稲倉岳 蟻ノ戸渡の反対側を登る
山形県 1,554m 2018年4月21日
旧秋田県の山・脚注
295
薄い青空
まだ冷たい風
山の木々には春の息吹
そして山の旅人たち
☼☼☼☼☼
このコースを初めて知ったのは2002年末の安比ペンションで読んだ岳人だった。地図に破線のある鳥海山の御浜から蟻ノ戸渡を越えるのではなく、北側の麓から登り、稲倉岳の広い北斜面を滑走する、という雄大さに魅力を感じたが、なかなか足が向かなかった。
北から見る鳥海山の中央に稲倉岳の丸い頂上があり、その広大な北斜面を(画面の左下から)登り、滑走した。巨大な雪山に登り、そこからの滑走は最高の瞬間。
七曲を登りきると視界が広がり、かなたに雪をいだく稲倉岳の一角が見える。えらく遠く感ずる。あそこまで数時間でたどり着けるとはとうてい思えない。沢にかかる小さな橋のところにショウジョウバカマが一輪。やがて鳥居があり、それをくぐって先に進む。
やがて左の斜面に雪が現われ、シールで登る。ところが、もう少しで斜面のてっぺんというところで雪が切れる。少し不安だったが、斜面の上に出ると、幸い雪はついていた。やがて広い雪斜面となり、ほとんど立ち止まらず、快調に登る。
初めて鳥海山が見えた。すっきりと真っ白な三角形の新山に寄り添うように黒い尖峰の七高山が並んでいる。それらの頂上から何度も稲倉岳を見ていたが、それを逆に見るのは初めてで、新鮮かつ感動的。いつもと全く違う鳥海山の一面を見た。
最高点と思われる笹地点のすぐ横に到達。ここが稲倉岳頂上だ。鳥海山の頂上と西の稜線が雄大に見えている。あそこを歩いているとき、いつも稲倉岳と蟻ノ戸渡を見ていた。
平坦な頂上から少し下ると、どこでも滑れる広大な雪斜面が広がり、その中央を気ままにショートターン滑走。心がどこまでも広がっていくような解放感。
往路6.7㎞、標高差1,140m、速度1.4㎞/h、235m/h帰路6.5㎞、標高差10m、速度3.5㎞/h
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晴予報となり、予定していた稲倉岳に向かう。距離6.5㎞、標高差1,250mをネット情報では4時間で登っているが、私は6時間覚悟。「ヤブを30mかき分けると雪」というのもちょっと気になる。昨年も枯木山に登り損ねており、まあ、ダメもと。このコースを初めて知ったのは2002年末の安比ペンションで読んだ岳人だったから、15年を経て実現したプラン。地図に破線のある鳥海山の御浜から蟻ノ戸渡を越えるのではなく、北側の麓から登り、稲倉岳の広い北斜面を滑走する、という雄大さに魅力を感じたが、なかなか足が向かなかった。まあ、祓川や大平から登る方が楽だし、人も大勢いて安心だ。
(当時のメモ)岳人(1997年MAR No597)冬山特集スキー登山源太ヶ岳 松川温泉(20分)丸森川取付(120分)山頂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り2時間20分姫神山 大平集落(120分)山谷川目牧野稜線(75分)山頂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間15分焼石・駒ヶ岳 金ヶ崎温泉、牧場の西の林道、神社付近(120分)山頂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り2時間鳥海・稲倉山 横岡(40分)七曲(50分)奥の院(3時間)稲倉山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り4時間30分鳥海・笙ヶ岳 山ノ神(5時間)笙ヶ岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り5時間葉山 畑(3時間)山頂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間不忘山 白石蔵王スキー場終点(105分)山頂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り1時間45分東大巓 天元台終点(120分)山頂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り2時間西吾妻山 北望台(40分)カモシカ展望台梵天岩(10分)天狗岩(30分)西吾妻小屋・・・・・・・・・・・・・・登り1時間20分雨飾山 小谷温泉(60分)鎌池林道分岐(120分)荒菅沢(90分)笹平(20分)雨飾山・・・・・・・・・・・・・登り4時間50分大山 (1~5月初旬、3末~4下旬安全) 夏山登山道入口(2時間半)頂上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り2時間日沿道が青森から新潟までつながるのはもう時間の問題。途切れている3か所は合計70㎞程度。秋田北約20㎞、秋田・山形間約20㎞、山形・新潟間約30㎞。再来年くらいかな。象潟インターを降りるころ、やや霞みのかかった鳥海山。農村はしろかきの時期。桜が満開。横岡集落の狭い路地を行く。写真を撮っている軽トラの人がいて、待ってから奥に進む。狭い舗装路はやがて砂利林道となり、やや不安ながらどんどん進み、開けたところに出ると行く手に白い稜線の一角が見える。たぶん鉾立のあたりだろう。水が勢いよく流れている沢を渡った左にピンクリボンの下がった分岐があり、どうやらそれが七曲の入口のようだ。沢の手前のスペースに駐車(標高400m)。
まったく雪がないのでちょっと不安だが、いつものとおり準備して、ディナフィット・ブーツで歩き始める。七曲には少し残雪が残っていて泥の上を歩かねばならず、ブーツが汚れる。仕方ない。七曲を登りきると視界が広がり、かなたに雪をいだく稲倉岳の一角が見える。えらく遠く感ずる。あそこまで数時間でたどり着けるとはとうてい思えない。最初に出会った雪原は、稲倉岳まで続いているように見えたので、スキーを下ろして歩くが、すぐに雪は切れ、再び歩道を歩く。沢にかかる小さな橋のところにショウジョウバカマが一輪。雪のない林斜面の右側に付けられた歩道を行くと、やがて鳥居があり、それをくぐって先に進む。鳥居のすぐ先に「奥之院」の大きな石柱が立っており、それがたぶん稲倉神社・奥の院なのだろう。往路では気づかず、復路のときにお参りした。
雪解け水の沢を石を伝って渡渉し、やがて左の斜面に雪が現われ、シールで登る。次第にかなり急になる。ところが、もう少しで斜面のてっぺんというところで雪が切れる。しかたないのでシートラにして灌木の急斜面を登る。この上に本当に雪があるのかな。少し不安だったが、斜面の上に出ると、幸い雪はついていた。雪原(標高690m)まで出て最初の休憩。1/3残っていたペットボトルを飲み干し、シールで歩く。まばらな林斜面を淡々と登る。最初は木々が混み、雪もでこぼこで歩きにくかったが、やがて広い雪斜面となり、ほとんど立ち止まらず、快調に登る。
標高950m付近の雪原までくると傾斜は緩むが正面を笹ヤブがふさいでいる。雪をたどって左(東)に回っていくと、東側は雪がつながっていた。このとき行く手に見えていたのは標高1,200m付近。だいぶ疲れてきていたが、そこまで行って休憩しようと頑張る。風が強くなり、ストックで支えないとふらつくほど。春一番の風だろうか。背後の視界が大きく広がり、ときおり停止して背後の霞む景観を撮影。登山開始地点付近に見える二つの池は新堤、大堤というらしい。その向こうに南秋田の平原が広がり、小高い仁賀保牧場の上にはたくさんの風車。西の日本海は霞んでいる。正面に雪壁の見える1,150m地点で休憩。南北に細長い溝地形のようだが、雪のためかあまり溝になっていない。クリームパンを食べ、もう一つ残っていた1/3ペットボトルを飲み干す。
ここからは休み休みの登りとなる。正面を笹ヤブがふさいでいるので、また左(東)から回り込む。東斜面にはクラックがあり、それを避けてゆく。すると、初めて鳥海山が見えた。すっきりと真っ白な三角形の新山に寄り添うように黒い尖峰の七高山が並んでいる。それらの頂上から何度も稲倉岳を見ていたが、それを逆に見るのは初めてで、新鮮かつ感動的。いつもと全く違う鳥海山の一面を見た。いったん中央斜面に戻り、広い雪斜面を登る。このとき正面に見えていたのは頂上間近の1,500m付近だと思うが、なかなか近づかない。1,500m付近でまた笹ヤブがあり、左に回る。
そして行く手の笹ヤブの向こうに鳥海山の西の稜線が見えてくる。もうすぐ頂上だ。雪原は笹ヤブの左奥(東)に更に続いており、それをたどって最高点と思われる笹地点のすぐ横に到達。ここが稲倉岳頂上だ。ザックを下ろして身軽になって周辺を見まわす。鳥海山の頂上と西の稜線が雄大に見えている。東には二つの頂上、七高山、新山と千蛇谷、西の稜線には扇子森、御浜、笙ヶ岳などが並ぶ。西の稜線は大平や鉾立から御浜を経て千蛇谷に向かうときのルートで、途中にある扇子森1,759m(稲倉岳よりも高い)がほとんど目立たないほど標高の高い稜線。あそこを歩いているとき、いつも稲倉岳と蟻ノ戸渡を見ていた。
その蟻ノ戸渡が見えないか、頂上の東端まで行ってみる。稲倉岳頂上の東端は切れ落ちた崖になっており、そこから東に広がる鳥海山の北斜面は実に広大な雪の世界。それは祓川から七高山に続く稜線と稲倉岳に挟まれた幅3㎞ほどの広大な斜面で、その最奥に新山と千蛇谷の入口がある。蟻ノ戸渡に続く道は笹ヤブで覆われ、見ることはできなかった。最高点に戻り、スキーを外し、GPSの頂上マーク(10m弱の距離)を見ながら笹ヤブに踏み込むと、すぐ近くに三角点があった。
雪の上に座って、ゆっくりホットレモンを飲み干し、バックルを締めて滑走開始。緩斜面にこの雪だとトレースはつかない。ゆっくり滑る。滑り始めてすぐ、誰もいないと思っていた斜面を登っているスキーヤーに気づく。ほう、登っている人がいたのか。平坦な頂上から少し下ると、どこでも滑れる広大な雪斜面が広がり、その中央を気ままにショートターン滑走。心がどこまでも広がっていくような解放感。人生とは、重き荷物を背負って坂道を登るだけではつまらない。すると、続いて登ってくる二人がいた。ストックを上げて挨拶。その先(1,400m付近?)で、往路よりも早めに稜線の東側に滑り込む。クラックを避けて大きく東側を迂回すると、クラックの西側を通ろうとしている数人を見る。たぶん同じパーティの人たちだろう。稜線中央に戻り、往路で休憩した1,200m地点を通過し、稜線のやや西側に見える950m雪原に向かう。往路で笹ヤブを迂回したルートにはスキートレースが増えていたが、消えかけていた。
950m雪原から下でルートは不明瞭になり、GPSを見て方向修正。往路では雪原690mに上がる前に笹ヤブを越えたが、雪原はもう少し北まで続いていたので、たどってみる。もう木々が混み、雪も少なくて障害物滑走だったが、元気に水の流れる音が聞こえ、沢の水が見えたあたりで滑走終了(650m付近)。たぶん往路で渡渉した沢だろう。シートラでヤブ斜面を下る。その地点は往路と200mも離れておらず、緩斜面だったが、まったく雪がなく、灌木をレイングローブでつかんでブッシュ斜面を歩道まで下る。実害はなし。鳥居の手前で奥之院にお参り。無事に登頂できたことを感謝。
往路のときにフキノトウといっしょに道脇にいくつも見た花はカタクリではなくキクザキイチゲだった。朝は花が閉じていて、カタクリのように見えていたが、長い花びら、広い花びら、紫に白といろいろある。疲れていたが、復路は休みなしで歩きとおす。七曲の泥んこでブーツが汚れないようにバランスを取って通過。終盤でコンビニ袋を取り出し、フキノトウを取りながら下る。駐車地点に着くと、車が2台増えていた。6人以上いたと思うが、今日は稲倉、明日は鳥海なのかな。荷物をおろし、真っ先にブーツの汚れを落とす。(翌日、水洗い。スキー・シールもずいぶん汚れていて、翌日、ブラシで洗う。)
着替えてからまたフキノトウを取る。往路とは違うルートで横岡集落を抜けると、途中に山の神の石柱。温泉・鶴泉荘に行く途中、背後の鳥海山と稲倉岳を何度も撮影。北から見る鳥海山の中央に稲倉岳の丸い頂上があり、その広大な北斜面を(画面の左下から)登り、滑走した。巨大な雪山に登り、そこからの滑走は最高の瞬間。道筋には満開のサクラ。鶴泉荘にも満開のサクラとバラ。黄色いのはヤマブキでなく、レンギョウというらしい。
朝の鳥海山
晴予報となり、予定していた稲倉岳に向かう。距離6.5㎞、標高差1,250mをネット情報では4時間で登っているが、私は6時間覚悟。「ヤブを30mかき分けると雪」というのもちょっと気になる。昨年も枯木山に登り損ねており、まあ、ダメもと。このコースを初めて知ったのは2002年末の安比ペンションで読んだ岳人だったから、15年を経て実現したプラン。地図に破線のある鳥海山の御浜から蟻ノ戸渡を越えるのではなく、北側の麓から登り、稲倉岳の広い北斜面を滑走する、という雄大さに魅力を感じたが、なかなか足が向かなかった。まあ、祓川や大平から登る方が楽だし、人も大勢いて安心だ。
朝の鳥海山と稲倉岳
(当時のメモ)
岳人(1997年MAR No597)冬山特集スキー登山源太ヶ岳 松川温泉(20分)丸森川取付(120分)山頂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り2時間20分姫神山 大平集落(120分)山谷川目牧野稜線(75分)山頂・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間15分焼石・駒ヶ岳 金ヶ崎温泉、牧場の西の林道、神社付近(120分)山頂・・・・・・・・・登り2時間鳥海・稲倉山 横岡(40分)七曲(50分)奥の院(3時間)稲倉山・・・・・・・・登り4時間30分鳥海・笙ヶ岳 山ノ神(5時間)笙ヶ岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り5時間葉山 畑(3時間)山頂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間不忘山 白石蔵王スキー場終点(105分)山頂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り1時間45分東大巓 天元台終点(120分)山頂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り2時間西吾妻山 北望台(40分)カモシカ展望台梵天岩(10分)天狗岩(30分)西吾妻小屋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り1時間20分雨飾山 小谷温泉(60分)鎌池林道分岐(120分)荒菅沢(90分)笹平(20分)雨飾山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り4時間50分大山 (1~5月初旬、3末~4下旬安全)夏山登山道入口(2時間半)頂上・・・・・登り2時間七曲登山口(400m)
日沿道が青森から新潟までつながるのはもう時間の問題。途切れている3か所は合計70㎞程度。秋田北約20㎞、秋田・山形間約20㎞、山形・新潟間約30㎞。再来年くらいかな。象潟インターを降りるころ、やや霞みのかかった鳥海山。農村はしろかきの時期。桜が満開。横岡集落の狭い路地を行く。写真を撮っている軽トラの人がいて、待ってから奥に進む。狭い舗装路はやがて砂利林道となり、やや不安ながらどんどん進み、開けたところに出ると行く手に白い稜線の一角が見える。たぶん鉾立のあたりだろう。水が勢いよく流れている沢を渡った左にピンクリボンの下がった分岐があり、どうやらそれが七曲の入口のようだ。沢の手前のスペースに駐車(標高400m)。
七曲の上
まったく雪がないのでちょっと不安だが、いつものとおり準備して、ディナフィット・ブーツで歩き始める。七曲には少し残雪が残っていて泥の上を歩かねばならず、ブーツが汚れる。仕方ない。七曲を登りきると視界が広がり、かなたに雪をいだく稲倉岳の一角が見える。えらく遠く感ずる。あそこまで数時間でたどり着けるとはとうてい思えない。
はるかかなたの稲倉岳
最初に出会った雪原は、稲倉岳まで続いているように見えたので、スキーを下ろして歩くが、すぐに雪は切れ、再び歩道を歩く。沢にかかる小さな橋のところにショウジョウバカマが一輪。雪のない林斜面の右側に付けられた歩道を行くと、やがて鳥居があり、それをくぐって先に進む。鳥居のすぐ先に「奥之院」の大きな石柱が立っており、それがたぶん稲倉神社・奥の院なのだろう。往路では気づかず、復路のときにお参りした。
最初の雪原
ショウジョウバカマ
鳥居
雪斜面取付き(630m付近)
雪斜面690m
雪解け水の沢を石を伝って渡渉し、やがて左の斜面に雪が現われ、シールで登る。次第にかなり急になる。ところが、もう少しで斜面のてっぺんというところで雪が切れる。しかたないのでシートラにして灌木の急斜面を登る。この上に本当に雪があるのかな。少し不安だったが、斜面の上に出ると、幸い雪はついていた。雪原(標高690m)まで出て最初の休憩。1/3残っていたペットボトルを飲み干し、シールで歩く。まばらな林斜面を淡々と登る。最初は木々が混み、雪もでこぼこで歩きにくかったが、やがて広い雪斜面となり、ほとんど立ち止まらず、快調に登る。
林を抜ける
標高950m付近の雪原までくると傾斜は緩むが正面を笹ヤブがふさいでいる。雪をたどって左(東)に回っていくと、東側は雪がつながっていた。このとき行く手に見えていたのは標高1,200m付近。だいぶ疲れてきていたが、そこまで行って休憩しようと頑張る。風が強くなり、ストックで支えないとふらつくほど。春一番の風だろうか。
雪原950m:笹ヤブを迂回すると稲倉岳に続く稜線が見えた
標高1,150m付近、休憩2回目
背後の視界が大きく広がり、ときおり停止して背後の霞む景観を撮影。登山開始地点付近に見える二つの池は新堤、大堤というらしい。その向こうに南秋田の平原が広がり、小高い仁賀保牧場の上にはたくさんの風車。西の日本海は霞んでいる。正面に雪壁の見える1,150m地点で休憩。南北に細長い溝地形のようだが、雪のためかあまり溝になっていない。クリームパンを食べ、もう一つ残っていた1/3ペットボトルを飲み干す。
初めて見えた鳥海山
ここからは休み休みの登りとなる。正面を笹ヤブがふさいでいるので、また左(東)から回り込む。東斜面にはクラックがあり、それを避けてゆく。すると、初めて鳥海山が見えた。すっきりと真っ白な三角形の新山に寄り添うように黒い尖峰の七高山が並んでいる。それらの頂上から何度も稲倉岳を見ていたが、それを逆に見るのは初めてで、新鮮かつ感動的。いつもと全く違う鳥海山の一面を見た。いったん中央斜面に戻り、広い雪斜面を登る。このとき正面に見えていたのは頂上間近の1,500m付近だと思うが、なかなか近づかない。1,500m付近でまた笹ヤブがあり、左に回る。
北の景観: 霞む日本海、仁賀保牧場の風車、クラックの向こうにc鳥海山
東の景観・・・・・広大な北斜面
東端から見る稲倉岳の頂上・・・・・三角点は中央左の笹ヤブの中
鳥海山・新山
そして行く手の笹ヤブの向こうに鳥海山の西の稜線が見えてくる。もうすぐ頂上だ。雪原は笹ヤブの左奥(東)に更に続いており、それをたどって最高点と思われる笹地点のすぐ横に到達。ここが稲倉岳頂上だ。ザックを下ろして身軽になって周辺を見まわす。鳥海山の頂上と西の稜線が雄大に見えている。東には二つの頂上、七高山、新山と千蛇谷、西の稜線には扇子森、御浜、笙ヶ岳などが並ぶ。西の稜線は大平や鉾立から御浜を経て千蛇谷に向かうときのルートで、途中にある扇子森1,759m(稲倉岳よりも高い)がほとんど目立たないほど標高の高い稜線。あそこを歩いているとき、いつも稲倉岳と蟻ノ戸渡を見ていた。
三角点
その蟻ノ戸渡が見えないか、頂上の東端まで行ってみる。稲倉岳頂上の東端は切れ落ちた崖になっており、そこから東に広がる鳥海山の北斜面は実に広大な雪の世界。それは祓川から七高山に続く稜線と稲倉岳に挟まれた幅3㎞ほどの広大な斜面で、その最奥に新山と千蛇谷の入口がある。蟻ノ戸渡に続く道は笹ヤブで覆われ、見ることはできなかった。最高点に戻り、スキーを外し、GPSの頂上マーク(10m弱の距離)を見ながら笹ヤブに踏み込むと、すぐ近くに三角点があった。
稲倉岳頂上から鳥海山
雪の上に座って、ゆっくりホットレモンを飲み干し、バックルを締めて滑走開始。緩斜面にこの雪だとトレースはつかない。ゆっくり滑る。滑り始めてすぐ、誰もいないと思っていた斜面を登っているスキーヤーに気づく。ほう、登っている人がいたのか。平坦な頂上から少し下ると、どこでも滑れる広大な雪斜面が広がり、その中央を気ままにショートターン滑走。心がどこまでも広がっていくような解放感。人生とは、重き荷物を背負って坂道を登るだけではつまらない。
頂上から南の景観: 鳥海山、千蛇谷、西の稜線(扇子森、御浜、笙ヶ岳)
鳥海山と千蛇谷
すると、続いて登ってくる二人がいた。ストックを上げて挨拶。その先(1,400m付近?)で、往路よりも早めに稜線の東側に滑り込む。クラックを避けて大きく東側を迂回すると、クラックの西側を通ろうとしている数人を見る。たぶん同じパーティの人たちだろう。稜線中央に戻り、往路で休憩した1,200m地点を通過し、稜線のやや西側に見える950m雪原に向かう。往路で笹ヤブを迂回したルートにはスキートレースが増えていたが、消えかけていた。
頂上からの滑走
頂上からの滑走
滑走900m付近
新堤と大堤
滑走700m付近
950m雪原から下でルートは不明瞭になり、GPSを見て方向修正。往路では雪原690mに上がる前に笹ヤブを越えたが、雪原はもう少し北まで続いていたので、たどってみる。もう木々が混み、雪も少なくて障害物滑走だったが、元気に水の流れる音が聞こえ、沢の水が見えたあたりで滑走終了(650m付近)。たぶん往路で渡渉した沢だろう。シートラでヤブ斜面を下る。その地点は往路と200mも離れておらず、緩斜面だったが、まったく雪がなく、灌木をレイングローブでつかんでブッシュ斜面を歩道まで下る。実害はなし。鳥居の手前で奥之院にお参り。無事に登頂できたことを感謝。
紫のキクザキイチゲ(広い花びら)
「奥之院」石柱
ミズバショウ
紫のキクザキイチゲ(長い花びら)
往路のときにフキノトウといっしょに道脇にいくつも見た花はカタクリではなくキクザキイチゲだった。朝は花が閉じていて、カタクリのように見えていたが、長い花びら、広い花びら、紫に白といろいろある。疲れていたが、復路は休みなしで歩きとおす。七曲の泥んこでブーツが汚れないようにバランスを取って通過。
フキノトウ
終盤でコンビニ袋を取り出し、フキノトウを取りながら下る。駐車地点に着くと、車が2台増えていた。6人以上いたと思うが、今日は稲倉、明日は鳥海なのかな。荷物をおろし、真っ先にブーツの汚れを落とす。(翌日、水洗い。スキー・シールもずいぶん汚れていて、翌日、ブラシで洗う。)
エンレイソウ
白いキクザキイチゲ
七曲・駐車地点
着替えてからまたフキノトウを取る。往路とは違うルートで横岡集落を抜けると、途中に山の神の石柱。温泉・鶴泉荘に行く途中、背後の鳥海山と稲倉岳を何度も撮影。北から見る鳥海山の中央に稲倉岳の丸い頂上があり、その広大な北斜面を(画面の左下から)登り、滑走した。巨大な雪山に登り、そこからの滑走は最高の瞬間。道筋には満開のサクラ。鶴泉荘にも満開のサクラとバラ。黄色いのはヤマブキでなく、レンギョウというらしい。
稜線の一角
キイチゴ?の花
「山の神」の石板
満開のサクラ
鳥海山と稲倉岳
稲倉岳
バラ
サクラ
サクラ
レンギョウ?
日本海の日暮れ