会う。トンネルのところから登ってきたのだろう。ロープ場やハシゴありの急坂を降りてゆくと、緑の広い尾根に山道が続き、三叉路になってるところが桑瀬峠のようだ。

四日目、辿りついた瓶ヶ森・女山の頂上には祠と二等三角点。強風に足を踏ん張ってデジカメを撮る。「石土山大権現女人道」とある祠には、仏像が三体。瓶ヶ森・男山には祠二つに社もあり。祠にはやはり仏像があり、社には「石土山」の標示がある。男山からの下りは尾根沿いで風強し。

西之川に下る。枯れた沢筋のような急坂を下り、約1時間で鳥越の岩に出る。奇妙な形の岩。次に着いたのは常住。昔の山道の休憩場所で、社があったらしいが壊れた残骸が散らばっていて、おわんの中に小さな仏像が置いてあるのみ。ちょっと寂しそうな不動明王。

*******

総計35㎞、三泊四日の縦走。雨に降られ、青空が見えたのは一日だけ。山の写真はその日のものしかない。だが、その日に見た景観はいずれも忘れがたい。

銅山峰ヒュッテの管理人にもらった「赤石の四季」は、この山の歴史、自然などをつづったガイドブックで、山の案内や別子銅山のことも書かれている。山名論*を語る「あとがき」には筆者の山に対する熱い思いがこもっているが、カラー紙面に載せられた花の名山の珠玉の花々がすばらしい。

*かつて「赤太郎尾」と呼ばれていた東赤石山がそう名付けられたいきさつなど

二日目、青空が広がり、雲海のかなたに東赤石の頭らしいのも見えている。昨日はあそこにいた。ずいぶん歩いてきたものだ。
赤い石が散らばる東赤石山(2020年再訪時)
やがて目指す笹ヶ峰のゆったりした姿が見えてきた。大きな山だ。
ごつごつした伊予富士は雲をまとって、悠然と構えている。
雲海の上に島のように並ぶ三山が、西黒森、瓶ヶ森、石鎚山のようだ。四国の屋根の一角。
西黒森から見る瓶ヶ森(2020年再訪時)
息を切らせてちち山に登っていくと、枝が氷で固まったガラス細工のような枯木が立っている。
急坂を降りてゆくと、緑の広い尾根に山道が続き、三叉路になってるところが桑瀬峠のようだ。
銅山峰ヒュッテ: 薪ストーブで暖まる。生き返った。カレーをごちそうになり、本(赤石の四季)までいただいて感激。
おわんの中に小さな仏像: 西之川への下りの途中。ちょっと寂しそうな不動明王。

「赤石の四季」の花々

シコクカッコウソウ

イワキンバイ

ユキワリソウ

オオヤマレンゲ

2020年に見た花

イワガサ

イワキンバイ

ユキワリソウ

モリイバラ

 D1 6:05 土居タクシー下車地点発 8:29 東赤石山・登山口10:23 氷穴12:06 赤石越12:19 東赤石山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り6時間14分12:33 赤石越13:04 赤石山荘13:35 赤石山荘発14:00 石室越14:58 物住頭・1,635m15:38 西赤石山・1,626m17:08 銅山峰ヒュッテ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・東赤石山から4時間49分             ・・・・・・・・・・・土居タクシー下車地点から11時間3分
D2 7:30 銅山峰ヒュッテ発 8:09 銅山越・1,294m 8:44 西山・1,429m 9:33 ツナクリ山・1,466m11:03 馬道の別れ11:53 四等三角点・1,482m12:41 四等三角点発13:59 ちち山の別れ14:31 ちち山登山口14:40 ちち山・1,855m15:06 ちち山登山口15:53 笹ヶ峰・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・銅山峰ヒュッテから8時間23分16:31 丸山荘・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・笹ヶ峰から38分          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・銅山峰ヒュッテから9時間1分
D3 6:29 丸山荘発 7:07 笹ヶ峰 8:51 寒風山・1,763m 9:45 桑瀬峠11:22 伊予富士・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・丸山荘から4時間53分11:54 伊予富士発12:44 東黒森・1,735m13:47 自念子ノ頭15:52 西黒森・1,861m17:24 白石小屋、テント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・伊予富士から6時間2分               ・・・・・・・・・・・・・・・・・丸山荘から10時間55分D4 8:04 白石小屋発 8:50 瓶ヶ森・女山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り46分 9:06 瓶ヶ森・男山 9:49 白石小屋 9:57 瓶壺12:27 西之川登山口14:13 ロープウェイ駅・・・・・・・・・・・・・・・・・・・瓶ヶ森から5時間23分              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白石小屋から6時間9分

HHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH

D1

四国の山に登るのに10月初旬にマイレッジを予約し、レンタカーでなくタクシー&テント縦走のプランでホテルを予約。しかし、その週になってみると天気は悪そうだ。前二日が曇時々雨、後二日が曇時々晴。相当考えたが、行かないと後悔すると思い、決行。ただし、雨のテント泊も厳しいので、最初の二日の山小屋を予約する。銅山峰ヒュッテはマップに、丸山荘はマップ・ガイドに要予約と書いてあった(白石山荘には記載なし)。着替えはテントで寝るときに使うものとし、山登りは沢登りウェア一式プラス・コンバーチブルとする。レインウェアと登山靴にしっかり防水スプレーをかけていく(余り効果なし)。

松山空港から松山駅までタクシー(約2,000円)、松山駅でビールとつまみを買い、特急のなかで飲み、西条に着いてコンビニに行き、最後のビールと夕食を買う。真夜中で景色は見えないが雨は降ってなかった。タクシーを5時に予約しておく。松山空港、松山駅は結構大きい。西条はだいぶ小さな駅である。

翌朝、タクシーで土居の河又まで行こうとしたが(約5,000円)、河又より45分手前で降ろされる。6時だがまっくら。タクシーで走ってるときは雨だったが、とりあえずは止んでいる。ずいぶん降った跡。最初はどこを歩いているのか確信がなかったが、やがて東赤石の地図標識のある三叉路に出て、そこが河又であった(地図の現在位置で確認)。100円ショップで買ったレザーキャップをかぶったが、こいつは良かった。林道を歩いていくと砂防ダムの工事をし直したようなところを通り、登山口に着く。途中で倒木でふさがれたところがあり、登山口まで車で入るのは無理。林道も登山道も荒れており、余り使われていない様子。標識はしかし、比較的新しいものが立っている。ガイドにあった「頂上まで2時間半」という標識は無かった。新しいウォーキングスティックに新しいスパッツで歩くが、1段式のウォーキングスティックは段差が緩くて力を入れるとすぐにひっこんでしまう。濡れた草で靴も濡れてきた。登山口から2時間で氷穴というところに着く。たぶん岩の裂け目から冷たい風が吹いているんではないかと思う。そこから30分ほどで小さな祠。思ったより大きかったが、だいぶ荒れている。拝んでから先に進む。

ガイドには登山口から山頂まで2時間半、ゆっくり歩いて3時間とあったが、3時間近くなってもまだ着かない(結局4時間弱)。枯れ沢の岩場の登りでロスト。何度か行ったり来たりする。水場の先でやっと赤石越に到着。すぐ東赤石山頂上に向かうが雨が降り出しており、ザックを置いて岩場を登る。振返ると八巻山が豪快に見えた。当初は八巻山を越えて行こうと考えていたが、時間もなくなったので赤石山荘経由とする。待望の頂上は大きな岩場で、小さな頂上標識。三角点は分からず(奥の繁みのなかだったのかも)。雨が強く、長居はできず。八巻山以外の遠景は雲海に隠れている。赤石山荘への道はぐっと良くなった。途中で男性に会い、山荘に着いてみると団体が昼食中。中で雨宿りしながら食事しようと思っていたが、やむなく外の小雨の中で食事。団体はいつの間にかいなくなっていた。この後、この日は誰にも会わず。トラバース路は良かったが、八巻からの道と合流(石室越)した後、岩場で迷う。前赤石に登ろうとしていて、引返す。縦走路はずっと下にあった。

15時に着いた山頂は西赤石ではなく物住頭1,635mであった。かわいい頂上標識。ここから鞍部までだいぶ下り、登り返したところが西赤石。そこからすぐかと思ったがなかなか銅山越に着かない。雨は本降りになってきた。小さなコルに「ヒュッテ近道」というのがあり、勇んでそこを下る。延々と長い下り。(後でマップを見ると、このルートの記載は無かった)降りきったところで道にぶつかり、左右どちらに行くのか迷う。なんとか銅山峰ヒュッテに辿り着いたのは17時(縦走路から30分だが、もっと長く感じた)。戸は閉まっていたが開けてもらう。ズブ濡れのレインウェアを干し、靴をぬぎ、着替え、薪ストーブで暖まる。生き返った。カレーをごちそうになり、本(赤石の四季)までいただいて感激。2,500円は安い。ザックの中まで濡れていたので全部外に出して乾かす。おかしに抹茶まで出してもらったが、自家発電なので7時消灯だという。部屋でシュラフで7時前に寝たが、寒くて深夜に起き、沢登りウェアを重ね着する。レインウェアが乾いていないのでストーブ部屋に入れて乾かす。似たような山小屋に団体で泊まっている変な夢を見た。外は、風はないがずっと雨。夜明け前には止むがまだ暗い。ぐっすり眠り、時計をみるともう7時前だった。

銅山峰ヒュッテでの会話: 「台風が3回来て、床まで水につかり大変だった」「時間と食事をきいてなかったが、カレーをつくったので食べてください」

D2

7時20分前くらいに起きてシュラフを片付け、ザックを仕立て、出発は7時半。礼を言って出かけると水パックを忘れていたのを持ってきてもらう。助かった。夜中大降りだった雨も上がり、ガスが濃いが快適。雨が降っているといろいろと制約が多い。でもレインウェアはまだ湿っていて冷たい。銅山越には岩の塀で囲まれた地蔵仏あり。海抜1,294m、過去の歴史を書いた説明標識あり。その先にはツガザクラ群落があるようだが、花はなし。ロープで囲われた山道を歩き、9時前に西山に着く。いったん西山のタワに降り、登り返したところがツナクリ山のようだが標識がさびていて読めない。その先、ところどころ崖崩れのあるトラバース路となり、鞍部の七番越、土山越に着いたのは約1時間遅れの10時半過ぎ。銅山峰ヒュッテでもらった本には分かれ道に注意とあったが、幸い標識はしっかりしていて間違わない。休憩して馬道の別れ、舟窪を過ぎ登っていくと、アラレが降ってきた。やけに大きな雪のかたまりで、またたく間に積もっていく。積もったアラレを踏みながら急坂を登ってゆき、12時少し前に四等三角点のある1,482m峰*に到着。ザックを下ろして休憩。アラレもあがったので昼食とする。するとガスが晴れてきて正面のちち山が見えてきた。霧氷の美しい姿。左手には冠山。デジカメを写しまくり、ホットウイスキーを飲み、出発は13時前になる。

*ガイドには1,470mとあったが、地理院地図は1,482mになっている

ちち山にはピークが二つあり、奥が頂上。霧氷は北東側斜面についており、登山道のある南斜面には全くついていない。息を切らせてちち山に登っていくと、枝が氷で固まったガラス細工のような枯木が立っている。ちち山の別れの標識についたのは14時。青空が広がり、雲海のかなたに東赤石の頭らしいのも見えている。昨日はあそこにいた。ずいぶん歩いてきたものだ。更に進むと、これまで見えなかった西側の寒風山、伊予富士、石鎚などの山並が見えてきて、やがて目指す笹ヶ峰のゆったりした姿が見えてきた。大きな山だ。笹ヶ峰には登山道のように見える白い線が入っていたが、これは登山道ではなく、霧氷で白くなったコメツツジの群落らしい。その西には三角形の寒風山が続き、その向こうに、ごつごつした伊予富士は雲をまとって、悠然と構えている。更に瓶ヶ森や石鎚が並ぶが、やや漠然としている。雲海の上に島のように並ぶ三山が、西黒森、瓶ヶ森、石鎚山のようだ。四国の屋根の一角。トラバース路の途中にちち山への登り口あり。かなり急なのでザックを置いて登る。頂上からは雲海の上に頭だけの東赤石が見え、間近では霧氷が輝くちち山や冠山がすばらしい。昨日から苦労して登ってきて良かった。トラバースに戻り、笹ヶ峰へは本日最後の登りだが、しんどかった。風が冷たく、落葉樹の氷が映える。丸山荘には15時で予約していたが、近道を通り過ぎて頂上に向かう。16時に着いた頂上には北側が白く凍っている大きな石を積み重ねた祠があり、今日の山旅のお礼を言う。乾いた南側は広く、立派な一等三角点がある。ザックも下ろさずに丸山荘に向かう。九十九折を降りていくと下に赤い屋根の丸山荘が見えるが、なかなかたどり着かない。やっと着いたのは16時半であった。おじさんとおばさんが出てきて、食事に野菜を出してくれたが、風呂があったのには感激。冬はスキーもできるらしい。シュラフを広げていると布団を敷いてくれた。暗くなってから二人組がやってくる。明日は6時に出て、瓶ヶ森に向かう。

丸山荘での会話: 「五月の連休は混むがあとはそうでもない」「キャンプの人などは礼儀正しいが、団体にはマナーを守らん人がいる」「冬は笹に雪がついてスキーができる。シールでなくアイゼンで登る。今はシーズン10人くらい。スキーをする人は減った」「青森からも5月の連休に来ていた」「東赤石の土居口は年数人しか登ってないのでは。荒れていたでしょう。南口をすすめています」

D3

5時起床、6時出発。布団は暖かくて良かったが、なぜか首を寝違えてしまった。隣の二人が少し前に出発。一昨日濡れた靴はまだ乾かない。丸山荘の二人に見送られるが、外はまっくら。さて、今日は晴のはずだが空はどんより曇。ダメかもしれない。笹ヶ峰頂上までは1時間。寒風山とまだ明かりのついている西条と新居浜の町並、瀬戸内海はぼんやり見えている。頂上に着くとだいぶ明るくなったが、寒風山も見えなくなってしまった。二人は頂上から降りていったが、下山したのかなあ。寒風山へは意外に手強く、2時間かかる。アップダウン多し。寒風山の直前で笹ヶ峰全景がちち山と並んで見えていたが、それが見納め。あとはガスに隠れてしまう。寒風山から桑瀬峠までの下りで4~5人に会う。トンネルのところから登ってきたのだろう。ロープ場やハシゴありの急坂を降りてゆくと、緑の広い尾根に山道が続き、三叉路になってるところが桑瀬峠のようだ。その先にあるはずの(昨日は見えていた)伊予富士は見えない。辿りついた桑瀬峠は笹の中の小さな峠。上下フル・レインウェアに手袋をして休んでいると、学生らしいのが二人来て、「寒そうだ」などと言って着込んでいる。途中までしか見えていない伊予富士に淡々と登っていくと、意外に道は左右にくねっている。ガスに入って最後の急坂を尾根の右側から登り、11時20分頃に伊予富士着。これで、ここで食事し、12時前に出発すれば(この先は車道に沿ってることもあり、)17時までに瓶ヶ森に着けるだろう、と安心。

風に背を向けて食事。ホットウイスキーも飲む。しかし、余裕があったのはこの先の瓶ヶ森林道に出たところまでであった。伊予富士を下っていくと縦走中らしい団体に会う。東黒森に着き、13時過ぎに左手下に舗装車道が見えてくる。山道はこの瓶ヶ森林道へ降りてゆき、しばらく車道を歩く。時々ランプをつけた車が走っていく。林道名の標識を過ぎ、また山道に戻り、自念子ノ頭に着いたのは14時前。思ったより遅れている。車道に平行とはいえ、登山道は手入れが悪く歩きにくい。しかも、自念子を過ぎてから笹が濡れており、せっかく乾いた服と靴が濡れてきてしまう。最悪。山道はいったん車道に出るが、車道には降りずに山道を辿って西黒森を目指す。15時目処だった西黒森には、その登り口に15時45分頃着く。縦走路からの急登なのでザックを置いて往復。縦走路に戻るともう16時。これから瓶ヶ森に登っても17時、暗くなってしまうので、次の車道との接点で車道に降りる。今日のところは瓶を諦め、明日登ることにしよう。どうせ暗くてはしかたない。車道におりたところに吉野川源流の石碑あり。車道を歩いて駐車場経由で白石小屋に向かうが、道を間違えて下の駐車場に降りてしまう。ヘッドランプをつけてやっと白石小屋に着いてみると、なんと戸が閉まっている。開放されていないのだ。ここから瓶ヶ森ヒュッテに行く気もしないので、テントを張る(第二キャンプ場)。雨が降らないことを祈るのみ。現在7時半、無事に食事も終えて寝るだけだが、風音強し。雨の音がパラついてきている。

雨だけは止んでほしい。因みに明日の予定は、雨だったら瓶まで1時間で登り、そのまま西之川の登山口まで降りる。雨が降ってなければ、瓶まで1時間で登り、土小屋まで4時間で下り、石鎚には登らずにロープウェイ駅に4時間で向かう。ロープウェイ最終16時として、朝7時に出て間に合うだろう。この三日間の自分のパフォーマンスからして、石鎚まで登って16時までにロープウェイに下るのは無理だろう。まあ、いろいろと経験を積んだ三日間であった。明日もがんばろう。

D4

テントの中で夜中に何度か目覚めるがずっと雨。一回止んでいたとき(4時頃)があったが、あとは雨音。アイポッドを入れ替えて聞きながら、この日の石鎚、土小屋は諦める。西之川に降りよう。

翌朝朝4時頃、雨が止んでいるときにトイレにゆき、ついでに上のレインウェアを着、靴下をはく。これで朝方の寒さをしのぐ。ブランドXを聞きながらシュラフをかぶって寝ていたが、6時40分頃、外がだいぶ明るいので起きる。雨はこのとき止んでいた。一応、ザックに全部を詰め、風の重し代わりにテントに残し、ロープを外す前にまずテントのロッドを外す。雨は止んでいるが風は強い。濡れたテントを用意しておいたコンビニ袋に入れ、ザックに入れて白石小屋の雨宿りができる部分に行く。ザックの中身を(コンビニ袋のテントを底に)入れ替え、ザックをそこに残し、空身で瓶ヶ森に向かう。すさまじい風に雨混じりのたいへんな状況。途中近くを通った瓶ヶ森ヒュッテはひどく古ぼけた建物で、前日泊まらなくて正解だったかもしれない。辿りついた瓶ヶ森・女山の頂上には祠と二等三角点。強風に足を踏ん張ってデジカメを撮る。「石土山大権現女人道」とある祠には、仏像が三体。瓶ヶ森・男山には祠二つに社もあり。祠にはやはり仏像があり、社には「石土山」の標示がある。男山からの下りは尾根沿いで風強し。白石小屋に戻り、クッキーを食べてから出発。ここから先ずっと雨で、ザックを2回しか下ろせず、肩が痛くなった。

10時前に白石小屋を出てすぐ瓶壺。岩場に水が流れており、そこに穴があいている。天然なのかな。そこからの山道は意外に荒れている。みんな車道で登れるので、この道は余り使われてないのだろう。東赤石の河又口と同じ(丸山荘のおじさんおばさんが、南口からの方がよいとしきりに言っていた)。枯れた沢筋のような急坂を下り、約1時間で鳥越の岩に出る。奇妙な形の岩。ザックを下ろして休むが、雨が本降ですぐ出発。デジカメのレンズも曇る。次に着いたのは常住。昔の山道の休憩場所で、社があったらしいが壊れた残骸が散らばっていて、おわんの中に小さな仏像が置いてあるのみ。ちょっと寂しそうな不動明王。この先で登り返しがあり、下った先で工事中の林道に出る。上部がガスに隠れた谷。林道を新しく作っているらしく、大きなショベルが何台か置いてある。12時半に本来の登山口に着く。30分遅れ。紅葉の橋を渡ると舗装路となり、やがて集落に着く。雨の中で何かやってるおばあさん。傘で歩いてくるおじいさん。バス停を過ぎ、ロープウェイ駅は思ったより近かった。川を渡った先の温泉に入ろうと思ったがやっていない。仕方なくロープウェイ駅まで少し登り、レインウェアを脱いでからタクシーを呼び、着替えをして駅で待つ。テレビで浦和レッズ対FC東京の試合をやっていて、勝てば浦和のリーグ優勝だったらしいが途中までしか見ず(結局引分)。

二日前に最初に来たタクシーの運転手が迎えに来る。西条まで5,000円。コンビニで食器とガス・カートリッジを宅配便で送る(ガス・カートリッジは宅配便もダメらしい。飛行機は宿泊ツアーには使いにくい)。駅に行くと15時15分発の特急で、もう5分もないので急いでホームに向かう。列車の中ではビールはなく、紅茶にクッキー。でも車窓の眺めはよい。海が見えた。

松山に着きビールを買ってホテルへ。ホテルではまずザックを全部空けて濡れたものを乾かす。ビールとオニギリとつまみを食べながら夕方まで休み、それから雨の上がった松山の駅前を歩き、おみやげと夕食を買う。夏目漱石の「ぼっちゃん」ゆかりの土地。市電もある。道後温泉にもいきたい。7時からのワールドカップ・サッカー特集を見ながら食事。うとうとしていて気付くともう10時。明日は5時に起き、6時45分に予約したタクシーで空港に向かう。経験を積んだ四国の縦走であった。

D1

JR伊予西条駅

四国の山に登るのに10月初旬にマイレッジを予約し、レンタカーでなくタクシー&テント縦走のプランでホテルを予約。しかし、その週になってみると天気は悪そうだ。前二日が曇時々雨、後二日が曇時々晴。相当考えたが、行かないと後悔すると思い、決行。ただし、雨のテント泊も厳しいので、最初の二日の山小屋を予約する。銅山峰ヒュッテはマップに、丸山荘はマップ・ガイドに要予約と書いてあった(白石山荘には記載なし)。着替えはテントで寝るときに使うものとし、山登りは沢登りウェア一式プラス・コンバーチブルとする。レインウェアと登山靴にしっかり防水スプレーをかけていく(余り効果なし)。

松山空港から松山駅までタクシー(約2,000円)、松山駅でビールとつまみを買い、特急のなかで飲み、西条に着いてコンビニに行き、最後のビールと夕食を買う。真夜中で景色は見えないが雨は降ってなかった。タクシーを5時に予約しておく。松山空港、松山駅は結構大きい。西条はだいぶ小さな駅である。

河又の案内図

翌朝、タクシーで土居の河又まで行こうとしたが(約5,000円)、河又より45分手前で降ろされる。6時だがまっくら。タクシーで走ってるときは雨だったが、とりあえずは止んでいる。ずいぶん降った跡。最初はどこを歩いているのか確信がなかったが、やがて東赤石の地図標識のある三叉路に出て、そこが河又であった(地図の現在位置で確認)。100円ショップで買ったレザーキャップをかぶったが、こいつは良かった。

氷穴

林道を歩いていくと砂防ダムの工事をし直したようなところを通り、登山口に着く。途中で倒木でふさがれたところがあり、登山口まで車で入るのは無理。林道も登山道も荒れており、余り使われていない様子。標識はしかし、比較的新しいものが立っている。ガイドにあった「頂上まで2時間半」という標識は無かった。新しいウォーキングスティックに新しいスパッツで歩くが、1段式のウォーキングスティックは段差が緩くて力を入れるとすぐにひっこんでしまう。濡れた草で靴も濡れてきた。登山口から2時間で氷穴というところに着く。たぶん岩の裂け目から冷たい風が吹いているんではないかと思う。そこから30分ほどで小さな祠。思ったより大きかったが、だいぶ荒れている。拝んでから先に進む。

八巻山

ガイドには登山口から山頂まで2時間半、ゆっくり歩いて3時間とあったが、3時間近くなってもまだ着かない(結局4時間弱)。枯れ沢の岩場の登りでロスト。何度か行ったり来たりする。水場の先でやっと赤石越に到着。すぐ東赤石山頂上に向かうが雨が降り出しており、ザックを置いて岩場を登る。振返ると八巻山が豪快に見えた。当初は八巻山を越えて行こうと考えていたが、時間もなくなったので赤石山荘経由とする。待望の頂上は大きな岩場で、小さな頂上標識。三角点は分からず(奥の繁みのなかだったのかも)。雨が強く、長居はできず。八巻山以外の遠景は雲海に隠れている。赤石山荘への道はぐっと良くなった。途中で男性に会い、山荘に着いてみると団体が昼食中。中で雨宿りしながら食事しようと思っていたが、やむなく外の小雨の中で食事。団体はいつの間にかいなくなっていた。この後、この日は誰にも会わず。トラバース路は良かったが、八巻からの道と合流(石室越)した後、岩場で迷う。前赤石に登ろうとしていて、引返す。縦走路はずっと下にあった。

東赤石山頂上

東赤石山(冊子「赤石の四季」より)

赤石山荘

物住頭1,635m頂上標識

15時に着いた山頂は西赤石ではなく物住頭1,635mであった。かわいい頂上標識。ここから鞍部までだいぶ下り、登り返したところが西赤石。そこからすぐかと思ったがなかなか銅山越に着かない。雨は本降りになってきた。小さなコルに「ヒュッテ近道」というのがあり、勇んでそこを下る。延々と長い下り。(後でマップを見ると、このルートの記載は無かった)降りきったところで道にぶつかり、左右どちらに行くのか迷う。

西赤石山1,626m頂上

銅山峰ヒュッテの中

なんとか銅山峰ヒュッテに辿り着いたのは17時(縦走路から30分だが、もっと長く感じた)。戸は閉まっていたが開けてもらう。ズブ濡れのレインウェアを干し、靴をぬぎ、着替え、薪ストーブで暖まる。生き返った。カレーをごちそうになり、本(赤石の四季)までいただいて感激。2,500円は安い。ザックの中まで濡れていたので全部外に出して乾かす。おかしに抹茶まで出してもらったが、自家発電なので7時消灯だという。部屋でシュラフで7時前に寝たが、寒くて深夜に起き、沢登りウェアを重ね着する。レインウェアが乾いていないのでストーブ部屋に入れて乾かす。似たような山小屋に団体で泊まっている変な夢を見た。外は、風はないがずっと雨。夜明け前には止むがまだ暗い。ぐっすり眠り、時計をみるともう7時前だった。

銅山峰ヒュッテでの会話: 「台風が3回来て、床まで水につかり大変だった」「時間と食事をきいてなかったが、カレーをつくったので食べてください。

D2

銅山峰ヒュッテ

7時20分前くらいに起きてシュラフを片付け、ザックを仕立て、出発は7時半。礼を言って出かけると水パックを忘れていたのを持ってきてもらう。助かった。夜中大降りだった雨も上がり、ガスが濃いが快適。雨が降っているといろいろと制約が多い。でもレインウェアはまだ湿っていて冷たい。銅山越には岩の塀で囲まれた地蔵仏あり。海抜1,294m、過去の歴史を書いた説明標識あり。その先にはツガザクラ群落があるようだが、花はなし。ロープで囲われた山道を歩き、9時前に西山に着く。いったん西山のタワに降り、登り返したところがツナクリ山のようだが標識がさびていて読めない。その先、ところどころ崖崩れのあるトラバース路となり、鞍部の七番越、土山越に着いたのは約1時間遅れの10時半過ぎ。銅山峰ヒュッテでもらった本には分かれ道に注意とあったが、幸い標識はしっかりしていて間違わない。

銅山越の説明

銅山越の石垣

銅山越の祠

在りし日の銅山越(冊子「赤石の四季」より)

西山1,429m頂上

馬道の別れ

四等三角点とザック

休憩して馬道の別れ、舟窪を過ぎ登っていくと、アラレが降ってきた。やけに大きな雪のかたまりで、またたく間に積もっていく。積もったアラレを踏みながら急坂を登ってゆき、12時少し前に四等三角点のある1,482m峰*に到着。ザックを下ろして休憩。アラレもあがったので昼食とする。するとガスが晴れてきて正面のちち山が見えてきた。霧氷の美しい姿。左手には冠山。デジカメを写しまくり、ホットウイスキーを飲み、出発は13時前になる。

*ガイドには1,470mとあったが、地理院地図は1,482mになっている

ちち山

平家平と冠山

青空と笹の稜線

沓掛山と黒森山と雲海

霧氷

ちち山にはピークが二つあり、奥が頂上。霧氷は北東側斜面についており、登山道のある南斜面には全くついていない。息を切らせてちち山に登っていくと、枝が氷で固まったガラス細工のような枯木が立っている。

雲海の中の東赤石山

ちち山の別れの標識についたのは14時。青空が広がり、雲海のかなたに東赤石の頭らしいのも見えている。昨日はあそこにいた。ずいぶん歩いてきたものだ。更に進むと、これまで見えなかった西側の寒風山、伊予富士、石鎚などの山並が見えてきて、やがて目指す笹ヶ峰のゆったりした姿が見えてきた。大きな山だ。笹ヶ峰には登山道のように見える白い線が入っていたが、これは登山道ではなく、霧氷で白くなったコメツツジの群落らしい。その西には三角形の寒風山が続き、その向こうに、ごつごつした伊予富士は雲をまとって、悠然と構えている。更に瓶ヶ森や石鎚が並ぶが、やや漠然としている。雲海の上に島のように並ぶ三山が、西黒森、瓶ヶ森、石鎚山のようだ。四国の屋根の一角。

冠山から平家平への稜線

ちち山手前より、東の景観:東赤石山? 平家平、冠山

ちち山、右下は沓掛山と黒森山

ちち山手前から西の景観:伊予富士、東黒森、自念子ノ頭、寒風山、西黒森、瓶ヶ森、石鎚山、笹ヶ森

笹ヶ峰

やがて目指す笹ヶ峰のゆったりした姿が見えてきた。大きな山だ

伊予富士

ごつごつした伊予富士は雲をまとって、悠然と構えている。

ちち山頂上

トラバース路の途中にちち山への登り口あり。かなり急なのでザックを置いて登る。頂上からは雲海の上に頭だけの東赤石が見え、間近では霧氷が輝くちち山や冠山がすばらしい。昨日から苦労して登ってきて良かった。トラバースに戻り、笹ヶ峰へは本日最後の登りだが、しんどかった。風が冷たく、落葉樹の氷が映える。丸山荘には15時で予約していたが、近道を通り過ぎて頂上に向かう。16時に着いた頂上には北側が白く凍っている大きな石を積み重ねた祠があり、今日の山旅のお礼を言う。乾いた南側は広く、立派な一等三角点がある。ザックも下ろさずに丸山荘に向かう。

ちち山

笹ヶ峰頂上

西黒森、瓶ヶ森、石鎚山

雲海の上に島のように並ぶ三山が、西黒森、瓶ヶ森、石鎚山のようだ。四国の屋根の一角。

笹ヶ峰から西の景観:伊予富士、寒風山、東黒森、自念子ノ頭、西黒森、瓶ヶ森、石鎚山

丸山荘

九十九折を降りていくと下に赤い屋根の丸山荘が見えるが、なかなかたどり着かない。やっと着いたのは16時半であった。おじさんとおばさんが出てきて、食事に野菜を出してくれたが、風呂があったのには感激。冬はスキーもできるらしい。シュラフを広げていると布団を敷いてくれた。暗くなってから二人組がやってくる。明日は6時に出て、瓶ヶ森に向かう。

丸山荘での会話: 「五月の連休は混むがあとはそうでもない」「キャンプの人などは礼儀正しいが、団体にはマナーを守らん人がいる」「冬は笹に雪がついてスキーができる。シールでなくアイゼンで登る。今はシーズン10人くらい。スキーをする人は減った」「青森からも5月の連休に来ていた」「東赤石の土居口は年数人しか登ってないのでは。荒れていたでしょう。南口をすすめています」

D3

笹ヶ峰の祠

5時起床、6時出発。布団は暖かくて良かったが、なぜか首を寝違えてしまった。隣の二人が少し前に出発。一昨日濡れた靴はまだ乾かない。丸山荘の二人に見送られるが、外はまっくら。さて、今日は晴のはずだが空はどんより曇。ダメかもしれない。笹ヶ峰頂上までは1時間。寒風山とまだ明かりのついている西条と新居浜の町並、瀬戸内海はぼんやり見えている。頂上に着くとだいぶ明るくなったが、寒風山も見えなくなってしまった。二人は頂上から降りていったが、下山したのかなあ。

雨だけは止んでほしい。因みに明日の予定は、雨だったら瓶まで1時間で登り、そのまま西之川の登山口まで降りる。雨が降ってなければ、瓶まで1時間で登り、土小屋まで4時間で下り、石鎚には登らずにロープウェイ駅に4時間で向かう。ロープウェイ最終16時として、朝7時に出て間に合うだろう。この三日間の自分のパフォーマンスからして、石鎚まで登って16時までにロープウェイに下るのは無理だろう。まあ、いろいろと経験を積んだ三日間であった。明日もがんばろう。

寒風山

寒風山へは意外に手強く、2時間かかる。アップダウン多し。寒風山の直前で笹ヶ峰全景がちち山と並んで見えていたが、それが見納め。あとはガスに隠れてしまう。

寒風山

西条市と瀬戸内海

笹ヶ峰とちち山

寒風山頂上

桑瀬峠へ下る

寒風山から桑瀬峠までの下りで4~5人に会う。トンネルのところから登ってきたのだろう。ロープ場やハシゴありの急坂を降りてゆくと、緑の広い尾根に山道が続き、三叉路になってるところが桑瀬峠のようだ。その先にあるはずの(昨日は見えていた)伊予富士は見えない。辿りついた桑瀬峠は笹の中の小さな峠。上下フル・レインウェアに手袋をして休んでいると、学生らしいのが二人来て、「寒そうだ」などと言って着込んでいる。

桑瀬峠

伊予富士頂上

途中までしか見えていない伊予富士に淡々と登っていくと、意外に道は左右にくねっている。ガスに入って最後の急坂を尾根の右側から登り、11時20分頃に伊予富士着。これで、ここで食事し、12時前に出発すれば(この先は車道に沿ってることもあり、)17時までに瓶ヶ森に着けるだろう、と安心。

風に背を向けて食事。ホットウイスキーも飲む。しかし、余裕があったのはこの先の瓶ヶ森林道に出たところまでであった。伊予富士を下っていくと縦走中らしい団体に会う。東黒森に着き、13時過ぎに左手下に舗装車道が見えてくる。山道はこの瓶ヶ森林道へ降りてゆき、しばらく車道を歩く。時々ランプをつけた車が走っていく。

東黒森・1,735m頂上

自念子ノ頭・1,702m

林道名の標識を過ぎ、また山道に戻り、自念子ノ頭に着いたのは14時前。思ったより遅れている。車道に平行とはいえ、登山道は手入れが悪く歩きにくい。しかも、自念子を過ぎてから笹が濡れており、せっかく乾いた服と靴が濡れてきてしまう。最悪。山道はいったん車道に出るが、車道には降りずに山道を辿って西黒森を目指す。

西黒森・1,861m頂上

15時目処だった西黒森には、その登り口に15時45分頃着く。縦走路からの急登なのでザックを置いて往復。縦走路に戻るともう16時。これから瓶ヶ森に登っても17時、暗くなってしまうので、次の車道との接点で車道に降りる。今日のところは瓶を諦め、明日登ることにしよう。どうせ暗くてはしかたない。車道におりたところに吉野川源流の石碑あり。

吉野川源流碑

案内図

白石小屋

車道を歩いて駐車場経由で白石小屋に向かうが、道を間違えて下の駐車場に降りてしまう。ヘッドランプをつけてやっと白石小屋に着いてみると、なんと戸が閉まっている。開放されていないのだ。ここから瓶ヶ森ヒュッテに行く気もしないので、テントを張る(第二キャンプ場)。雨が降らないことを祈るのみ。現在7時半、無事に食事も終えて寝るだけだが、風音強し。雨の音がパラついてきている。

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テント

テントの中で夜中に何度か目覚めるがずっと雨。一回止んでいたとき(4時頃)があったが、あとは雨音。アイポッドを入れ替えて聞きながら、この日の石鎚、土小屋は諦める。西之川に降りよう。

翌朝朝4時頃、雨が止んでいるときにトイレにゆき、ついでに上のレインウェアを着、靴下をはく。これで朝方の寒さをしのぐ。ブランドXを聞きながらシュラフをかぶって寝ていたが、6時40分頃、外がだいぶ明るいので起きる。雨はこのとき止んでいた。一応、ザックに全部を詰め、風の重し代わりにテントに残し、ロープを外す前にまずテントのロッドを外す。雨は止んでいるが風は強い。濡れたテントを用意しておいたコンビニ袋に入れ、ザックに入れて白石小屋の雨宿りができる部分に行く。ザックの中身を(コンビニ袋のテントを底に)入れ替え、ザックをそこに残し、空身で瓶ヶ森に向かう。

瓶ヶ森・女山(めやま)頂上

すさまじい風に雨混じりのたいへんな状況。途中近くを通った瓶ヶ森ヒュッテはひどく古ぼけた建物で、前日泊まらなくて正解だったかもしれない。辿りついた瓶ヶ森・女山の頂上には祠と二等三角点。強風に足を踏ん張ってデジカメを撮る。「石土山大権現女人道」とある祠には、仏像が三体。瓶ヶ森・男山には祠二つに社もあり。祠にはやはり仏像があり、社には「石土山」の標示がある。男山からの下りは尾根沿いで風強し。白石小屋に戻り、クッキーを食べてから出発。ここから先ずっと雨で、ザックを2回しか下ろせず、肩が痛くなった。

瓶ヶ森・男山(おやま)1,850m頂上

瓶壺

10時前に白石小屋を出てすぐ瓶壺。岩場に水が流れており、そこに穴があいている。天然なのかな。そこからの山道は意外に荒れている。みんな車道で登れるので、この道は余り使われてないのだろう。東赤石の河又口と同じ(丸山荘のおじさんおばさんが、南口からの方がよいとしきりに言っていた)。枯れた沢筋のような急坂を下り、約1時間で鳥越の岩に出る。奇妙な形の岩。ザックを下ろして休むが、雨が本降ですぐ出発。デジカメのレンズも曇る。

お椀の中の仏像

次に着いたのは常住。昔の山道の休憩場所で、社があったらしいが壊れた残骸が散らばっていて、おわんの中に小さな仏像が置いてあるのみ。ちょっと寂しそうな不動明王。この先で登り返しがあり、下った先で工事中の林道に出る。上部がガスに隠れた谷。林道を新しく作っているらしく、大きなショベルが何台か置いてある。12時半に本来の登山口に着く。30分遅れ。

紅葉

紅葉の橋を渡ると舗装路となり、やがて集落に着く。雨の中で何かやってるおばあさん。傘で歩いてくるおじいさん。バス停を過ぎ、ロープウェイ駅は思ったより近かった。川を渡った先の温泉に入ろうと思ったがやっていない。仕方なくロープウェイ駅まで少し登り、レインウェアを脱いでからタクシーを呼び、着替えをして駅で待つ。テレビで浦和レッズ対FC東京の試合をやっていて、勝てば浦和のリーグ優勝だったらしいが途中までしか見ず(結局引分)。

JR松山駅

二日前に最初に来たタクシーの運転手が迎えに来る。西条まで5,000円。コンビニで食器とガス・カートリッジを宅配便で送る(ガス・カートリッジは宅配便もダメらしい。飛行機は宿泊ツアーには使いにくい)。駅に行くと15時15分発の特急で、もう5分もないので急いでホームに向かう。列車の中ではビールはなく、紅茶にクッキー。でも車窓の眺めはよい。海が見えた。

松山に着きビールを買ってホテルへ。ホテルではまずザックを全部空けて濡れたものを乾かす。ビールとオニギリとつまみを食べながら夕方まで休み、それから雨の上がった松山の駅前を歩き、おみやげと夕食を買う。夏目漱石の「ぼっちゃん」ゆかりの土地。市電もある。道後温泉にもいきたい。7時からのワールドカップ・サッカー特集を見ながら食事。うとうとしていて気付くともう10時。明日は5時に起き、6時45分に予約したタクシーで空港に向かう。経験を積んだ四国の縦走であった。

赤石の四季