大山 七合沢の滑走
鳥取県 剣ヶ峰1,729m、弥山1,709m 2008年3月8日
日本百名山
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尾根に上がると、視界がどんどん開けてくる。三年ぶりに見る大山北壁がまぶしい。弥山の右に別山、奥には剣ヶ峰。はるか下の広場を歩いている人影、別山の手前の斜面を並んで登っている人影。大勢が頂上を目指している。
だんだんガスが出てきて、頂上小屋に着いたときは視界は無くなっていた。雪の旗竿が並ぶ。ピッケルをとりだし、左右が切り立った細尾根を慎重に歩き、剣ヶ峰頂上に着く。このときも視界はなし。
弥山に戻る最後の登りのところで突然、青空が見え、ふりかえると剣ヶ峰のピークが見えている。青空に映える真っ白なピークにしばらく目を奪われる。三年前に見た、あの剣ヶ峰の雄姿。青空が広がると、白い雪がまぶしい。
だが、気まぐれな天気は、見えていた峰や谷を白いガスで隠してしまい、下山後に再び青空となる。
ダウンヒルは七合目から、ガスで見えにくい斜面に滑り込む。まだ十分にパウダーの急斜面を連続ターンで一気に滑走。
上から小さく見えていた行者谷の谷底にある広場のところまで来て背後の北壁を振り仰ぐと、ガスが晴れてきて大山の全身が現われようとしていた。
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この朝はゆっくり出発。前日は雨が降り、晴れるのは昼前からということなので遅めでいいだろう。確かに米子を出たときは曇。大山も見えていなかった。登山口付近にくるとうっすらと大山が見えている。ところが、登山用駐車場はすでに満車で、その上にも駐車スペースはなし。戻ってスキー場の駐車場に入れる。ほとんどがスキー客のようだが、登山の人もいるようだ。準備しているうちに晴れてきて、大山が姿をあらわす。これは良さそうだ。
スキーを担いで歩き出すと、同じようにスキーを担いだ三人が先行。橋を渡って夏道に向かい、途中でショートカットの踏跡を登る。三回目となった雪の夏道を登っていくと、途中で準備している人たちに会う。登山の人が多い。1時間ほどでアイゼンをつける。樹間に三鈷峰が見えるようになり(その向こうに見えていたのは甲ヶ山のようだ)、やがて5合目に着く。
尾根に上がると、視界がどんどん開けてくる。三年ぶりに見る大山北壁がまぶしい。弥山の右に別山、奥には剣ヶ峰。もう降りてくる人たちもいる。北壁の下には谷底の雪の広場が見えている。滑降する予定の弥山沢を探す。ここからだと弥山の手前に別山が重なっており、弥山沢はその向こう側だろう。はるか下の広場を歩いている人影、別山の手前の斜面を並んで登っている人影。大勢が頂上を目指している。七合目あたりで斜面に滑り込もうとしているスキーヤーを見る。背後、はるか北に見えているのは孝霊山だろうか。
だんだんガスが出てきて、頂上小屋に着いたときは視界は無くなっていた。雪の旗竿が並ぶ。とりあえず弥山の頂上と思われるピークに行き、スキーとザックを下ろし、ピッケルをとりだして剣ヶ峰に向かう。視界はないが踏跡はついている。新調したピッケル・バンドは使い易いようだ。目的地の剣ヶ峰はずっと見えず、左右が切り立った細尾根を慎重に歩き、頂上に着くと三人の人たちが、なにやら火をおこそうとしているようだった。一番高いところに行こうとして、雪庇になってるようなのであわてて引返す。今日初めての休憩をとっていると、夫婦連れがやってくる。そのまま周回するようだ。
剣ヶ峰から引返していくと、途中で会ったのは一人だけ。しかし、弥山まであと少しというところでガスが消えてくる。弥山に戻る最後の登りのところで突然、青空が見え、ふりかえると剣ヶ峰のピークが見えている。最初はうっすらと、やがてくっきりと剣ヶ峰が見えてくる。青空に映える真っ白なピークにしばらく目を奪われる。まだ少しガスがかかっているが、これが見納めかもしれないと思い、デジカメで何度も写す。すぐ上には別のカメラマンが数人。三年前に見た、あの剣ヶ峰の雄姿。青空が広がると、白い雪がまぶしい。北の眼下に一瞬、日を浴びた別山が白く輝く。
だが、気まぐれな天気は、見えていた峰や谷を白いガスで隠してしまい、下山後に再び青空となる。登山客がたくさんいる弥山の頂上に戻り、少し離れたところに場所を作って食事にする。暑いくらいなのでノドが乾き、ペットお茶を持ってこなかったのは失敗。テルモスの残りを使い、雪を溶かしてお湯を沸かし、さけ茶漬けを食べる。うまかった。この後、弥山頂上に1時間くらいいたが、ガスは晴れず。仕方ない。スキーをはいて出発する。
頂上小屋を過ぎ、ガスで見えない谷の淵まで行ってみる。かすかに斜面が見えているが、これでは滑り込んでも平衡感覚がつかめないだろう。そばにいた男性が「ここは別山沢で傾斜があるから止めたほうがいい。七合沢がいい」と言う。傾斜はともかく、斜面が見えないのは焼岳でも滑りにくいのは経験済みなので止めておく。少し下ると、谷から踏跡が上がってきているのに出会う。午前中に見たパーティのものだろうか。とにかく、登ってきたんだから下れるだろう、ということで踏跡沿いに滑り込む。しかし、しばらく下ると踏跡は細尾根となり、とても滑れないところを下っていく。右側斜面をトラバースしようと踏み出したが、下がガスで見えない。見えれば滑降するのだが、トラバースするには傾斜がきつすぎる。結局、後ろ向きに引返し、スキーを外して登り返す。
稜線に辿りつき、少し休憩してから稜線を下り、今度はスキートレースのあるところから滑り込む。稜線をだいぶ下ったので、これは最初にスキーヤーを見た七合目だろう。下は見えないが、弥山が時々見えてくる。スキートレースはたくさんあり、これだと安心して斜面に飛び込める。こうしてダウンヒルは七合目から、ガスで見えにくい斜面に滑り込む。まだ十分にパウダーの急斜面を連続ターンで一気に滑走。
やがてうっすらと谷底の広場のあたりが見えてくる。先行した連中が広場のあたりに移動しているようだ。雪は快適パウダーで、調子よく連続ターンで高度を落とし、止まったところでデジカメを撮る。ワン・ターン毎に止まっていた三年前と比べると、ずいぶんうまくなった。ヒザに負担をためなければ何度でもターンできる。トレースがたくさんあって、どれが自分のだか分からない。
上から小さく見えていた行者谷の谷底にある広場のところまで来て背後の北壁を振り仰ぐと、ガスが晴れてきて大山の全身が現われようとしていた。別山とその下の別山沢、それに今滑ってきた七合沢が見える。なるほど、二つの沢は下でひとつになっているが、別山沢はその手前でかなり狭い部分がある。三年前にはあそこを滑った覚えがある。滑走した七合沢は右上から中央下に斜めに下る沢。別山沢は中央まっすぐの沢で、途中で七合沢に合流。中央左ピークが別山、別山の左が弥山沢のようだ。
広場に滑り込み、ヘルメットを外して一休み。すると、青空が見えてきて、北壁の稜線上が少し見えている。まさかこれから晴れるのでは・・・・・という杞憂(はその後本当になってしまった)。途中で追越してきた徒歩の団体さんがはるか小さく見えているが、弥山沢の上で会った男性はもう降りてきていた。「どうも」。しばらくデジカメを撮ってから、ビンディングを外して出発。最初は少し歩いたが、後は滑り。ただし、踏跡でない部分は腐っていて滑らない。踏跡で飛ばし、腐り雪でブレーキをかける。4~5人の徒歩の人を追い越したところで大山寺に到着。
しばらく道沿いに滑り、街並が近いなあと思ったら車道に出ていて、あわてて止まり、スキーを外す。ザックにスキーをつけて歩き、駐車場に戻る。もう大山は全身を青空の下に現していた。なんてことだ。いったん車に乗り、車道を下るが、店が無いので引返し、駐車場の先の橋のところに止めておみやげ(酒とマスコット)を買う。再び車道を下り、北西側から見た半分富士の大山を眺める。弥山沢を滑れなかったのは残念だが、剣ヶ峰にも行けたし、パウダーを滑れたし、大満足の大山であった。
夏道尾根と北壁
前日は雨が降り、晴れるのは昼前からということなので遅めでいいだろう。確かに米子を出たときは曇。大山も見えていなかった。
登山用駐車場はすでに満車で、準備しているうちに晴れてきて、大山が姿をあらわす。これは良さそうだ。
甲ヶ山・・・・・右上に三鈷峰
スキーを担いで歩き出すと、同じようにスキーを担いだ三人が先行。橋を渡って夏道に向かい、途中でショートカットの踏跡を登る。三回目となった雪の夏道を登っていくと、途中で準備している人たちに会う。登山の人が多い。1時間ほどでアイゼンをつける。樹間に三鈷峰が見えるようになり(その向こうに見えていたのは甲ヶ山のようだ)、やがて5合目に着く。
雪の夏道
尾根に上がると、視界がどんどん開けてくる。三年ぶりに見る大山北壁がまぶしい。弥山の右に別山、奥には剣ヶ峰。もう降りてくる人たちもいる。
弥山と別山
滑降する予定の弥山沢を探す。ここからだと弥山の手前に別山が重なっており、弥山沢はその向こう側だろう。
剣ヶ峰
三鈷峰
雪の夏道2
谷底の広場
北壁の下には谷底の雪の広場が見えている。
北壁を登る登山隊
はるか下の広場を歩いている人影、別山の手前の斜面を並んで登っている人影。大勢が頂上を目指している。七合目あたりで斜面に滑り込もうとしているスキーヤーを見る。背後、はるか北に見えているのは孝霊山だろうか。
孝霊山
弥山頂上小屋
だんだんガスが出てきて、頂上小屋に着いたときは視界は無くなっていた。雪の旗竿が並ぶ。とりあえず弥山の頂上と思われるピークに行き、スキーとザックを下ろし、ピッケルをとりだして剣ヶ峰に向かう。視界はないが踏跡はついている。新調したピッケル・バンドは使い易いようだ。
弥山頂上
剣ヶ峰頂上
目的地の剣ヶ峰はずっと見えず、左右が切り立った細尾根を慎重に歩き、頂上に着くと三人の人たちが、なにやら火をおこそうとしているようだった。一番高いところに行こうとして、雪庇になってるようなのであわてて引返す。今日初めての休憩をとっていると、夫婦連れがやってくる。そのまま周回するようだ。
剣ヶ峰頂上の登山者
見えてきた剣ヶ峰
剣ヶ峰から引返していくと、途中で会ったのは一人だけ。しかし、弥山まであと少しというところでガスが消えてくる。最初はうっすらと、やがてくっきりと剣ヶ峰が見えてくる。まだ少しガスがかかっているが、これが見納めかもしれないと思い、デジカメで何度も写す。すぐ上には別のカメラマンが数人。三年前に見た、あの剣ヶ峰の雄姿。青空が広がると、白い雪がまぶしい。
別山
北の眼下に一瞬、日を浴びた別山が白く輝く。
剣ヶ峰と登山者
剣ヶ峰とカメラマン
登山客がたくさんいる弥山の頂上に戻り、少し離れたところに場所を作って食事にする。暑いくらいなのでノドが乾き、ペットお茶を持ってこなかったのは失敗。テルモスの残りを使い、雪を溶かしてお湯を沸かし、さけ茶漬けを食べる。うまかった。この後、弥山頂上に1時間くらいいたが、ガスは晴れず。仕方ない。スキーをはいて出発する。
弥山
頂上小屋を過ぎ、ガスで見えない谷の淵まで行ってみる。かすかに斜面が見えているが、これでは滑り込んでも平衡感覚がつかめないだろう。そばにいた男性が「ここは別山沢で傾斜があるから止めたほうがいい。七合沢がいい」と言う。傾斜はともかく、斜面が見えないのは焼岳でも滑りにくいのは経験済みなので止めておく。少し下ると、谷から踏跡が上がってきているのに出会う。午前中に見たパーティのものだろうか。とにかく、登ってきたんだから下れるだろう、ということで踏跡沿いに滑り込む。しかし、しばらく下ると踏跡は細尾根となり、とても滑れないところを下っていく。右側斜面をトラバースしようと踏み出したが、下がガスで見えない。見えれば滑降するのだが、トラバースするには傾斜がきつすぎる。結局、後ろ向きに引返し、スキーを外して登り返す。すると一瞬、霧が晴れ、青空の下に真っ白いピークが姿を現わした。弥山に違いない。
七合沢
稜線に辿りつき、少し休憩してから稜線を下り、今度はスキートレースのあるところから滑り込む。稜線をだいぶ下ったので、これは最初にスキーヤーを見た七合目だろう。下は見えないが、弥山が時々見えてくる。スキートレースはたくさんあり、これだと安心して斜面に飛び込める。やがてうっすらと谷底の広場のあたりが見えてくる。先行した連中が広場のあたりに移動しているようだ。雪は快適パウダーで、調子よく連続ターンで高度を落とし、止まったところでデジカメを撮る。ワン・ターン毎に止まっていた三年前と比べると、ずいぶんうまくなった。ヒザに負担をためなければ何度でもターンできる。トレースがたくさんあって、どれが自分のだか分からない。
七合沢の滑走1
七合沢の滑走2
七合沢の途中
滑走3
滑走トレース
下まで滑り降りると、別山とその下の別山沢、それに今滑ってきた七合沢が見える。なるほど、二つの沢は下でひとつになっているが、別山沢はその手前でかなり狭い部分がある。三年前にはあそこを滑った覚えがある。広場に滑り込み、ヘルメットを外して一休み。すると、青空が見えてきて、北壁の稜線上が少し見えている。まさかこれから晴れるのでは・・・・・という杞憂(はその後本当になってしまった)。途中で追越してきた徒歩の団体さんがはるか小さく見えているが、弥山沢の上で会った男性はもう降りてきていた。「どうも」。しばらくデジカメを撮ってから、ビンディングを外して出発。
谷底から見上げる北壁
上から小さく見えていた行者谷の谷底に到着し、背後の北壁を見上げる。滑走した七合沢は右上から中央下に斜めに下る沢。別山沢は中央まっすぐの沢で、途中で七合沢に合流。中央左ピークが別山、別山の左が弥山沢のようだ。
大神山神社
最初は少し歩いたが、後は滑り。ただし、踏跡でない部分は腐っていて滑らない。踏跡で飛ばし、腐り雪でブレーキをかける。4~5人の徒歩の人を追い越したところで大山寺に到着。
大山寺
青空の大山
しばらく道沿いに滑り、街並が近いなあと思ったら車道に出ていて、あわてて止まり、スキーを外す。ザックにスキーをつけて歩き、駐車場に戻る。もう大山は全身を青空の下に現していた。なんてことだ。
西北西から見た大山
車道を下り、北西側から見た半分富士の大山を眺める。
問合せ・コメント等、メール宛先: kawabe.goro@meizan-hitoritabi.com