長万部岳 道南のパウダー滑走

北海道・道南  972m  2011年3月5日

北海道百名山

「北海道雪山ガイド」

277

白い斜面の傾斜を斜めに登り、頃合いで大きく片足を広げて逆方向に踏み込む

後ろ足をひねってスキーを同じ方向に揃え、キックターン完了

さあ、あと何回くらいで稜線に着くだろう

まぶしい白い斜面を斜めに登り、頃合いで大きく片足を広げて逆方向に・・・・・

(キックターン)

❄❄❄❄❄

歩き出して10分で体が暖まり、汗まで出てくるので上着を脱ぎ、手袋を薄手に変える。やがて雪の車道はやや左にカーブし、林の上に真っ白な長万部が見えてくる。

谷間をしばらく進むと扇状の谷間の終点となり、やや右手の尾根に取り付く。下からは緩やかに見えた尾根は、登っていくと傾斜があり、キックターンで登っていく。

緩くなった斜面を更に登っていくと、稜線の手前のテラスのようなところに出る。テラスに上がるとそこには鐘が吊り下げてあった。鉱山跡の記念の鐘らしい。スキーグマ標識26、正面に長万部が広がり、眺めるには最適の場所であろう。

主稜線コルから頂上への登りはすぐに長いキックターンとなり、数歩毎に休憩しながらの登りとなる。休憩中に振り返ると背後の風景が広がり、848m峰の北にある主稜線の峰々が見えてくる。少し左に張り出した高いピークは1,019m峰、更にその奥に見えているのは大平山だろうか。

そして長万部の北峰に到達。北峰は地図標高970mだが、雪が積もっているためか、明らかに今は南峰よりも高い。北峰からコルに滑り降り、南峰に到達。疲れた。へとへとだ。ザックを下ろし、スキーを外して横になる。半身を上げて見回すと、ブーツの先に利別岳が見えている。

北尾根の雪斜面が広くなってからは東側から距離をとって滑走。ワンステップの連続ショートターンとなる。雪庇の真横を数ターンで下り、下から見上げると雪庇の上に太陽。斜面が主稜線コルまでつながって見える頃、それは滑りやすいパウダーになっていて、ごきげんのショートターン滑走となる。いやあ、頂上にいたときの疲れや腰の痛みはどこかに飛んで、春のパウダー滑走にのめりこむ私・・・・・

長万部岳は1,000mもない山なのにすごい山だった。山のながめも立派だし、頂上からの眺めもすばらしく、頂上直下からは極上のパウダー滑走。一方、そこに着くまでの道のりは長く、キックターンで辛抱強く登って頂上に到達した。想い出に残るツアー。

スキーグマ標識14から見る長万部岳と滑走トレース: それは滑りやすいパウダーになっていて、ごきげんのショートターン滑走となる。いやあ、頂上にいたときの疲れや腰の痛みはどこかに飛んで、春のパウダー滑走にのめりこむ私・・・・・
キックターン
鐘と長万部岳とスキーグマ26
長万部岳頂上から利別岳
滑走
7:42 駐車地点発 9:31 登山口 9:45 尾根取付き10:17 鉱山跡の鐘10:59 主稜線コル12:15 長万部岳・北峰970m12:20 長万部岳・南峰973m・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り4時間38分12:31 長万部岳・南峰発12:36 長万部岳・北峰、滑走開始13:08 主稜線コル13:31 鉱山跡の鐘・直下13:49 尾根取付き点14:16 登山口14:28 駐車地点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復6時間46分

OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO

寝袋に入って寝るときは暑いくらいで、エンジンを切って就寝。しかし、明け方近くなって寒くて目覚め、エンジンをかける。4時くらいだったと思う。まだ夜明けは遅く、明るくなった6時頃に起床。トイレで顔を洗ってスキー服に着替え、パン(おにぎりだったかも)とペット・コーヒーで食事。先にスキーにシールを貼っておいたが、外は寒く、出発を少し遅らせる。まだ曇り空だったからかもしれないが、春スキーでこんなに早く出ることはかってなかったと思う。これも車中泊の効果。美の壷を見始め、ゆっくりしようと思ったが、7時前に道の駅黒松内を出発。

5号線を行くと、行く手に黒松内岳と長万部岳が見えてくる。東から見る黒松内岳は三角形、長万部は南東尾根を長く伸ばした姿である。次第に青空が広がり、山の白が映え、何枚も写真を写す。二股らぢうむ温泉の標識で右折する。2年前1月に下見に来たときと比べると、まるで雪がない。早朝のためか車の往来もなし。行く手には東峰の向こうに白い長万部が大きく高くそびえている。なかなかの迫力。ところが、らぢうむ温泉への分岐点から少し先のところで除雪終了となっており、2年前に入れた建物(旧新英温泉)のあるところまで車で入れない。しかも、除雪終了点に止めると、後から来た車が駐車した場合に出せなくなるかもしれないため、らじうむ温泉分岐地点に車を止める。

駐車地点出発8時前。まだ外は寒く、ネックウォーマー、スキーグローブの完全装備。スキーをかついで除雪された車道を歩き、除雪終了地点で雪壁を登り、シールスキーを履く。除雪されていない車道は中央が窪んでいて、そこに降りて車道の中央を歩く。そこから正面には長万部の北尾根ピークが見えていて、建物は見えていない。歩き出して10分で体が暖まり、汗まで出てくるので上着を脱ぎ、手袋を薄手に変える。やがて雪の車道はやや左にカーブし、林の上に真っ白な長万部が見えてくる。建物(旧新英温泉)のところまでくると、車道の窪みも終了で、再度雪壁に登り、窪んでいない車道を歩く。そこには「長万部岳登山口、山小屋まで3,100m、徒歩・スキーで90分、車で20分」の標識。しばらく林の中を歩く。とぐろを巻いた雪ボール。

林からいったん抜けると鉄塔があり、登山口まで2,300m、徒歩・スキーで70分の表示。長万部岳の横顔が大きくなっている。雪原を標識に沿って歩く。再び林に入り、やや傾斜がでてくる。だいぶ歩いたところで「これよりあと1,000m」の標識。この間、1,300mに40分近くかかっているのは傾斜があったためだろう。そこから林のなかを15分ほど歩くと、行く手に再び長万部が現われる。写真を写しながら歩き、やがて登山口表示に到達。しかし山小屋は見当たらず。そばにあったはずなので、雪に埋もれていたのだろう。それよりも困ったのは、標識の矢印で、登山口標識には進行方向と逆の右の矢印がついており、スキーグマの道標「冬山コース標識40」には左右の両矢印がついている。いったいどちらに行けばいいんだ。①登山口標識に従い右奥から登っていくのか、②ガイドの表記に従い尾根に登るか、③トレースは見当たらないが、左手にもう少し辿ってから右の尾根に登るか、少し迷ったあげく、結局③を選び、先に進む。

そこは左右に尾根のある谷間の地形で、ガイドのとおり、長万部頂上の見える左尾根でなく、右尾根に登らねばならない。谷間をしばらく進むと扇状の谷間の終点となり、やや右手の尾根に取り付く。下からは緩やかに見えた尾根は、登っていくと傾斜があり、キックターンで登っていく。傾斜が緩くなったところで左手に長万部が見える。そして、このときはフロイドを聞いていたのだが(ダイング・オブ・ボアダムからインターステラー・アンコールのあたり)、大きな音が近づき、スノーモービルが現われる。最初に取り付いた尾根の沢状のところを登ってくる。私は途中でその沢状を離れ、林の尾根を登っていた。沢状といってもそれなりに傾斜はあるので、一台づつ勢いをつけて登ってくる。傾斜を上がったところにモービルを止め、次のモービルが上がってくるのを待っている。5~6台いるようなので、全部が上がってくるのに時間がかかる。その間に私は尾根を登っていく。

辛抱強く尾根を登っていくと、やがて行く手の木の陰にスキーグマ標識31を発見。正しいルートを来ていたのだ。そこからも急な坂が続き、数十メートル登ると長万部の正面が姿を現す。眼下にはスノーモービルの一隊。標識28のところでザックを下ろして最初の休憩をとる。10時過ぎ、出発してから2時間。横になって長万部岳を見上げる。それは崖斜面で、主稜線からの最後の登路はその右端にあり、見えていない。わざわざ右手から回り込まなくても、左手の東尾根から登ればよいのでは、と思う。たぶん、北側に鉱山があり、古くからルートが開かれていたのと関係があるのだろう。それに、こちらからの方が長万部が雄大に見える。

緩くなった斜面を更に登っていくと、稜線の手前のテラスのようなところに出る。テラスから右手に道路が下っているようにも見え、登山口を右手に登ればここに出たのかもしれない。テラスに上がるとそこには鐘が吊り下げてあった。ロープで固定されているので鳴らせなかったが、鉱山跡の記念の鐘らしい。スキーグマ標識26、正面に長万部が広がり、眺めるには最適の場所であろう。

鉱山跡の鐘からは848m峰のトラバースとなり、いったん林の中に下ってから斜面を斜めに登っていく。そのとき沢状の林を越えたのだが、斜面を登っていくうちにまたスノーモービルがやってくる。さっきの場所で休んでいたようだが、終点ではなかったようだ。最初の一台は急な斜面を勢い良く登ってきたが、次の一台は途中で失速してストップ。いったん斜面を下っていき、再度下からトライするのであろう。スノーモービルは沢状のところを登ってくるようで、こちらが登っているときは交差することはなかったが、帰りにはこちらのスキートレースの上にもスノーモービルのトレースが交差していた。緩いところを歩いているとき、右手を一台のスノーモービルが走っていったのが最も接近したとき。さすがに長万部には向かわず、848m峰の方へ向かっていたが、結構急な斜面も登れるようだ。

スキーグマ標識18から標識16のあたりまで来ると、長万部の右顔、最後の登路が見えてくる。左に雪庇が張り出しているが、右側には潅木が生えており、普通に登れそうだ。標識14までくると登路の正面となる。すごく急だ、と思うと同時に、もうあと少しだ、とも思う。駐車地点を出発した時点では、登りきれるか心配もあったが、ここまでくればもう登れるという感覚がある。トラバースから主稜線に移る部分では、小さいアップダウンがあり、小さな斜面を登ると沢があり、いったん滑り降りて対岸を登る。そして標識12のあたりで主稜線に乗っていた。ガイドにあった雪庇には遮られていない。

長万部に向かって斜めに主稜線のコルまで上がる。コルの北には緩やかな848m峰とその麓の雪庇が見える。848m峰の頂上に向かって東側から緩やかな斜面が見えており、この後、その斜面を辿ってスノーモービルが848m峰に登ってくる。さすがに長万部にはこなかったがあのくらいまで登れるのだ。登ってきた東斜面の先には登山口のあたりかららぢうむ温泉分岐のあたりまでが見える。川沿いに登ってきて、途中から左岸に上がってここまで来たことがわかる。西側の風景も初めて見えていたはずだが、このときは曇っていたようだ。長万部の麓にはスキーグマ標識1があり、そこで振り返ると北東にひとつの山が見えており、それが黒松内岳であると気付く。早朝に見た左右対称とは違う西に長く尾根を伸ばした姿。ここで2回目の休憩。11時過ぎ。

上着を着こんで出発。主稜線コルから頂上への登りはすぐに長いキックターンとなり、数歩毎に休憩しながらの登りとなる。休憩中に振り返ると背後の風景が広がり、848m峰の北にある主稜線の峰々が見えてくる。少し左に張り出した高いピークは1,019m峰、更にその奥に見えているのは大平山だろうか。そのあたりは右手から潅木帯が張り出している。モービルの音が大きく聞こえていて、848m峰に向かって斜面を登ってくるモービルを見る。それは頂上台地に達し、モービルを止めて次のモービルが登ってくるのを待っている。2台目はすぐにやってきたが、その次はなかなかやってこない。

潅木帯を抜けて雪原斜面となる。長万部頂上へ登っているときに頭上に大きな雪庇が見えていたが、約30分でその雪庇の高さに到達。だが、そこはまだ道半ばであった。背後の848m峰は眼下となり、広い頂上雪原が見えている。頂上にいたモービル2台は、後続は来なかったらしく、同じルートを下っていく。そのあたりは一番傾斜のきついところで、上はオーバーハングしていて頂上は見えていない。雪庇のあたりは潅木帯で、なぜかスキーグマ標識3がある。その少し上にさっきの雪庇と全く同じ形の雪庇を見る。このあたりでだいぶへばっていて、写真を撮る回数が減っている。

やがて潅木帯を抜け、最後のきつい登り。風が強く、雪もクラストぎみで登りにくい。数歩毎に止まって休憩。848m峰ははるか下となり、斜め右に長い姿に見えている。その大平山への主稜線の西に、もうひとつの稜線が南北に走っており、その南側にある利別岳が次第に見えてくる。登っているときは名前を知らなかったが、一度見たら忘れられない印象的な山である。

そして長万部の北峰に到達。そこは東側に雪庇を張り出した丸い雪峰で、標識はなし。南に南峰が見えており、そこに標識が立っているのが見える。北峰は地図標高970mだが、雪が積もっているためか、明らかに今は南峰よりも高い。北峰で360度の光景を写す。大平山までの稜線が見えているが、このときはもう大平山はガスの中。西の利別はガスから姿を現しており、縦に平べったい印象的な形である。西から南は山岳地帯。北峰からコルに滑り降り、南峰に到達。そこには大きな頂上標識と、「とっておき」の写真にあった丸い標識があったが、丸い標識のほうは壊れてしまって「部岳」しか読めない。疲れた。へとへとだ。ザックを下ろし、スキーを外して横になる。半身を上げて見回すと、ブーツの先に利別岳が見えている。

立ち上がり、四周を改めて写す。南東尾根にはピークが二つ見えていたが、手前のは小さくで歩きにくそうだがなんとかなりそうで、奥のピークは緩やかで問題なさそう。つまり、こちらからでも登れそうだと思う。そのはるか向こうにあるのは写万部山のあたりだろう。黒松内の向こうにニセコの山々が見えるはずなのだが、この日はガスで全く見えず。南に真正面のずっと遠くにスキー場らしきものがぼんやり見えており(ピリカ・スキー場?)、その右手に利別岳に連なる稜線がある。利別の稜線の南にひとつ高い山がある(メップ岳?)。スキー場のやや左側の平坦なところが海岸線に続くあたりのようで、高速がそこにあるなら、高速から長万部は見えることになる。

さて、ザックをしょって帰途につく。北峰に戻り、そこでシールをはがし、滑走開始。いや、その前にもう一回南側を写しておこう、とデジカメを構え、体をひねって戻そうとしたときにバランスを保てずに転倒。変に転んだのでうまく立てず(右手にデジカメを持っていた)、まずデジカメをしまい、スキーをひとつ外してから起き上がる。無理に起き上がると筋を痛めるので、かっこ悪くてもできるだけ楽にやるのがコツ。これも経験の賜物か。やれやれ。

滑走開始。この長万部の頂上斜面はなかなかの急斜面で、しかも東側には雪庇のある狭いラインである。転んだらやばい。北峰からはオーバーハングで斜面は見えず、最初は慎重に一本づつの斜滑降。クラストしていてトレースはほとんどつかない。2ターンほど下ると下の情景が見えてきた。長い急斜面の全景が主稜線と848m峰に続いており、雪庇が二つあった潅木の部分はまだだいぶ下だ。848m峰の東側を回って北に向かうスノーモービルのトレースが見える。さっきから大きな音がこだましていたが、どうやら北に向かったようだ。更に下るとから雪がついてきて、2ターン、3ターンできるようになる。

最初の雪庇のあたりで潅木帯に入ろうかとも思ったが、雪質がいいので雪斜面部分を滑る。雪が横に波打っているところを滑り降りると足元が崩れて下の笹がのぞく。その下は潅木帯がいったん切れていて、数十メートル下に次の潅木帯が見えている。たぶんそこに最初の雪庇があるのだろう。北尾根の雪斜面が広くなってからは東側から距離をとって滑走。ワンステップの連続ショートターンとなる。そして、下の潅木帯に達すると、その端に雪庇があった。雪庇の真横を数ターンで下り、下から見上げると雪庇の上に太陽。ここから下は思ったより潅木がまばらに生えているが、滑りに邪魔になるほどではない。斜面が主稜線コルまでつながって見える頃、それは滑りやすいパウダーになっていて、ごきげんのショートターン滑走となる。いやあ、頂上にいたときの疲れや腰の痛みはどこかに飛んで、春のパウダー滑走にのめりこむ私・・・・・

最初は数ターン毎に止まって滑走トレースを写してしたが、そのうち気持ちよくなって麓まで一気に滑ってしまう。麓からだと最後の傾斜が緩くて滑走トレースが良く見えなかったが、少し離れた所から見ると、雪庇の下からは数十ターンして楽しんでいるのが分かる(数えてみると約30ターン)。記録では10分だが、実質数分の本日のハイライトであった。その滑走トレースを何度も写しながら往路を滑り降りていく。

ビンディングを外して小さなアップダウンを越え、トラバース路に滑り込む。標識14から見る長万部の滑走トレースも下の雪庇から下だけのようである。あそこは頂上までの道の半分だった。そこから上は頂上にすぐ繋がっているように見えるが、実際は潅木帯のない急斜面が頂上まで続いていた。トラバース路から鉱山跡の鐘に向けて何箇所か滑走斜面がある。驚いたことに、トラバース路の途中からスノーモービルの跡がたくさんついており、スキーで登ってきたトレースがところどころ消されている。鐘の手前の沢状のところは予想通りモービルの跡だらけ。その跡を越えて鐘の方角に向かうが、だいぶ登り返しになるので鐘のところまで行くのは止め、鐘の下の斜面をトラバースしていく。だいぶ急斜面で木も生えていて、慎重にやりすごしてその先の林間尾根斜面に入る。

ようやく自分の登りトレースに合流し、標識28のところで休憩4回目。テルモスを出しているが、朝入れた自動販売機のお茶はぬるかったと思う。林間尾根の滑走もこの日二番目のハイライトで、滑走ラインを写しながら下る。尾根取付点までくると、下はスノーモービルの跡だらけでスキーの登りトレースはすっかり消されている。そこを滑るのもおもしろくなさそうなので、尾根筋をトラバースして進み、登山口表示のところに出る。

ここからはスノーモービル・トレースの上の滑走で、往路では30分かかった1,000m地点まで6分で着いて休憩5回目。スノーモービルの跡を滑るのはバランスが悪くて疲れる。急なところはトレースを外し、傾斜が緩むとトレースに入ってスピードを保つ。1,000m標識のところでひっくりかえって休んでいる間にスノーモービルが戻ってくるかと思ったが、やって来ず。このあたりからは傾斜が緩くなり、ほとんどトレースの中を進み、ときどき緩い登りがある。従ってスピードは遅くなるが、このあたりはスノーモービル・トレースがあるおかげで早く戻れたのだと思う。

雪原に出て鉄塔の下をくぐり、やがて建物のある3,100m地点に着く。たぶんここまで滑っている間はノンストップで滑っており、滑りながらデジカメを写している。建物(旧新英温泉)のところから駐車地点までもスノーモービル・トレースはついており、車道の窪みからまっすぐに登っている。ここからは傾斜がないので歩くが、12分かかっており、長く感じた。駐車地点につくと、トラックが手前に3台並んでおり、モービルを下ろした板をつけたままになっている。そのままスノーモービルを積むのだろう。らぢうむ温泉分岐の先にも2台止めてあり、1台にはクレーン付き。ゆっくりスキーをしまって車に入り、らぢうむ温泉に向かう。

二股らじうむ温泉は新しい建物だが、湯船は古く、歴史を感じさせる。風呂では一人だったが、駐車場には車が何台も止めてあり、客もいたようだ。駐車場には水が流してある。らじうむ温泉を出て分岐に来ると、奥の3台はいなくなっていたが、手前の2台はまだ置いてあった。長万部インターに乗り、高速から北を眺めてみるが、長万部岳と分かるピークは同定できない。山並を写した写真が1枚あるが、そこに写っているのが長万部なのか分からない。

途中で八雲PAに寄っていく。そこには丘の駅というのがあり、行ってみると子供のためのコミュニティセンターと物産館がある。そこで野菜とコンブとワサビを買う。パンも買ってくれと言うのでついでに買う。いずれも安いものばかり。落部インターを降りると、湾の向こうに駒ヶ岳の双耳峰が浮かんでいる。ややぼやけているが幻想的。途中でウニ丼を食べていくが、隣の市場で魚を見ておけばよかったかもしれない。コスモでガソリンを入れ、二股岳の登山口の下見に向かう。函館新道の手前で右折し、西に向かう。

二股岳の登山口に着いたのは18時半前。車の往来が多い幹線道路の雪壁の上に大きな登山口標識を発見する。向かいのスペースに駐車すればいいだろう。フェリーは22時を予約していたが、早く着いたので20時過ぎの便に乗る。

長万部岳は1,000mもない山なのにすごい山だった。山のながめも立派だし、頂上からの眺めもすばらしく、頂上直下からは極上のパウダー滑走。一方、そこに着くまでの道のりは長く、キックターンで辛抱強く登って頂上に到達した。想い出に残るツアー。

長万部岳と黒松内岳

寝袋に入って寝るときは暑いくらいで、エンジンを切って就寝。しかし、明け方近くなって寒くて目覚め、エンジンをかける。4時くらいだったと思う。まだ夜明けは遅く、明るくなった6時頃に起床。トイレで顔を洗ってスキー服に着替え、パン(おにぎりだったかも)とペット・コーヒーで食事。先にスキーにシールを貼っておいたが、外は寒く、出発を少し遅らせる。まだ曇り空だったからかもしれないが、春スキーでこんなに早く出ることはかってなかったと思う。これも車中泊の効果。美の壷を見始め、ゆっくりしようと思ったが、7時前に道の駅黒松内を出発。

5号線を行くと、行く手に黒松内岳と長万部岳が見えてくる。東から見る黒松内岳は三角形、長万部は南東尾根を長く伸ばした姿である。次第に青空が広がり、山の白が映え、何枚も写真を写している。二股らぢうむ温泉の標識で右折する。2年前1月に下見に来たときと比べると、まるで雪がない。早朝のためか車の往来もなし。行く手には東峰の向こうに白い長万部が大きく高くそびえている。なかなかの迫力。ところが、らぢうむ温泉への分岐点から少し先のところで除雪終了となっており、2年前に入れた建物(旧新英温泉)のあるところまで車で入れない。しかも、除雪終了点に止めると、後から来た車が駐車した場合に出せなくなるかもしれないため、らじうむ温泉分岐地点に車を止める。

雪の林道

駐車地点出発8時前。まだ外は寒く、ネックウォーマー、スキーグローブの完全装備。スキーをかついで除雪された車道を歩き、除雪終了地点で雪壁を登り、シールスキーを履く。除雪されていない車道は中央が窪んでいて、そこに降りて車道の中央を歩く。そこから正面には長万部の北尾根ピークが見えていて、建物は見えていない。歩き出して10分で体が暖まり、汗まで出てくるので上着を脱ぎ、手袋を薄手に変える。やがて雪の車道はやや左にカーブし、林の上に真っ白な長万部が見えてくる。建物(旧新英温泉)のところまでくると、車道の窪みも終了で、再度雪壁に登り、窪んでいない車道を歩く。そこには「長万部岳登山口、山小屋まで3,100m、徒歩・スキーで90分、車で20分」の標識。しばらく林の中を歩く。とぐろを巻いた雪ボール。

旧新英温泉

雪ボール

長万部岳

林からいったん抜けると鉄塔があり、登山口まで2,300m、徒歩・スキーで70分の表示。長万部岳の横顔が大きくなっている。雪原を標識に沿って歩く。再び林に入り、やや傾斜がでてくる。だいぶ歩いたところで「これよりあと1,000m」の標識。この間、1,300mに40分近くかかっているのは傾斜があったためだろう。そこから林のなかを15分ほど歩くと、行く手に再び長万部が現われる。写真を写しながら歩き、やがて登山口表示に到達。しかし山小屋は見当たらず。そばにあったはずなので、雪に埋もれていたのだろう。それよりも困ったのは、標識の矢印で、登山口標識には進行方向と逆の右の矢印がついており、スキーグマの道標「冬山コース標識40」には左右の両矢印がついている。いったいどちらに行けばいいんだ。①登山口標識に従い右奥から登っていくのか、②ガイドの表記に従い尾根に登るか、③トレースは見当たらないが、左手にもう少し辿ってから右の尾根に登るか、少し迷ったあげく、結局③を選び、先に進む。

スキー・グマの標識

キックターン

そこは左右に尾根のある谷間の地形で、ガイドのとおり、長万部頂上の見える左尾根でなく、右尾根に登らねばならない。谷間をしばらく進むと扇状の谷間の終点となり、やや右手の尾根に取り付く。下からは緩やかに見えた尾根は、登っていくと傾斜があり、キックターンで登っていく。傾斜が緩くなったところで左手に長万部が見える。そして、このときはフロイドを聞いていたのだが(ダイング・オブ・ボアダムからインターステラー・アンコールのあたり)、大きな音が近づき、スノーモービルが現われる。最初に取り付いた尾根の沢状のところを登ってくる。こちらは途中でその沢状を離れ、林の尾根を登っていた。沢状といってもそれなりに傾斜はあるので、一台づつ勢いをつけて登ってくる。傾斜を上がったところにモービルを止め、次のモービルが上がってくるのを待っている。5~6台いるようなので、全部が上がってくるのに時間がかかる。その間にこちらは尾根を登っていく。

長万部岳

辛抱強く尾根を登っていくと、やがて行く手の木の陰に標識31を発見。正しいルートを来ていたのだ。そこからも急な坂が続き、数十メートル登ると長万部の正面が姿を現す。眼下にはスノーモービルの一隊。標識28のところでザックを下ろして最初の休憩をとる。10時過ぎ、出発してから2時間。横になって長万部岳を見上げる。それは崖斜面で、主稜線からの最後の登路はその右端にあり、見えていない。わざわざ右手から回り込まなくても、左手の東尾根から登ればよいのでは、と思う。たぶん、北側に鉱山があり、古くからルートが開かれていたのと関係があるのだろう。それに、こちらからの方が長万部が雄大に見える。

長万部岳とヘルメット

長万部岳と鉱山跡の鐘(右端)

鉱山跡の鐘と長万部岳とスキーグマ26

緩くなった斜面を更に登っていくと、稜線の手前のテラスのようなところに出る。テラスから右手に道路が下っているようにも見え、登山口を右手に登ればここに出たのかもしれない。テラスに上がるとそこには鐘が吊り下げてあった。ロープで固定されているので鳴らせなかったが、鉱山跡の記念の鐘らしい。標識26、正面に長万部が広がり、眺めるには最適の場所であろう。

樹間の長万部岳

鉱山跡の鐘からは848m峰のトラバースとなり、いったん林の中に下ってから斜面を斜めに登っていく。そのとき沢状の林を越えたのだが、斜面を登っていくうちにまたスノーモービルがやってくる。さっきの場所で休んでいたようだが、終点ではなかったようだ。最初の一台は急な斜面を勢い良く登ってきたが、次の一台は途中で失速してストップ。いったん斜面を下っていき、再度下からトライするのであろう。スノーモービルは沢状のところを登ってくるようで、こちらが登っているときは交差することはなかったが、帰りにはこちらのスキートレースの上にもスノーモービルのトレースが交差していた。緩いところを歩いているとき、右手を一台のスノーモービルが走っていったのが最も接近したとき。さすがに長万部には向かわず、848m峰の方へ向かっていたが、結構急な斜面も登れるようだ。

長万部岳と北尾根

標識18から標識16のあたりまで来ると、長万部の右顔、最後の登路が見えてくる。左に雪庇が張り出しているが、右側には潅木が生えており、普通に登れそうだ。標識14までくると登路の正面となる。すごく急だ、と思うと同時に、もうあと少しだ、とも思う。駐車地点を出発した時点では、登りきれるか心配もあったが、ここまでくればもう登れるという感覚がある。トラバースから主稜線に移る部分では、小さいアップダウンがあり、小さな斜面を登ると沢があり、いったん滑り降りて対岸を登る。そして標識12のあたりで主稜線に乗っていた。ガイドにあった雪庇には遮られていない。

主稜線コルのスキーグマ道標

長万部に向かって斜めに主稜線のコルまで上がる。コルの北には緩やかな848m峰とその麓の雪庇が見える。848m峰の頂上に向かって東側から緩やかな斜面が見えており、この後、その斜面を辿ってスノーモービルが848m峰に登ってくる。さすがに長万部にはこなかったがあのくらいまで登れるのだ。登ってきた東斜面の先には登山口のあたりかららぢうむ温泉分岐のあたりまでが見える。川沿いに登ってきて、途中から左岸に上がってここまで来たことがわかる。西側の風景も初めて見えていたはずだが、このときは曇っていたようだ。長万部の麓には標識1があり、そこで振り返ると北東にひとつの山が見えており、それが黒松内岳であると気付く。早朝に見た左右対称とは違う西に長く尾根を伸ばした姿。ここで2回目の休憩。11時過ぎ。

大平山?

上着を着こんで出発。主稜線コルから頂上への登りはすぐに長いキックターンとなり、数歩毎に休憩しながらの登りとなる。休憩中に振り返ると背後の風景が広がり、848m峰の北にある主稜線の峰々が見えてくる。少し左に張り出した高いピークは1,019m峰、更にその奥に見えているのは大平山だろうか。そのあたりは右手から潅木帯が張り出している。モービルの音が大きく聞こえていて、848m峰に向かって斜面を登ってくるモービルを見る。それは頂上台地に達し、モービルを止めて次のモービルが登ってくるのを待っている。2台目はすぐにやってきたが、その次はなかなかやってこない。

キックターン

潅木帯を抜けて雪原斜面となる。長万部頂上へ登っているときに頭上に大きな雪庇が見えていたが、約30分でその雪庇の高さに到達。だが、そこはまだ道半ばであった。背後の848m峰は眼下となり、広い頂上雪原が見えている。頂上にいたモービル2台は、後続は来なかったらしく、同じルートを下っていく。そのあたりは一番傾斜のきついところで、上はオーバーハングしていて頂上は見えていない。雪庇のあたりは潅木帯で、なぜか標識3がある。その少し上にさっきの雪庇と全く同じ形の雪庇を見る。このあたりでだいぶへばっていて、写真を撮る回数が減っている。

キックターン

キックターン

やがて潅木帯を抜け、最後のきつい登り。風が強く、雪もクラストぎみで登りにくい。数歩毎に止まって休憩。848m峰ははるか下となり、斜め右に長い姿に見えている。その大平山への主稜線の西に、もうひとつの稜線が南北に走っており、その南側にある利別岳が次第に見えてくる。登っているときは名前を知らなかったが、一度見たら忘れられない印象的な山である。

頭上の雪壁

長万部岳・北峰から南の情景: 長万部岳・南峰(左端)、カニカン岳(中央)、メッツ岳?(右中央奥)、利別岳(右中央)

利別岳

長万部岳・南峰と頂上標識

そして長万部の北峰に到達。そこは東側に雪庇を張り出した丸い雪峰で、標識はなし。南に南峰が見えており、そこに標識が立っているのが見える。北峰は地図標高970mだが、雪が積もっているためか、明らかに今は南峰よりも高い。北峰で360度の光景を写す。大平山までの稜線が見えているが、このときはもう大平山はガスの中。西の利別はガスから姿を現しており、縦に平べったい印象的な形である。西から南は山岳地帯。北峰からコルに滑り降り、南峰に到達。そこには大きな頂上標識と、「とっておき」の写真にあった丸い標識があったが、丸い標識のほうは壊れてしまって「部岳」しか読めない。疲れた。へとへとだ。ザックを下ろし、スキーを外して横になる。半身を上げて見回すと、ブーツの先に利別岳が見えている。

長万部岳(南峰)頂上標識

長万部岳・南峰から北の情景: 利別岳(左端)、長万部岳・北峰(中央)、黒松内岳(右端)

黒松内岳

利別岳と頂上標識

立ち上がり、四周を改めて写す。南東尾根にはピークが二つ見えていたが、手前のは小さくで歩きにくそうだがなんとかなりそうで、奥のピークは緩やかで問題なさそう。つまり、こちらからでも登れそうだと思う。そのはるか向こうにあるのは写万部山のあたりだろう。黒松内の向こうにニセコの山々が見えるはずなのだが、この日はガスで全く見えず。南に真正面のずっと遠くにスキー場らしきものがぼんやり見えており(ピリカ・スキー場?)、その右手に利別岳に連なる稜線がある。利別の稜線の南にひとつ高い山がある(メップ岳?)。スキー場のやや左側の平坦なところが海岸線に続くあたりのようで、高速がそこにあるなら、高速から長万部は見えることになる。

長万部岳・南峰から東の情景: 黒松内岳と写万部山?

長万部岳・南峰から南西の情景: カニカン岳(中央)、メップ岳?(右中央奥)、利別岳(右端)

古い壊れた頂上標識とスキー

さて、ザックをしょって帰途につく。北峰に戻り、そこでシールをはがし、滑走開始。いや、その前にもう一回南側を写しておこう、とデジカメを構え、体をひねって戻そうとしたときにバランスを保てずに転倒。変に転んだのでうまく立てず(右手にデジカメを持っていた)、まずデジカメをしまい、スキーをひとつ外してから起き上がる。無理に起き上がると筋を痛めるので、かっこ悪くてもできるだけ楽にやるのがコツ。これも経験の賜物か。やれやれ。

北尾根滑走直前

滑走開始。この長万部の頂上斜面はなかなかの急斜面で、しかも東側には雪庇のある狭いラインである。転んだらやばい。北峰からはオーバーハングで斜面は見えず、最初は慎重に一本づつの斜滑降。クラストしていてトレースはほとんどつかない。2ターンほど下ると下の情景が見えてきた。長い急斜面の全景が主稜線と848m峰に続いており、雪庇が二つあった潅木の部分はまだだいぶ下だ。848m峰の東側を回って北に向かうスノーモービルのトレースが見える。さっきから大きな音がこだましていたが、どうやら北に向かったようだ。更に下るとから雪がついてきて、2ターン、3ターンできるようになる。

滑走

雪庇と滑走

滑走

最初の雪庇のあたりで潅木帯に入ろうかとも思ったが、雪質がいいので雪斜面部分を滑る。雪が横に波打っているところを滑り降りると足元が崩れて下の笹がのぞく。その下は潅木帯がいったん切れていて、数十メートル下に次の潅木帯が見えている。たぶんそこに最初の雪庇があるのだろう。北尾根の雪斜面が広くなってからは東側から距離をとって滑走。ワンステップの連続ショートターンとなる。そして、下の潅木帯に達すると、その端に雪庇があった。雪庇の真横を数ターンで下り、下から見上げると雪庇の上に太陽。ここから下は思ったより潅木がまばらに生えているが、滑りに邪魔になるほどではない。斜面が主稜線コルまでつながって見える頃、それは滑りやすいパウダーになっていて、ごきげんのショートターン滑走となる。いやあ、頂上にいたときの疲れや腰の痛みはどこかに飛んで、春のパウダー滑走にのめりこむ私・・・・・

ショートターンとキックターン

ショートターンとキックターン

最初は数ターン毎に止まって滑走トレースを写してしたが、そのうち気持ちよくなって麓まで一気に滑ってしまう。麓からだと最後の傾斜が緩くて滑走トレースが良く見えなかったが、少し離れた所から見ると、雪庇の下からは数十ターンして楽しんでいるのが分かる(数えてみると約30ターン)。記録では10分だが、実質数分の本日のハイライトであった。その滑走トレースを何度も写しながら往路を滑り降りていく。

スキーグマ道標と長万部岳と滑走トレース

ビンディングを外して小さなアップダウンを越え、トラバース路に滑り込む。標識14から見る長万部の滑走トレースも下の雪庇から下だけのようである。あそこは頂上までの道の半分だった。そこから上は頂上にすぐ繋がっているように見えるが、実際は潅木帯のない急斜面が頂上まで続いていた。トラバース路から鉱山跡の鐘に向けて何箇所か滑走斜面がある。驚いたことに、トラバース路の途中からスノーモービルの跡がたくさんついており、スキーで登ってきたトレースがところどころ消されている。鐘の手前の沢状のところは予想通りモービルの跡だらけ。その跡を越えて鐘の方角に向かうが、だいぶ登り返しになるので鐘のところまで行くのは止め、鐘の下の斜面をトラバースしていく。だいぶ急斜面で木も生えていて、慎重にやりすごしてその先の林間尾根斜面に入る。

林間滑走

ようやく自分の登りトレースに合流し、標識28のところで休憩4回目。テルモスを出しているが、朝入れた自動販売機のお茶はぬるかったと思う。林間尾根の滑走もこの日二番目のハイライトで、滑走ラインを写しながら下る。尾根取付点までくると、下はスノーモービルの跡だらけでスキーの登りトレースはすっかり消されている。そこを滑るのもおもしろくなさそうなので、尾根筋をトラバースして進み、登山口表示のところに出る。


ここからはスノーモービル・トレースの上の滑走で、往路では30分かかった1,000m地点まで6分で着いて休憩5回目。スノーモービルの跡を滑るのはバランスが悪くて疲れる。急なところはトレースを外し、傾斜が緩むとトレースに入ってスピードを保つ。1,000m標識のところでひっくりかえって休んでいる間にスノーモービルが戻ってくるかと思ったが、やって来ず。このあたりからは傾斜が緩くなり、ほとんどトレースの中を進み、ときどき緩い登りがある。従ってスピードは遅くなるが、このあたりはスノーモービル・トレースがあるおかげで早く戻れたのだと思う。

雪原に出て鉄塔の下をくぐり、やがて建物のある3,100m地点に着く。たぶんここまで滑っている間はノンストップで滑っており、滑りながらデジカメを写している。建物(旧新英温泉)のところから駐車地点までもスノーモービル・トレースはついており、車道の窪みからまっすぐに登っている。ここからは傾斜がないので歩くが、12分かかっており、長く感じた。駐車地点につくと、トラックが手前に3台並んでおり、モービルを下ろした板をつけたままになっている。そのままスノーモービルを積むのだろう。らぢうむ温泉分岐の先にも2台止めてあり、1台にはクレーン付き。ゆっくりスキーをしまって車に入り、らぢうむ温泉に向かう。

二股らぢうむ温泉

二股らじうむ温泉は新しい建物だが、湯船は古く、歴史を感じさせる。風呂では一人だったが、駐車場には車が何台も止めてあり、客もいたようだ。駐車場には水が流してある。らじうむ温泉を出て分岐に来ると、奥の3台はいなくなっていたが、手前の2台はまだ置いてあった。長万部インターに乗り、高速から北を眺めてみるが、長万部岳と分かるピークは同定できない。山並を写した写真が1枚あるが、そこに写っているのが長万部なのか分からない。

夕刻の渡島駒ヶ岳

途中で八雲PAに寄っていく。そこには丘の駅というのがあり、行ってみると子供のためのコミュニティセンターと物産館がある。そこで野菜とコンブとワサビを買う。パンも買ってくれと言うのでついでに買う。いずれも安いものばかり。落部インターを降りると、湾の向こうに駒ヶ岳の双耳峰が浮かんでいる。ややぼやけているが幻想的。途中でウニ丼を食べていくが、隣の市場で魚を見ておけばよかったかもしれない。コスモでガソリンを入れ、二股岳の登山口の下見に向かう。函館新道の手前で右折し、西に向かう。

フェリー乗船直前

二股岳の登山口に着いたのは18時半前。車の往来が多い幹線道路の雪壁の上に大きな登山口標識を発見する。向かいのスペースに駐車すればいいだろう。フェリーは22時を予約していたが、早く着いたので20時過ぎの便に乗る。

長万部岳は1,000mもない山なのにすごい山だった。山のながめも立派だし、頂上からの眺めもすばらしく、頂上直下からは極上のパウダー滑走。一方、そこに着くまでの道のりは長く、キックターンで辛抱強く登って頂上に到達した。想い出に残るツアー。