飯豊連峰・大日岳 空の上からの眺め

新潟県  大日岳2,128m、牛首山・最高点1,980m、一服平1,550m  2005年8月6日

(大日岳)新潟百名山

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15時前に一服平のピークに着く。林を抜けて視界が開け、登ってきた背後の尾根はオーバーハングの向こうで見えず、深い谷が広がっている。空の上にいるのだ。

翌日、針金のある早川の突き上げを登って稜線に上がると、ずんぐりした大日岳が初めて見える。重々しく、周囲を圧する存在感。

牛首山・P1まで登ると視界が広がり、西大日岳と大日岳の稜線、行く手の牛首山・P2、そして飯豊本山の稜線が左右いっぱいに広がっている。壮観

牛首山・P2最高点で休憩。岩場に薄い色の可憐な花、シャジン?がたくさん咲いている。大日岳は空の一角を占めるほど巨大になり、ゆったりと左右に稜線を伸ばしている。その山腹にへばりついている登山道は、いかにもちっぽけ。

大日岳頂上に着くと、だいぶくたびれた頂上標識。北には久しぶりの北股岳の背中。隣の梅花皮岳との間に美しいアークを架け、連峰の北で存在感を示している。西には西大日岳が美しい鋭角の姿。東には鋭く尖った飯豊本山が両翼を広げ、左右に延びる主稜線の上に浮いている。雄大かつ颯爽としていて、いまにも飛び立ちそう。

その夜、ホテル・アルファワンのシャワーを浴びていたときは最高の気分。全くはしゃぎまくりたい衝動。両足は汗疹だらけ。両腕は日焼けにザックのバンドでこすったところが痛む。首まわりや手足に虫さされも数知れず。全部セッケンとシャワーで洗い流す心地よさ。


大日岳は空の一角を占めるほど巨大になり、ゆったりと左右に稜線を伸ばしている。その山腹にへばりついている登山道は、いかにもちっぽけ。
飯豊本山方面から見る牛首山と大日岳: テントを張った一服平は左端ピークだと思う。空の上の縦走路 (2004年8月14日)
その刹那、朝日で空がオレンジ色に輝く。魔法の世界
月心清水の古びた石板の地蔵尊
岩場に薄い色の可憐な花、イトシャジン?がたくさん
牛首山・P1付近からのパノラマ: 視界が広がり、西大日岳と大日岳の稜線、行く手の牛首山・P2、そして飯豊本山の稜線が左右いっぱいに広がっている。壮観
大日岳から東の情景: 鋭く尖った飯豊本山が両翼を広げ、左右に延びる主稜線の上に浮いている。雄大かつ颯爽としていて、いまにも飛び立ちそう
大日岳から北の情景: 北には久しぶりの北股岳の背中。隣の梅花皮岳との間に美しいアークを架け、連峰の北で存在感を示している
(D1) 8:43 駐車地点発 9:11 実川登山口・・・・・・・・・・・・途中、作業車に乗せてもらう11:34 月心清水14:55 一服平・・・・・・・・・・・・・・・・・登り6時間12分(D2) 4:31 一服平発 6:30 牛首山・最高点1,980m 6:59 牛ヶ首・コル1,890m 7:52 惣十郎清水 8:03 大日岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間32分 8:16 大日岳発 8:30 惣十郎清水・給水 9:01 牛ヶ首・コル 9:35 牛首山・最高点10:50 一服平・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復6時間19分12:58 月心清水14:48 実川登山口17:33 駐車地点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・下り5時間49分        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・合計13時間2分

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D1

朝8時に実川の林道に入り、ゲート手前に駐車。8時半過ぎに長い林道歩きに出発。ビール5本、ペットボトル6本のザックは最初はそんなに重く感じない。

ところが少し行くと工事用のトラック(4人乗り)がやってきて乗せてくれるという。これはラッキー。車の中で言われた、「登りばかりで大変だ」というのはその通りだったが、「月心の先に水は無い」については、もう一つ水場があった。トンネルの前のゲートを開け、小屋(があったはず)を過ぎて登山口の前で降ろしてもらう。

9時過ぎ、実川登山口発。ブナの林。沢に降りて橋を渡り、少し先から尾根登りとなる。暑さのためか最初から30分毎の休憩。時計の進むのが遅く感じられるのは良くない。

しかし、2時間半しかたっていないのに、11時半に月心清水に着く。古びた石板の地蔵尊。食事と水汲み。確かに崩壊地から水が出ている。12時半、月心清水発。ずいぶんゆっくり休んだものだ。ここから陽射をあびることが多くなり、へばってくる。ロープ場も多く、普通ならストックで登る坂をロープを両手で持って登る。真っ白なセンジュガンピ。ずっと先まで尾根が見える。左からのびている高い尾根が櫛ヶ峰だが、上はガスで隠れていた。30分毎に木陰で横になって休む。熱中症ぎみ。

また2時間半経ち、15時前に一服平のピークに着く。林を抜けて視界が開け、登ってきた背後の尾根はオーバーハングの向こうで見えず、深い谷が広がっている。空の上にいるのだ。目の前に牛首山(頂上はこの時隠れていた)、左に尾根が続いていてその先に櫛ヶ峰だが、頂上は隠れている。思ったとおり一服平にはテントが張れる。この先まで行ってテント場があるか分からない。ザックを降ろしてテントを張る。見えているのは登ってきた尾根とこれから登る尾根。牛首山との間の谷と櫛ヶ峰の間の谷には残雪あり。頂上はガス。右手に見えるはずの本山方面も見えず。大日はたぶん牛首山の向こう。真上に太陽。

テントの中は暑くて入れないので、外に新聞を敷いて昼寝。16時頃夕食。

17時頃、2本目のビールを飲みながらカレル・チャペックを読んでいると、だんだんガスが晴れてきて、牛首山と櫛ヶ峰が見えるようになる。深緑の鋭角傾斜の上に立つ真っ黒な牛。

日がかげるとすぐに涼しくなってきて、18時頃、テントに入る。19時頃外に出ると本山が見えている。残光にシルエットの飯豊本山。空に浮かぶ飯豊連峰の主稜線。明日は晴れるだろう。深夜1時半頃起きて外に出ようとするとテントが濡れている。雨かと思うくらい濡れているが、霧のようだ。外は満天の星空。天の川がきれいに見えているが、カシオペアしか分からず。黒いシルエットの本山。

D2

4時にアラームが鳴り、すぐに起き、4時半出発。夜明け前のシルエットの飯豊本山と主稜線。御西岳から三国岳までみえている。涼しいせいか足取りは軽い。しかし、一服平から櫛ヶ峰までは意外と遠い。道が荒れていて歩きにくいのも一因。5時、日の出。朝日が種蒔山に上がり、飯豊本山と主稜線が空に浮かぶ。その刹那、朝日で空がオレンジ色に輝く。魔法の世界。一服平のテントは緑の中の黄色い点。道端にはキンポウゲ。

5時半、針金のある早川の突き上げを登って稜線に上がると、ずんぐりした大日岳が初めて見える。重々しく、周囲を圧する存在感。櫛ヶ峰の標識が置いてあったが、櫛ヶ峰頂上へは行かず。その先で大日~西大日を見ながら休憩。チョコレートをかじる。西側の二つのピークのどちらが西大日だろう。手前のが高く見えるが、たぶん奥の方だろう。このあたりからは刈り払いの跡がある。大日頂上に水があるだろうか。まあ、無ければ月心まで下って昼食にすればよい。

6時過ぎ、牛首山・P1。傾いた標識あり。一服平から見えていたのはこの頂。視界が広がり、西大日岳と大日岳の稜線、行く手の牛首山・P2、そして飯豊本山の稜線が左右いっぱいに広がっている。壮観。

6時半、牛首山・P2。ここが一番高そうだ。頂上の岩場で休憩。本山は日の出の光でまだまぶしい。岩場に薄い色の可憐な花、白いイトシャジン?がたくさん咲いている。大日岳は空の一角を占めるほど巨大になり、ゆったりと左右に稜線を伸ばしている。その山腹にへばりついている登山道は、いかにもちっぽけ。

7時前、牛首山・P3。ここからコルまで相当の下り。コルの直下に残雪があり、無理して下れば水を採れそうだ。コル付近に「牛ヶ首」の標識。いちばんくびれたところ?その先を右側から巻いて登っていく。御西から大日への登山道がだいぶ近く感じる。歩いている人も見える。日は照っているがまだ朝の空気で涼しい。快調。ロープのある岩稜の上で休憩。大日岳頂上直下の残雪が見え、猿が二匹歩いている。あれが雪渓の水場のようだ。水が採れそうだ。道にはマツボックリの食べかすやイチゴの根をかじったものなどがころがっており、どうも猿のようだ。8時前、さっきの残雪の惣十郎清水。冷たくてうまい。その先の急坂を登り、8時、大日岳頂上に到達。

だいぶくたびれた頂上標識。一段下にはテント場。ここに泊まりたかった。でも朝日も見えたし、一番良かったのかもしれない。北には久しぶりの北股岳の背中。隣の梅花皮岳との間に美しいアークを架け、連峰の北で存在感を示している。二ツ峰の一方が見えているが、杁差は見えていない。西には西大日岳が美しい鋭角の姿。右奥のピークは薬師岳だろうか。東には鋭く尖った飯豊本山が両翼を広げ、左右に延びる主稜線の上に浮いている。雄大かつ颯爽としていて、いまにも飛び立ちそう。四周の景観に夢中になっているとき、大きなザックをしょったオッサンが一人やってきて、また戻っていった。帰路につき、雪渓から水を汲むのに時間がかかり、8時半となる。

(下山)

9時半、牛首山・P3。このすぐ下の木陰で休み、サングラスをはめる。牛首山・P2の頂で男性二人に会う。月心に白いテントが張ってあり、そこから来たのだろう。その後も二人登ってきたが、今朝、登山口から来たのだろうか?一人は小さなザックだったので、御西小屋の管理人かな?私はザックのチャックを閉め忘れていて、男性の一人に閉めてもらった。助かった。

10時前、牛首山・P1。ガスが下からわいてきて、本山が時々隠れていたが、大日も隠れてしまった。日が翳ってくれるのは良いが、時々日が射すとつらい。櫛ヶ峰から一服平までは意外と遠く感じたが、11時前に着。

だいぶへばってきた。すぐにテントをたたみ、袋に詰める前に湯を沸かす・・・と、ガス切れ。ボンベを替える。温いビールを飲みながら食事。景色はなし。食欲もなし。ここからは、昨日あれだけへばっていて登りに2時間半だったから、下りは1時間くらいで月心に行けるのでは・・・と思っていたらその通りで、12時前に一服平を出て、13時に月心清水。しかし、本日のなかで一番長かった1時間。熱中症ぎみで、足がふらつきそうになる。月心でペットボトル3本汲む。白いテントに携帯と上着が干してある。

月心清水からは、木陰の道に入ったせいか足取りは軽くなる。時々日が射すとつらい。風も吹かなくなってきた。川筋と水の音。見上げた上はガスで見えない。14時半、橋。涼しい。その先で林道が見えたところで休憩。虫が多いのが気がかり。スプレーをたっぷりかけ、最後のビールを飲む。実川登山口に着くと、近くに車を停めてあるのが見える。

アブを払いながら歩くうちにトンネル、15時半前。ヘッドランプをつけて歩くが、ほとんど真っ暗。足元しか照らせない。しかし涼しい。20分歩いてトンネル出口。ゲートを跨ぎ越し、休憩。涼しいせいかトンネルには虫はいなかった。でもすぐ出てくるだろう。レインウェアを着て出発。しかたない。しばらく虫は出てこない。だが、脱ぐとだんだんたかってくる。たぶん、汗のにおいか二酸化炭素にひかれるのだろう。

16時過ぎ、水力発電所。日が射していて苦しいところ。日陰に入るとほっとする。時々ある滝のところで立ち止まって涼む。30分毎に休み、あと30分と思った17時半頃、突然ゲート。2時間40分で着いてしまった。

アブがいるので靴とレインウェアを脱いだだけで出発。ガソリンが無いのでふかさないように行く。途中で会ったオッサンが東の町に行けばGSがあると言うのでそちらに向かい、JOMOを見つけて給油。その夜、ホテルのシャワーを浴びていたときは最高の気分。全くはしゃぎまくりたい衝動。両足は汗疹だらけ。両腕は日焼けにザックのバンドでこすったところが痛む。首まわりや手足に虫さされも数知れず。全部セッケンとシャワーで洗い流す心地よさ。金曜の甲子園初日で青森山田が智弁和歌山に勝っていた。

2004年8月に飯豊本山方面から、今回歩いたオンベ松尾根の全景を見ていた。牛首から大日岳に至る長い尾根。テントを張った一服平は左端ピークだと思う。空の上の縦走路。

(D1)

実川登山口

朝8時に実川の林道に入り、ゲート手前に駐車。8時半過ぎに長い林道歩きに出発。ビール5本、ペットボトル6本のザックは最初はそんなに重く感じない。

ところが少し行くと工事用のトラック(4人乗り)がやってきて乗せてくれるという。これはラッキー。車の中で言われた、「登りばかりで大変だ」というのはその通りだったが、「月心の先に水は無い」については、もう一つ水場があった。トンネルの前のゲートを開け、小屋(があったはず)を過ぎて登山口の前で降ろしてもらう。

9時過ぎ、実川登山口発。ブナの林。沢に降りて橋を渡り、少し先から尾根登りとなる。暑さのためか最初から30分毎の休憩。時計の進むのが遅く感じられるのは良くない。

月心清水

しかし、2時間半しかたっていないのに、11時半に月心清水に着く。古びた石板の地蔵尊。食事と水汲み。確かに崩壊地から水が出ている。12時半、月心清水発。ずいぶんゆっくり休んだものだ。ここから陽射をあびることが多くなり、へばってくる。ロープ場も多く、普通ならストックで登る坂をロープを両手で持って登る。真っ白なセンジュガンピ。ずっと先まで尾根が見える。左からのびている高い尾根が櫛ヶ峰だが、上はガスで隠れていた。30分毎に木陰で横になって休む。熱中症ぎみ。

センジュガンピ

一服平のピーク(奥は牛首山)

また2時間半経ち、15時前に一服平のピークに着く。林を抜けて視界が開け、登ってきた背後の尾根はオーバーハングの向こうで見えず、深い谷が広がっている。空の上にいるのだ。目の前に牛首山(頂上はこの時隠れていた)、左に尾根が続いていてその先に櫛ヶ峰だが、頂上は隠れている。思ったとおり一服平にはテントが張れる。この先まで行ってテント場があるか分からない。ザックを降ろしてテントを張る。見えているのは登ってきた尾根とこれから登る尾根。牛首山との間の谷と櫛ヶ峰の間の谷には残雪あり。頂上はガス。右手に見えるはずの本山方面も見えず。大日はたぶん牛首山の向こう。真上に太陽。

一服平のテント

テントの中は暑くて入れないので、外に新聞を敷いて昼寝。16時頃夕食。

牛首山

17時頃、2本目のビールを飲みながらカレル・チャペックを読んでいると、だんだんガスが晴れてきて、牛首山と櫛ヶ峰が見えるようになる。深緑の鋭角傾斜の上に立つ真っ黒な牛。

日がかげるとすぐに涼しくなってきて、18時頃、テントに入る。19時頃外に出ると本山が見えている。残光にシルエットの飯豊本山。空に浮かぶ飯豊連峰の主稜線。明日は晴れるだろう。深夜1時半頃起きて外に出ようとするとテントが濡れている。雨かと思うくらい濡れているが、霧のようだ。外は満天の星空。天の川がきれいに見えているが、カシオペアしか分からず。黒いシルエットの本山。

飯豊本山・・・・・・・左端・駒形山と飯豊本山、右・飯豊山神社峰

夕方の飯豊本山の稜線・・・・・左から御西岳、飯豊本山(駒形山、本山、神社峰)、草履塚

(D2)

夜明けの飯豊本山・・・・・左から飯豊本山、草履塚、種蒔山

4時にアラームが鳴り、すぐに起き、4時半出発。夜明け前のシルエットの飯豊本山と主稜線。御西岳から三国岳までみえている。涼しいせいか足取りは軽い。しかし、一服平から櫛ヶ峰までは意外と遠い。道が荒れていて歩きにくいのも一因。5時、日の出。朝日が種蒔山に上がり、飯豊本山と主稜線が空に浮かぶ。その刹那、朝日で空がオレンジ色に輝く。魔法の世界。一服平のテントは緑の中の黄色い点。道端にはキンポウゲ。

日の出

5時、日の出。朝日が種蒔山に上がり、飯豊本山と主稜線が空に浮かぶ。

日の出2

その刹那、朝日で空がオレンジ色に輝く。魔法の世界。

櫛ヶ峰

キンポウゲ

櫛ヶ峰の標識

稜線から見る櫛ヶ峰

大日岳の稜線と牛首山

イトシャジン?

イトシャジン?

櫛ヶ峰(奥)と牛首山・P1・・・・・牛首山・P2(最高点)とのコル付近より

ようやく見えた大日岳

5時半、針金のある早川の突き上げを登って稜線に上がると、ずんぐりした大日岳が初めて見える。重々しく、周囲を圧する存在感。櫛ヶ峰の標識が置いてあったが、櫛ヶ峰頂上へは行かず。その先で大日~西大日を見ながら休憩。チョコレートをかじる。西側の二つのピークのどちらが西大日だろう。手前のが高く見えるが、たぶん奥の方だろう。このあたりからは刈り払いの跡がある。大日頂上に水があるだろうか。まあ、無ければ月心まで下って昼食にすればよい。

6時過ぎ、牛首山・P1。傾いた標識あり。一服平から見えていたのはこの頂。視界が広がり、西大日岳と大日岳の稜線、行く手の牛首山・P2、そして飯豊本山の稜線が左右いっぱいに広がっている。壮観。

牛首山・P1付近からのパノラマ: 視界が広がり、西大日岳と大日岳の稜線、行く手の牛首山・P2、そして飯豊本山の稜線が左右いっぱいに広がっている。壮観

西大日岳、大日岳、牛首山

イトシャジン?

ハイ松の道、牛首山・P2最高点付近

イトシャジン?

大日岳

6時半、牛首山・P2。ここが一番高そうだ。頂上の岩場で休憩。本山は日の出の光でまだまぶしい。岩場に薄い色の可憐な花、シャジン?がたくさん咲いている。大日岳は空の一角を占めるほど巨大になり、ゆったりと左右に稜線を伸ばしている。その山腹にへばりついている登山道は、いかにもちっぽけ。

雪渓の水場(惣十郎清水)

7時前、牛首山・P3。ここからコルまで相当の下り。コルの直下に残雪があり、無理して下れば水を採れそうだ。コル付近に「牛ヶ首」の標識。いちばんくびれたところ?その先を右側から巻いて登っていく。御西から大日への登山道がだいぶ近く感じる。歩いている人も見える。日は照っているがまだ朝の空気で涼しい。快調。ロープのある岩稜の上で休憩。大日岳頂上直下の残雪が見え、猿が二匹歩いている。あれが雪渓の水場のようだ。水が採れそうだ。道にはマツボックリの食べかすやイチゴの根をかじったものなどがころがっており、どうも猿のようだ。8時前、さっきの残雪の惣十郎清水。冷たくてうまい。その先の急坂を登り、8時、大日岳頂上に到達。

牛ヶ首・コルの標識

牛首山と牛首

コバイケイソウの斜面

コバイケイソウ

大日岳頂上・・・・・背後は西大日岳

だいぶくたびれた頂上標識。一段下にはテント場。ここに泊まりたかった。でも朝日も見えたし、一番良かったのかもしれない。北には久しぶりの北股岳の背中。隣の梅花皮岳との間に美しいアークを架け、連峰の北で存在感を示している。二ツ峰の一方が見えているが、杁差は見えていない。西には西大日岳が美しい鋭角の姿。右奥のピークは薬師岳だろうか。東には鋭く尖った飯豊本山が両翼を広げ、左右に延びる主稜線の上に浮いている。雄大かつ颯爽としていて、いまにも飛び立ちそう。四周の景観に夢中になっているとき、大きなザックをしょったオッサンが一人やってきて、また戻っていった。帰路につき、雪渓から水を汲むのに時間がかかり、8時半となる。

西大日岳

飯豊本山

飯豊本山と稜線

大日岳から東の情景: 鋭く尖った飯豊本山が両翼を広げ、左右に延びる主稜線の上に浮いている。雄大かつ颯爽としていて、いまにも飛び立ちそう

大日岳から北の情景: 北には久しぶりの北股岳の背中。隣の梅花皮岳との間に美しいアークを架け、連峰の北で存在感を示している

上の拡大・・・・左から、北股岳、梅花皮岳、烏帽子岳(中央)

(下山)

9時半、牛首山・P3。このすぐ下の木陰で休み、サングラスをはめる。牛首山・P2の頂で男性二人に会う。月心に白いテントが張ってあり、そこから来たのだろう。その後も二人登ってきたが、今朝、登山口から来たのだろうか?一人は小さなザックだったので、御西小屋の管理人かな?私はザックのチャックを閉め忘れていて、男性の一人に閉めてもらった。助かった。

10時前、牛首山・P1。ガスが下からわいてきて、本山が時々隠れていたが、大日も隠れてしまった。日が翳ってくれるのは良いが、時々日が射すとつらい。櫛ヶ峰から一服平までは意外と遠く感じたが、11時前に着。

だいぶへばってきた。すぐにテントをたたみ、袋に詰める前に湯を沸かす・・・と、ガス切れ。ボンベを替える。温いビールを飲みながら食事。景色はなし。食欲もなし。ここからは、昨日あれだけへばっていて登りに2時間半だったから、下りは1時間くらいで月心に行けるのでは・・・と思っていたらその通りで、12時前に一服平を出て、13時に月心清水。しかし、本日のなかで一番長かった1時間。熱中症ぎみで、足がふらつきそうになる。月心でペットボトル3本汲む。白いテントに携帯と上着が干してある。

月心清水からは、木陰の道に入ったせいか足取りは軽くなる。時々日が射すとつらい。風も吹かなくなってきた。川筋と水の音。見上げた上はガスで見えない。14時半、橋。涼しい。その先で林道が見えたところで休憩。虫が多いのが気がかり。スプレーをたっぷりかけ、最後のビールを飲む。実川登山口に着くと、近くに車を停めてあるのが見える。

アブを払いながら歩くうちにトンネル、15時半前。ヘッドランプをつけて歩くが、ほとんど真っ暗。足元しか照らせない。しかし涼しい。20分歩いてトンネル出口。ゲートを跨ぎ越し、休憩。涼しいせいかトンネルには虫はいなかった。でもすぐ出てくるだろう。レインウェアを着て出発。しかたない。しばらく虫は出てこない。だが、脱ぐとだんだんたかってくる。たぶん、汗のにおいか二酸化炭素にひかれるのだろう。

16時過ぎ、水力発電所。日が射していて苦しいところ。日陰に入るとほっとする。時々ある滝のところで立ち止まって涼む。30分毎に休み、あと30分と思った17時半頃、突然ゲート。2時間40分で着いてしまった。

アブがいるので靴とレインウェアを脱いだだけで出発。ガソリンが無いのでふかさないように行く。途中で会ったオッサンが東の町に行けばGSがあると言うのでそちらに向かい、JOMOを見つけて給油。その夜、ホテルのシャワーを浴びていたときは最高の気分。全くはしゃぎまくりたい衝動。両足は汗疹だらけ。両腕は日焼けにザックのバンドでこすったところが痛む。首まわりや手足に虫さされも数知れず。全部セッケンとシャワーで洗い流す心地よさ。金曜の甲子園初日で青森山田が智弁和歌山に勝っていた。

(2004年8月14日)

飯豊本山付近から見る牛首山

飯豊本山付近から見る牛首山と大日岳

・テントを張った一服平は左端ピークだと思う。空の上の縦走路