尾太岳 白神東部の鋭鋒
青森県 1,083m 2014年3月1日
青森110山
ガイド「白神山地の山々」
253
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軽い気持ちで向かった尾太岳は、雪質が悪く、登り下りともお疲れ雪山登山となった。
スノーブリッジを見つけて湯ノ沢川を渡り、取付いた雪沢の真上に見える尾太岳頂上は近く見えた。
しかし、雪沢は狭くて急になり、尾根に上がっても雪質が悪く、シールとアイゼンを何度か切替え、ピッケルも使って登る。
もう夕方になって頂上に着くと、曇空の下に白神の山々が勢揃いしていた。その中央で、白き神の山は西の果てに巨体を横たえ、山々を見守っていた。苦労して頂上にたどり着いた者だけに与えられる、すばらしき山の世界。
下りは飛ばすぞ、と思っていたが、雨上がり後の雪は引っかかってショートターン不可能。慎重なジャンプターンと横滑りでずるずる降り、雪原斜面のみ大きなジャンプターンで飛ばす。
最後の難関、三つの雪壁斜面をクリアして、やっと緊張感から解放される。下りは1時間半弱だったが、緊張感で長く感じ、くたくた。西目屋のやすらぎの湯につかって生き返る。
OOOOOO
白神の東端にあるピラミッドの姿の尾太岳を周囲の山から何度も見た
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
弘前のガソリンは安く、青森・岡本152円に対し、146円だった。翌日、道の駅いなかだての空は曇。岩木山の頂上は雲の中。しかし、低い山は見えている。前日にキウイーで購入したゲッコ・シールを貼り、国道102号を西に向かう。西目屋に入り、建設中の高架路のところで左折し、県道西目屋二ツ井線に入る。「冬季閉鎖区間のため全面通行止」とあったが、行けるところまで行こう。川筋を南下するが、道路は雪と泥で荒れている。工事中の箇所を迂回し、監視員にも止められず、先に進む。もう一つ道路工事箇所を通過し、川の右岸に渡る。
前方右に尾太岳らしき白いピラミッド。トラックが何台もやってきて、道を譲ったり譲られたり。尾太鉱山というのは地下に70数キロの坑道が掘られたらしいが、地上で見たのは工事現場と処理施設のみ。右岸にある工事現場入口の広場を通過。この奥でダムか何かの工事をやっていて、トラックはそこから来たのだろう。その先の道路は荒れていなかった。川の左岸と右岸に建物のある処分場らしきところが除雪終了地点。明かりが灯っていたが、人の姿は見ず。対岸の林斜面の上に白い稜線が見えている。
右岸の最奥の建物の裏に駐車し、除雪終了点までスキーを担いで歩く。車道の雪の窪みに迷い込んでいるネズミ。雪を登って除雪されていない車道をシールで歩く。雪の車道の上にはワカンの踏跡があり、それが尾太岳まで続いているのだろうと考える。「傾いた鉄橋」というのがあるはず(「今はもうない」とガイドに記載)。それらしき橋が見えたが、それは水道管の橋だった。(そのすぐ先にスノーブリッジがあったが、このときには気づかず。)踏跡も続いていたので、車道を進むが、スノーブリッジの先に雪で埋まった沢筋があり、その真上に尾太岳P1が真っ白く見えていた。P1の左後にわずかに尾太岳の頂上が見えている。
「傾いた橋」は見つからないまま、踏跡は左(東)斜面に登っていってしまう。たぶん高圧電線か鉱山施設の点検なのだろう。右(西)を流れる湯ノ沢川を渡れないと尾太岳には登れない。もう少し先まで歩いたが、上流にはスノーブリッジは見つからない。これでは無理と決断し、引き返すことにする。シールを外し、二つ折りにして袋にしまい、アイスバーンに近くてよく滑る車道を滑る。
もう車に戻って帰宅を考えていたが、水道管の橋のところまで戻って、そこに幅広のスノーブリッジがあり、対岸に渡れることに気づく。往路ではなぜ気付かなかったのだろう。急傾斜のアイスバーンを滑って河原に降り、スノーブリッジをなんなく渡る。シールを貼った状態では滑り降りにくい急斜面だが、スキーならば簡単だった。対岸でザックを下ろし、スキーにシールを貼り直し、沢筋を登り始める。雪の沢の真上に頂上が見えているので、沢を登ったのだが、両岸のいずれかの尾根に最初から取付くことも考えた。いや、もう少し沢を登ってからの方がよいだろう。
沢筋と尾太岳P1の写真を見ると、この日に登ったルートが分かるが、ピッケルを使った壁斜面は下2/3、上1/3の基部に見える左岸尾根に取付、P1の右側(北側)から登ったのだが、下からはずいぶん短く見えている。
やがてシールでは登れない傾斜となり、アイゼンに切り替える。狭くて急な箇所を登っていくと、アイズバーンが出ている箇所に手が使えず、三点保持ができないため、いったん下ってピッケルを持ち、ピッケルをアイズバーンに立てて登る。ピッケルの柄が刺さらないところは、ピッケルの歯を刺して進む。ピッケルの歯で左手の手掛かりを作り、それからピッケルの歯をアイズバーンに射し、両手で支えておいて両足を交互に持ち上げる。こいつは本格的な登山になってしまった。
しばらくアイゼンで登るが、アイズバーンの箇所を過ぎると雪は緩く、歩きにくい。デブリの沢筋から左岸の尾根に上がり、傾斜が少し緩んだところでシールに切り替える。樹木の周辺に雪の薄いところがあり、踏み抜いてしまうのでアイゼンでは登りにい。背後の陣岳が見えているが、まだそれよりも低い。沢筋をたどると行き詰ってしまうと考え、尾根に上がったのだが、沢筋は広がって尾根に繋がっており、沢筋を登っていてもよかったかもしれない。樹木の無い雪原斜面を登り、再び林の中に入ったところで、最初の休憩。もうだいぶ歩いた。
林斜面の上で広くて急な雪原斜面に出る。キックターンを繰り返しながら登っていく。雪原斜面の上で北東尾根の稜線に達し、雪庇の小さい箇所を乗り越えて北東尾根に乗る。右手に薬師森、左上にP1。視界が広がり、南東方向に田代岳が見える。稜線には針葉樹が生えており、その間を登っていくが、傾斜が急になり、スキーでは登れなくなってアイゼンに切り替える。行き詰るまでスキーで登ったのは、少し上まで登ればまたスキーで登れると思ったからだが、雪が柔らかく、アイゼンでは登りにくいこともあった。もう陣岳も同じくらいの高さになり、北東に雲で頭の隠れた岩木山。工事の音が聞こえ、その工事現場がはるか下に見える。急斜面の途中に黄色いクレーン。
右手の薬師森が目の高さとなったあたりでピンクリボンを発見。ここにも夏道があるのだろうか。はるか眼下に雪の間を流れる湯ノ沢川。更に登ると、P1の向こうに尾太岳の頂上が見えてくる。やはりP1は頂上ではなかった。そのP1に到着。北に真っ白いダム湖。南に続く稜線。午後の太陽を背にした尾太岳の頂上。登るにつれて薬師森はどんどん低くなり、その向こうに弁天森が見えてくる。
もう夕方になって頂上に着くと、曇空の下に白神の山々が勢揃いしていた。その中央で、白き神の山は西の果てに巨体を横たえ、山々を見守っていた。苦労して頂上にたどり着いた者だけに与えられる、すばらしき山の世界。ストックを立てるのも忘れて山々を撮影。しばらくして我に返り、ザックを下ろす。山頂は広く丸い雪原で、西側に少し岩と木が出ているが、三角点や標識は雪に埋まっていた。アイゼンを外し、シールを剥がして帰りの準備をしてからホットレモンを飲む。しばらく横になったが、風が冷たくて長くはいられない。
(四周の情景)・南には藤里駒ヶ岳の雄姿。・藤里駒ヶ岳の右手前は1,098m峰で、その右奥が冷水岳かもしれない。・南東には田代岳。いくつか並んだピークの一番奥が田代岳で、手前の高いピークは烏帽子岳のようだ。・西にはゆったり大きい陣岳。その奥に同じような姿の陣場岳が並ぶ。・北西には頭の隠れた岩木山。・北に真っ白い西目屋ダム湖(現在は津軽白神湖)。その奥に見えている双耳の左が然ヶ岳らしい。・北西に伸びる尾太岳の稜線の先の白いピークが薬師森995m。その向こうのブナの山が弁天森980mだろう(3065)。・西には太夫峰、向白神岳、白神岳が並ぶ。すぐ上に分厚い雲があるが、頂上は見えている。・太夫峰の三つのピーク(吉ヶ峰、直角峰、太夫峰)の手前には白い頭の天狗岳。その更に手前に櫛石山が見えているはず。・向白神岳には三つの頂上と北にある静御殿。・白い神の山は西の果てに白い巨体を横たえ、山々を見守っていた。・その白神岳の右手前の尾根のあたりに鍋倉森があるはず。・白神岳の左手前に隠れている鋭鋒が摩須賀岳のようだ。その左(南)、少し離れたところにある大きなのがタケガクラノボッチだろうか。・南西には、秋田との県境周辺の山々・大きな白い斜面の青鹿岳・双耳の二ツ森・泊岳と二ツ森の間にピークをいくつか並べた雁森岳・南西で目立つピラミッドの泊岳・ゆったり両裾を広げる小岳・小岳の左の丸いピークは大臼岳かもしれない
今はもうはやらないカービング仕様のK2で滑走開始。急だが平らな雪斜面を滑り、すぐにターンしにくい雪質であると分かる。ちょっと間違えると引っかけて転ぶだろう。慎重にジャンプターン。木曜夜から金曜にかけて雨が降っており、それで雪質が最悪の状態になっていたようだ。背後に頂上に続く踏跡。日影なので薄暗い。P1まで滑り降り、眼下に麓の川まで続く急斜面。ここに飛び込めれば最高だが、この雪質では無理。登ってきた尾根ルートを慎重ターンと横滑りで下る。これだと時間がかかるなあ、と思ったが、下りに要した合計タイムはそれほどでもない。
ブッシュの出ているところを尾根の左側(西側)に滑り込む。が、そっちも急斜面になっているのですぐに尾根に戻る。ようやくアイゼンに切り替える前のスキートレースのところに達する。北東尾根に上がったところから、広大な雪斜面になっている沢の左岸斜面に滑り込む。沢の源頭部まで下ってみるが、デブリのところはまるで滑りにくく、下に向かって滑れない。沢筋の左岸に戻り、デブリのない平らな斜面をジャンプターンで飛ばす。ここが本日のハイライトかな。やがて登りトレースに合流。
林に達し、デブリが出てきたので、左岸から沢筋の中に滑り込む。しばらく横滑りでずるずると下り、沢筋から左岸尾根に登った箇所に達する。いよいよ滑りにくい狭い垂直に近い壁斜面。最初の壁斜面は横滑りでずるずる下る。スキーの滑り止めストラップを付けていたが、外れることは無かった。二つ目の壁斜面は、前半はブッシュを掴んで下り、ブッシュがなくなった後半をジャンプターンで飛び込み、無事着地。
最後の壁斜面が一番きつく、ブッシュもない。まあ、転んでも10mくらいで止まるだろう。横滑りで壁斜面の上まで下る。スキーのエッジはしっかりアイスバーンにかかり、滑り落ちなかった。ハラが決まったところでジャンプ。左にターンし、デブリの中に無事に着地。なんだ、簡単だ。
もうハードルは過ぎた。川までゆっくり滑り、スノーブリッジを越え、対岸の車道までの土手をスキーのまま横登り。朝はアイスバーンだった雪は柔らかくなっており、歩くと踏み抜いていただろう。スキーの横登りが正解。ビンディングを外して雪の車道をゆっくり戻る。もしかすると二ツ井線は夜間閉鎖かもしれない、と思い、着替えずに国道まで走ることにする。車の中で一休みしたかったが、休まずに車を出す。処理場には明かりが点いていたが人気はなし。工事現場にも明かりは灯っていたが、人気はなし。音もしなくなっていて、もう誰もいないのだろう。国道手前の高架橋の真下で駐車し、着替えをする。だいぶ汗をかいていた。雪質が悪く、登り下りともお疲れ雪山登山となった。
西目屋のやすらぎの湯、もりのいずみはダムのすぐ近く。湯につかって生き返る。弘前西にあるイーオンで買い物。車に戻り、少し休憩してから帰宅。
尾太岳
弘前のガソリンは安く、青森・岡本152円に対し、146円だった。翌日、道の駅いなかだての空は曇。岩木山の頂上は雲の中。しかし、低い山は見えている。前日にキウイーで購入したゲッコ・シールを貼り、国道102号を西に向かう。西目屋に入り、建設中の高架路のところで左折し、県道西目屋二ツ井線に入る。「冬季閉鎖区間のため全面通行止」とあったが、行けるところまで行こう。川筋を南下するが、道路は雪と泥で荒れている。工事中の箇所を迂回し、監視員にも止められず、先に進む。もう一つ道路工事箇所を通過し、川の右岸に渡る。
前方右に尾太岳らしき白いピラミッド。トラックが何台もやってきて、道を譲ったり譲られたり。尾太鉱山というのは地下に70数キロの坑道が掘られたらしいが、地上で見たのは工事現場と処理施設のみ。右岸にある工事現場入口の広場を通過。この奥でダムか何かの工事をやっていて、トラックはそこから来たのだろう。その先の道路は荒れていなかった。川の左岸と右岸に建物のある処分場らしきところが除雪終了地点。明かりが灯っていたが、人の姿は見ず。対岸の林斜面の上に白い稜線が見えている。
鉱山跡処理場
右岸の最奥の建物の裏に駐車し、除雪終了点までスキーを担いで歩く。車道の雪の窪みに迷い込んでいるネズミ。雪を登って除雪されていない車道をシールで歩く。雪の車道の上にはワカンの踏跡があり、それが尾太岳まで続いているのだろうと考える。「傾いた鉄橋」というのがあるはず(「今はもうない」とガイドに記載)。それらしき橋が見えたが、それは水道管の橋だった。(そのすぐ先にスノーブリッジがあったが、このときには気づかず。)踏跡も続いていたので、車道を進むが、スノーブリッジの先に雪で埋まった沢筋があり、その真上に尾太岳P1が真っ白く見えていた。P1の左後にわずかに尾太岳の頂上が見えている。
沢筋と尾太岳P1
「傾いた橋」は見つからないまま、踏跡は左(東)斜面に登っていってしまう。たぶん高圧電線か鉱山施設の点検なのだろう。右(西)を流れる湯ノ沢川を渡れないと尾太岳には登れない。もう少し先まで歩いたが、上流にはスノーブリッジは見つからない。これでは無理と決断し、引き返すことにする。シールを外し、二つ折りにして袋にしまい、アイスバーンに近くてよく滑る車道を滑る。
もう車に戻って帰宅を考えていたが、水道管の橋のところまで戻って、そこに幅広のスノーブリッジがあり、対岸に渡れることに気づく。往路ではなぜ気付かなかったのだろう。急傾斜のアイスバーンを滑って河原に降り、スノーブリッジをなんなく渡る。シールを貼った状態では滑り降りにくい急斜面だが、スキーならば簡単だった。対岸でザックを下ろし、スキーにシールを貼り直し、沢筋を登り始める。雪の沢の真上に頂上が見えているので、沢を登ったのだが、両岸のいずれかの尾根に最初から取付くことも考えた。いや、もう少し沢を登ってからの方がよいだろう。
沢筋と尾太岳P1の写真を見ると、この日に登ったルートが分かるが、ピッケルを使った壁斜面は下2/3、上1/3の基部に見える左岸尾根に取付、P1の右側(北側)から登ったのだが、下からはずいぶん短く見えている。
尾太岳P1
左奥に頂上
スノー・ブリッジ
急な沢筋の登り
やがてシールでは登れない傾斜となり、アイゼンに切り替える。狭くて急な箇所を登っていくと、アイズバーンが出ている箇所に手が使えず、三点保持ができないため、いったん下ってピッケルを持ち、ピッケルをアイズバーンに立てて登る。ピッケルの柄が刺さらないところは、ピッケルの歯を刺して進む。ピッケルの歯で左手の手掛かりを作り、それからピッケルの歯をアイズバーンに射し、両手で支えておいて両足を交互に持ち上げる。こいつは本格的な登山になってしまった。
左岸林斜面
しばらくアイゼンで登るが、アイズバーンの箇所を過ぎると雪は緩く、歩きにくい。デブリの沢筋から左岸の尾根に上がり、傾斜が少し緩んだところでシールに切り替える。樹木の周辺に雪の薄いところがあり、踏み抜いてしまうのでアイゼンでは登りにい。背後の陣岳が見えているが、まだそれよりも低い。沢筋をたどると行き詰ってしまうと考え、尾根に上がったのだが、沢筋は広がって尾根に繋がっており、沢筋を登っていてもよかったかもしれない。樹木の無い雪原斜面を登り、再び林の中に入ったところで、最初の休憩。もうだいぶ歩いた。
北東尾根
林斜面の上で広くて急な雪原斜面に出る。キックターンを繰り返しながら登っていく。雪原斜面の上で北東尾根の稜線に達し、雪庇の小さい箇所を乗り越えて北東尾根に乗る。右手に薬師森、左上にP1。視界が広がり、南東方向に田代岳が見える。稜線には針葉樹が生えており、その間を登っていくが、傾斜が急になり、スキーでは登れなくなってアイゼンに切り替える。行き詰るまでスキーで登ったのは、少し上まで登ればまたスキーで登れると思ったからだが、雪が柔らかく、アイゼンでは登りにくいこともあった。もう陣岳も同じくらいの高さになり、北東に雲で頭の隠れた岩木山。工事の音が聞こえ、その工事現場がはるか下に見える。急斜面の途中に黄色いクレーン。
薬師森
右手の薬師森が目の高さとなったあたりでピンクリボンを発見。ここにも夏道があるのだろうか。はるか眼下に雪の間を流れる湯ノ沢川。更に登ると、P1の向こうに尾太岳の頂上が見えてくる。やはりP1は頂上ではなかった。そのP1に到着。北に真っ白いダム湖。南に続く稜線。午後の太陽を背にした尾太岳の頂上。登るにつれて薬師森はどんどん低くなり、その向こうに弁天森が見えてくる。
尾太岳
尾太岳
P1・テラス
頂上直前
尾太岳頂上
もう夕方になって頂上に着くと、曇空の下に白神の山々が勢揃いしていた。その中央で、白き神の山は西の果てに巨体を横たえ、山々を見守っていた。苦労して頂上にたどり着いた者だけに与えられる、すばらしき山の世界。ストックを立てるのも忘れて山々を撮影。しばらくして我に返り、ザックを下ろす。山頂は広く丸い雪原で、西側に少し岩と木が出ているが、三角点や標識は雪に埋まっていた。アイゼンを外し、シールを剥がして帰りの準備をしてからホットレモンを飲む。しばらく横になったが、風が冷たくて長くはいられない。
南、西、北の眺望: 藤里駒ヶ岳、小岳、泊岳、二ツ森、摩須賀岳、白神岳、向白神岳、高倉森、弁天森、薬師森、然ヶ岳
西の眺望: 大臼岳?、小岳、泊岳、雁森岳、二ツ森、青鹿岳、タケガクラノボッチ、摩須賀岳、白神岳、鍋倉森、向白神岳、櫛石山?、天狗岳、太夫峰
藤里駒ヶ岳
南には藤里駒ヶ岳の雄姿
田代岳
南東には田代岳。いくつか並んだピークの一番奥が田代岳で、手前の高いピークは烏帽子岳のようだ。
陣岳と神場岳
西にはゆったり大きい陣岳。その奥に同じような姿の陣場岳が並ぶ。
岩木山
北西には頭の隠れた岩木山。
西目屋ダム(津軽白神湖)
北に真っ白い西目屋ダム湖(現在は津軽白神湖)。その奥に見えている双耳の左が然ヶ岳らしい。
然ヶ岳と津軽白神湖
高倉森(背後)、弁天森(中央)、薬師森(手前)
北東に伸びる尾太岳の稜線の先の白いピークが薬師森。その向こうのブナの山が弁天森だろう。その奥に見えているのは高倉森のようだ。
櫛石山?、天狗岳、太夫峰
太夫峰の三つのピーク(吉ヶ峰、直角峰、太夫峰)の手前には白い頭の天狗岳。その更に手前に櫛石山が見えているはず。
向白神岳
向白神岳には三つの頂上と北にある静御殿。
白神岳
白い神の山は西の果てに白い巨体を横たえ、山々を見守っていた。
鍋倉森(手前中央のピーク、背後は白神岳)
その白神岳の右手前の尾根のあたりに鍋倉森があるはず。
摩須賀岳
白神岳の左手前に隠れている鋭鋒が摩須賀岳のようだ。
タケガクラノボッチ
その左(南)、少し離れたところにある大きなのがタケガクラノボッチだろうか。
青鹿岳
大きな白い斜面の青鹿岳
二ツ森
双耳の二ツ森
雁森岳
泊岳と二ツ森の間にピークをいくつか並べた雁森岳
泊岳
南西に目立つピラミッドの泊岳
小岳
ゆったりと両裾を引く小岳
大臼岳?
小岳の左奥の丸いピークは大臼岳かもしれない
滑走
尾太岳頂上からの滑走
今はもうはやらないカービング仕様のK2で滑走開始。急だが平らな雪斜面を滑り、すぐにターンしにくい雪質であると分かる。ちょっと間違えると引っかけて転ぶだろう。慎重にジャンプターン。木曜夜から金曜にかけて雨が降っており、それで雪質が最悪の状態になっていたようだ。背後に頂上に続く踏跡。日影なので薄暗い。P1まで滑り降り、眼下に麓の川まで続く急斜面。ここに飛び込めれば最高だが、この雪質では無理。登ってきた尾根ルートを慎重ターンと横滑りで下る。これだと時間がかかるなあ、と思ったが、下りに要した合計タイムはそれほどでもない。
広大な雪斜面
ブッシュの出ているところを尾根の左側(西側)に滑り込む。が、そっちも急斜面になっているのですぐに尾根に戻る。ようやくアイゼンに切り替える前のスキートレースのところに達する。北東尾根に上がったところから、広大な雪斜面になっている沢の左岸斜面に滑り込む。沢の源頭部まで下ってみるが、デブリのところはまるで滑りにくく、下に向かって滑れない。沢筋の左岸に戻り、デブリのない平らな斜面をジャンプターンで飛ばす。ここが本日のハイライトかな。やがて登りトレースに合流。
急斜面の滑走
林に達し、デブリが出てきたので、左岸から沢筋の中に滑り込む。しばらく横滑りでずるずると下り、沢筋から左岸尾根に登った箇所に達する。いよいよ滑りにくい狭い垂直に近い壁斜面。最初の壁斜面は横滑りでずるずる下る。スキーの滑り止めストラップを付けていたが、外れることは無かった。二つ目の壁斜面は、前半はブッシュを掴んで下り、ブッシュがなくなった後半をジャンプターンで飛び込み、無事着地。
沢筋の滑走
最後の壁斜面が一番きつく、ブッシュもない。まあ、転んでも10mくらいで止まるだろう。横滑りで壁斜面の上まで下る。スキーのエッジはしっかりアイスバーンにかかり、滑り落ちなかった。ハラが決まったところでジャンプ。左にターンし、デブリの中に無事に着地。なんだ、簡単だ。
スノー・ブリッジ
もうハードルは過ぎた。川までゆっくり滑り、スノーブリッジを越え、対岸の車道までの土手をスキーのまま横登り。朝はアイスバーンだった雪は柔らかくなっており、歩くと踏み抜いていただろう。スキーの横登りが正解。ビンディングを外して雪の車道をゆっくり戻る。もしかすると二ツ井線は夜間閉鎖かもしれない、と思い、着替えずに国道まで走ることにする。車の中で一休みしたかったが、休まずに車を出す。処理場には明かりが点いていたが人気はなし。工事現場にも明かりは灯っていたが、人気はなし。音もしなくなっていて、もう誰もいないのだろう。国道手前の高架橋の真下で駐車し、着替えをする。だいぶ汗をかいていた。雪質が悪く、登り下りともお疲れ雪山登山となった。
鉱山跡処理場
温泉もりのいずみ
西目屋のやすらぎの湯、もりのいずみはダムのすぐ近く。湯につかって生き返る。弘前西にあるイーオンで買い物。車に戻り、少し休憩してから帰宅。
周辺から見る尾太岳
雁森岳への途上から見るトライアングルの尾太岳(2016年3月27日)
青鹿岳から見る尾太岳(2015年7月2日)
鍋倉森から見る双耳の尾太岳。左が尾太岳、右は西峰1,010mと思われる(2013年6月29日)