黒部五郎岳、薬師岳 カールの景観

岐阜県  黒部五郎岳 2,840m、北ノ俣岳 2,661m、寺地山 1,996m  2017年5月2日~5日(テント3泊)

富山県  薬師岳 2,926m

(黒部五郎岳、薬師岳)日本百名山

(北ノ俣岳、寺地山)岐阜百山

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黒部五郎岳のカールに滑り込み、急斜面で停止して休んでいると突然、感動がこみあげてきた。それは、この巨大なカールをわずかながらも滑走し、身近にそのすばらしさを実感できたからだろう。

私はそのカールを頂上から真下に、頂上から少し下った縁から、そしてカールの途中から真横に見た。それは、切り立った強固な峰に囲まれた広大な空間で、頂上直下の垂直な壁が、むき出した岩の間に斜面を延ばし、はるか眼下の真っ平らな雪原のカール底に続いている。そのカール底を行くテレマーカーの小さな点。垂直から水平へ、世界が巨大なカーブを描いている。確かにこの山は、このただ一つのカールが比べるもののない一つの世界をつくりあげている。

カールの急斜面から頂上稜線に苦労して登り返すと、10人弱の人たちが順番にカールを下ろうとしていた。私の滑走トレースが見えていたが、皆それにはとらわれず、それぞれのラインで下ろうとしている。賢明。

薬師岳にはカールが南北に三つ並んでおり、頂上からは金作カールと中央カールを見下ろすことができる。黒部五郎ではただ一つのカールが主役だったが、ここでは見えている二つのカールに加え、北薬師の鋭いピークやカールの下の黒部川の谷も存在感を自己主張している。

薬師岳の頂上の北端に立つと、真下に数百メートル切れ落ちた金作カールがあり、その向かい側に北薬師岳が鋭く立っている。北薬師岳の向こうには剱岳と立山。すばらしい景観。だが、金作カールの底から向かい側の北薬師岳に登り返すのは難しそうだ。そこで、金作カールに少しだけ滑り込み、登り返すことにした。

スキーを履いて滑ろうとすると、北薬師の方から大きなザックをしょったシールスキーの男性が登ってきた。立山の方から縦走してきたようだが、北薬師からここまでの稜線は細く、アップダウンがあり、相当に大変そうだ。男性に挨拶してから、私は金作カールに滑り込む。真上でもう一度ルートを確認し、斜めに滑り込み、ショートターンを何度か刻む。すばらしい開放感!そのままカール底まで行きたい衝動にかられるが、自制して休止。登り返す。

黒部五郎岳カールの急斜面から頂上稜線に苦労して登り返すと、10人弱の人たちが順番にカールを下ろうとしていた。私の滑走トレースが見えていたが、皆それにはとらわれず、それぞれのラインで下ろうとしている。賢明。
薬師岳の頂上の北端に立つと、真下に数百メートル切れ落ちた金作カールがあり、その向かい側に北薬師岳が鋭く立っている。北薬師岳の向こうには剱岳と立山。すばらしい景観。だが、金作カールの底から向かい側の北薬師岳に登り返すのは難しそうだ。そこで、金作カールに少しだけ滑り込み、登り返すことにした。
朝の黒部五郎岳
朝の薬師岳
黒部五郎岳カール: 私はそのカールを頂上から真下に、頂上から少し下った縁から、そしてカールの途中から真横に見た。それは、切り立った強固な峰に囲まれた広大な空間で、頂上直下の垂直な壁が、むき出した岩の間に斜面を延ばし、はるか眼下の真っ平らな雪原のカール底に続いている。そのカール底を行くテレマーカーの小さな点。垂直から水平へ、世界が巨大なカーブを描いている。確かにこの山は、このただ一つのカールが比べるもののない一つの世界をつくりあげている。
薬師岳にはカールが南北に三つ並んでおり、頂上からは金作カールと中央カールを見下ろすことができる。黒部五郎ではただ一つのカールが主役だったが、ここでは見えている二つのカールに加え、北薬師の鋭いピークやカールの下の黒部川の谷も存在感を自己主張している。(中央カールは画面右側で、ここでは見えていない)
(D1) 6:31 駐車地点発(林道入口のすぐ先) 9:20 飛越トンネル14:11 寺地山直下17:33 テント2,340m地点・・・・・・・・・・・・・・・登り11時間2分
(D2) 6:41 テント発 7:58 北ノ俣岳・北峰 8:16 北ノ俣岳、滑走 8:53 中俣乗越、シートラーゲン 9:34 2,578m峰、滑走、シートラーゲン11:38 黒部五郎岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り4時間57分12:02 黒部五郎岳発、滑走12:09 カール滑走開始点12:15 カール滑走終了点13:26 北東尾根到達13:47 頂上稜線、滑走14:04 コル2,510m、シール16:42 北ノ俣岳、滑走17:00 西尾根に乗る17:07 テント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復10時間26分
(D3) 6:03 テント発 7:36 北ノ俣岳・北峰の北、滑走 7:49 コル、滑走終了、スキー流れる 8:23 スキー回収し、コル復帰、シートラーゲン 8:32 太郎山、滑走 8:38 太郎平小屋、シール 9:07 薬師峠(コル)11:32 薬師岳山荘12:59 避難小屋ピーク13:26 薬師岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り7時間23分13:41 金作カールへ滑走開始13:46 金作カール滑走終了14:06 東尾根到達14:40 薬師岳発、滑走(肩担ぎ2回)14:57 避難小屋ピーク15:10 薬師岳山荘、トラバース15:23 薬師峠(コル)、シール18:48 北ノ俣岳・北峰の北、滑走18:58 テント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復12時間55分
(D4) 7:18 テント発 7:41 コル2,050m、シートラーゲン 9:28 寺地山、滑走10:35 コル1,660m、シートラーゲン(滑走3回)12:22 トンネル真上付近、滑走終了、アイゼン12:51 飛越トンネル、滑走13:40 滑走終了、シートラーゲン14:50 駐車地点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・下り7時間32分
(黒部五郎岳カールの滑走)・頂上直下には大きな岩が出ており、滑走困難。カールの縁に沿って横滑りに滑り降り、カットを切って大きく滑り降り、滑り込める箇所を探る。北東尾根の下あたりに滑走トレースが見える。やはりあそこから下るようだが、だいぶ頂上より下だ。・北東尾根よりも少し上の地点まで下り、そこからトレースのある地点まで滑走ラインが見える。何度か確認したが、十分いける。そこで、そこからカールに滑り込む。最初はアイスバーンに切れ込む大きな音がする。何度かターンを切って斜めに南西尾根の下に滑り込むと、そこは柔らかいデブリの斜面になっていて、その小さなデブリを蹴散らしながらターンを切る。真下にはカール底。全く気持ちよくて、下まで滑りたい心境だったが、登り返しのこともあるので、150メートルほどで停止。
(金作カールの滑走)・薬師岳の頂上の北端に立つと、真下に数百メートル切れ落ちた金作カールがあり、その向かい側に北薬師岳が鋭く立っている。北薬師岳の向こうには剱岳と立山。すばらしい景観。だが、金作カールの底から向かい側の北薬師岳に登り返すのは難しそうだ。そこで、金作カールに少しだけ滑り込み、登り返すことにした。・スキーを履いて滑ろうとすると、北薬師の方から大きなザックをしょったシールスキーの男性が登ってきた。立山の方から縦走してきたようだが、北薬師からここまでの稜線は細く、アップダウンがあり、相当に大変そうだ。男性に挨拶してから、私は金作カールに滑り込む。真上でもう一度ルートを確認し、斜めに滑り込み、ショートターンを何度か刻む。すばらしい開放感!そのままカール底まで行きたい衝動にかられるが、自制して休止。登り返す。

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D1

飛越トンネルは遠かった。神岡から山之村への道は時間がかかり、しかも林道に入ったとたんに通行止め。どうやら積雪と土砂崩れのためだが、トンネルまで6㎞近いのに、駐車している車多数。重いザックとスキーを担いで歩き始める。憂鬱。4㎞くらい先で林道が雪で埋まり、シールに切替。しかし、トンネル手前の土砂崩れ地点ではスキーを外して歩く。トンネルで休んでいると3人が追い付いてくる。アイゼンを付けてトンネルの上を登り、その先でシールとしたが、トンネルの東側を登るルートがあったようだ。トンネル上のピークから少し下ったところで休憩し、そこからシール。アップダウンを越えると高架電線があり、それをくぐった先に1643m峰。かなり急だが、シールで登る。

寺地山への途上でさっきの3人やその他の人たちが先に行く。皆、この日どこまで行くかで悩んでいる様子。私はできれば北ノ俣稜線でテントだったが、次第に難しい状況。3人は頑張って太郎平小屋に向かったが、他の人たちは北ノ俣岳手前の小屋泊りのようだった。寺地山・南西尾根は眺めはよいが長く、先行パーティに倣って休憩。広い南西尾根にはところどころ雪原があり、行く手の森の上に北ノ俣岳が雄大に見えているが、なかなか近づかない。徒歩の男性は、避難小屋で水を2リットルくみ、稜線手前でテントと言っている。もう13時を過ぎているので、私も稜線手前でテントかな、と答える。

寺地山からシールを外してこの日初めての滑走。広い雪尾根からすぐ狭い林のでこぼこ尾根になるが、トレースに倣い、横滑りを交えて下る。ちょうどよい雪の硬さ。3人のうち一人はボードで、歩くときは二つに分かれてシールを貼っていた。すごい。

北ノ俣に向かって登っている間に夕日になってきて、途中の平坦なハイマツの間にテントを張る。悪くない場所だったと思う。雪を掘って均すのにだいぶ時間をかけ、ハイマツの茎と枝、3ヶ所をロープで結ぶ。結構、風が吹いたが、床もテントも型崩れせず3日間持ち、正解だった。テントに入って取り合えず横になり、暗くなってから起きて夕食。キャベツとマイタケを茹で、アルファ米を入れてぞうすいにする。うまい!

D2

翌朝、アラームはセットせず、明るくなってから起きる。テントにいるうちに、斜面を登っている人声が聞こえた。朝はアイスバーンだろうからアイゼンかなと思ったが、大勢がシールで登っていくので、最初はシールで登る。やがてシールでは難しくなり、アイゼンに替える。稜線に到達し、北アルプス諸峰に再会するが、この時は曇り空。北ノ俣岳・北峰には主三角点、北ノ俣岳には三等三角点。ここからスキー滑走。頂上直下南側にテントが一つ。寒そう。ずっと先の中俣乗越に人が数人、黒部五郎を登っている人も見える。さっきのパーティだろう。

長いトラバースで赤木岳をトラバースし、中俣乗越に滑り込む。雪は汚れていて滑らない。先行パーティの最後尾に追いつく。彼らはシールを貼っているが、私は担いでいく。私とペースの変わらない夫婦連れがいて、少し安心。黒部五郎の手前にある2578m峰からコル2510mまで滑走し、そこからまたスキーを担いで登る。2,555mコブの先は急斜面。オーバーハングの手前に見える人影は次第に減っていく。真夏の日差しとなり、暑い。唇が焼けそうだ。レインウェアの上を脱いだと思う。

先行する人が見えなくなり、休み休み登ってようやく黒部五郎頂上に着く。冷たい風が吹いているためか、誰もいない。どっちにいったんだろう。ザックを降ろし、とりあえずカールを見に行く。飛越トンネルまで車で入れていたら、稜線上にテントを張り、黒部五郎のカールを底まで滑り、三俣蓮華岳まで行く計画だった。

頂上から見下ろす黒部五郎のカールはすさまじく高く、並外れたスケールだった。足元の巨大な雪庇の下に雪壁が切れ落ちていて、次第に緩やかなカーブを描き、はるか下の平らなカール底に繋がっている。その向こうに北アルプスの名だたる諸峰が小さく並んでいる。なんとも桁外れな景観。頂上直下には大きな岩が出ており、滑走困難。カールの縁に沿って横滑りに滑り降り、カットを切って大きく滑り降り、滑り込める箇所を探る。北東尾根の下あたりに滑走トレースが見える。やはりあそこから下るようだが、だいぶ頂上より下だ。ちょうど夫婦連れの二人が登ってきたので、「絶景ですよ」と声をかける。「写真をとりましょうか」と言われ、「いや、いいです」ととっさに振り返るときにバランスを崩して転倒。カールに落ちたら大変だ。

北東尾根よりも少し上の地点まで下り、そこからトレースのある地点まで滑走ラインが見える。何度か確認したが、十分いける。そこで、そこからカールに滑り込む。最初はアイスバーンに切れ込む大きな音がする。何度かターンを切って斜めに南西尾根の下に滑り込むと、そこは柔らかいデブリの斜面になっていて、その小さなデブリを蹴散らしながらターンを切る。真下にはカール底。全く気持ちよくて、下まで滑りたい心境だったが、登り返しのこともあるので、150メートルほどで停止。

黒部五郎岳のカールに滑り込み、急斜面で停止して休んでいると突然、感動がこみあげてきた。それは、この巨大なカールをわずかながらも滑走し、身近にそのすばらしさを実感できたからだろう。

私はそのカールを頂上から真下に、頂上から少し下った縁から、そしてカールの途中から真横に見た。それは、切り立った強固な峰に囲まれた広大な空間で、頂上直下の垂直な壁が、むき出した岩の間に斜面を延ばし、はるか眼下の真っ平らな雪原のカール底に続いている。そのカール底を行くテレマーカーの小さな点。垂直から水平へ、世界が巨大なカーブを描いている。確かにこの山は、このただ一つのカールが比べるもののない一つの世界をつくりあげている。

雪が柔らかいのでアイゼンも付けずに登り返したが、それは甘かった。滑走開始地点よりも低い南西尾根の雪庇の小さなところを目指すが、雪庇自体は硬く、容易に壊せない。アイゼンを付け、ザックとスキーは雪庇の上に乗せておき、小さな雪庇を壊し、アイゼンで足場を作り、ようやく雪庇の上に上がる。ザックを安全な尾根の上まで持ち上げ、横になって休憩。疲労困憊。私が登り返しているとき、カールへの滑走開始地点に人が現われ、何やら話していたが、滑ってはこなかった。

カールの急斜面から頂上稜線に苦労して登り返すと、10人弱の人たちが順番にカールを下ろうとしていた。私の滑走トレースが見えていたが、皆それにはとらわれず、それぞれのラインで下ろうとしている。賢明。黒部五郎の西稜線の滑走は前回(2007年)と同じくショートターンを刻むが、前回のようにトレースはつかない。コルでシールを貼り、2578m峰をトラバースぎみに越え、中俣乗越にはシールで滑走。あの夫婦連れとまた前後しながら北ノ俣に向かう。

D3

この日はアラームを4時にセットしたはずだが、テントを出たのは6時。これではちょっと遅すぎた。トラバース気味の踏跡をたどり、北ノ俣岳・北峰の更に北側に出て、そこから滑走。硬い雪で快調に飛ばす。太郎平小屋からと思われる大勢の人たちが登ってくる。

太郎山手前のコルからビンディングを回してかかとを浮かすが、雪が硬くてうまく進めない。やっぱり歩こう、とスキーを外すと、滑り止めが浮いているスキーが硬い斜面を一人で滑り降りていく。ザックを置いて必死で追いかける私。あざ笑うかのようにスキーはスピードを増して斜面の彼方の木の生えているあたりに消え、後方からはもう1本のスキーが私を追い抜いて行き、少し違う方角に消える。スキーは2本とも木の生えている(別々の)くぼみにひっくりかえっていたが、くぼみが無かったらはるか谷底まで落ちていたところだった。災難。下って登り返すのに34分もかかった。

久しぶりの太郎平小屋の前まで滑り込み、シール。誰もいないのはもうみんな出かけてしまったから。もう9時だから、あたりまえ。もう薬師岳から下ってくる人にも会い、薬師峠まで滑り込み、急坂を登り返す。そこにいた二人はあの夫婦連れだった。硬い急斜面をシールで登るのは難しく、途中で1回スキーを外し、平らなところまで登って休憩。また真夏の日差しになっており、日陰で休む。

尾根に上がると、右の谷を滑っているパーティがいる。下のどこかで登り返すのだろうか、それとも谷底に向かうのだろうか。薬師岳山荘に着き、表に回って休憩。徒歩の3人が降りてきて、休憩をとろうとしている。冷たい風が吹いてきて寒いので、ネックウォーマーをかぶり、冬用グローブに替える。

スキーで降りてくるパーティにも会うが、今回は雷鳥は見ず。避難小屋ピークへはつらい急斜面。そこには屋根のない小さな小屋とケルン。そこからは緩いアップダウン。雪のついてない西側のトラバース路を下ってくるパーティ。尾根の東側には中央カール。それを何度も写す。中央カールは典型的なお椀型カールで、稜線側から浅く3方から囲まれているが、東側は黒部川に向かって大きく開いている。広いカール底に向かって何本か滑走トレースがついていた。

薬師岳の頂上の北端に立つと、真下に数百メートル切れ落ちた金作カールがあり、その向かい側に北薬師岳が鋭く立っている。北薬師岳の向こうには剱岳と立山。すばらしい景観。だが、金作カールの底から向かい側の北薬師岳に登り返すのは難しそうだ。そこで、金作カールに少しだけ滑り込み、登り返すことにした。

スキーを履いて滑ろうとすると、北薬師の方から大きなザックをしょったシールスキーの男性が登ってきた。立山の方から縦走してきたようだが、北薬師からここまでの稜線は細く、アップダウンがあり、相当に大変そうだ。男性に挨拶してから、私は金作カールに滑り込む。真上でもう一度ルートを確認し、斜めに滑り込み、ショートターンを何度か刻む。すばらしい開放感!そのままカール底まで行きたい衝動にかられるが、自制して休止。登り返す。

薬師岳にはカールが南北に三つ並んでおり、頂上からは金作カールと中央カールを見下ろすことができる。黒部五郎ではただ一つのカールが主役だったが、ここでは見えている二つのカールに加え、北薬師の鋭いピークやカールの下の黒部川の谷も存在感を自己主張している。

稜線到達点は中央カールと金作カールの間の尾根で、そこからもう一度、薬師岳頂上まで登り返す。前回滑ったのは中央カールのこの部分だが、南側よりも少し浅くなっている。冷たい風が吹いていて、薬師岳頂上でホットレモンを飲む。

薬師岳頂上の祠にお参りしてから登ってきた稜線を滑走開始。小さな登り返しで2度スキーを肩に担ぎ、避難小屋ピーク。もうゆっくりせずに滑る。風も冷たく、滑走トレースもつかない。薬師岳山荘のピークは登り返さず、稜線の東側のトラバース・トレースを辿る。トラバースはなおも続き、もう一つのピークもトラバース。谷に下りすぎないように右に斜めに登り、稜線中央に戻る。正面に黒部五郎岳と北ノ俣岳。

薬師平へも、往路の尾根沿いではなく、まっすぐに滑り込む。薬師峠に滑り込むと大勢のパーティがシールを貼って登り返すところ。彼らは太郎平小屋までだろうが、私は北ノ俣を越えなければならない。太郎平小屋の前で横になって休憩し、太郎山に登る。小屋前は大勢の人たちで騒がしい。太郎山と北ノ俣のコルで休憩していると、北ノ俣から降りてきたおばさんに、「どこまでいくのか、北ノ俣まで1時間以上かかる」と注意される。のんびりしてはいけない。その後は休まずに登り続け、北ノ俣岳・北峰の北でシールを外し、滑走。しかし、北ノ俣まで2時間近くかかっているのは問題。体力をつけなければ。

D4

最終日、アラームをかけず、明るくなってから起きる。ゆっくり準備。昨晩は強い風が吹いていたが、ハイマツに結んだロープが功を奏した。風は朝には完全に止んでいて、撤収作業しやすかった。空は曇り空だが高曇りで、西笠山、東笠山、鉢伏山や大笠山、笈ヶ岳が見えている。重いザックをしょい、滑走開始。硬い雪に大きなターン。

最初は誰もいなかったが、下の方では大勢のパーティや数人のパーティに会う。明日は雨予報だが、大丈夫かな。避難小屋付近のコル2050mに着き、最初の休憩。シートラで登り、下る。寺地山の三角点は、展望のよい東側の最高地点よりも西側だった。そこに行くと、テントが張ってあった。寺地山の南西稜を滑走開始。でこぼこを避けてトラバースぎみに行くと稜線から外れてしまうので、稜線の上に登り返す。軽身のスキーの男性が軽快に下っていく。かかとが上がっているようだが、ビンディングは何だろう。数回、緩い登り返しでスキーを肩に担ぐ。日が射してきたので日陰で休憩。残していたポカリを飲み干す。

1、643m峰からは高架線の下を滑走し、その先を登り返さずにトラバースし、北の尾根に乗るが、そのまま西の斜面を下るトレースがあった。GPSを見てそのトレースを外れ、往路ルートに戻ったのだが、実はそれは近道の別ルートだったようだ。

飛越トンネル登山口に降りる直前、アイゼンを外して土の出たところを下る。これであとは林道のみ。ホットレモンを半分ほどゆっくり飲む。すると、トンネルの東側からやってくる人がいる。見ると、東側の沢向こうの斜面にトレースが付いていて、そこを3人ほどが下ってくるところだった。あっちなら最後までスキーで下れたわけだ。

最終日、長い帰り道。車に戻ったら思い切りコーラを飲み、昼寝してやる、それからサシミやニギリを買い込んで腹いっぱい食べてやる、と思いながら歩く。こんな苦しい思いをするのはもうやめよう。そして車に戻り、コーラを飲んだ。だが昼寝よりも風呂に入りたかった。それからサシミとニギリを買ってたらふく食べた。ゆっくり味わいながら食べた。うまかった。だが、しばらくすると、もうつまらなくなっていた。私はまた、テントとスキーを持って山に行くだろう。


D1

県道484からの乗鞍岳

飛越トンネルは遠かった。神岡から山之村への道は時間がかかり、しかも林道に入ったとたんに通行止め。どうやら積雪と土砂崩れのためだが、トンネルまで6㎞近いのに、駐車している車多数。重いザックとスキーを担いで歩き始める。憂鬱。4㎞くらい先で林道が雪で埋まり、シールに切替。しかし、トンネル手前の土砂崩れ地点ではスキーを外して歩く。

初めて見えた笠ヶ岳

飛越トンネル

トンネルで休んでいると3人が追い付いてくる。アイゼンを付けてトンネルの上を登り、その先でシールとしたが、トンネルの東側を登るルートがあったようだ。

高架線

トンネル上のピークから少し下ったところで休憩し、そこからシール。アップダウンを越えると高架電線があり、それをくぐった先に1643m峰。かなり急だが、シールで登る。

林の上の北ノ俣岳

寺地山への途上でさっきの3人やその他の人たちが先に行く。皆、この日どこまで行くかで悩んでいる様子。私はできれば北ノ俣稜線でテントだったが、次第に難しい状況。3人は頑張って太郎平小屋に向かったが、他の人たちは北ノ俣岳手前の小屋泊りのようだった。

北ノ俣岳

寺地山・南西尾根は眺めはよいが長く、先行パーティに倣って休憩。広い南西尾根にはところどころ雪原があり、行く手の森の上に北ノ俣岳が雄大に見えているが、なかなか近づかない。徒歩の男性は、避難小屋で水を2リットルくみ、稜線手前でテントと言っている。もう13時を過ぎているので、私も稜線手前でテントかな、と答える。

噴煙を上げる御岳

夕日の寺地山

寺地山からシールを外してこの日初めての滑走。広い雪尾根からすぐ狭い林のでこぼこ尾根になるが、トレースに倣い、横滑りを交えて下る。ちょうどよい雪の硬さ。3人のうち一人はボードで、歩くときは二つに分かれてシールを貼っていた。すごい。

乗鞍岳

テントからの北ノ俣岳

北ノ俣に向かって登っている間に夕日になってきて、途中の平坦なハイマツの間にテントを張る。悪くない場所だったと思う。

雪を掘って均すのにだいぶ時間をかけ、ハイマツの茎と枝、3ヶ所をロープで結ぶ。結構、風が吹いたが、床もテントも型崩れせず3日間持ち、正解だった。

テントに入って取り合えず横になり、暗くなってから起きて夕食。キャベツとマイタケを茹で、アルファ米を入れてぞうすいにする。うまい!

D2

朝焼けと薬師岳

翌朝、アラームはセットせず、明るくなってから起きる。テントにいるうちに、斜面を登っている人声が聞こえた。

朝のテントと鉢伏山と鍬崎山

鍬崎山

朝はアイスバーンだろうからアイゼンかなと思ったが、大勢がシールで登っていくので、最初はシールで登る。やがてシールでは難しくなり、アイゼンに替える。

北ノ俣岳・北峰の主三角点

稜線に到達し、北アルプス諸峰に再会するが、この時は曇り空。北ノ俣岳・北峰には主三角点、北ノ俣岳には三等三角点。ここからスキー滑走。頂上直下南側にテントが一つ。寒そう。ずっと先の中俣乗越に人が数人、黒部五郎を登っている人も見える。さっきのパーティだろう。

北ノ俣岳頂上と薬師岳

長いトラバースで赤木岳をトラバースし、中俣乗越に滑り込む。雪は汚れていて滑らない。先行パーティの最後尾に追いつく。彼らはシールを貼っているが、私は担いでいく。私とペースの変わらない夫婦連れがいて、少し安心。

黒部五郎の手前にある2578m峰からコル2510mまで滑走し、そこからまたスキーを担いで登る。

黒部五郎岳頂上

2,555mコブの先は急斜面。オーバーハングの手前に見える人影は次第に減っていく。真夏の日差しとなり、暑い。唇が焼けそうだ。レインウェアの上を脱いだと思う。

先行する人が見えなくなり、休み休み登ってようやく黒部五郎頂上に着く。冷たい風が吹いているためか、誰もいない。どっちにいったんだろう。ザックを降ろし、とりあえずカールを見に行く。

槍ヶ岳

穂高岳

抜戸岳と笠ヶ岳

双六岳(背後に鑓・穂高)

三俣蓮華岳と丸山

飛越トンネルまで車で入れていたら、稜線上にテントを張り、黒部五郎のカールを底まで滑り、三俣蓮華岳まで行く計画だった。

ワリモ岳と鷲羽山

黒岳

(黒部五郎岳手前)2,578m峰からの展望: 左より、北ノ俣岳、薬師岳、黒部五郎岳

黒部五郎岳頂上の展望: 中央左より、北ノ俣岳、薬師岳、黒岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳、槍・穂高、笠ヶ岳

頂上から見下ろす黒部五郎のカールはすさまじく高く、並外れたスケールだった。足元の巨大な雪庇の下に雪壁が切れ落ちていて、次第に緩やかなカーブを描き、はるか下の平らなカール底に繋がっている。その向こうに北アルプスの名だたる諸峰が小さく並んでいる。なんとも桁外れな景観。

黒部五郎岳カールの景観1(真上より)

黒部五郎岳カールの景観2(真上より)

頂上直下には大きな岩が出ており、滑走困難。カールの縁に沿って横滑りに滑り降り、カットを切って大きく滑り降り、滑り込める箇所を探る。北東尾根の下あたりに滑走トレースが見える。やはりあそこから下るようだが、だいぶ頂上より下だ。ちょうど夫婦連れの二人が登ってきたので、「絶景ですよ」と声をかける。「写真をとりましょうか」と言われ、「いや、いいです」ととっさに振り返るときにバランスを崩して転倒。カールに落ちたら大変だ。

黒部五郎岳カールの景観3(頂上の少し下より)

黒部五郎岳カールの景観4(滑走開始地点より)

北東尾根よりも少し上の地点まで下り、そこからトレースのある地点まで滑走ラインが見える。何度か確認したが、十分いける。そこで、そこからカールに滑り込む。最初はアイスバーンに切れ込む大きな音がする。何度かターンを切って斜めに南西尾根の下に滑り込むと、そこは柔らかいデブリの斜面になっていて、その小さなデブリを蹴散らしながらターンを切る。真下にはカール底。全く気持ちよくて、下まで滑りたい心境だったが、登り返しのこともあるので、150メートルほどで停止。

黒部五郎岳カールの景観5(カール中腹より)

黒部五郎岳カールの景観6(カール中腹より)

登り返したカール斜面と雪庇

黒部五郎岳のカールに滑り込み、急斜面で停止して休んでいると突然、感動がこみあげてきた。それは、この巨大なカールをわずかながらも滑走し、身近にそのすばらしさを実感できたからだろう。

私はそのカールを頂上から真下に、頂上から少し下った縁から、そしてカールの途中から真横に見た。それは、切り立った強固な峰に囲まれた広大な空間で、頂上直下の垂直な壁が、むき出した岩の間に斜面を延ばし、はるか眼下の真っ平らな雪原のカール底に続いている。そのカール底を行くテレマーカーの小さな点。垂直から水平へ、世界が巨大なカーブを描いている。確かにこの山は、このただ一つのカールが比べるもののない一つの世界をつくりあげている。

カール底の雷岩

滑走開始地点と滑走トレース

雪が柔らかいのでアイゼンも付けずに登り返したが、それは甘かった。滑走開始地点よりも低い南西尾根の雪庇の小さなところを目指すが、雪庇自体は硬く、容易に壊せない。アイゼンを付け、ザックとスキーは雪庇の上に乗せておき、小さな雪庇を壊し、アイゼンで足場を作り、ようやく雪庇の上に上がる。ザックを安全な尾根の上まで持ち上げ、横になって休憩。疲労困憊。私が登り返しているとき、カールへの滑走開始地点に人が現われ、何やら話していたが、滑ってはこなかった。

黒部五郎岳カールの景観7(登り返した地点より)

カールへの滑走開始地点のスキーヤたちと滑走トレース

カールの急斜面から頂上稜線に苦労して登り返すと、10人弱の人たちが順番にカールを下ろうとしていた。私の滑走トレースが見えていたが、皆それにはとらわれず、それぞれのラインで下ろうとしている。賢明。

北東尾根の登り返した地点

黒部五郎の西稜線の滑走は前回(2007年)と同じくショートターンを刻むが、前回のようにトレースはつかない。コルでシールを貼り、2578m峰をトラバースぎみに越え、中俣乗越にはシールで滑走。あの夫婦連れとまた前後しながら北ノ俣に向かう。

D3

朝の黒部五郎岳

この日はアラームを4時にセットしたはずだが、テントを出たのは6時。これではちょっと遅すぎた。

朝の薬師岳

北ノ俣岳からの滑走トレース

トラバース気味の踏跡をたどり、北ノ俣岳・北峰の更に北側に出て、そこから滑走。硬い雪で快調に飛ばす。太郎平小屋からと思われる大勢の人たちが登ってくる。

太郎山手前のコルからビンディングを回してかかとを浮かすが、雪が硬くてうまく進めない。やっぱり歩こう、とスキーを外すと、滑り止めが浮いているスキーが硬い斜面を一人で滑り降りていく。ザックを置いて必死で追いかける私。あざ笑うかのようにスキーはスピードを増して斜面の彼方の木の生えているあたりに消え、後方からはもう1本のスキーが私を追い抜いて行き、少し違う方角に消える。スキーは2本とも木の生えている(別々の)くぼみにひっくりかえっていたが、くぼみが無かったらはるか谷底まで落ちていたところだった。災難。下って登り返すのに34分もかかった。

太郎平小屋

久しぶりの太郎平小屋の前まで滑り込み、シール。誰もいないのはもうみんな出かけてしまったから。もう9時だから、あたりまえ。

白山

もう薬師岳から下ってくる人にも会い、薬師峠まで滑り込み、急坂を登り返す。そこにいた二人はあの夫婦連れだった。硬い急斜面をシールで登るのは難しく、途中で1回スキーを外し、平らなところまで登って休憩。また真夏の日差しになっており、日陰で休む。

薬師岳山荘

尾根に上がると、右の谷を滑っているパーティがいる。下のどこかで登り返すのだろうか、それとも谷底に向かうのだろうか。薬師岳山荘に着き、表に回って休憩。徒歩の3人が降りてきて、休憩をとろうとしている。冷たい風が吹いてきて寒いので、ネックウォーマーをかぶり、冬用グローブに替える。

避難小屋ピーク

スキーで降りてくるパーティにも会うが、今回は雷鳥は見ず。避難小屋ピークへはつらい急斜面。そこには屋根のない小さな小屋とケルン。そこからは緩いアップダウン。雪のついてない西側のトラバース路を下ってくるパーティ。尾根の東側には中央カール。それを何度も写す。中央カールは典型的なお椀型カールで、稜線側から浅く3方から囲まれているが、東側は黒部川に向かって大きく開いている。広いカール底に向かって何本か滑走トレースがついていた。

中央カール(南側より)

中央カール(北側より)

剱岳

立山

針ノ木岳

薬師岳頂上

金作カールと北薬師岳(薬師岳頂上より)

薬師岳の頂上の北端に立つと、真下に数百メートル切れ落ちた金作カールがあり、その向かい側に北薬師岳が鋭く立っている。北薬師岳の向こうには剱岳と立山。すばらしい景観。だが、金作カールの底から向かい側の北薬師岳に登り返すのは難しそうだ。そこで、金作カールに少しだけ滑り込み、登り返すことにした。

金作カールと北薬師岳(カール途中より)

スキーを履いて滑ろうとすると、北薬師の方から大きなザックをしょったシールスキーの男性が登ってきた。立山の方から縦走してきたようだが、北薬師からここまでの稜線は細く、アップダウンがあり、相当に大変そうだ。男性に挨拶してから、私は金作カールに滑り込む。真上でもう一度ルートを確認し、斜めに滑り込み、ショートターンを何度か刻む。すばらしい開放感!そのままカール底まで行きたい衝動にかられるが、自制して休止。登り返す。

カールの滑走トレース

金作カールと北薬師岳(登り返した地点より)

薬師岳にはカールが南北に三つ並んでおり、頂上からは金作カールと中央カールを見下ろすことができる。黒部五郎ではただ一つのカールが主役だったが、ここでは見えている二つのカールに加え、北薬師の鋭いピークやカールの下の黒部川の谷も存在感を自己主張している。

北薬師岳と金作カールと中央カール(薬師岳頂上より)

北薬師岳と金作カール

稜線到達点は中央カールと金作カールの間の尾根で、そこからもう一度、薬師岳頂上まで登り返す。前回滑ったのは中央カールのこの部分だが、南側よりも少し浅くなっている。冷たい風が吹いていて、薬師岳頂上でホットレモンを飲む。

避難小屋ピークからの滑走

薬師岳頂上の祠にお参りしてから登ってきた稜線を滑走開始。小さな登り返しで2度スキーを肩に担ぎ、避難小屋ピーク。もうゆっくりせずに滑る。風も冷たく、滑走トレースもつかない。

薬師岳山荘付近の滑走

薬師岳山荘のピークは登り返さず、稜線の東側のトラバース・トレースを辿る。トラバースはなおも続き、もう一つのピークもトラバース。谷に下りすぎないように右に斜めに登り、稜線中央に戻る。正面に黒部五郎岳と北ノ俣岳。

薬師平への滑走

薬師平へも、往路の尾根沿いではなく、まっすぐに滑り込む。薬師峠に滑り込むと大勢のパーティがシールを貼って登り返すところ。彼らは太郎平小屋までだろうが、私は北ノ俣を越えなければならない。

北ノ俣岳

太郎平小屋の前で横になって休憩し、太郎山に登る。小屋前は大勢の人たちで騒がしい。太郎山と北ノ俣のコルで休憩していると、北ノ俣から降りてきたおばさんに、「どこまでいくのか、北ノ俣まで1時間以上かかる」と注意される。のんびりしてはいけない。その後は休まずに登り続け、北ノ俣岳・北峰の北でシールを外し、滑走。しかし、北ノ俣まで2時間近くかかっているのは問題。体力をつけなければ。

D4

西笠山、東笠山、鉢伏山

最終日、アラームをかけず、明るくなってから起きる。ゆっくり準備。昨晩は強い風が吹いていたが、ハイマツに結んだロープが功を奏した。風は朝には完全に止んでいて、撤収作業しやすかった。空は曇り空だが高曇りで、西笠山、東笠山、鉢伏山や大笠山、笈ヶ岳が見えている。重いザックをしょい、滑走開始。硬い雪に大きなターン。


寺地山

最初は誰もいなかったが、下の方では大勢のパーティや数人のパーティに会う。明日は雨予報だが、大丈夫かな。避難小屋付近のコル2050mに着き、最初の休憩。シートラで登り、下る。

朝日と北ノ俣岳

寺地山の三角点は、展望のよい東側の最高地点よりも西側だった。そこに行くと、テントが張ってあった。寺地山の南西稜を滑走開始。でこぼこを避けてトラバースぎみに行くと稜線から外れてしまうので、稜線の上に登り返す。軽身のスキーの男性が軽快に下っていく。かかとが上がっているようだが、ビンディングは何だろう。数回、緩い登り返しでスキーを肩に担ぐ。日が射してきたので日陰で休憩。残していたポカリを飲み干す。

飛越トンネル

1、643m峰からは高架線の下を滑走し、その先を登り返さずにトラバースし、北の尾根に乗るが、そのまま西の斜面を下るトレースがあった。GPSを見てそのトレースを外れ、往路ルートに戻ったのだが、実はそれは近道の別ルートだったようだ。

飛越トンネル登山口に降りる直前、アイゼンを外して土の出たところを下る。これであとは林道のみ。ホットレモンを半分ほどゆっくり飲む。すると、トンネルの東側からやってくる人がいる。見ると、東側の沢向こうの斜面にトレースが付いていて、そこを3人ほどが下ってくるところだった。あっちなら最後までスキーで下れたわけだ。

ヤマブキ(県道484にて)

最終日、長い帰り道。車に戻ったら思い切りコーラを飲み、昼寝してやる、それからサシミやニギリを買い込んで腹いっぱい食べてやる、と思いながら歩く。こんな苦しい思いをするのはもうやめよう。そして車に戻り、コーラを飲んだ。だが昼寝よりも風呂に入りたかった。それからサシミとニギリを買ってたらふく食べた。ゆっくり味わいながら食べた。うまかった。だが、しばらくすると、もうつまらなくなっていた。私はまた、テントとスキーを持って山に行くだろう。

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