悪沢岳、赤石岳 南アルプス中央部の縦走

静岡県  

悪沢岳3,141m、赤石岳3,120m、荒川・中岳3,083m 、小赤石岳3,081m、荒川・前岳3,068m、丸山3,032m、千枚岳2,880m 2006年9月28日~10月1日(ロッジ1泊、テント2泊)

(悪沢岳、赤石岳)日本百名山

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☁☁☁☁☁

縦走1日目、蕨段の展望台で湯をわかしていると突然ガスが消え、大きなピークが見えてきた。こいつは悪沢岳に違いないと思い、夢中でデジカメを撮る。頂上が見えたのは一瞬だった。

二日目の朝、高曇りの空の下で赤石岳が待っていた。感激。その向こうには聖と上河内が見えている。上河内には雲がかかり、赤石にも少しガスがかかっていたので、これが最後かもと思い、夢中でシャッターを切る。千枚岳の方に登っていくと右手の頭上に悪沢岳が姿を現す。見事。ややゆがんだ巨体が悪沢の名にふさわしい。千枚岳の頂上は千枚の岩場で、立派な頂上標識が立っている。富士山カメラマンが二人、脚立を構えている。ぞくぞくと登山者が登ってきて、どんどん悪沢に向かっていく。

ずっと左手に見えている赤石がすばらしい。端正な赤石は小赤石と重なった姿が崩れない。アンバランスな魅力の悪沢に対し、赤石には均整のとれた美しさがある。

赤石に登っていくと、細面に見えていた悪沢が次第に大きくなってくる。少し青空になった空に雲をたなびかせ、やや左に傾いた巨大な三角形は不思議な魅力を持っていて、目が離せない。

赤石に着くと、頂上標識に三角点に鐘もある賑やかさだが人はいない。人の声がすると思ったらすぐ先に避難小屋がある。男性も老夫婦もあそこに泊まる訳だ。しかしここにはテント場はないので、私はここには泊まれない。一人の頂上を満喫し、スタンドを立ててデジカメを写し、鐘も鳴らしてみる。さて、去りがたき頂上を辞し、ザックのところにたどり着き、最後の下りにかかる。

富士見平に出ると一気に視界が開ける。日が山陰に落ち、赤石、小赤石、荒川、悪沢の全てが、まだ明るい空を背景にシルエットになっている。ガスはいつしか晴れてきている。暗くなってきた夜空を背景に、デジカメの絞りを緩めたり絞ったりして山のシルエットを撮る。飛行機が金色の軌跡を残す。

 赤石に登っていくと、細面に見えていた悪沢が次第に大きくなってくる。少し青空になった空に雲をたなびかせ、やや左に傾いた巨大な三角形は不思議な魅力を持っていて、目が離せない。
 ずっと左手に見えている赤石がすばらしい。端正な赤石は小赤石と重なった姿が崩れない。アンバランスな魅力の悪沢に対し、赤石には均整のとれた美しさがある。
 千枚岳と富士山
 赤石岳頂上の鐘
 金色の飛行機雲
D011:50 ハタナギ第一ダム・バス乗車12:53 椹島ロッジD1  6:08 椹島ロッジ(1,123m)発  6:32 吊橋  8:40 三角点1,587m11:02 蕨段・三角点2,074m11:25 展望台13:26 駒鳥池2,420m14:16 千枚小屋2,610m・・・・・・・・・・・・・・・・登り8時間8分D2  4:58 千枚小屋・テント発  6:16 千枚岳2,880m  7:24 丸山3,032m  8:09 悪沢岳3.141m・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間11分  9:48 中岳3,084m10:04 前岳3,068m11:10 荒川小屋2,620m12:26 大聖寺平2,720m14:24 小赤石岳3,081m15:07 赤石岳3,121m・・・・・・・・・・・・悪沢岳から6時間58分17:44 富士見平2,710m18:30 赤石小屋2,540m・・・・・・・・赤石岳から3時間23分          ・・・・・・・・・・・千枚小屋から13時間32分D3  5:03 赤石小屋・テント発  8:23 椹島ロッジ・・・・・・・・・・・・・下り3時間25分10:00 バス乗車11:05 ハタナギ第一ダム

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D0

早朝4~5時頃に首都高に入る。箱崎に入らずに北池袋回りで東名に乗る。流れは途切れず、順調。夜が明けてきて5時過ぎに川崎を通過。あと240km。朝日に富士山が見え、愛鷹らしき山が見える。7時半過ぎ、SAに入って青空の富士山を眺める。8時前に清水ICを下り、清水から静岡に向かうが、ここで渋滞に巻き込まれる。静岡というのは道路事情がよくないようだ。

ハタナギのバスの時間は11:50と15:00。ダム湖らしきところに出て、ハタナギダムの上がバス停。ダムの上に出て対岸に渡ると車がたくさん駐車している。一番奥に止めてまず仕立てたザックを取り出し、次に着替えをする。靴を履いてダムの方を見るとバスがやってくる。ザックをかついで手にウォーキングストックを持ち、バスに乗り込む。約9割の入り。11:50のバスに間に合ってしまった。バスにゆられて運転手の案内を聞きながらうとうとする。運転手の説明では、聖岳の見えるスポット、上河内岳の見えるスポット、赤石岳の見えるスポットは1時間のバス行程でそれぞれ1回づつ。狭くて長い吊橋があり、茶臼岳の登山口だという。聖岳への登山口を過ぎ、赤石の登山口は椹島ロッジの入口のすぐそばにあった。4日後はここを降りてくることになる。ロッジに着いて受付(バスに乗るとき3,000円、ロッジで5,000円払う)。荒川小屋はもう閉まっており、千枚小屋と赤石小屋ももうじき閉まるという。テントの私には関係ないが。まだ昼過ぎなので、まずはビール。売店があったので赤石のハンカチを買い、生ビールとつまみを買う。外でくつろいでいる人たち。部屋は畳にふとん二つ。缶ビールにつまみで時間をつぶす。

今朝の新聞で日曜は曇、月曜雨の予報なので、4日行程を3日にし、2日目に荒川小屋をスキップして赤石小屋まで行くことを考える。千枚から荒川まで6時間、荒川から赤石まで7時間、合計13時間。千枚を5時に出れば18時に赤石小屋に着く勘定。暗くなってもヘッドランプがあるさ。でもとりあえず、明日の千枚まで予定の8時間で行けるかどうかで判断することにする。体調はどうななあ。夕方まで昼寝し、風呂に入り、夕食を食べ、部屋に戻る。隣では遅くまで話し込んでいた。塩見まで縦走すると南アルプス全縦走完成する話、明日、荒川避難小屋まで行く話、縦走してる間に金がなくなってしまった話、などなど。翌日の朝食6時半(実は5時半)に合わせて寝る。暑くて、窓を開けたまま寝てしまう。夜中に起きて閉める。こんな山小屋もあるんだ。

D1

5時頃目が覚めてしまい、部屋でマップを眺めていると、突然朝食のアナウンスがあった。5時半だったのだ。着替えをしないままで食事をし、部屋に戻って着替えとザックを仕立て、即出発。ペテガリのときと比べ、水は半分(水バッグ1個、お茶ボトル4個、3リットル程度)、その代わり着替えのジャージを入れている。林道に登り、鉄橋のところで川沿いの登山道に入る。NHKの日本の名峰で出てきた吊橋を渡り、林の山道に分け入る。若干の風邪気味なのか頭のてっぺんの左あたりに痛みがある。天気も前日とは違う曇り空。峰の上の方はガスの中。

鉄塔の下に出、林道を横切り、三等三角点のある地点で休憩し、10時に水場に到達。30分くらいの遅れ。松林の草のまばらな斜面で、何度かロストしそうになる。蕨段で初めてマップにある地点名が標識に出てくる。その先で視界が開けてきて、展望台らしきところに出る。登ってみると林道の一角だったが、眺めのよい場所で、標識はないが展望台なのだろう。残念ながらガスで上の方は見えないが、11時半なので食事にする。湯をわかしていると突然ガスが消え、大きなピークが見えてきた。こいつは悪沢岳に違いないと思い、夢中でデジカメを撮る。頂上が見えたのは一瞬だった。登山道に戻って登っていると、二人に追い越される。マップによるとここからが急登なので、3時間のところを4時間はかかるだろうとみていたが、結果は逆に出て2時間ちょっとで着いてしまった。駒鳥池の標識のところでは、探したけど池は見当たらず。あっけなく着いた千枚小屋は立派な小屋で、受付でテント場使用料500円とビール500ミリ800円を買う。テント場は100m以上離れていて、小屋とは隔絶された感じ。ゆっくりテントを張ってからビールを飲み、前日朝に買ったピーナッツミニサンドをつまみにする。

孫子を読んだり(敵を知り、己を知れば、百戦して危うからず)、ノートを書いたりして時間をつぶす。ジャージは正解で、セーターやレインウェアなしで十分暖かかった。

D2

4時に起き、テントを畳んで出発したのは5時前。夜中は星が見えていたが、朝はガスが出ている。晴れてほしい。北海道よりも夜明けは遅い。ヘッドランプを点け、小屋で水をくみ、ビールの空き缶を受付に渡して出発。小屋は5時前に発電機が始動して電気が点いており、朝食時なのかもしれない。外で準備している人もいる。

登っていくと東の曇り空に富士山と笊ヶ岳(だと思う)が見えてくる。千枚岳手前の尾根に出たところに標識があり、尾根の向こう側に視界が開けている。高曇りの空の下で赤石岳が待っていた。感激。その向こうには聖と上河内が見えている(最初、赤石を悪沢、聖を赤石と思っていた)。上河内には雲がかかり、赤石にも少しガスがかかっていたので、これが最後かもと思い、夢中でシャッターを切る。千枚岳の方に登っていくと右手の頭上に悪沢岳が姿を現す。見事。ややゆがんだ巨体が悪沢の名にふさわしい。千枚岳の頂上は千枚の岩場で、立派な頂上標識が立っている。富士山カメラマンが二人、脚立を構えている。ぞくぞくと登山者が登ってきて、どんどん悪沢に向かっていく。天気はいまいちだが、幸いの高曇りで赤石も悪沢も見える。頂上が二つに割れた笊ヶ岳、富士山の左手には櫛形山、そしてその左手には塩見がいる。その向こうに遠いのは間ノ岳と農鳥のようだ。何度も立ち止まってデジカメを撮る。行程は遅れるかもしれないが構わない。黄葉の悪沢を写しながら登っていく。右手の鞍部をどこまで下るのかなあ。ずいぶんありそうだ。丸山というのは悪沢の頂上尾根の一角で、その名のとおり丸い頭をしている。悪沢の岩場の頂上はすぐそこ、西の塩見がずいぶん近い。農鳥、間ノ岳の向こうに甲斐駒。塩見の向こう側に見えてるのは北岳(じゃなくて仙丈)か。思ったよりも長い岩場を登り、見下ろした丸山が丸く見え、やっと悪沢の頂上標識が見えてきた。悪沢の頂上の向こうに赤石が重なっている。そして右手に荒川中岳が見えてきた。避難小屋と頂上標識まで見える。前岳というのはその尾根続きの向こう側のピークなのかなあ。ほとんど同じ山だ。荒川の右手遠くには中央アルプスとその向こうの御岳まで見える。はるかな北アルプス。向こう側を向いていた悪沢の頂上標識には、残念ながら荒川東岳を書いてある。まあ仕方ない。おばさんに写真をとってもらう。手をうしろで組んで、足を開いていたほうが良いようだ。ひとしきりデジカメを撮ったあと、去りがたき頂上を辞す。荒川中岳との間はすごく深い鞍部になっている。

こいつを降りて、またあの壁を登るのかと思うとつらい。下っていくとき、登ってくる人が一人。中岳への登りは思ったほどでもなく、やがて目の前に避難小屋が現れる。登山者が一人。

ずっと左手に見えている赤石がすばらしい。端正な赤石は小赤石と重なった姿が崩れない。アンバランスな魅力の悪沢に対し、赤石には均整のとれた美しさがある。

振り返った悪沢は立派な三角形になっている。中岳の頂上からはずいぶん塩見が近い。悪沢になかった三角点がある。直ぐ先に三伏峠との三叉路があり、ザックを置いて前岳に向かう。頂上は直ぐ近くに見えたが、歩いてみると意外にある。北東側はまばらに草のある裸地だが、南西側は崩壊地。すごい崖になっている。そいつを写してから戻る。先に来ていた老夫婦は三伏峠の方に向かっていった。違うんじゃないのかなあと思いつつ、声をかけずに戻る。分岐に戻ると荒川小屋にいた人がいて(女性だった)、「あの二人はどこへいくと言ってました」と私に聞き、二人の後を追っていった。やはり三伏への縦走はテントなしでは無理で、老夫婦はそれを知らなかったのか、それとも単に道を間違えたのか(どうも後者だったようだ)。まずいことをしたかなあとも思いつつ、ザックをかついで荒川小屋への道を下る。この道は思ったのと相当違い、実質、赤石との間の最低鞍部まで下る長い道であった。

よって、30分くらいで着くだろうと思ったのは大きな間違いで、1時間近くかかる。荒川中岳に5時間で着いたときは楽勝と思っていたのが、食事をして荒川小屋を出たときは1時間遅れ(一応予定範囲内)であった。下っていくとカール底が見えてきた。悪沢を降りたときに見えたカール底と同じ感じだが、後でよく見ると違うカールのようだ。どちらも緑のきれいな草原になっている。

前岳から荒川小屋へ下るとき、赤石岳は緑のカールの向こうで北東尾根を長く伸ばしていた。カール底が見えなくなってからはるか下に荒川小屋が見えてきた。こいつは時間がかかると直感。その先にはトラバース路が緩い角度で赤石に向かっている。つまり、小赤石の北尾根に取り付くのではなく、西側の稜線から登っていくのだ。赤石と荒川小屋がひとつの画面に入る。ここまで来るともう荒川も悪沢も背後のスロープで見えない。荒川小屋はもう閉まっていて、冬季は少し下の青い屋根の小屋を使うよう書いてある。まあ、テントがなくても泊まれるようだ。小屋の裏のテーブルで食事。食事を終わって出発準備していると、さっきの老夫婦がやってきた。荒川小屋をバックに写真を撮ってくれというので撮る。やっぱり道を間違えたのかなあ。でもこれから赤石小屋までいくんだろうか。これから食事のようである。私は出発したものの登山道への入口を間違えいったりきたり。分かりにくい入口を見つけてトラバース路へ登る。視界の開けたところに出ると、荒川小屋の向こうに荒川岳が見えてくる。悪沢はその陰で見えない。どうやら見えているのは荒川前岳で、中岳はその裏のようだ。更に登ると右手に悪沢も見えてくる。雄大。このあたりまで来ると、小赤石は頭上にそびえている感じ。小赤石の尾根に移る手前に大聖寺平の標識。休憩しているとさっきの夫婦が登ってくる。追いつかれそうだ。途中に赤石大沢岳という道標あり。赤石岳の更に南西にある大沢岳のことを言ってるのだろう。小赤石手前あたりから望む荒川岳は崩壊地を左になかなか立派で、細面に見える悪沢よりも目立っている。

赤石に登っていくと、細面に見えていた悪沢が次第に大きくなってくる。少し青空になった空に雲をたなびかせ、やや左に傾いた巨大な三角形は不思議な魅力を持っていて、目が離せない。

悪沢を写してる間に老夫婦が追い越して行き、小赤石手前の3003m峰のへりを過ぎる頃に荒川の頂上にガスが上がってきた。アルプスの午後にはいつものことだから仕方ない。これが最後かもと悪沢を写す。3003m峰の向こう側に赤石岳が見えてくる。だいぶ近くなった。このあたりではだいぶへばっていて、3003m峰への踏跡みたいなのもあったが、行かず。少し登って下を見ると、3003m峯の頂上あたりにケルンが見える。小赤石への登りは今回で一番しんどい登りとなり、やっとの思いでピークにたどり着くと、そこは小赤石のひとつ手前のピークであった。いつものことだ。小赤石に着いて前後の赤石と悪沢を写す。いずれ劣らぬ立派な山容。東の尾根を見下ろすと、赤石小屋の屋根が見える。やけに近く見える。さて、小赤石を下り、三叉路に出てザックを下ろし、今度は小ザックをとりだして背負っていく。折りしも下から登ってきた男性が先行。

老夫婦が頂上手前を登ってるのが見える。降りてくるとき会うだろう(結局、男性も老夫婦も降りてこず)。空身とはいえ登りはつらい。赤石に着くと、頂上標識に三角点に鐘もある賑やかさだが人はいない。人の声がすると思ったらすぐ先に避難小屋がある。男性も老夫婦もあそこに泊まる訳だ。しかしここにはテント場はないので、私はここには泊まれない。一人の頂上を満喫し、スタンドを立ててデジカメを写す。鐘も鳴らしてみる。さて、去りがたき頂上を辞し、ザックのところにたどり着き、最後の下りにかかる。15時半過ぎ。マップではここから2時間だが、1時間くらいでいけないかな。しかし、ガレ場の下りは意外にきつく、谷の水場に着くまでで1時間近くかかる。谷からラクダ尾根にトラバースするはずなのだが、なかなか谷を離れない。やっとラクダの背分岐に出たのは17時半近かった。もうヘッドランプを用意する。

富士見平に出ると一気に視界が開ける。日が山陰に落ち、赤石、小赤石、荒川、悪沢の全てが、まだ明るい空を背景にシルエットになっている。ガスはいつしか晴れてきている。暗くなってきた夜空を背景に、デジカメの絞りを緩めたり絞ったりして山のシルエットを撮る。飛行機が金色の軌跡を残す。この先で林に入った後はヘッドランプ頼りの暗闇。やっと赤石小屋に着き、真っ暗な玄関でザックを下ろして受付。350ミリビールと合計1,000円だったと思う。テント場はすぐ下。水をバッグ一杯にいれてもらう。赤石小屋にもたくさん泊まってるようだ。暗くなって着くと、必然的に睡眠時間は短くなる。それでもアラームを4時に設定。明日は5時には出て、椹島発10時のバスになんとしても間に合いたい。

D3

4時に起きて準備開始。4時半には山荘の発電機がスタート。1時間でザックを仕立てて出発。山荘にビールの空缶を預けに行く。今日は晴れるんだろうか。天気は悪くなると思って無理をして一日早く下るのに、今日晴れたらどうしよう。ちなみに昨晩は満点の星で、月も出ていた。5時現在、空はまだ暗く、赤石と小赤石が翼を広げたような形でぼんやり見えている。ヘッドランプの明かりが薄くなり、5時半頃に朝日が射してくる。空は薄曇で、昨日と同じような天気のようだ。1時間40分ほどで中間点と思われる標識に到達。マップでは約2時間、実際は2時間半を予定していたので愕然。ものすごく早く着いてしまう予感。その場合どうしようと考えながら進む。ゆっくり歩いてるのに後ろからは次々と追い抜いていく。急いでどうするんだ。林道間近の松林の斜面で最後の休憩をしていると、前日、前々日も追い抜いていった男性がやってくる。まだ8時過ぎだというとびっくりしている。「6時に出てゆっくり来たのに」と言っている。よほど足が速いんだろう。だけどさっさと降りていってしまった。最後の階段を下りて林道に立ち、椹島ロッジに入る。手前の鳥居で手を合わせる。売店の周りでは数人がブラブラしている。バスは売店の前からとのことで、売店でバス券を買う。さあこれから1時間半どうしよう。売店の中で暇をつぶすというのが当初の案だったが、店には誰もいないので、外のテーブルにガスバーナーを広げてコーヒーを飲むことにする。それにしても日が射してなくて寒い。

レインウェアの上を着込む。一杯目をのんでから顔だけでも洗おうとロッジに行ってみると、なんとシャワーを使えるとある。どうしようと思ったが、面倒なので洗面所で顔と手を洗い、歯を磨くだけにする。テーブルに戻ってみるとなんと雨が降り出している。あわててガスバーナーをしまい、さっき買った赤石マグカップなどをザックにしまいこむ。雨が降るとは。今朝降りておいてよかった。山にいたら今頃たいへん。テントをあきらめ小屋に入っていたかもしれないし、赤石の山頂も悲惨だっただろう。だけど山の天気は分からないものだ。バスに乗る人々は揃って売店の中へ。ココアを頼んだらおいしかった。千枚小屋に泊まり、悪沢を往復してきたという男性。いろんな人がいるものだ。バスに乗り込む頃には雨は上がっていた。バスにゆられるとすごくいい気持ちでうとうとする。来たときと同じく赤石と聖の見えるポイントで止まってくれたが、ウトウトしていてシャッターチャンスを逃す。まあ、写真は十分に撮ったよ。ダムで降りたのは半分ほど、あとはバス停までいくらしい。

赤石温泉白樺荘というのが近くにあり、寄ってみると椹島の連中がたくさん来ている。フロは記名するだけで無料。まずまずのぬるいお湯。昼食をたべ、わさび漬けを買っていく。大無間の登山口を確認し、帰路を急ぐ。渋滞にもならずに首都高に入り、北池袋の入口を除いて順調に走っていたのに、間違えて途中で降りてしまう。高速に乗り直すのに下の道を30分ほどロスしたかもしれないが、代わりにガソリンを入れていく。高曇りの天気にすばらしい景観。満点の南アルプスであった。

 D0

夏の富士山

早朝4~5時頃に首都高に入る。箱崎に入らずに北池袋回りで東名に乗る。流れは途切れず、順調。夜が明けてきて5時過ぎに川崎を通過。あと240km。朝日に富士山が見え、愛鷹らしき山が見える。7時半過ぎ、SAに入って青空の富士山を眺める。8時前に清水ICを下り、清水から静岡に向かうが、ここで渋滞に巻き込まれる。静岡というのは道路事情がよくないようだ。

朝の愛鷹山

上河内岳と青薙山

茶臼岳

茶臼岳と上河内岳

畑薙第一ダム

ハタナギのバスの時間は11:50と15:00。ダム湖らしきところに出て、ハタナギダムの上がバス停。ダムの上に出て対岸に渡ると車がたくさん駐車している。一番奥に止めてまず仕立てたザックを取り出し、次に着替えをする。靴を履いてダムの方を見るとバスがやってくる。ザックをかついで手にウォーキングストックを持ち、バスに乗り込む。約9割の入り。11:50のバスに間に合ってしまった。バスにゆられて運転手の案内を聞きながらうとうとする。運転手の説明では、聖岳の見えるスポット、上河内岳の見えるスポット、赤石岳の見えるスポットは1時間のバス行程でそれぞれ1回づつ。狭くて長い吊橋があり、茶臼岳の登山口だという。聖岳への登山口を過ぎ、赤石の登山口は椹島ロッジの入口のすぐそばにあった。4日後はここを降りてくることになる。ロッジに着いて受付(バスに乗るとき3,000円、ロッジで5,000円払う)。荒川小屋はもう閉まっており、千枚小屋と赤石小屋ももうじき閉まるという。テントの私には関係ないが。まだ昼過ぎなので、まずはビール。売店があったので赤石のハンカチを買い、生ビールとつまみを買う。外でくつろいでいる人たち。部屋は畳にふとん二つ。缶ビールにつまみで時間をつぶす。

椹島ロッジ

今朝の新聞で日曜は曇、月曜雨の予報なので、4日行程を3日にし、2日目に荒川小屋をスキップして赤石小屋まで行くことを考える。千枚から荒川まで6時間、荒川から赤石まで7時間、合計13時間。千枚を5時に出れば18時に赤石小屋に着く勘定。暗くなってもヘッドランプがあるさ。でもとりあえず、明日の千枚まで予定の8時間で行けるかどうかで判断することにする。体調はどうななあ。夕方まで昼寝し、風呂に入り、夕食を食べ、部屋に戻る。隣では遅くまで話し込んでいた。塩見まで縦走すると南アルプス全縦走完成する話、明日、荒川避難小屋まで行く話、縦走してる間に金がなくなってしまった話、などなど。翌日の朝食6時半(実は5時半)に合わせて寝る。暑くて、窓を開けたまま寝てしまう。夜中に起きて閉める。こんな山小屋もあるんだ。

 D1

鉄橋脇の登山口

5時頃目が覚めてしまい、部屋でマップを眺めていると、突然朝食のアナウンスがあった。5時半だったのだ。着替えをしないままで食事をし、部屋に戻って着替えとザックを仕立て、即出発。ペテガリのときと比べ、水は半分(水バッグ1個、お茶ボトル4個、3リットル程度)、その代わり着替えのジャージを入れている。林道に登り、鉄橋のところで川沿いの登山道に入る。NHKの日本の名峰で出てきた吊橋を渡り、林の山道に分け入る。若干の風邪気味なのか頭のてっぺんの左あたりに痛みがある。天気も前日とは違う曇り空。峰の上の方はガスの中。

吊橋

1,587m地点の三角点

蕨段2,074mの三角点

展望台

鉄塔の下に出、林道を横切り、三等三角点のある地点で休憩し、10時に水場に到達。30分くらいの遅れ。松林の草のまばらな斜面で、何度かロストしそうになる。蕨段で初めてマップにある地点名が標識に出てくる。その先で視界が開けてきて、展望台らしきところに出る。登ってみると林道の一角だったが、眺めのよい場所で、標識はないが展望台なのだろう。残念ながらガスで上の方は見えないが、11時半なので食事にする。

悪沢岳

湯をわかしていると突然ガスが消え、大きなピークが見えてきた。こいつは悪沢岳に違いないと思い、夢中でデジカメを撮る。頂上が見えたのは一瞬だった。

駒鳥池の標識

登山道に戻って登っていると、二人に追い越される。マップによるとここからが急登なので、3時間のところを4時間はかかるだろうとみていたが、結果は逆に出て2時間ちょっとで着いてしまった。駒鳥池の標識のところでは、探したけど池は見当たらず。あっけなく着いた千枚小屋は立派な小屋で、受付でテント場使用料500円とビール500ミリ800円を買う。テント場は100m以上離れていて、小屋とは隔絶された感じ。ゆっくりテントを張ってからビールを飲み、前日朝に買ったピーナッツミニサンドをつまみにする。

千枚小屋

孫子を読んだり(敵を知り、己を知れば、百戦して危うからず)、ノートを書いたりして時間をつぶす。ジャージは正解で、セーターやレインウェアなしで十分暖かかった。

 D2

曇り空の赤石岳

4時に起き、テントを畳んで出発したのは5時前。夜中は星が見えていたが、朝はガスが出ている。晴れてほしい。北海道よりも夜明けは遅い。ヘッドランプを点け、小屋で水をくみ、ビールの空き缶を受付に渡して出発。小屋は5時前に発電機が始動して電気が点いており、朝食時なのかもしれない。外で準備している人もいる。

登っていくと東の曇り空に富士山と笊ヶ岳(だと思う)が見えてくる。千枚岳手前の尾根に出たところに標識があり、尾根の向こう側に視界が開けている。

高曇りの空の下で赤石岳が待っていた。感激。その向こうには聖と上河内が見えている(最初、赤石を悪沢、聖を赤石と思っていた)。上河内には雲がかかり、赤石にも少しガスがかかっていたので、これが最後かもと思い、夢中でシャッターを切る。千枚岳の方に登っていくと右手の頭上に悪沢岳が姿を現す。見事。ややゆがんだ巨体が悪沢の名にふさわしい。千枚岳の頂上は千枚の岩場で、立派な頂上標識が立っている。富士山カメラマンが二人、脚立を構えている。ぞくぞくと登山者が登ってきて、どんどん悪沢に向かっていく。

曇り空の富士山

天気はいまいちだが、幸いの高曇りで赤石も悪沢も見える。頂上が二つに割れた笊ヶ岳、富士山の左手には櫛形山、そしてその左手には塩見がいる。その向こうに遠いのは間ノ岳と農鳥のようだ。何度も立ち止まってデジカメを撮る。行程は遅れるかもしれないが構わない。黄葉の悪沢を写しながら登っていく。端正な赤石は小赤石と重なった姿が崩れない。右手の鞍部をどこまで下るのかなあ。ずいぶんありそうだ。

 富士山、笊ヶ岳、青薙山、上河内岳、聖岳、赤石岳

千枚岳頂上標識

 夜明けの塩見岳、蝙蝠岳、間ノ岳、雲に隠れた農鳥岳

 赤石岳と中岳・悪沢岳・丸山

夜明けの間ノ岳と農鳥岳(手前は蝙蝠岳)

千枚岳と富士山

丸山頂上から悪沢岳

丸山というのは悪沢の頂上尾根の一角で、その名のとおり丸い頭をしている。悪沢の岩場の頂上はすぐそこ、西の塩見がずいぶん近い。農鳥、間ノ岳の向こうに甲斐駒。塩見の向こう側に見えてるのは仙丈岳か。思ったよりも長い岩場を登り、見下ろした丸山が丸く見え、やっと悪沢の頂上標識が見えてきた。悪沢の頂上の向こうに赤石が重なっている。そして右手に荒川中岳が見えてきた。避難小屋と頂上標識まで見える。前岳というのはその尾根続きの向こう側のピークなのかなあ。ほとんど同じ山だ。荒川の右手遠くには中央アルプスとその向こうの御岳まで見える。はるかな北アルプス。

甲斐駒ヶ岳、間ノ岳、農鳥岳、蝙蝠岳

悪沢岳の岩

赤石岳

中盛丸山と大沢岳

丸山

御岳と中央アルプス

兎岳、中盛丸山、大沢岳

中岳

 塩見岳、仙丈岳、甲斐駒ヶ岳、間ノ岳、農鳥岳、蝙蝠岳、鳳凰山

悪沢岳の頂上標識

向こう側を向いていた悪沢の頂上標識には、残念ながら荒川東岳を書いてある。まあ仕方ない。おばさんに写真をとってもらう。手をうしろで組んで、足を開いていたほうが良いようだ。正面の赤石がすばらしい。ひとしきりデジカメを撮ったあと、去りがたき頂上を辞す。荒川中岳との間はすごく深い鞍部になっている。

前岳と中岳

こいつを降りて、またあの壁を登るのかと思うとつらい。下っていくとき、登ってくる人が一人。中岳への登りは思ったほどでもなく、やがて目の前に避難小屋が現れる。登山者が一人。振り返った悪沢は立派な三角形になっている。中岳の頂上からはずいぶん塩見が近い。悪沢になかった三角点がある。直ぐ先に三伏峠との三叉路があり、ザックを置いて前岳に向かう。頂上は直ぐ近くに見えたが、歩いてみると意外にある。北東側はまばらに草のある裸地だが、南西側は崩壊地。すごい崖になっている。そいつを写してから戻る。先に来ていた老夫婦は三伏峠の方に向かっていった。違うんじゃないのかなあとおもいつつ、声をかけずに戻る。分岐に戻ると荒川小屋にいた人がいて(女性だった)、「あの二人はどこへいくと言ってました」と私に聞き、二人の後を追っていった。やはり三伏への縦走はテントなしでは無理で、老夫婦はそれを知らなかったのか、それとも単に道を間違えたのか(どうも後者だったようだ)。まずいことをしたかなあとも思いつつ、ザックをかついで荒川小屋への道を下る。この道は思ったのと相当違い、実質、赤石との間の最低鞍部まで下る長い道であった。

甲斐駒ヶ岳

塩見岳

悪沢岳

 富士山、笊ヶ岳、布引山、稲又山、青薙山、大無間山、上河内岳、赤石岳

赤石岳

ずっと左手に見えている赤石がすばらしい。端正な赤石は小赤石と重なった姿が崩れない。アンバランスな魅力の悪沢に対し、赤石には均整のとれた美しさがある。

中岳避難小屋

中岳頂上標識

 仙丈岳、塩見岳、甲斐駒ヶ岳、間ノ岳、農鳥岳・西峰、農鳥岳、地蔵岳、観音岳、薬師岳

奥茶臼山

 富士山、笊ヶ岳、青薙山、赤石岳、前岳、奥茶臼山

前岳の崖

前岳頂上標識

よって、30分くらいで着くだろうと思ったのは大きな間違いで、1時間近くかかる。荒川中岳に5時間で着いたときは楽勝と思っていたのが、食事をして荒川小屋を出たときは1時間遅れ(一応予定範囲内)であった。下っていくとカール底が見えてきた。悪沢を降りたときに見えたカール底と同じ感じだが、後でよく見ると違うカールのようだ。どちらも緑のきれいな草原になっている。

赤石岳

前岳から荒川小屋へ下るとき、赤石岳は緑のカールの向こうで北東尾根を長く伸ばしていた。アンバランスな魅力の悪沢に対し、赤石には均整のとれた美しさがある

荒川小屋

カール底が見えなくなってからはるか下に荒川小屋が見えてきた。こいつは時間がかかると直感。その先にはトラバース路が緩い角度で赤石に向かっている。つまり、小赤石の北尾根に取り付くのではなく、西側の稜線から登っていくのだ。赤石と荒川小屋がひとつの画面に入る。ここまで来るともう荒川も悪沢も背後のスロープで見えない。荒川小屋はもう閉まっていて、冬季は少し下の青い屋根の小屋を使うよう書いてある。まあ、テントがなくても泊まれるようだ。小屋の裏のテーブルで食事。食事を終わって出発準備していると、さっきの老夫婦がやってきた。荒川小屋をバックに写真を撮ってくれというので撮る。やっぱり道を間違えたのかなあ。でもこれから赤石小屋までいくんだろうか。これから食事のようである。こちらは出発したものの登山道への入口を間違えいったりきたり。分かりにくい入口を見つけてトラバース路へ登る。視界の開けたところに出ると、荒川小屋の向こうに荒川岳が見えてくる。悪沢はその陰で見えない。どうやら見えているのは荒川前岳で、中岳はその裏のようだ。更に登ると右手に悪沢も見えてくる。雄大。このあたりまで来ると、小赤石は頭上にそびえている感じ。小赤石の尾根に移る手前に大聖寺平の標識。休憩しているとさっきの夫婦が登ってくる。追いつかれそうだ。途中に赤石大沢岳という道標あり。小赤石手前の肩のことを言ってるのだろう(頂上直近を通過)。小赤石手前あたりから望む荒川岳は崩壊地を左になかなか立派で、細面に見える悪沢よりも目立っている。

前岳、中岳、悪沢岳

前岳/中岳と悪沢岳

白い花(イワツメクサ?)

悪沢岳

赤石に登っていくと、細面に見えていた悪沢が次第に大きくなってくる。少し青空になった空に雲をたなびかせ、やや左に傾いた巨大な三角形は不思議な魅力を持っていて、目が離せない。

悪沢岳と小赤石岳頂上標識

赤石岳

悪沢を写してる間に老夫婦が追い越して行き、赤石大沢岳のへりを過ぎる頃に荒川の頂上にガスが上がってきた。アルプスの午後にはいつものことだから仕方ない。これが最後かもと悪沢を写す。赤石大沢の向こう側に赤石岳が見えてくる。だいぶ近くなった。このあたりではだいぶへばっていて、大沢への踏跡みたいなのもあったが、行かず。少し登って下を見ると、大沢の頂上あたりにケルンが見える。小赤石への登りは今回で一番しんどい登りとなり、やっとの思いでピークにたどり着くと、そこは小赤石のひとつ手前のピークであった。いつものことだ。小赤石に着いて前後の赤石と悪沢を写す。いずれ劣らぬ立派な山容。東の尾根を見下ろすと、赤石小屋の屋根が見える。やけに近く見える。さて、小赤石を下り、三叉路に出てザックを下ろし、今度は小ザックをとりだして背負っていく。折りしも下から登ってきた男性が先行。

赤石岳頂上

老夫婦が頂上手前を登ってるのが見える。降りてくるとき会うだろう(結局、男性も老夫婦も降りてこず)。空身とはいえ登りはつらい。赤石に着くと、頂上標識に三角点に鐘もある賑やかさだが人はいない。人の声がすると思ったらすぐ先に避難小屋がある。男性も老夫婦もあそこに泊まる訳だ。しかしここにはテント場はないので、こちらはここには泊まれない。一人の頂上を満喫し、スタンドを立ててデジカメを写す。鐘も鳴らしてみる。さて、去りがたき頂上を辞し、ザックのところにたどり着き、最後の下りにかかる。15時半過ぎ。マップではここから2時間だが、1時間くらいでいけないかな。しかし、ガレ場の下りは意外にきつく、谷の水場に着くまでで1時間近くかかる。谷からラクダ尾根にトラバースするはずなのだが、なかなか谷を離れない。やっとラクダの背分岐に出たのは17時半近かった。もうヘッドランプを用意する。

赤石岳頂上の鐘

紅葉

黄葉の谷

金色の飛行機雲

富士見平に出ると一気に視界が開ける。日が山陰に落ち、赤石、小赤石、荒川、悪沢の全てが、まだ明るい空を背景にシルエットになっている。ガスはいつしか晴れてきている。暗くなってきた夜空を背景に、デジカメの絞りを緩めたり絞ったりして山のシルエットを撮る。飛行機が金色の軌跡を残す。この先で林に入った後はヘッドランプ頼りの暗闇。やっと赤石小屋に着き、真っ暗な玄関でザックを下ろして受付。350ミリビールと合計1,000円だったと思う。テント場はすぐ下。水をバッグ一杯にいれてもらう。赤石小屋にもたくさん泊まってるようだ。暗くなって着くと、必然的に睡眠時間は短くなる。をれでもアラームを4時に設定。明日は5時には出て、椹島発10時のバスになんとしても間に合いたい。

夕暮れの前岳・中岳と悪沢岳

夕暮れの赤石岳と小赤石岳

 D3

夜明け

4時に起きて準備開始。4時半には山荘の発電機がスタート。1時間でザックを仕立てて出発。山荘にビールの空缶を預けに行く。今日は晴れるんだろうか。天気は悪くなると思って無理をして一日早く下るのに、今日晴れたらどうしよう。ちなみに昨晩は満点の星で、月も出ていた。5時現在、空はまだ暗く、赤石と小赤石が翼を広げたような形でぼんやり見えている。ヘッドランプの明かりが薄くなり、5時半頃に朝日が射してくる。空は薄曇で、昨日と同じような天気のようだ。1時間40分ほどで中間点と思われる標識に到達。マップでは約2時間、実際は2時間半を予定していたので愕然。ものすごく早く着いてしまう予感。その場合どうしようと考えながら進む。ゆっくり歩いてるのに後ろからは次々と追い抜いていく。急いでどうするんだ。林道間近の松林の斜面で最後の休憩をしていると、前日、前々日も追い抜いていった男性がやってくる。まだ8時過ぎだというとびっくりしている。「6時に出てゆっくり来たのに」と言っている。よほど足が速いんだろう。だけどさっさと降りていってしまった。最後の階段を下りて林道に立ち、椹島ロッジに入る。手前の鳥居で手を合わせる。売店の周りでは数人がブラブラしている。バスは売店の前からとのことで、売店でバス券を買う。さあこれから1時間半どうしよう。売店の中で暇をつぶすというのが当初の案だったが、店には誰もいないので、外のテーブルにガスバーナーを広げてコーヒーを飲むことにする。それにしても日が射してなくて寒い。

椹島ロッジ

レインウェアの上を着込む。一杯目をのんでから顔だけでも洗おうとロッジに行ってみると、なんとシャワーを使えるとある。どうしようと思ったが、面倒なので洗面所で顔を手を洗い、歯を磨くだけにする。テーブルに戻ってみるとなんと雨が降り出している。あわててガスバーナーをしまい、さっき買った赤石マグカップなどをザックにしまいこむ。雨が降るとは。今朝降りておいてよかった。山にいたら今頃たいへん。テントをあきらめ小屋に入っていたかもしれないし、赤石の山頂も悲惨だっただろう。だけど山の天気は分からないものだ。バスに乗る人々は揃って売店の中へ。ココアを頼んだらおいしかった。千枚小屋に泊まり、悪沢を往復してきたという男性。いろんな人がいるものだ。バスに乗り込む頃には雨は上がっていた。バスにゆられるとすごくいい気持ちでうとうとする。来たときと同じく赤石と聖の見えるポイントで止まってくれたが、ウトウトしていてシャッターチャンスを逃す。まあ、写真は十分に撮ったよ。ダムで降りたのは半分ほど、あとはバス停までいくらしい。

赤石温泉白樺荘というのが近くにあり、寄ってみると椹島の連中がたくさん来ている。フロは記名するだけで無料。まずまずのぬるいお湯。昼食をたべ、わさび漬けを買っていく。大無間の登山口を確認し、帰路を急ぐ。渋滞にもならずに首都高に入り、北池袋の入口を除いて順調に走っていたのに、間違えて途中で降りてしまう。高速に乗り直すのに下の道を30分ほどロスしたかもしれないが、代わりにガソリンを入れていく。高曇りの天気にすばらしい景観。満点の南アルプスであった。