目国内岳 白い斜面の滑走

北海道・道央  目国内岳1,220m(最高点*)、前目国内岳981m  2012年3月10日

(目国内岳)北海道百名山

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*目国内岳の三角点1,202mは最高点の王冠1,220mの北西100mくらいにあるようだが、このときはそうとは知らず、行かなかった。

白い斜面の傾斜を斜めに登り、頃合いで大きく片足を広げて逆方向に踏み込む

後ろ足をひねってスキーを同じ方向に揃え、キックターン完了

さあ、あと何回くらいで稜線に着くだろう

まぶしい白い斜面を斜めに登り、頃合いで大きく片足を広げて逆方向に・・・・・

(キックターン)

❄❄❄❄❄

ニセコ連峰がこんなにくっきりと見渡せたのは初めて。右端の仙丈のような二つの谷のあるのがニセコアンヌプリ、その左にイワオヌプリとニトヌプリが並び、丸くて大きなチセヌプリ、それより一回り小さいシャクナゲ、更に小さな白樺が続き、その左に前目国内を挟んで頂上に乳首ピークのある目国内岳、その左の雷電は平らな稜線である。

大きな二等辺三角形の目国内はアンヌプリ、チセヌプリと同じくらいの貫録である。

コルから見上げる目国内岳の頂上までは300mほどの高低差。大きな二等辺三角形の手前の黒い影は雪庇尾根で、右側が切れ落ちたすさまじい景観が隠されていた。

目国内への雪庇尾根には、テラス、雪庇部分、手前ピークの三つのマイナーピークがあり、最初のテラス前の急斜面を右斜めから左斜めに大きくキックターンを切って登っていく。

王冠の上の目国内岳頂上に到着、12時半すぎ。温泉を出発してから3時間。今日はよく晴れ、青空が広がり、絶好の景観が広がった。

雪庇部分まで滑走し、そこからテラスを経てコルまでの最大斜度部分が本日のハイライト。最高の雪質に連続ショートターンを繰り返すが、軽い雪にスキーが気持ちよく滑り、軽いエッジングでふわりとターンする。かって経験したことのない最高に心地よい瞬間。白い斜面の滑走。このときの6分間にこの日の全てが凝縮されている。

麓から見た大きな二等辺三角形の目国内岳は、すさまじい雪庇尾根と王冠の頂上を持っていた。その雪庇尾根は最高の雪質になっていて、かって経験したことのない最高の滑走となった。

コルから見上げる目国内岳の頂上までは300mほどの高低差。大きな二等辺三角形の手前の黒い影は雪庇尾根で、右側が切れ落ちたすさまじい景観が隠されていた。
キックターン: 急斜面を右斜めから左斜めに大きくキックターンを切って登っていく。
王冠(目国内岳頂上)
白い斜面の滑走: 軽い雪にスキーが気持ちよく滑り、軽いエッジングでふわりとターンする
林間滑走
9:37 新美温泉発10:06 ショートカット10:37 林道合流10:45 斜面取付き11:32 前目国内岳11:41 コル12:36 目国内岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り2時間59分12:55 目国内岳発、滑走13:24 コル、ここからトラバース13:57 林道合流14:05 新美温泉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復4時間28分

MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM

22時のフェリーが定期検査で運休で、当日2時の便に乗る。よって、フェリーを降りて早朝の函館を走る。いつものように新道経由で北上するが、カーナビを見て、新道経由しないほうが距離が近く、時間もそんなに変わらないのでは、と気づく。これからは直進することにしよう。

静内PAでスキー服に着替え、カーナビにマーキングしておいた黒松内JCでニセコ方面に入ると、前方に蘭越幌内山が見える。あれにもいずれ登らねば。カーナビには観音山というのも出ている。8時半過ぎ、行く手に真っ白い山が見える。ニセコ連峰のどれだろう。大きく見える山だったが、それがその日目指す目国内岳であった。車道を進むとニセコ連峰が次々と見えてくる。この道は何度か通っているが、ニセコ連峰がこんなにくっきりと見渡せたのは初めて。右端の仙丈のような二つの谷のあるのがニセコアンヌプリ、その左にイワオヌプリとニトヌプリが並び、丸くて大きなチセヌプリ、それより一回り小さいシャクナゲ、更に小さな白樺が続き、その左に前目国内を挟んで頂上に乳首ピークのある目国内岳、その左の雷電は平らな稜線である。

幹線路から山側に左折したところで停車してその全景を見る。右奥に羊蹄山が微かに見えている。アンヌプリは北東側からのとはずいぶん違う姿で、三つの尾根の間の谷は深いカールになっている。イワオヌプリは低い台形の姿、それに登った時は頂上を探して歩き回った。ニトヌプリは手前に林のテラスのある二階建て、そのテラスから南峰、更にその奥の北峰に立ち、南峰からのパウダー滑走は格別だった。中央にどっしり構えるチセヌプリに登ってシャクナゲに縦走したときは、西尾根はカリカリのアイスバーン、急なシャクナゲにはアイゼンで登り、ガスの中のパウダーを滑り、スキー場に戻る途中にある大きな雪庇から落っこちた。そのときシャクナゲ頂上から見た白樺山は、三つのピークをもった小さな姿。その左に同じく小さな前目国内を挟み、大きな二等辺三角形の目国内はアンヌプリ、チセヌプリと同じくらいの貫録である。

除雪車道を登って新美温泉に着き、その一番奥に停める。車はたくさん停まっているが、誰も登山やスキーをやっている雰囲気はないので、車から降りで除雪していない車道の雪の上に登ってみると、トレースがたくさんついている。こんなに天気がいいのに今日は登る人はいないのかな、と思いながら出発、9時半すぎ。

最初は林道(車道)歩き。新美温泉の裏を東から西に回って行くと、西に目国内の頂上が見えてくる。ガイドによると、このまま林道をたどり、前目国内経由で目国内に向かうルートと、林道から西に沢を渡って直接、目国内に登るルートがある。どっちにしようか。時間があれば前者だが、時間が無ければ後者だろう。もう10時前だから時間があるとは言えないから後者かな、いや、今日は天気もいいし、もう登る機会もないかもしれないから、ということで、トレースの分岐を林道にとる。沢に下るトレースよりも、林道を行くトレースの方が太く、そっちがメインという感じであった。このあたりでスキーで下ってきた男性に会っている。

林道はそのすぐ先で右折してつづら折りとなるが、林道トレースは直進して斜面をショートカットで登っていく。目国内の頂上ピークを真横に見ながらのその登りは30分ほどで林道に合流する。そこは白樺山と前目国内のコル部分で、目国内の頂上は前目国の斜面の陰に隠れていく。そして、先行トレースはコル中央あたりから白樺山の方に向かっていたため、そこでそのトレースと分かれ、前目国内への登りにかかる。高度が上がるにつれ、背後の白樺山が次第に見えてくる。ずいぶん近いな。その斜面を斜めに登っているトレースも見えたが、人影は分からず。

やがて斜面の左に目国内頂上が見えてきて、方角をやや右寄りに変える。白樺の向こうのシャクナゲ、その隣のピークが見えている。左奥(北側)の地形はワイスホルンだろうか。そして行く手の白い地形の向こうに前目国内頂上部分が現れると、その斜面に滑走トレースと登りトレースがついている。さっきの男性だろうか。

前目国内の頂上はまっ平らな白い雪で、ずっと奥の方に頂上標識があった。そして頂上の向こうに目国内の頂上が立ち、やや北側に岩内岳の頂上が見えている。岩内岳の右奥には日本海(石狩湾)と積丹半島が見えているが、積丹岳は雲の中。その右に伸びる白い稜線に八内岳。前目国内の頂上標識は二つあり、一つは木製の標識、もうひとつは真っ黒にサビている案内標識。そこから見る目国内はまだ200m高くそびえ、それに至る稜線の東側は雪庇が張り出している。その東にある岩内岳は目国内よりも100m低いが、真っ白な三角形は印象的。

シールのままでコルまで滑走。ショートカットを切るほどの傾斜ではなく、大きなターンで滑り、最後はまっすぐ。コルから見上げる目国内岳の頂上までは300mほどの高低差。大きな二等辺三角形の手前の黒い影は雪庇尾根で、右側が切れ落ちたすさまじい景観が隠されていた。登り返し始めてすぐに、背後に二人の人影があるのに気づく。どうやら林道から前目国内をショートカットして登ってきたらしい。これで少し余裕がなくなる。マイペースで進めばよさそうなものだが、後につかれるとどうしても気になってしまう。

目国内への雪庇尾根には、テラス、雪庇部分、手前ピークの三つのマイナーピークがあり、最初のテラス前の急斜面を右斜めから左斜めに大きくキックターンを切って登っていく。傾斜が緩むと、背後の二人はいったん見えなくなる。次の雪庇部分のあたりが最も急で、雪庇を避けて左側をトラバースするが、そのピーク付近の傾斜のある部分のトラバースとなり、スキーアイゼンを使っての力歩きとなる。もっと左側にすべきだった。休み休みのペースは維持し、周辺の景色を写す。背後では、シャクナゲの背後のチセが見えるようになり、その後のアンヌプリも見える。その間にあるイワオとニトはチセの陰に隠れているらしく見えない。チセの左側に外れて見えているのがニトの北峰かもしれない。

雪庇部分を越えるとその先は一途の登り。乳首というよりは王冠のように見えてきた目国内の頂上ドームが近付き、雪庇が眼下に、テラスははるか下に見え、その背後ではアンヌプリと羊蹄山がチセの後に見え、右手にはもう岩内岳が眼線よりの低くなっている。目国内頂上が近付くと、手前ピークが現われる。それまではオーバーハングの陰に隠れていたようだ。そして、目国内頂上の付近を登っているもう一人の登山者を見る。なんだ、先に登っているのがいたのか。

手前ピークで一休みした後、頂上までまっすぐに休まず登る。これでもう最後だから、へばってもいい、という覚悟。そうして頂上が近付くと南西側に滑走したらしきトレース。先行の男性はドームの麓でスキーを外して何やらやっており、私が近付くとドームに向かって歩き出した。岩峰になっている頂上ドームへはスキーをデポして登る、とガイドにはあったが、私は構わずスキーのままで登る。先行の男性は岩の間を徒歩で登って行ったが、私はそこをスキーで無理やり登る。別に危ないことはない。スキーアイゼンもあるし、横登りでも何でも、このくらいの岩なら登れる。ということで、王冠の上の目国内岳頂上に到着、12時半すぎ。温泉を出発してから3時間。今日はよく晴れ、青空が広がり、絶好の景観が広がった。

スキーを外し、雪のついた岩の最高点*に登り、初めての目国内の西の風景を眺める。それは広大な雪原になっていて、いくつかのピークが認められるが、顕著なものはない。雷電は手前のではなく、奥にあるピークのうちのどれかだろう。北西に岩内が小さく見えている。こういう地形ならば、2~3時間で往復できるだろう。雷電もこれで春に登るメドがついた。東の稜線も、ここから見るとチセとアンヌプリの間にイワオヌプリの平らな山頂の左端、ニトヌプリの南峰と北峰の一角が見えている。ニセコの10峰(ワイスホルン、アンヌプリ、イワオ、ニト、チセ、シャクナゲ、白樺、目国内、岩内、雷電)のうちこれで7峰目だが、西4峰は発登頂。

*目国内岳の三角点1,202mは最高点の王冠1,220mの北西100mくらいにあるようだが、このときはそうとは知らず、行かなかった。

後の二人がやってきて、写真を撮ってもらう。今シーズン新調したスキーウェアはバーゲンで安く買ったのだが、どうも派手かなあ。背後に雷電の一角。頂上には、テルモス(ホットレモン?)を飲むなどして20分近くいたが、シールを外していざ滑走開始。最初の男性は火をおこして食事しようとしている。このくらいの天気だとバーナーで調理もできるだろう。岩峰の上から、最初は横滑りで下り、オープンなところから滑走開始。頂上手前にはもう一人がやってきていて到着寸前。岩峰のところにはさっきの二人の他にもう一人が来ていたようだ。千客万来。

傾斜がオーバーハングするあたりからショートターン開始。雪質は最高。数分で手前ピーク。頂上からきれいな滑走ラインを描けた。雪庇部分まで滑走し、そこからテラスを経てコルまでの最大斜度部分が本日のハイライト。ゴーグルをかけたのは風もあったからだろう。最高の雪質に連続ショートターンを繰り返すが、軽い雪にスキーが気持ちよく滑り、軽いエッジングでふわりとターンする。かって経験したことのない最高に心地よい瞬間。白い斜面の滑走。このときの6分間にこの日の全てが凝縮されている。傾斜が緩んで直滑降となってコルに向かう。

コルから眼下、南東の林の中に新美温泉の建物を発見。このまま斜面を下まで滑ってシールで登り返す方法もあるが、ここは前目国内の山腹をトラバースし、元きた林道を目指す。そこには後続の二人が登ってきたトレースが残っていて、それよりもやや上にコースをとってトラバースしてゆき、頃合いを見て斜面をショートターンで下る。もう一度トラバースし、二度目のショートターン滑走で落葉の広葉樹林帯に入り、そこで後続二人のトレースを再発見。林道に出るが、林道の東側に白樺山から滑ってきたトレースがあり、そちらにトラバースしてから林間を三度目のショートターン滑走。狭い尾根を下って登りトレースに合流し、最初に林道から外れた地点に出る。そこからは林道の登りトレースを逆にたどって新美温泉に戻る。14時過ぎ。

駐車地点の正面の新美温泉に入る。こちらは旧館で、奥に混浴の露天風呂があり、そっちは洗い場がないので手前の室内風呂に入り直す。露天を出るときに家族連れがやってきて入ろうとしていた。スキーを片づけているとき、白樺のパーティらしき一団が車に乗り込んで帰って行った。私は風呂から上がって車に戻り、少し仮眠をとる。時間は短かったとはいえ、朝から休みなしの車の運転に登りに滑走。心地よい気分。

翌日は漁岳をインプットし、東に向けて何度か通った道を行く。雲をかぶった羊蹄山。ニセコでスーパーに寄ろうとしたが、店はなし。尻別岳の前からルスツリゾートの前を通り、東に向かうと、行く手に三角形の徳舜瞥が見える。道の駅大滝の前を通るが、買い物できていないので通り過ぎ、白老岳の傍らを過ぎる。支笏湖畔に出ると、夕方の空に風不死山が見える。そこから苫小牧に出てスーパーとコンビニで夕食を買い、支笏湖に戻る。支笏湖温泉にトイレのある駐車場があったのでそこで車中泊。

麓から見た大きな二等辺三角形の目国内岳は、すさまじい雪庇尾根と王冠の頂上を持っていた。その雪庇尾根は最高の雪質になっていて、かって経験したことのない最高の滑走となった。

フェリーびるご

ビルゴ(Virgo)とはおとめ座のこと(英米の軍艦名、ガンダムのモビルスーツの呼び名でもある)。津軽海峡のフェリーとして初代が1974年、二代目は1990年から2014年まで運行していた。私も10回以上乗っているだろう。ありがとう。(今はブルードルフィン1&2、ブルーマーメイド、ブルーハピネスの4船。ハピネスにはまだ乗ってないかな。)

22時のフェリーが定期検査で運休で、当日2時の便に乗る。よって、フェリーを降りて早朝の函館を走る。いつものように新道経由で北上するが、カーナビを見て、新道経由しないほうが距離が近く、時間もそんなに変わらないのでは、と気づく。これからは直進することにしよう。

ニセコ連峰:目国内岳、前目国内岳、白樺山、シャクナゲ岳、チセヌプリ、ニトヌプリ、イワオヌプリ、ニセコアンヌプリ、羊蹄山

雷電山

静内PAでスキー服に着替え、カーナビにマーキングしておいた黒松内JCでニセコ方面に入ると、前方に蘭越幌内山が見える。あれにもいずれ登らねば。カーナビには観音山というのも出ている。8時半過ぎ、行く手に真っ白い山が見える。ニセコ連峰のどれだろう。大きく見える山だったが、それがその日目指す目国内岳であった。車道を進むとニセコ連峰が次々と見えてくる。この道は何度か通っているが、ニセコ連峰がこんなにくっきりと見渡せたのは初めて。右端の仙丈のような二つの谷のあるのがニセコアンヌプリ、その左にイワオヌプリとニトヌプリが並び、丸くて大きなチセヌプリ、それより一回り小さいシャクナゲ、更に小さな白樺が続き、その左に前目国内を挟んで頂上に乳首ピークのある目国内岳、その左の雷電は平らな稜線である。

目国内岳

幹線路から山側に左折したところで停車してぞの全景を見る。右奥に羊蹄山が微かに見えている。アンヌプリは北東側からのとはずいぶん違う姿で、三つの尾根の間の谷は深いカールになっている。イワオヌプリは低い台形の姿、それに登った時は頂上を探して歩き回った。ニトヌプリは手前に林のテラスのある二階建て、そのテラスから南峰、更にその奥の北峰に立ち、南峰からのパウダー滑走は格別だった。中央にどっしり構えるチセヌプリに登ってシャクナゲに縦走したときは、西尾根はカリカリのアイスバーン、急なシャクナゲにはアイゼンで登り、ガスの中のパウダーを滑り、スキー場に戻る途中にある大きな雪庇から落っこちた。そのときシャクナゲ頂上から見た白樺山は、三つのピークをもった小さな姿。その左に同じく小さな前目国内を挟み、大きな二等辺三角形の目国内はアンヌプリ、チセヌプリと同じくらいの貫録である。

白樺山とシャクナゲ岳

チセヌプリ

ニトヌプリとイワオヌプリ

ニセコアンヌプリ

新美温泉

除雪車道を登って新美温泉に着き、その一番奥に停める。車はたくさん停まっているが、誰も登山やスキーをやっている雰囲気はないので、車から降りで除雪していない車道の雪の上に登ってみると、トレースがたくさんついている。こんなに天気がいいのに今日は登る人はいないのかな、と思いながら出発、9時半すぎ。

新美温泉から雪の林道

最初は林道(車道)歩き。新美温泉の裏を東から西に回って行くと、西に目国内の頂上が見えてくる。ガイドによると、このまま林道をたどり、前目国内経由で目国内に向かうルートと、林道から西に沢を渡って直接、目国内に登るルートがある。どっちにしようか。時間があれば前者だが、時間が無ければ後者だろう。もう10時前だから時間があるとは言えないから後者かな、いや、今日は天気もいいし、もう登る機会もないかもしれないから、ということで、トレースの分岐を林道にとる。沢に下るトレースよりも、林道を行くトレースの方が太く、そっちがメインという感じであった。このあたりでスキーで下ってきた男性に会っている。

目国内岳と雪の林道

ショートカット

林道はそのすぐ先で右折してつづら折りとなるが、林道トレースは直進して斜面をショートカットで登っていく。目国内の頂上ピークを真横に見ながらのその登りは30分ほどで林道に合流する。そこは白樺山と前目国内のコル部分で、目国内の頂上は前目国の斜面の陰に隠れていく。そして、先行トレースはコル中央あたりから白樺山の方に向かっていたため、そこでそのトレースと分かれ、前目国内への登りにかかる。高度が上がるにつれ、背後の白樺山が次第に見えてくる。ずいぶん近いな。その斜面を斜めに登っているトレースも見えたが、人影は分からず。

林道合流

前目国内岳のだダケカンバ

白樺山

やがて斜面の左に目国内頂上が見えてきて、方角をやや右寄りに変える。白樺の向こうのシャクナゲ、その隣のピークが見えている。左奥(北側)の地形はワイスホルンだろうか。そして行く手の白い地形の向こうに前目国内頂上部分が現れると、その斜面に滑走トレースと登りトレースがついている。さっきの男性だろうか。

目国内岳と前目国内岳

東の主稜線

ワイスホルン

東の主稜線:ワイスホルン、白樺山、チセヌプリ、シャクナゲ岳

八内岳

日本海(石狩湾)を見る:目国内岳、岩内岳、石狩湾、八内岳

前目国内岳頂上から目国内岳

前目国内の頂上はまっ平らな白い雪で、ずっと奥の方に頂上標識があった。そして頂上の向こうに目国内の頂上が立ち、やや北側に岩内岳の頂上が見えている。岩内岳の右奥には日本海(石狩湾)と積丹半島が見えているが、積丹岳は雲の中。その右に伸びる白い稜線に八内岳。前目国内の頂上標識は二つあり、一つは木製の標識、もうひとつは真っ黒にサビている案内標識。そこから見る目国内はまだ200m高くそびえ、それに至る稜線の東側は雪庇が張り出している。その東にある岩内岳は目国内よりも100m低いが、真っ白な三角形は印象的。

コルへのシール滑走

シールのままでコルまで滑走。ショートカットを切るほどの傾斜ではなく、大きなターンで滑り、最後はまっすぐ。コルから見上げる目国内岳の頂上までは300mほどの高低差。大きな二等辺三角形の手前の黒い影は雪庇尾根で、右側が切れ落ちたすさまじい景観が隠されていた。登り返し始めてすぐに、背後に二人の人影があるのに気づく。どうやら林道から前目国内をショートカットして登ってきたらしい。これで少し余裕がなくなる。マイペースで進めばよさそうなものだが、後につかれるとどうしても気になってしまう。

薄い新雪

目国内岳への登りで振り返り見る前目国内岳と東主稜線

キックターン

目国内への雪庇尾根には、テラス、雪庇部分、手前ピークの三つのマイナーピークがあり、最初のテラス前の急斜面を右斜めから左斜めに大きくキックターンを切って登っていく。傾斜が緩むと、背後の二人はいったん見えなくなる。次の雪庇部分のあたりが最も急で、雪庇を避けて左側をトラバースするが、そのピーク付近の傾斜のある部分のトラバースとなり、スキーアイゼンを使っての力歩きとなる。もっと左側にすべきだった。休み休みのペースは維持し、周辺の景色を写す。背後では、シャクナゲの背後のチセが見えるようになり、その後のアンヌプリも見える。その間にあるイワオとニトはチセの陰に隠れているらしく見えない。チセの左側に外れて見えているのがニトの北峰かもしれない。

目国内岳の王冠

雪庇部分を越えるとその先は一途の登り。乳首というよりは王冠のように見えてきた目国内の頂上ドームが近付き、雪庇が眼下に、テラスははるか下に見え、その背後ではアンヌプリと羊蹄山がチセの後に見え、右手にはもう岩内岳が眼線よりの低くなっている。目国内頂上が近付くと、手前ピークが現われる。それまではオーバーハングの陰に隠れていたようだ。そして、目国内頂上の付近を登っているもう一人の登山者を見る。なんだ、先に登っているのがいたのか。

見えてきたニセコアンヌプリと羊蹄山:前目国内岳、ワイスホルン、白樺山、チセヌプリ、ニセコアンヌプリ、シャクナゲ岳、羊蹄山

王冠

手前ピークで一休みした後、頂上までまっすぐに休まず登る。これでもう最後だから、へばってもいい、という覚悟。そうして頂上が近付くと南西側に滑走したらしきトレース。先行の男性はドームの麓でスキーを外して何やらやっており、私が近付くとドームに向かって歩き出した。岩峰になっている頂上ドームへはスキーをデポして登る、とガイドにはあったが、私は構わずスキーのままで登る。先行の男性は岩の間を徒歩で登って行ったが、私はそこをスキーで無理やり登る。別に危ないことはない。スキーアイゼンもあるし、横登りでも何でも、このくらいの岩なら登れる。ということで、王冠の上の目国内岳頂上に到着、12時半すぎ。温泉を出発してから3時間。今日はよく晴れ、青空が広がり、絶好の景観が広がった。

岩内岳

目国内岳頂上

スキーを外し、雪のついた岩の最高点*に登り、初めての目国内の西の風景を眺める。それは広大な雪原になっていて、いくつかのピークが認められるが、顕著なものはない。雷電は手前のではなく、奥にあるピークのうちのどれかだろう。北西に岩内が小さく見えている。こういう地形ならば、2~3時間で往復できるだろう。雷電もこれで春に登るメドがついた。東の稜線も、ここから見るとチセとアンヌプリの間にイワオヌプリの平らな山頂の左端、ニトヌプリの南峰と北峰の一角が見えている。ニセコの10峰(ワイスホルン、アンヌプリ、イワオ、ニト、チセ、シャクナゲ、白樺、目国内、岩内、雷電)のうちこれで7峰目だが、西4峰は発登頂。

*目国内岳の三角点1,202mは最高点の王冠1,220mの北西100mくらいにあるようだが、このときはそうとは知らず、行かなかった。

雷電山

後の二人がやってきて、写真を撮ってもらう。今シーズン新調したスキーウェアはバーゲンで安く買ったのだが、どうも派手かなあ。背後に雷電の一角。頂上には、テルモス(ホットレモン?)を飲むなどして20分近くいたが、シールを外していざ滑走開始。最初の男性は火をおこして食事しようとしている。このくらいの天気だとバーナーで調理もできるだろう。岩峰の上から、最初は横滑りで下り、オープンなところから滑走開始。頂上手前にはもう一人がやってきていて到着寸前。岩峰のところにはさっきの二人の他にもう一人が来ていたようだ。千客万来。

頂上から西の情景:雷電山、岩内岳、八内岳

頂上から東の情景

頂上からの滑走

王冠からの滑走

SIMSヘルメット

白い斜面の滑走

傾斜がオーバーハングするあたりからショートターン開始。雪質は最高。数分で手前ピーク。頂上からきれいな滑走ラインを描けた。雪庇部分まで滑走し、そこからテラスを経てコルまでの最大斜度部分が本日のハイライト。ゴーグルをかけたのは風もあったからだろう。最高の雪質に連続ショートターンを繰り返すが、軽い雪にスキーが気持ちよく滑り、軽いエッジングでふわりとターンする。かって経験したことのない最高に心地よい瞬間。白い斜面の滑走。このときの6分間にこの日の全てが凝縮されている。傾斜が緩んで直滑降となってコルに向かう。

白い斜面の滑走

コルへの滑走

コルから眼下、南東の林の中に新美温泉の建物を発見。このまま斜面を下まで滑ってシールで登り返す方法もあるが、ここは前目国内の山腹をトラバースし、元きた林道を目指す。そこには後続の二人が登ってきたトレースが残っていて、それよりもやや上にコースをとってトラバースしてゆき、頃合いを見て斜面をショートターンで下る。もう一度トラバースし、二度目のショートターン滑走で落葉の広葉樹林帯に入り、そこで後続二人のトレースを再発見。林道に出るが、林道の東側に白樺山から滑ってきたトレースがあり、そちらにトラバースしてから林間を三度目のショートターン滑走。狭い尾根を下って登りトレースに合流し、最初に林道から外れた地点に出る。そこからは林道の登りトレースを逆にたどって新美温泉に戻る。14時過ぎ。

林間滑走

駐車地点の正面の新美温泉に入る。こちらは旧館で、奥に混浴の露天風呂があり、そっちは洗い場がないので手前の室内風呂に入り直す。露天を出るときに家族連れがやってきて入ろうとしていた。スキーを片づけているとき、白樺のパーティらしき一団が車に乗り込んで帰って行った。私は風呂から上がって車に戻り、少し仮眠をとる。時間は短かったとはいえ、朝から休みなしの車の運転に登りに滑走。心地よい気分。

尻別岳

翌日は漁岳をインプットし、東に向けて何度か通った道を行く。雲をかぶった羊蹄山。ニセコでスーパーに寄ろうとしたが、店はなし。尻別岳の前からルスツリゾートの前を通り、東に向かうと、行く手に三角形の徳舜瞥が見える。道の駅大滝の前を通るが、買い物できていないので通り過ぎ、白老岳の傍らを過ぎる。支笏湖畔に出ると、夕方の空に風不死山が見える。そこから苫小牧に出てスーパーとコンビニで夕食を買い、支笏湖に戻る。支笏湖温泉にトイレのある駐車場があったのでそこで車中泊。

麓から見た大きな二等辺三角形の目国内岳は、すさまじい雪庇尾根と王冠の頂上を持っていた。その雪庇尾根は最高の雪質になっていて、かって経験したことのない最高の滑走となった。

ホロホロと徳峻瞥山