早池峰 白い巨大な山の縦走、桃源郷の景観と夢の花
岩手県 早池峰1,917m、中岳1,679m、鶏頭山1,445m 2002年10月5日
剣ヶ峰1,827m 2005年8月7日
薬師岳1,645m 2004年8月15日
(早池峰)日本百名山
339
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小田越登山口からは正面に雲をかぶった早池峰。だが、登山道に入るとすぐに早池峰の全景が広がった。青空の下、緑の山裾の上に、ゆったりと白い巨体を横たえる早池峰。雄大、剛健、しかも優美。背後には逆光で黒い姿の薬師岳。絶好の天気になってきた。
山頂は大勢の登山者、パーティで混んでいる。大きな避難小屋を過ぎ、一等三角点の先の岩場の中央の祠に小さな頂上標識。そのまわりにたくさんの宝剣。赤い壁の早池峰神社は岳集落の早池峰神社の奥宮かな*。歴史と信仰が感じられる頂上。晴れているが風は強い。
縦走路に向かう。行く手の稜線の先に中岳、鶏頭山、毛無森の三つのピークがくっついて見えているのは縦位置のため。実際には中岳は2km、鶏頭山は5kmのかなた。縦走路は岩場と灌木帯の連続。這い登ったり飛び越えたりの道もあり、ロック・クライミングのような場所もある。
16時、鶏頭山頂上着。鶏頭山の先に岩峰がいくつかあり、その最後がニセ鶏頭。薬師岳が姫神山のような見事な三角形になっている。早池峰は中岳の背後にもう小さな姿。岳集落を見守る地蔵尊と毛無森。紅葉がきれい。
(薬師岳)
10時半前、薬師岳登山口。最初は木道。だんだん急になり、岩を登ったり、鎖もある。途中にある大きな岩の脇を越えていく。人の声がすると思ったら親子連れ。ロボット雨量計のアンテナが見えている。ハイ松の中の道を辿り、12時前に薬師岳頂上。
(剣ヶ峰)
剣ヶ峰分岐を右に向かう。岩場からは東方に剣ヶ峰の二つの峰が見えている。遠目には余り目立たない早池峰・剣ヶ峰だが、ここから見る剣ヶ峰はその名にふさわしく尖った鋭鋒の姿。左側は斜めの直線だが、右側はギザギザの非対称。岩場にはくたびれたナデシコ。そしてウスユキソウ。童話の世界の白い綿毛の花。
11時前、剣ヶ峰に到達。横長の山頂だが、最高点と思われる部分は裸地の岩場。ゆがんだハイマツが風の強さを物語る。
12時半、早池峰山頂。静かな山頂。こんなに人が少ないのは初めて。視界はないが、花はたくさん。コバイケイソウの白い群落。濃いピンクはイブキジャコウソウ。岩場にはコバノツメクサ(カトウハコベ?)。
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(2002年10月5日 縦走)
前日夜22時半頃、岳駐車場着。寝袋で寝る。翌朝6時前に起床。6時過ぎ出発。鶏頭山が見えている。中岳も良く見えるが、早池峰のほうはややガスぎみ。県道25を東へ2時間半。岳集落の外れに早池峰神社。3㎞弱のところに清廉の滝。歩いているうちに車10台前後に抜かれる。
途中にある河原坊の駐車場はまだ満車ではなかったが、8㎞弱歩いて着いた小田越の登山口は賑っていた。小田越登山口からは正面に雲をかぶった早池峰。だが、登山道に入るとすぐに早池峰の全景が広がった。青空の下、緑の山裾の上に、ゆったりと白い巨体を横たえる早池峰。雄大、剛健、しかも優美。背後には逆光で黒い姿の薬師岳。絶好の天気になってきた。他のパーティを追い越したり追い抜かれたりしながら岩場の道を登る。丸い岩や四角い岩。「御金蔵」というらしい。何度も止まって写真をとる。鉄バシゴもあった。やがて早池峰の左(西)に縦走尾根と中岳と鶏頭山が見えてくる。えらく遠いが早池峰頂上からは下りだ。
稜線に上がると剣ヶ峰分岐という標識があり、右に行くと剣ヶ峰だが、早池峰は左。真っ白な岩峰をめざす人々。早池峰山頂には約2時間で着。思ったより早い。薬師岳はもう眼下に、なめらかな黒いカーブを描いている。山頂は大勢の登山者、パーティで混んでいる。大きな避難小屋を過ぎ、一等三角点の先の岩場の中央の祠に小さな頂上標識。そのまわりにたくさんの宝剣。赤い壁の早池峰神社は岳集落の早池峰神社の奥宮かな*。歴史と信仰が感じられる頂上。晴れているが風は強い。岩の陰で昼食。
*因みに、早池峰神社というのは二つあり、岳集落(花巻市)の早池峰神社と薬師岳の南(遠野市)の早池峰神社がある。遠野から早池峰はかなり遠く、市内からは見えないと思うが、「遠野物語」には有名な三姉妹の話(女神の末娘が一番美しい早池峰をもらったという話)があり、早池峰と遠野の絆は強い。
早池峰頂上で約1時間過ごし、12時半頃縦走路に向かう。行く手の稜線の先に中岳、鶏頭山、毛無森の三つのピークがくっついて見えているのは縦位置のため。実際には中岳は2km、鶏頭山は5kmのかなた(毛無森へは更に1.5㎞だが、登山道はない)。縦走路は岩場と灌木帯の連続。這い登ったり飛び越えたりの道もあり、ロック・クライミングのような場所もある。灌木(ハイ松だったと思う)の密集地帯の先にある中岳山頂へは意外と時間かかり、1回間違え、中岳の岩場の頂上に30分遅れの13時半着。ここにも三角点と頂上標識。
中岳からの下りには背丈を越える岩場の下りがあり、後ろ向きで最後は少し飛び降りたと思う。下りだから越えられたが、登りだと途方に暮れたかもしれない。鶏頭山への途中から灌木帯が笹原の道となり、だいぶ楽になったと思う。
16時、鶏頭山頂上着。一応スケジュール通り。鶏頭山の先(麓から見ると手前)に岩峰がいくつかあり、その最後がニセ鶏頭。ニセ鶏頭の先までの2~3のピークで写真をたくさん写す。薬師岳が姫神山のような見事な三角形になっている。早池峰は中岳の背後にもう小さな姿。岳集落を見守る地蔵尊と毛無森。紅葉がきれい。ニセ鶏頭を経て下り始めるが、山小屋まで時間かかる。もう夕日。ニセ鶏頭から山小屋まで約30分。このあと30分で着くはずが結局17時半過ぎまでかかる。18時頃までは明るいと思っていたが、林の中、山の中では日没が早い。17時にまわりが暗くなり、真っ暗ななかを山道を下る。登山口にやっと着く。やれやれ。車を飛ばし、盛岡へ。パークシティに泊まり、三千里で焼肉を食べる。
(2004年8月15日 薬師岳)
(河原坊から早池峰に登り、薬師岳登山口のある小田越に下る。曇空。沢沿いから岩場の道。ウメバチソウにヨメナ)
10時半前、薬師岳登山口。最初は木道。11時前、中間点(頂上まで0.8km、登山口まで0.7km)。だんだん急になり、岩を登ったり、鎖もある。視界が開けてくると早池峰の山腹が見える。頂上は見えない。ガスが山腹を流れている。行く手の薬師岳は見えていて、途中にある大きな岩の脇を越えていく。しかし東から薬師の山腹をガスが登ってきて、稜線に出たときはガスの中。人の声がすると思ったら親子連れ。ロボット雨量計のアンテナが見えている。頂上はまだこの先。ハイ松の中の道を辿り、12時前に薬師岳頂上。
三角点と頂上標識あり。視界が無いのが残念。少し待ってみるが状況は好転しそうもないので出発。別の道があり、周回できたが、親子連れが先にいるので、元の道を戻る。天気が悪いので、知らないルートを下りるのも避けたい。案の定、雨が降ってきた。レインウェアの下を着、ザックカバーを着ける。もう早池峰を見るどころではない。13時に木道に至り、登山口に着く。ここまで来ると雨は止んでいる。小田越から車道をトボトボ歩き、13時半杉、河原坊。手前に宮沢賢治の詩碑がある。岳まで乗せてくれという女性を送り、岳で荷物を整理する。結局、ビールを諦め、昼食は花輪SAで食べる。
(2005年8月7日 剣ヶ峰)
花巻で高速を降り、飛行場の北側を通って岳に向かう。早池峰ダムのところで鶏頭が見える。曇っているが期待できそうだ。道路に案内が出ていて、8月7日までマイカー規制だという。行ってみると岳の駐車場のところで通行止め。駐車場で準備していると、もうバスが出るというので急ぐ。往復1,000円。バスの中でスパッツを着け、イヤホーンを着け、カメラ・バンドをかける。サングラスをいったん出すが、曇っているのでしまう。
8時、小田越登山口。バス最終は16時22分だという。道路反対側に行くと早池峰全景が見えている。曇っているが一日もつかな。パトロールらしき人たちがたくさん。団体が先を行ったが、追いつかず。3回目の小田越だが、淡々と登る。テント縦走の後だったので、40リットル・ザックは無いも同然の軽さ。8時半過ぎ、岩稜帯。ひょいひょいとはいかない。滑らないよう慎重に進む。このあたりから上に見えていた付近が五合目で、思ったより時間がかかる。9時半前、五合目御金蔵。四角い岩が頭のように乗っかっている。時々、休んでいる人を追い越し、速い人に抜かれる。10時前、ハシゴ場。2段のうち1段目は左側斜面(ロープあり)を登る。2段目のハシゴを登ると、早池峰の頂上は近い。
10時剣ヶ峰分岐(1,830m)。右へ、剣ヶ峰に向かう。最初はロープで仕切ってある道を行くが、岩場になってロスト。岩場に上って稜線伝いに行くが、右手は断崖。少し進むと左手の踏み跡に行き当たる。これを3回くらい繰り返す。つまり、岩場に登らなくても左側に巻き道があるのだ。岩場からは東方に剣ヶ峰の二つの峰が見えている。遠目には余り目立たない早池峰・剣ヶ峰だが、ここから見る剣ヶ峰はその名にふさわしく尖った鋭鋒の姿。左側は斜めの直線だが、右側はギザギザという非対称。4年前に初めてこの山を見たとき、この個性的な姿が印象的だった。岩場にはくたびれたナデシコ。そしてウスユキソウ。童話の世界の白い綿毛の夢の花。10時半、鞍部の森林帯に入る。ハエが飛び交っているが、刺さないようだ。10時半過ぎ、前峰1,820m。剣ヶ峰はもう近い。振り返ると岩峰の右手に早池峰の頂上が見えている。山頂小屋の右隣に赤い社。
11時前、剣ヶ峰に到達。横長の山頂だが、最高点と思われる部分は裸地の岩場。ゆがんだハイマツが風の強さを物語る。ここで食事。ハエがうるさい。東への踏み跡はハイ松で消えている。この先はだいぶ下る感じ。ガスが昇ってきて薬師は見えない。北側の斜面は見えていたが、じきにガスで埋まる。11時半、剣ヶ峰発。
12時半、早池峰山頂。小屋の前に管理人が立っている。トイレを借りたが、三つのうち二つは簡易トイレ専用となっている。一度使ってみるべきか。静かな山頂。こんなに人が少ないのは初めて。視界はないが、花はたくさん。コバイケイソウの白い群落。濃いピンクはイブキジャコウソウ。岩場にはコバノツメクサ(カトウハコベ?)。下りでたくさん人を追い越して行く。長靴のパトロールが登っている。14時半、小田越着。次のバスは14時40分。小屋のトイレを借りる。車やバイクがやって来るが、駐車禁止なので戻って行く。15時過ぎ、岳駐車場。ワインを売っていたが買わず。鶏頭を写して出発。花巻で高速。青空にでかい入道雲。松尾八幡平で降りて安代の温泉(あづみの湯)に寄って行く。500円。岩手山は全く見えず。前森山はぼんやり見えていたが、西根のあたりからは夕立で、あづみの湯からは雷が聞こえていた。
(2002年10月5日 縦走)
早池峰国定公園ガイドマップ
前日夜22時半頃、岳駐車場着。寝袋で寝る。翌朝6時前に起床。6時過ぎ出発。鶏頭山が見えている。中岳も良く見えるが、早池峰のほうはややガスぎみ。県道25を東へ2時間半。岳集落の外れに早池峰神社。3㎞弱のところに清廉の滝。歩いているうちに車10台前後に抜かれる。
朝の鶏頭山
早池峰神社
青廉の滝
早池峰
小田越登山口から早池峰
8㎞弱歩いて着いた小田越の駐車場も賑っていたがまだ満車ではなかった。小田越登山口からは正面に雲をかぶった早池峰。だが、登山道に入るとすぐに早池峰の全景が広がった。青空の下、緑の山裾の上に、ゆったりと白い巨体を横たえる早池峰。雄大、剛健、しかも優美。背後には逆光で黒い姿の薬師岳。絶好の天気になってきた。他のパーティを追い越したり追い抜かれたりしながら岩場の道を登る。丸い岩や四角い岩。「御金蔵」というらしい。何度も止まって写真をとる。鉄バシゴもあった。やがて早池峰の左(西)に縦走尾根と中岳と鶏頭山が見えてくる。えらく遠いが早池峰頂上からは下りだ。
早池峰
岩の道
薬師岳と丸い岩
縦走路が見える: 鶏頭山、中岳、早池峰
四角い岩(御金蔵?)
頂上稜線に向かう道
剣ヶ峰分岐
稜線に上がると剣ヶ峰分岐という標識があり、右に行くと剣ヶ峰だが、早池峰は左。真っ白な岩峰をめざす人々。早池峰山頂には約2時間で着。思ったより早い。薬師岳はもう眼下に、なめらかな黒いカーブを描いている。山頂は大勢の登山者、パーティで混んでいる。大きな避難小屋を過ぎ、一等三角点の先の岩場の中央の祠に小さな頂上標識。そのまわりにたくさんの宝剣。赤い壁の早池峰神社は岳集落の早池峰神社の奥宮かな*。歴史と信仰が感じられる頂上。晴れているが風は強い。岩の陰で昼食。
*因みに、早池峰神社というのは二つあり、岳集落(花巻市)の早池峰神社と薬師岳の南(遠野市)の早池峰神社がある。遠野から早池峰はかなり遠く、市内からは見えないと思うが、「遠野物語」には有名な三姉妹の話(女神の末娘が一番美しい早池峰をもらったという話)があり、早池峰と遠野の絆は強い。
稜線から見る早池峰頂上
薬師岳
早池峰山頂避難小屋
早池峰頂上の祠と宝剣
三角点
早池峰神社
早池峰から見る縦走路: 鶏頭山、中岳、毛無森
縦走路から振り返り見る早池峰
早池峰頂上で約1時間過ごし、12時半頃縦走路に向かう。行く手の稜線の先に中岳、鶏頭山、毛無森の三つのピークがくっついて見えているのは縦位置のため。実際には中岳は2km、鶏頭山は5kmのかなた(毛無森へは更に1.5㎞だが、登山道はない)。縦走路は岩場と灌木帯の連続。這い登ったり飛び越えたりの道もあり、ロック・クライミングのような場所もある。灌木(ハイ松だったと思う)の密集地帯の先にある中岳山頂へは意外と時間かかり、1回間違え、中岳の岩場の頂上に30分遅れの13時半着。ここにも三角点と頂上標識。
薬師岳
中岳
中岳の頂上標識
中岳の三角点と早池峰
中岳を振り返る
中岳からの下りには背丈を越える岩場の下りがあり、後ろ向きで最後は少し飛び降りたと思う。下りだから越えられたが、登りだと途方に暮れたかもしれない。鶏頭山への途中から灌木帯が笹原の道となり、だいぶ楽になったと思う。
ニセ鶏頭と鶏頭山
水場分岐
鶏頭山と笹の道
鶏頭山頂上
16時、鶏頭山頂上着。一応スケジュール通り。鶏頭山の先(麓から見ると手前)に岩峰がいくつかあり、その最後がニセ鶏頭。ニセ鶏頭の先までの2~3のピークで写真をたくさん写す。薬師岳が姫神山のような見事な三角形になっている。早池峰は中岳の背後にもう小さな姿。岳集落を見守る地蔵尊と毛無森。紅葉がきれい。ニセ鶏頭を経て下り始めるが、山小屋まで時間かかる。もう夕日。ニセ鶏頭から山小屋まで約30分。このあと30分で着くはずが結局17時半過ぎまでかかる。18時頃までは明るいと思っていたが、林の中、山の中では日没が早い。17時にまわり暗くなる。真っ暗ななかを山道を下る。登山口にやっと着く。やれやれ。車を飛ばし、盛岡へ。パークシティに泊まり、三千里で焼肉を食べる。
毛無森
紅葉
ニセ鶏頭
ニセ鶏頭手前からの景観: 鶏頭山、中岳、早池峰、薬師岳
ニセ鶏頭頂上
地蔵尊と毛無森
ニセ鶏頭からの景観: 鶏頭山、中岳、早池峰、薬師岳
紅葉と毛無森
ニセ鶏頭と薬師岳
七ツ滝分岐
夕日
避難小屋
鶏頭山登山口
(2004年8月15日 薬師岳)
河原坊登山口
(河原坊から早池峰に登り、薬師岳登山口のある小田越に下る。曇空。沢沿いから岩場の道。ウメバチソウにヨメナ)
沢筋の道
岩場の道
御金蔵
ウメバチソウ
ヨメナ
薬師岳と登山口
10時半前、薬師岳登山口。最初は木道。11時前、中間点(頂上まで0.8km、登山口まで0.7km)。だんだん急になり、岩を登ったり、鎖もある。視界が開けてくると早池峰の山腹が見える。頂上は見えない。ガスが山腹を流れている。行く手の薬師岳は見えていて、途中にある大きな岩の脇を越えていく。しかし東から薬師の山腹をガスが登ってきて、稜線に出たときはガスの中。人の声がすると思ったら親子連れ。ロボット雨量計のアンテナが見えている。頂上はまだこの先。ハイ松の中の道を辿り、12時前に薬師岳頂上。
薬師岳
巨大な岩
薬師岳頂上
三角点と頂上標識あり。視界が無いのが残念。少し待ってみるが状況は好転しそうもないので出発。別の道があり、周回できたが、親子連れが先にいるので、元の道を戻る。天気が悪いので、知らないルートを下りるのも避けたい。案の定、雨が降ってきた。レインウェアの下を着、ザックカバーを着ける。もう早池峰を見るどころではない。13時に木道に至り、登山口に着く。ここまで来ると雨は止んでいる。小田越から車道をトボトボ歩き、13時半杉、河原坊。手前に宮沢賢治の詩碑がある。岳まで乗せてくれという女性を送り、岳で荷物を整理する。結局、ビールを諦め、昼食は花輪SAで食べる。
宮沢賢治詩碑
おお青く広がるイーハトーボのこどもたち
グリムやアンデルセンを読んでしまったら
じぶんでがまのはむばきを編み
綿木の白い帽子を買って
この底なしの蒼い空気の渕に立つ
巨きな菓子の塔を攀ぢよう
イーハトーボ(=イーハトーブ)とは宮沢賢治の造語で、桃源郷、理想郷のこと
(2005年8月7日 剣ヶ峰)
剣ヶ峰分岐
花巻で高速を降り、飛行場の北側を通って岳に向かう。早池峰ダムのところで鶏頭が見える。曇っているが期待できそうだ。道路に案内が出ていて、8月7日までマイカー規制だという。行ってみると岳の駐車場のところで通行止め。駐車場で準備していると、もうバスが出るというので急ぐ。往復1,000円。バスの中でスパッツを着け、イヤホーンを着け、カメラ・バンドをかける。サングラスをいったん出すが、曇っているのでしまう。
くたびれナデシコ
8時、小田越登山口。バス最終は16時22分だという。道路反対側に行くと早池峰全景が見えている。曇っているが一日もつかな。パトロールらしき人たちがたくさん。団体が先を行ったが、追いつかず。3回目の小田越だが、淡々と登る。テント縦走の後だったので、40リットル・ザックは無いも同然の軽さ。8時半過ぎ、岩稜帯。ひょいひょいとはいかない。滑らないよう慎重に進む。このあたりから上に見えていた付近が五合目で、思ったより時間がかかる。9時半前、五合目御金蔵。四角い岩が頭のように乗っかっている。時々、休んでいる人を追い越し、速い人に抜かれる。10時前、ハシゴ場。2段のうち1段目は左側斜面(ロープあり)を登る。2段目のハシゴを登ると、早池峰の頂上は近い。
ウスユキソウと蜂
ウスユキソウ
ウスユキソウ
剣ヶ峰
10時剣ヶ峰分岐(1,830m)。右へ、剣ヶ峰に向かう。最初はロープで仕切ってある道を行くが、岩場になってロスト。岩場に上って稜線伝いに行くが、右手は断崖。少し進むと左手の踏み跡に行き当たる。これを3回くらい繰り返す。つまり、岩場に登らなくても左側に巻き道があるのだ。岩場からは東方に剣ヶ峰の二つの峰が見えている。遠目には余り目立たない早池峰・剣ヶ峰だが、ここから見る剣ヶ峰はその名にふさわしく尖った鋭鋒の姿。左側は斜めの直線だが、右側はギザギザという非対称。
剣ヶ峰
4年前に初めてこの山を見たとき、この個性的な姿が印象的だった。岩場にはくたびれたナデシコ。そしてウスユキソウ。童話の世界の白い綿毛の夢の花。10時半、鞍部の森林帯に入る。ハエが飛び交っているが、刺さないようだ。10時半過ぎ、前峰1,820m。剣ヶ峰はもう近い。振り返ると岩峰の右手に早池峰の頂上が見えている。山頂小屋の右隣に赤い社。
剣ヶ峰
剣ヶ峰頂上
11時前、剣ヶ峰に到達。横長の山頂だが、最高点と思われる部分は裸地の岩場。ゆがんだハイマツが風の強さを物語る。ここで食事。ハエがうるさい。東への踏み跡はハイ松で消えている。この先はだいぶ下る感じ。ガスが昇ってきて薬師は見えない。北側の斜面は見えていたが、じきにガスで埋まる。11時半、剣ヶ峰発。
稜線の木道
早池峰頂上
コバイケイソウ
イブキジャコウソウ
コバノツメクサ(カトウハコベ?)
入道雲
12時半、早池峰山頂。小屋の前に管理人が立っている。トイレを借りたが、三つのうち二つは簡易トイレ専用となっている。一度使ってみるべきか。静かな山頂。こんなに人が少ないのは初めて。視界はないが、花はたくさん。コバイケイソウの白い群落。濃いピンクはイブキジャコウソウ。岩場にはコバノツメクサ(カトウハコベ?)。下りでたくさん人を追い越して行く。長靴のパトロールが登っている。14時半、小田越着。次のバスは14時40分。小屋のトイレを借りる。車やバイクがやって来るが、駐車禁止なので戻って行く。15時過ぎ、岳駐車場。ワインを売っていたが買わず。鶏頭を写して出発。花巻で高速。青空にでかい入道雲。松尾八幡平で降りて安代の温泉(あづみの湯)に寄って行く。500円。岩手山は全く見えず。前森山はぼんやり見えていたが、西根のあたりからは夕立で、あづみの湯からは雷が聞こえていた。