帳付山、天丸山 西上州の山旅と景観

群馬県  帳付山1,619m、天丸山1,506m、大山1,540m、倉門山1,572m  2011年11月24日

(帳付山)関東百名山

(天丸山)日本の山1,000、群馬百名山

255

すっかり涼しくなって、朝は肌寒いほど

澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込み

もう紅葉の山道を登る

秋の抜けるような青空が広がれば

心は山野を駆け巡る

(秋の山旅)

☁☁☁☁☁

「馬道のコル、上武国境」の標識。樹木はまばらで開けている。9時半前、出発から2時間。青空の秋晴れだが、風は冷たい。天丸は近く、登り返しの途中からその鋭角ピークが見える。南側もほぼ垂直の壁になっている。

P2・1,475mの先で行く手の帳付頂上が見える。鋭角ピークではないが、樹木に覆われた堂々とした姿。西上州の最奥にいるのだ。そして背後に初めて両神を見る。

P4手前のマイナーピークのあたりから南に奥多摩から奥秩父らしき山並が見える。妙法から雲取のあたりと思われるが、同定できない。

11時前。尾根の北側が見えるが、山また山で同定できず。すごい山奥にいる。

ウォーキング・スティックを麓に置き、ロープを登る。垂直の壁に足場を探し、登りついたところで次のロープがある。ロープは4本続き、3本目のところで樹林帯を抜けて帳付の全身が見え、4本目を登りきると傾斜は緩くなり、倉門が見える。そして三等三角点と簡素な頂上標識のある狭い天丸頂上に着く

大山へのルートは両神を見るのに最適の場所で、真っ青な秋晴れの空の下に西岳の鋭鋒を前衛にしたギザギザの稜線をもつ両神は雄大にして威圧的。


P2・1,475mの先で行く手の帳付頂上が見える。鋭角ピークではないが、樹木に覆われた堂々とした姿。西上州の最奥にいるのだ。
天丸山: 垂直斜面のロープを登る
両神山: 大山へのルートは両神を見るのに最適の場所で、真っ青な秋晴れの空の下に西岳の鋭鋒を前衛にしたギザギザの稜線をもつ両神は雄大にして威圧的。
秋の日の出
馬道のコル
7:25  駐車地点発 8:37  大山分岐 9:02  倉門山・1,572m 9:11  天丸分岐 9:43  P1・石標1,470m 9:53  P2・1,475m10:10  P3・1,490m10:48  P4・1,490m11:05  帳付山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間40分11:28  帳付山発11:39  P412:20  P312:24  P212:34  P1・石標13:05  天丸分岐13:13  ロープ場麓13:25  天丸山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・天丸分岐から20分        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帳付山から2時間20分13:33  天丸山発13:56  天丸分岐14:15  倉門山14:28  大山分岐14:50  大山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大山分岐から22分       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・天丸山から1時間17分15:00  大山発15:19  大山分岐16:20  駐車地点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大山から1時間20分         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帳付山から4時間52分         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復8時間55分

***********************************

まだ真っ暗な5時頃に起き、6時に道の駅を出発。薄明るい程度で大きなダム湖(神流湖(かんなこ))の左岸の道を行くと、次第に明るくなり、叶山という四角い頂上の山が正面に見えている。その先には大平戸山、高反山という名がカーナビにある山が見える。そして幹線道路からの左折地点に着く。天丸山・帳付山登山口。集落の続く道を進むと、やがて明るくなってきた空に天丸山のピークが見えてくる。あれが天丸だな、とすぐに分かる。

「全面通行止」の表示が出ていたが、よく見ると、「天丸山・帳付山の登山口へ・・・・・・行くことができます」とある。集落の終点から九十九折の登りの車道となり、天丸山・帳付山・大山登山口に着く。道路工事をしているようなので、奥の車道脇スペースに止める。準備していると一台やってきたが、その男性が出る前に出発。先に出てしまったことで、知らず知らず足が速まる。

「上野大滝線」の古い馬道、現在の車道、登山道を記した案内があり、登山口からルートは二つ。右が工事中の林道経由で馬道のコル、左が大山、天丸山への直登。工事中の道を避けて左に入るが、往路は右の馬道のコル経由とすべきであった。最初は深い谷底の沢沿いの道。沢の左岸から途中で右岸に渡り、ゴルジュのところに鉄パイプの階段。30分ほどで尾根に取付き、九十九折の登り。高度が上がり、頭上の険しいピークが見えてくる。快晴・青空の秋晴れになりそうだ。谷の左右の尾根の、右に見えるピークが天丸で、左が大山なのだろう。荒れた斜面の道には霜柱。

谷は左右に分かれ、登山道は九十九折からテラスのような部分に上がり、いったん左の谷に少し下ってから谷を登っていく。その急な谷の登りの途中に大山への分岐表示があり、分岐の少し先で座って最初の休憩をとる。さっきの男性が追いついてきたが、どうやら大山の方へ行ったようだ。私は直進して天丸・帳付方面に向かう。

ついに尾根に到達し、尾根の上を西に向かい、尾根の最高点、倉門山に着く。そこは最初狭かった尾根が広い稜線になったところで、林の中の木の幹に倉門山の頂上標識が取り付けてある。そこからは天丸も大山も見えない。下りの稜線歩きは風が冷たく、軍手から厚手の手袋に替える。樹木の間に天丸の頂上が見えている。なんだ、こっちよりも低いのか。そして天丸と帳付の分岐点に出る。分岐標示と石標がある。行く手の樹木の間に帳付らしき山が見えている。かなり遠い。尾根の端のようなところでルートを見失うが、少し手前で稜線の南側に下る道を見つける。その道は下で再び稜線の上に戻り、下り切ったところに馬道のコルがある。

「馬道のコル、上武国境」の標識。樹木はまばらで開けている。9時半前、出発から2時間。青空の秋晴れだが、風は冷たい。天丸は近く、登り返しの途中からその鋭角ピークが見える。南側もほぼ垂直の壁になっている。帳付へのアップダウン尾根はP4まで(マイナーピークを含めると10まで)数え、その次が頂上。背後には倉門山の緩やかな頂上が見えている。P1手前までは林の中の歩きやすい尾根道。9時半過ぎにP1・1,470mに着くと「485」の石標。これはマップガイドに記載のあったものだろう。ここでほぼ半分(馬道コル・ルートの場合)。「埼玉県」と彫られた石標もある。

P2・1,475mの先で行く手の帳付頂上が見える。鋭角ピークではないが、樹木に覆われた堂々とした姿。西上州の最奥にいるのだ。そして背後に初めて両神を見る。帳付までの尾根はあとわずかに見えたが、そこからが難関だった。いったん尾根の南側のトラバースとなり、P3・1,490mのピークを迂回。尾根に登り返し、P4手前のマイナーピークのあたりから南に奥多摩から奥秩父らしき山並が見える。妙法から雲取のあたりと思われるが、同定できない。細い尾根の下りとなり、登り返しのところで南側に少しトラバースしてからの尾根取付点に気付かずロスト。15分ほど南斜面を登り返して尾根道に復帰。11時前。尾根の北側が見えるが、山また山で同定できず。すごい山奥にいる。

そこはもう頂上のすぐ手前で、急な尾根を登って頂上尾根の4つのマイナーピークの最初のピークに着く。朽ちた木の棒が残っており、次の頂上マイナーピークからは背後にもう低く見える天丸と、その向こうの大山のピークが見える。そして、大きな松の木が狭い尾根に林立している帳付の頂上に着く。いくつかの簡素な頂上標識があるが、三角点は無く、視界も無い。頂上尾根の西端が開けていて、そこに座りこんで大眺望を写す。

ただし、その大眺望の中で確実に同定できたのはすぐ西に見える諏訪山のみ。その右奥に見えるピークは四方原山だろうか)。その右、南西にある雲をかぶった大きいのは浅間山のようだ。北には近くにひとかたまりの山群があり、中央のが赤久縄だろうか。その右手に三つ並んでいるのが御荷鉾だろうか。もう一度、諏訪山を見る。それは最奥にある頂上の手前に下ヤツウチグラの尖りピークが立っている。そういえばあのピークから、こちらを見上げていたなあ。当時はここが帳付とは知らず、天丸のあたりかと思っていた。ひとわたり写真を撮り、後から追いついてきた男性に場所を空ける。

頂上稜線上は寒いので、尾根を南側に少し下って休憩をとるが、そこも風が吹いていた。二つもってきたテルモスのうちの一つを飲む。男性が帰った後、もう一度展望所に行って同じ眺望をもう一度眺める。展望所の北側からは天丸、倉門、大山のピークも見えていた。そして11時半に帰途につく。ロストから復帰したP4のあたりで、大山の右奥に両神山を再び見る。横長の山稜の左側に険峻なピークが何本も立っている。今は両神を西から見ているが、昔、登ったときは東側だったから、登ったときの反対側を見ていることになる。よって、あの険峻なピークは西岳、東岳のあたりだろう。東岳までは行ったが、西岳にまだ登っていない。

12時前、ロストの起点となった斜面を下る。下から見ると、確かにここを登るルートは分かりにくい。目印が必要だろう。そしてP4手前のマイナーピークから南の尾根の向こうにそびえる山々をもう一度見る。破風山、三宝山のあたりだろうか。その左(南東)には山岳重畳、奥は奥多摩、手前は両神の西の山々。南天山というのがあるはずだが、中央のあの低い山だろうか。P3からは両神が見え、P2まで来ると背後に帳付が現われる。P1の石標485を過ぎ、樹間に天丸が見え、馬道のコルに下り、天丸分岐に登り返す。13時。

天丸へは細い潅木の林の尾根道で、左手にずんぐりした帳付、正面の潅木の向こうに天丸が大きくなっていく。いったんコルまで下って少し登り返したところの天丸の麓は岩の絶壁になっていて、太いロープが垂れている。これを登るのか。ウォーキング・スティックを麓に置き、ロープを登る。垂直の壁に足場を探し、登りついたところで次のロープがある。ロープは4本続き、3本目のところで樹林帯を抜けて帳付の全身が見え、4本目を登りきると傾斜は緩くなり、倉門が見える。平らな頂稜の右端(東端)が少し高くなっている。北東には赤久縄周辺の山々が見え始め、帳付から見た西御荷鉾と東御荷鉾の右(東)に頂上が二つに割れて見えるのは父不見だろう。その手前に割れたような岩峰があり、二子山と思われる。

そして三等三角点と簡素な頂上標識のある狭い天丸頂上に着く。切株には古い頂上標識のほかにも二つほど頂上標識がある。ここは360度の絶景の地点。東には大山の鋭角ピーク、西にはずっしり黒く見える帳付。その頂上が林になっているのが分かる。この天丸山頂は、背後の倉門より低いとはいえ、その直立した尖峰の形、ロープによる登攀、360度の眺望と、特筆に価する個性を備えている。頂上で横になって少し休み、ロープを使っての下山にかかる。麓には置いてきた二本のスティック。倉門の稜線への緩い登り、倉門頂上への軽い登りが辛い。たくさん写真をとっているのは何度も休んだから。天丸が眼下になっていく。林の中の倉門に着き、下りにかかる。稜線をそのまま大山に向かえばよかったのだが、だいぶ疲れていたので斜面途中の大山分岐で時間を確かめ、時間が無ければ大山には登らずに下山しようと考えた。

その大山分岐まで下って時間を見るとまだ14時半。15時を回っていたら止めようと思っていたが、大山に向かう。最初は斜面の直登りで辛い。尾根を直進しておけばよかったと悔やむ。しかし、意外に苦しい登りは短く、林の中の九十九折となり、尾根のK1をトラバースしてその奥の尾根に上がると、南東に両神が見える。この大山へのルートは両神を見るのに最適の場所で、真っ青な秋晴れの空の下に西岳の鋭鋒を前衛にしたギザギザの稜線をもつ両神は雄大にして威圧的。

立っている尾根はいったん下りになるが、その先は複雑になっていて、正面に直立した断崖があり、その上のピークも大山の一角だが、その手前のK2から断崖のピークには向かわず、北側にトラバースし、その先を更に北に登り返したところが大山の頂上だった。林の中の細長い頂上で、奥には道はない。大きな頂上標識に木の枝の小さい頂上標識。視界は良くない。風が吹いていて寒く、少し横になって休んでから下山する。

谷へ下っていくと、頭上の青い空と大山、天丸の尾根が次第に小さくなっていく。晩秋の枯れ果てた山の情景。駐車地点に着いたのは16時半前だったが、あたりはすでに薄暗くなっていた。幹線道路に出てから左折してしおじの湯に寄っていく。平日のためか客は少ない。そこからカーナビは往路を戻らず、十文字峠から北へ下仁田に抜けるルートを指定。ダム横の曲がりくねった道よりはこの方が早いのだろう。セブンイレブンで夕食を買ってから高速に乗り、20時に那須高原SAで食事と休憩。いつものことだが、首都圏を抜ける前、18時すぎに高速に乗り、首都圏を抜けた那須高原SAまで2時間というのは、かなり短いほうだ。

上州の秘峰、帳付と天丸は予想通りに、その姿、登攀、眺望にすぐれており、秋晴れの天候に恵まれて最高の山旅となった。

車道の登山口標識

まだ真っ暗な5時頃に起き、6時に道の駅を出発。薄明るい程度で大きなダム湖(神流湖(かんなこ))の左岸の道を行くと、次第に明るくなり、叶山という四角い頂上の山が正面に見えている。その先には大平戸山、高反山という名がカーナビにある山が見える。そして幹線道路からの左折地点に着く。天丸山・帳付山登山口。集落の続く道を進むと、やがて明るくなってきた空に天丸山のピークが見えてくる。あれが天丸だな、とすぐに分かる。

夜明け前の天丸山

「全面通行止」の表示が出ていたが、よく見ると、「天丸山・帳付山の登山口へ・・・・行くことができます」とある。集落の終点から九十九折の登りの車道となり、天丸山・帳付山・大山登山口に着く。道路工事をしているようなので、奥の車道脇スペースに止める。準備していると一台やってきたが、その男性が出る前に出発。先に出てしまったことで、知らず知らず足が速まる。

登山口の案内図

「上野大滝線」の古い馬道、現在の車道、登山道を記した案内があり、登山口からルートは二つ。右が工事中の林道経由で馬道のコル、左が大山、天丸山への直登。工事中の道を避けて左に入るが、往路は右の馬道のコル経由とすべきであった。最初は深い谷底の沢沿いの道。沢の左岸から途中で右岸に渡り、ゴルジュのところに鉄パイプの階段。30分ほどで尾根に取付き、九十九折の登り。高度が上がり、頭上の険しいピークが見えてくる。快晴・青空の秋晴れになりそうだ。谷の左右の尾根の、右に見えるピークが天丸で、左が大山なのだろう。荒れた斜面の道には霜柱。

登山口の道標

谷底の道

谷の秋空

枯木の向こうの天丸山

秋の日の出

谷は左右に分かれ、登山道は九十九折からテラスのような部分に上がり、いったん左の谷に少し下ってから谷を登っていく。その急な谷の登りの途中に大山への分岐表示があり、分岐の少し先で座って最初の休憩をとる。さっきの男性が追いついてきたが、どうやら大山の方へ行ったようだ。私は直進して天丸・帳付方面に向かう。

倉門山頂上

ついに尾根に到達し、尾根の上を西に向かい、尾根の最高点、倉門山に着く。そこは最初狭かった尾根が広い稜線になったところで、林の中の木の幹に倉門山の頂上標識が取り付けてある。そこからは天丸も大山も見えない。下りの稜線歩きは風が冷たく、軍手から厚手の手袋に替える。樹木の間に天丸の頂上が見えている。なんだ、こっちよりも低いのか。そして天丸と帳付の分岐点に出る。分岐標示と石標がある。行く手の樹木の間に帳付らしき山が見えている。かなり遠い。尾根の端のようなところでルートを見失うが、少し手前で稜線の南側に下る道を見つける。その道は下で再び稜線の上に戻り、下り切ったところに馬道のコルがある。

枯木の向こうの帳付山

馬道のコル

「馬道のコル、上武国境」の標識。樹木はまばらで開けている。9時半前、出発から2時間。青空の秋晴れだが、風は冷たい。天丸は近く、登り返しの途中からその鋭角ピークが見える。南側もほぼ垂直の壁になっている。帳付へのアップダウン尾根はP4まで(マイナーピークを含めると10まで)数え、その次が頂上。背後には倉門山の緩やかな頂上が見えている。P1手前までは林の中の歩きやすい尾根道。9時半過ぎにP1・1,470mに着くと「485」の石標。これはマップガイドに記載のあったものだろう。ここでほぼ半分(馬道コル・ルートの場合)。「埼玉県」と彫られた石標もある。

「馬道のコル」標識

天丸山

天丸分岐

植林の尾根道

P1・1,470mの石標

帳付山

P2・1,475mの先で行く手の帳付頂上が見える。鋭角ピークではないが、樹木に覆われた堂々とした姿。そして背後に初めて両神を見る。帳付までの尾根はあとわずかに見えたが、そこからが難関だった。いったん尾根の南側のトラバースとなり、P3・1,490mのピークを迂回。尾根に登り返し、P4手前のマイナーピークのあたりから南に奥多摩から奥秩父らしき山並が見える。妙法から雲取のあたりと思われるが、同定できない。細い尾根の下りとなり、登り返しのところで南側に少しトラバースしてからの尾根取付点に気付かずロスト。15分ほど南斜面を登り返して尾根道に復帰。11時前。尾根の北側が見えるが、山また山で同定できず。すごい山奥にいる。

両神山

P4・1,490m

南の景観:白岩山、雲取山、和名倉山、南天山、破風山、三宝山

御荷鉾山

天丸山と大山

帳付山頂上手前

そこはもう頂上のすぐ手前で、急な尾根を登って頂上尾根の4つのマイナーピークの最初のピークに着く。朽ちた木の棒が残っており、次の頂上マイナーピークからは背後にもう低く見える天丸と、その向こうの大山のピークが見える。そして、大きな松の木が狭い尾根に林立している帳付の頂上に着く。いくつかの簡素な頂上標識があるが、三角点は無く、視界も無い。頂上尾根の西端が開けていて、そこに座りこんで大眺望を写す。

帳付山頂上

北の景観:諏訪山、四方原山? 浅間山、赤久縄山、西御荷鉾山

赤久縄山

浅間山

諏訪山

ただし、その大眺望の中で確実に同定できたのはすぐ西に見える諏訪山のみ。その右奥に見えるピークは四方原山だろうか)。その右、南西にある雲をかぶった大きいのは浅間山のようだ。北には近くにひとかたまりの山群があり、中央のが赤久縄だろうか。その右手に三つ並んでいるのが御荷鉾だろうか。もう一度、諏訪山を見る。それは最奥にある頂上の手前に下ヤツウチグラの尖りピークが立っている。そういえばあのピークから、こちらを見上げていたなあ。当時はここが帳付とは知らず、天丸のあたりかと思っていた。ひとわたり写真を撮り、後から追いついてきた男性に場所を空ける。

頂上稜線上は寒いので、尾根を南側に少し下って休憩をとるが、そこも風が吹いていた。二つもってきたテルモスのうちの一つを飲む。男性が帰った後、もう一度展望所に行って同じ眺望をもう一度眺める。展望所の北側からは天丸、倉門、大山のピークも見えていた。そして11時半に帰途につく。ロストから復帰したP4のあたりで、大山の右奥に両神山を再び見る。横長の山稜の左側に険峻なピークが何本も立っている。今は両神を西から見ているが、昔、登ったときは東側だったから、登ったときの反対側を見ていることになる。よって、あの険峻なピークは西岳、東岳のあたりだろう。東岳までは行ったが、西岳にまだ登っていない。

東の景観:赤久縄山、西御荷鉾山、天丸山、大山、倉門山、両神山

南の情景(その2):白岩山、雲取山、和名倉山、南天山、破風山、三宝山

破風山と三宝山

12時前、ロストの起点となった斜面を下る。下から見ると、確かにここを登るルートは分かりにくい。目印が必要だろう。そしてP4手前のマイナーピークから南の尾根の向こうにそびえる山々をもう一度見る。破風山、三宝山のあたりだろうか。その左(南東)には山岳重畳、奥は奥多摩、手前は両神の西の山々。南天山というのがあるはずだが、中央のあの低い山だろうか。P3からは両神が見え、P2まで来ると背後に帳付が現われる。P1の石標485を過ぎ、樹間に天丸が見え、馬道のコルに下り、天丸分岐に登り返す。13時。

帳付山

天丸へは細い潅木の林の尾根道で、左手にずんぐりした帳付、正面の潅木の向こうに天丸が大きくなっていく。いったんコルまで下って少し登り返したところの天丸の麓は岩の絶壁になっていて、太いロープが垂れている。これを登るのか。ウォーキング・スティックを麓に置き、ロープを登る。垂直の壁に足場を探し、登りついたところで次のロープがある。ロープは4本続き、3本目のところで樹林帯を抜けて帳付の全身が見え、4本目を登りきると傾斜は緩くなり、倉門が見える。平らな頂稜の右端(東端)が少し高くなっている。北東には赤久縄周辺の山々が見え始め、帳付から見た西御荷鉾と東御荷鉾の右(東)に頂上が二つに割れて見えるのは父不見だろう。その手前に割れたような岩峰があり、二子山と思われる。

天丸分岐

ロープ場麓

ロープ場斜面

倉門山

御荷鉾山、二子山、父不見山

大山と倉門山

天丸山頂上

そして三等三角点と簡素な頂上標識のある狭い天丸頂上に着く。切株には古い頂上標識のほかにも二つほど頂上標識がある。ここは360度の絶景の地点。東には大山の鋭角ピーク、西にはずっしり黒く見える帳付。その頂上が林になっているのが分かる。この天丸山頂は、背後の倉門より低いとはいえ、その直立した尖峰の形、ロープによる登攀、360度の眺望と、特筆に価する個性を備えている。頂上で横になって少し休み、ロープを使っての下山にかかる。麓には置いてきた二本のスティック。倉門の稜線への緩い登り、倉門頂上への軽い登りが辛い。たくさん写真をとっているのは何度も休んだから。天丸が眼下になっていく。林の中の倉門に着き、下りにかかる。稜線をそのまま大山に向かえばよかったのだが、だいぶ疲れていたので斜面途中の大山分岐で時間を確かめ、時間が無ければ大山には登らずに下山しようと考えた。

破風山、甲部信岳、三宝山

ロープ斜面の下降

両神山

その大山分岐まで下って時間を見るとまだ14時半。15時を回っていたら止めようと思っていたが、大山に向かう。最初は斜面の直登りで辛い。尾根を直進しておけばよかったと悔やむ。しかし、意外に苦しい登りは短く、林の中の九十九折となり、尾根のK1をトラバースしてその奥の尾根に上がると、南東に両神が見える。この大山へのルートは両神を見るのに最適の場所で、真っ青な秋晴れの空の下に西岳の鋭鋒を前衛にしたギザギザの稜線をもつ両神は雄大にして威圧的。

大山

立っている尾根はいったん下りになるが、その先は複雑になっていて、正面に直立した断崖があり、その上のピークも大山の一角だが、その手前のK2から断崖のピークには向かわず、北側にトラバースし、その先を更に北に登り返したところが大山の頂上だった。林の中の細長い頂上で、奥には道はない。大きな頂上標識に木の枝の小さい頂上標識。視界は良くない。風が吹いていて寒く、少し横になって休んでから下山する。

大山から西の景観

大山の頂上標識と両神山

またまた両神山

谷から見上げる大山

谷へ下っていくと、頭上の青い空と大山、天丸の尾根が次第に小さくなっていく。晩秋の枯れ果てた山の情景。駐車地点に着いたのは16時半前だったが、あたりはすでに薄暗くなっていた。幹線道路に出てから左折してしおじの湯に寄っていく。平日のためか客は少ない。そこからカーナビは往路を戻らず、十文字峠から北へ下仁田に抜けるルートを指定。ダム横の曲がりくねった道よりはこの方が早いのだろう。セブンイレブンで夕食を買ってから高速に乗り、20時に那須高原SAで食事と休憩。いつものことだが、首都圏を抜ける前、18時すぎに高速に乗り、首都圏を抜けた那須高原SAまで2時間というのは、かなり短いほうだ。

上州の秘峰、帳付と天丸は予想通りに、その姿、登攀、眺望にすぐれており、秋晴れの天候に恵まれて最高の山旅となった。