和賀連峰・中ノ沢岳、風鞍 失われた縦走路

秋田県  中ノ沢岳1,061m、風鞍1,023m  2018年6月17日

(中ノ沢岳)曲甲に登ったときに初めて見る

(風鞍)岩手の山150

316

辛い登り

ふと見上げるとピンクの花

急ぐ足元に小さな花が咲いていて

立ち止まる

(花の縦走路)

❁❁❁❁❁

2013年に曲甲から薬師岳を周回した時、曲甲分岐から南に立派な切り分け道がついていて、その方角に中ノ沢岳が見えていた。そこで、里山スケッチに選ばれている風鞍から中ノ沢岳を周回するプランをたててみた。

七瀬沢林道は傾斜があり、長かったが、登山道があるはずのヘアピンまでくると何もない。ヤブを抜け、林道の壁の急斜面を登り、尾根に上がると、果たしてそこに踏み跡があった。白いイワカガミが咲いていた。

マイヅルソウがたくさん。ピンクのウラジロヨウラク。次第にヤブがうるさくなってきたが、広い草原に灌木のある風鞍頂上に到達。三角点はないが、だいぶ痛んだ頂上標識。

ここから涙のヤブ漕ぎ大縦走が始まる。ヤブをかき分けて踏み跡をたどり、尾根をコルまで下る。淡い色のサラサドウダンを見たのはP5かP6のあたりだったろうか。P6・950mからは北に薬師岳、曲甲、中ノ沢岳の稜線を見る。

こうして粘り強く登り続け、中ノ沢岳まであとわずかというところでロスト。背丈を越える笹ヤブが立ちはだかり、カメよりも遅い歩み。たどりついた中ノ沢岳頂上も広い草原と灌木の頂上で、なにやら道標の木柱が倒れている。(ロスト1度目)

困ったのは、中ノ沢岳から先は登山道はしっかりしているだろう、という予想が見事に外れたことだ。中ノ沢岳頂上の北もヤブに覆われていて、道は見えない。これではゆっくりしていられないので、休まずに先に進む。ときどきツバメオモト。

南に再び見えてきた中ノ沢岳は左右対称の裾野の広い二等辺三角形の姿になっていて、実に堂々としている。

ひょっこり曲甲分岐の木柱に出会う。ところが、そこもまたヤブの中で、5年前に見た切り分け道は影も形もない。いろいろ探ってみたが、踏み跡は見つからない。灌木を乗り越えて斜面に下り、斜めに南西に登りかえして尾根に達すると、果たしてそこに踏み跡があった。助かった。(ロスト2度目)

風鞍は左右に羽を広げたような姿になっていて、印象的。これが風の鞍なのだろうか。

まるで広く緩い斜面の道になったので、もう大丈夫だろう。完全に安心しきって下っていくと、その広い林の中で踏み跡が怪しくなり、気づいてみるとロスト。急な沢筋を下り、沢筋の尾根を北東に登り返し、尾根の上まで登ると、果たしてそこに踏み跡があった。バンザイ、助かった。ザックを下ろし、横になって休憩。(ロスト3度目)

ネット情報によると、数年前までは縦走路は歩かれていたようなので、整備しないとすぐに草や灌木で荒れてしまいやすい道なのだろう。奥深いところでアプローチも大変だが、ブナの大木、盛りだくさんの花、山岳景観、いつまでも残ってほしい縦走路だと思う。

南に再び見えてきた中ノ沢岳は左右対称の裾野の広い二等辺三角形の姿になっていて、実に堂々としている。
風鞍は左右に羽を広げたような姿になっていて、印象的。これが風の鞍なのだろうか。
白いイワカガミ
ウラジロヨウラク
淡い色のサラサドウダン
ヤマボウシ
曲甲
オサバグサ
ツバメオモト
5:26 林道駐車地点発 6:29 尾根取付き(標高600m) 7:24 黒森山830m 9:46 風鞍1,023m13:00 中ノ沢岳1,061m・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り7時間34分14:51 甲分岐17:10 すずみ尾根入口18:40 林道駐車地点・・・・・・・・(距離13㎞、標高差1,000m、計画10時間)周回13時間14分

❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁

2013年に曲甲から薬師岳を周回した時、曲甲分岐から南に立派な切り分け道がついていて、道標には中ノ沢岳とあった。その方角に見えた中ノ沢岳にいずれは登らねば、と考えたのだが、地理院地図には破線が載っていなかった。次いで、里山スケッチのなかに風鞍が選ばれていて、これも地理院地図にない登山道をたどり、風鞍と中ノ沢岳を周回できるとわかり、そのプランをたててみた。2013年に曲甲に登った時の様子からすると、登山道は歩きやすいはずで、周回11㎞、10hのプランとみていた。つまり、前日の裏岩手・曲崎山11㎞往復と比べれば、半分の距離の楽なツアーとなる。従って、起床3時で道の駅を出て真木渓谷に向かうが、歩き始めたのはもう5時だった。

その真木渓谷の林道を走れるかが最初の関門だったが、工事中の箇所はいくつかあったが、5年前と同じ避難小屋まで入れた。林道の手前に見事なヤマボウシが咲いていた。大きな案内板には、七瀬沢林道から風鞍に登る道、そこから中ノ沢岳への道、さらに曲甲に至る道も出ている。案内を見ている間に先に行った黒いセダンが戻ってきたが、その先の工事現場で道は工事中で通れないと思ったのかもしれない。工事中の道と違う道が左についていて、それが順路だった。左岸に渡り、延々と砂利道を走り、棒状節理?の駐車スペースを過ぎ、案内をいくつか、そして行く手の曲甲を見て再び右岸に渡り、つづら折りを登った先で七瀬沢林道入口。大きなショベルが入口に置いてあったが、林道には入れそうだった。だが、周回するプランなので、七瀬沢林道には入らず、少し先のスペースに駐車。準備して出かけようとすると、山菜取りらしき車の軍団が何台か通り過ぎて行った。

七瀬沢林道は傾斜があり、長かったが、整備されていて歩きやすかった。たぶん入口にあったショベルで均したのだろう。道端にはショウマ、オオカサモチ、タニウツギ。クマ対策にウォークマンを鳴らしていく。ジェネシス。登山道があるはずのヘアピンまでくると広場になっていて視界も開けていて、いかにも登山口がありそう。ところが尾根側には何もない。尾根の上は林になっていて、取付きのヤブを抜ければ登りやすそうに見えた。そこでガーデン手袋をはめてヤブを抜け、林道の壁の急斜面を登り、尾根に上がると、果たしてそこに踏み跡があった。林の尾根道はすこぶる歩きやすく、しかも暖かいので、朝露用にはいてきたレインウェアの下をしまう。前日の曲崎山往復で、レインウェアの足元のところに真っ黒に泥がついている(翌週水曜に洗剤とブラシで洗う)。そして大きなブナが並ぶ黒森山頂上に着く。頂上標識はなし。眺望もなし。白いイワカガミが咲いていた。

黒森山から下ったコルの先に小尾根があり、踏跡が消えていた。主尾根と小尾根の間を進んでみるが違うようなので引返し、どうやら小尾根をやや斜めに登るらしいと気づく。踏み跡がなくとも、目印リボンくらいあってもよさそうなものだが、この日のコースには目印が極めて少なかった。手がかりがなくて登りにくかったが、小さな灌木や笹を掴んで強引に登ると、小尾根の先には果たして踏み跡があった。十分な太さのタケノコがときどきあり、少し採っていく。風鞍とのコルまで下るとピンク・テープがあり、踏み跡は下りと登りに分岐。登り返す方に進む。再び見えてきた薬師岳には雲がかかっていた。風鞍の手前にはマイナーピークが二つあり、くねくねした道が続いているが、踏み跡はしっかりしていて迷わなかったと思う。マイヅルソウがたくさん。日をあびているので、何枚も写すが、ちゃんと撮れているだろうか。P3・950mの頂上はぽっかり林を抜けて視界が広がり、北西方向の黒森山を初めて見る。北には斑点のある薬師といびつな形の曲甲。ピンクのウラジロヨウラク。

次第にヤブがうるさくなってきたが、逆に視界は広がり、西に、大森山の南に大台の平らな頂上、その南に真昼岳らしき雲をかぶった山を見る。そして広い草原に灌木のある風鞍頂上に到達。三角点はないが、だいぶ痛んだ頂上標識。南に尾根が見えていて、そこに南からの登山道があるはずだが、今はどうなっているのだろう。ハエがうるさかったが新しい虫スプレーで黙らせ、パンを食べ、横になる。さて、中ノ沢岳に向かって出発・・・・だが、灌木が遮っていて頂上の東に道はなし。南側にいったん出て灌木を迂回し、尾根の右端(南端)を東に向かうとヤブの中に微かに踏み跡があるようだ。そして初めて中ノ沢岳を見る。うーん、なかなか見事。でもずいぶん遠い。

ここから涙のヤブ漕ぎ大縦走が始まる。ヤブをかき分けて踏み跡をたどり、尾根をコルまで下る。やはり目印はないので、GPSで何度も確認。踏み跡も見失いがちで、たぶんこっちだろうと進み、踏み跡を再発見するという感じ。なんとか勘が当たって踏み跡を辿り、登り返してP4・950mに着き、そこからまた下り。P4からは尾根をわずかに左にはずしたところに踏み跡があることが多く、P4からの登り返しではいったん尾根の右で踏み跡を見失ったが、尾根の左側で再発見。この後、尾根の左側を外さないように進む。ときどき尾根に上がったり、尾根を右側に乗越したりするが、やがてまた左に落ち着く。たまに思い出したようにリボンが下がっている。淡い色のサラサドウダンを見たのはP5かP6のあたりだったろうか。P6・950mからは北に薬師岳、曲甲、中ノ沢岳の稜線を見る。

こうして粘り強く登り続け、P7・990mを越え、中ノ沢岳まであとわずかというところでロスト(たぶんP8・1,030mの手前)。いったん戻って踏み跡を探し直すべきだったかもしれないが、あとわずか(200mくらい)だったので強引に進む。ところが、背丈を越える笹ヤブが立ちはだかり、カメよりも遅い歩み。それでも次第に傾斜が緩み、笹ヤブも少しづつ薄くなり、ついにヤブを抜ける。(ロスト1度目)

そこは中ノ沢岳頂上のすぐ手前の、尾根の右端(東端)で、足元には微かな踏み跡。たぶん踏み跡は笹ヤブを右(東)に迂回していたのだろう。背後に見える風鞍は正三角形に近いトライアングルの整った形になっていた。たどりついた中ノ沢岳頂上も広い草原と灌木の頂上で、なにやら道標の木柱が倒れている。標識板が外れていて、「曲甲分岐まで1㎞」という標識板が落ちていた。どうやらこの木柱が中ノ沢岳の頂上標識らしい。頂上の標識板を探すが、見当たらなかった。それより困ったのは、風鞍からここまではヤブだったが、中ノ沢岳から先は登山道はしっかりしているだろう、という予想が見事に外れたことだ。中ノ沢岳頂上の北もヤブに覆われていて、道は見えない。これではゆっくりしていられないので、休まずに先に進む。曲甲分岐からは楽になるだろう、という予想にすがって。

中ノ沢岳から曲甲分岐の間のコル933mまでも140m弱の下り。ときどきツバメオモトが咲いていて、撮影。まだ少し余裕はあった。ここの登り返しも基本的に尾根の左を登り、南に再び見えてきた中ノ沢岳は左右対称の裾野の広い二等辺三角形の姿になっていて、実に堂々としている。オオカメノキじゃなくてガマズミかな、と思った花を見たあたりで、ひょっこり曲甲分岐の木柱に出会う。ところが、そこもまたヤブの中で、5年前に見た切り分け道は影も形もない。ウォークマンのバッテリーが切れ、二つ目のウォークマンを点ける。アラン・ホールズワース。

そこは三叉路になっていて、進行方向(北東)が薬師岳、背後方向(南西)が中ノ沢岳、そして斜め背後方向(西南西)が登山口になっている。ところが、登山口の方向に行くと、途中で尾根が切れ、踏み跡も切れている。いろいろ探ってみたが、踏み跡は見つからない。いったん尾根に戻り、休憩して頭を冷やす。バナナを食べながら、踏み跡が分からないならGPSトレースに沿って尾根を下ろう、と決め、灌木を乗り越えて斜面に下る。だが、斜面は急で、灌木も邪魔で、尾根沿いに下るのは難しい。いったん尾根に上がることにし、斜めに南西に登り、尾根に達すると、果たしてそこに踏み跡があった。助かった。踏み跡にザックを下ろし、もう一度休憩してから踏み跡を下る。風鞍は左右に羽を広げたような姿になっていて、印象的。これが風の鞍なのだろうか。北にはいびつな形の曲甲。登山道はないが三角点と古い木柱があり、吊尾根を辿ってその頂上に達したのは2013年。その木柱が小さく見えていた。(ロスト2度目)

急な尾根道を淡々と下っていくと、広くて緩い斜面に出て、広い踏み跡に合流する。その広い踏み跡は東に向かっていたが、どこに向かっているのか、標識やリボンはなし。まるで広く緩い斜面の道になったので、もう大丈夫だろう。完全に安心しきって下っていくと、その広い林の中で踏み跡が怪しくなり、気づいてみるとロスト。たぶんこっちだろうと進んで、それまでは踏み跡に復帰していたのが、今回は復帰できなかった。何度か踏み跡まで戻ってみたが分からず、仕方ないのでGPSトレースに近い北側に向かうが、これが今回は誤りだったようだ。沢筋を越えた先で尾根が分かれており、右の尾根に乗るが、最初はその右尾根を指していたGPSが左の尾根を指すので、左の尾根に乗り換える。その左の尾根に登ると、GPSは尾根の北側から西に下るルートを示すので、急な沢筋を下る。ところが、数十メートル下ったところでまたGPSの位置表示が変わり、尾根の上を指している。やれやれ、そこから尾根に直接登り返すのは不可能だったので、沢筋の尾根を北東に登り返し、沢筋が消えたところで南東に方向を変え、今度は尾根の上まで登る。すると、果たしてそこに踏み跡があった。バンザイ、助かった。ザックを下ろし、横になって休憩。(ロスト3度目)

今度こそ踏み跡を外さないように歩き(というか、そこからは間違いようがなかったのだが、)ついに林道に下る。そこには5年前に見た、すずみ尾根口の標識があった。ただし、林道は林道の形になっておらず、灌木ヤブと化していた。とりあえず休憩。つづら折りの林道のヤブは最初すさまじく、灌木の枝パンチやツタの足すくいなどに悩まされる。やっと灌木がまばらになり、ボコボコで歩きにくい長いつづら折りを一度ショートカット。だが、つづら折りを外すとえらく急な何もない斜面になっているので、その後はおとなしくつづら折りを下る。渡渉点に出る手前で、林道全面の刈り払いを数百メートルほどしてあった。格段に歩きやすかった。もっと上まで刈り払いしてほしい。

渡渉点は、5年前は二つとも無難に越えているが、今回は、最近の降雨で水量が多く、簡単ではなかった。最初の渡渉では、唯一渡れそうなルートの真ん中の黒い石がつるつるなので諦め、ダブルスティックでジャンプし、浅瀬に斜めに着地。被害なし。二つ目の渡渉は、着地点にある白い石めがけてジャンプ。その石が滑ったらやっかいだったが、滑らず、うまく着地できた。この後の林道歩きは2km弱だったが、長く感じた。あまり休みを取らなかったせいかウェストバッグをぶら下げていた首が痛い。林道は何ヶ所か補修されていて、きれいに盛り土、斜面補強されていた。甘露水を過ぎ、つづら折りを下り、通行止め標識の向こうに広い駐車場。もう1台も残っていない。橋を渡り、キャンプ場にもなる広場を過ぎ、駐車地点に戻る。やっと着いた。小さなヘビイチゴ。

片付け、着替えて車に乗り込み、温泉とスーパーをカーナビ入力して車を出す。もう19時になっていたので、のんびりする時間はない。角館温泉というのは初めて入ったが、熱くて悪くない。最初にお湯から出ようとして立ちくらみになり、湯の中にすわりこむ。これで2度目(最初は昨年、どこだったかな)。急に立ち上がらないようにすべきか。

距離13㎞、標高差1,000m、計画10時間を実績13時間強での周回。縦走路が荒れていて3度もロストしたのだからこんなところだろう。ネット情報によると、数年前までは縦走路は歩かれていたようなので、整備しないとすぐに草や灌木で荒れてしまいやすい道なのだろう。奥深いところでアプローチも大変だが、ブナの大木、盛りだくさんの花、山岳景観、いつまでも残ってほしい縦走路だと思う。

R105の道標

2013年に曲甲から薬師岳を周回した時、曲甲分岐から南に立派な切り分け道がついていて、道標には中ノ沢岳とあった。その方角に見えた中ノ沢岳にいずれは登らねば、と考えたのだが、地理院地図には破線が載っていなかった。次いで、里山スケッチのなかに風鞍が選ばれていて、これも地理院地図にない登山道をたどり、風鞍と中ノ沢岳を周回できるとわかり、そのプランをたててみた。2013年に曲甲に登った時の様子からすると、登山道は歩きやすいはずで、周回11㎞、10hのプランとみていた。つまり、前日の裏岩手・曲崎山11㎞往復と比べれば、半分の距離の楽なツアーとなる。従って、起床3時で道の駅を出て真木渓谷に向かうが、歩き始めたのはもう5時だった。

曇り空の和賀連峰

ヤマボウシ

大台

薬師岳?

真木渓谷案内図

その真木渓谷の林道を走れるかが最初の関門だったが、工事中の箇所はいくつかあったが、5年前と同じ避難小屋まで入れた。林道の手前に見事なヤマボウシが咲いていた。大きな案内板には、七瀬沢林道から風鞍に登る道、そこから中ノ沢岳への道、さらに曲甲に至る道も出ている。案内を見ている間に先に行った黒いセダンが戻ってきたが、その先の工事現場で道は工事中で通れないと思ったのかもしれない。工事中の道と違う道が左についていて、それが順路だった。左岸に渡り、延々と砂利道を走り、棒状節理?の駐車スペースを過ぎ、案内をいくつか、そして行く手の曲甲を見て再び右岸に渡り、つづら折りを登った先で七瀬沢林道入口。大きなショベルが入口に置いてあったが、林道には入れそうだった。だが、周回するプランなので、七瀬沢林道には入らず、少し先のスペースに駐車。準備して出かけようとすると、山菜取りらしき車の軍団が何台か通り過ぎて行った。

源太寺跡・案内

最初の橋と斉内川

薬師岳?

大倉岩・案内

曲甲

七瀬沢林道・入口

七瀬沢林道は傾斜があり、長かったが、整備されていて歩きやすかった。たぶん入口にあったショベルで均したのだろう。道端にはショウマ、オオカサモチ、タニウツギ。クマ対策にウォークマンを鳴らしていく。ジェネシス。登山道があるはずのヘアピンまでくると広場になっていて視界も開けていて、いかにも登山口がありそう。ところが尾根側には何もない。尾根の上は林になっていて、取付きのヤブを抜ければ登りやすそうに見えた。そこでガーデン手袋をはめてヤブを抜け、林道の壁の急斜面を登り、尾根に上がると、果たしてそこに踏み跡があった。林の尾根道はすこぶる歩きやすく、しかも暖かいので、朝露用にはいてきたレインウェアの下をしまう。前日の曲崎山往復で、レインウェアの足元のところに真っ黒に泥がついている(翌週水曜に洗剤とブラシで洗う)。そして大きなブナが並ぶ黒森山頂上に着く。頂上標識はなし。眺望もなし。白いイワカガミが咲いていた。

曇空の曲甲

ショウマ

オオカサモチ

オオカメノキ

タニウツギ

アマドコロ

尾根取付き点

草に埋もれた尾根取付き点

林の中の踏跡

アマドコロ

ツクバネソウ

ガンコウラン

黒森山頂上の巨大ブナ

ミヤマシキミの実

ミヤマシキミ

踏跡の消えた小尾根への登り返し

コルの分岐

白いイワカガミ

チゴユリ

白いイワカガミ

マイヅルソウ

マイヅルソウ

マイヅルソウ

ミミナグサ

ユキザサ

ミミナグサ

セミ

ウラジロヨウラク

黒森山から下ったコルの先に小尾根があり、踏跡が消えていた。主尾根と小尾根の間を進んでみるが違うようなので引返し、どうやら小尾根をやや斜めに登るらしいと気づく。踏み跡がなくとも、目印リボンくらいあってもよさそうなものだが、この日のコースには目印が極めて少なかった。手がかりがなくて登りにくかったが、小さな灌木や笹を掴んで強引に登ると、小尾根の先には果たして踏み跡があった。十分な太さのタケノコがときどきあり、少し採っていく。風鞍とのコルまで下るとピンク・テープがあり、踏み跡は下りと登りに分岐。登り返す方に進む。再び見えてきた薬師岳には雲がかかっていた。風鞍の手前にはマイナーピークが二つあり、くねくねした道が続いているが、踏み跡はしっかりしていて迷わなかったと思う。マイヅルソウがたくさん。日をあびているので、何枚も写すが、ちゃんと撮れているだろうか。P3・950mの頂上はぽっかり林を抜けて視界が広がり、北西方向の黒森山を初めて見る。北には斑点のある薬師といびつな形の曲甲。ピンクのウラジロヨウラク。

薬師岳と小鷲倉

ウラジロヨウラク

黒森山

仙北市方面

大台

P3から見る風鞍

オサバグサ

ツクバネウツギ

ゴゼンタチバナ

風鞍頂上の「黒森口2.2㎞」標識とゴゼンタチバナ

風鞍・頂上標識

次第にヤブがうるさくなってきたが、逆に視界は広がり、西に、大森山の南に大台の平らな頂上、その南に真昼岳らしき雲をかぶった山を見る。そして広い草原に灌木のある風鞍頂上に到達。三角点はないが、だいぶ痛んだ頂上標識。南に尾根が見えていて、そこに南からの登山道があるはずだが、今はどうなっているのだろう。ハエがうるさかったが新しい虫スプレーで黙らせ、パンを食べ、横になる。さて、中ノ沢岳に向かって出発・・・・だが、灌木が遮っていて頂上の東に道はなし。南側にいったん出て灌木を迂回し、尾根の右端(南端)を東に向かうとヤブの中に微かに踏み跡があるようだ。そして初めて中ノ沢岳を見る。うーん、なかなか見事。でもずいぶん遠い。

初めて見えた中ノ沢岳

中ノ沢岳

ナナカマドの花

失われた縦走路の微かな踏跡

ここから涙のヤブ漕ぎ大縦走が始まる。ヤブをかき分けて踏み跡をたどり、尾根をコルまで下る。やはり目印はないので、GPSで何度も確認。踏み跡も見失いがちで、たぶんこっちだろうと進み、踏み跡を再発見するという感じ。なんとか勘が当たって踏み跡を辿り、登り返してP4・950mに着き、そこからまた下り。P4からは尾根をわずかに左にはずしたところに踏み跡があることが多く、P4からの登り返しではいったん尾根の右で踏み跡を見失ったが、尾根の左側で再発見。この後、尾根の左側を外さないように進む。ときどき尾根に上がったり、尾根を右側に乗越したりするが、やがてまた左に落ち着く。たまに思い出したようにリボンが下がっている。淡い色のサラサドウダンを見たのはP5かP6のあたりだったろうか。P6・950mからは北に薬師岳、曲甲、中ノ沢岳の稜線を見る。

古びたピンク・リボン

ツバメオモト

薬師岳、大甲山、曲甲

P6・950mから北の景観: 白岩山、薬師岳、大甲山、曲甲、雲の中の和賀岳、中ノ沢岳

古いブルー・テープ

サラサドウダン

ナナカマドの花

真昼岳

風鞍

大台と黒森山

風鞍

中ノ沢岳

こうして粘り強く登り続け、P7・990mを越え、中ノ沢岳まであとわずかというところでロスト(たぶんP8・1,030mの手前)。いったん戻って踏み跡を探し直すべきだったかもしれないが、あとわずか(200mくらい)だったので強引に進む。ところが、背丈を越える笹ヤブが立ちはだかり、カメよりも遅い歩み。それでも次第に傾斜が緩み、笹ヤブも少しづつ薄くなり、ついにヤブを抜ける。(ロスト1度目)

風鞍

背後に見える風鞍は正三角形に近いトライアングルの整った形になっていた。

中ノ沢岳頂上の倒れた木柱

そこは中ノ沢岳頂上のすぐ手前の、尾根の右端(東端)で、足元には微かな踏み跡。たぶん踏み跡は笹ヤブを右(東)に迂回していたのだろう。背後に見える風鞍は正三角形に近いトライアングルの整った形になっていた。たどりついた中ノ沢岳頂上も広い草原と灌木の頂上で、なにやら道標の木柱が倒れている。標識板が外れていて、「曲甲分岐まで1㎞」という標識板が落ちていた。どうやらこの木柱が中ノ沢岳の頂上標識らしい。頂上の標識板を探すが、見当たらなかった。それより困ったのは、風鞍からここまではヤブだったが、中ノ沢岳から先は登山道はしっかりしているだろう、という予想が見事に外れたことだ。中ノ沢岳頂上の北もヤブに覆われていて、道は見えない。これではゆっくりしていられないので、休まずに先に進む。曲甲分岐からは楽になるだろう、という予想にすがって。

中ノ沢岳頂上の「甲分岐1.5㎞」標識

ツバメオモト

中ノ沢岳から曲甲分岐の間のコル933mまでも140m弱の下り。ときどきツバメオモトが咲いていて、撮影。まだ少し余裕はあった。ここの登り返しも基本的に尾根の左を登り、南に再び見えてきた中ノ沢岳は左右対称の裾野の広い二等辺三角形の姿になっていて、実に堂々としている。オオカメノキじゃなくてガマズミかな、と思った花を見たあたりで、ひょっこり曲甲分岐の木柱に出会う。ところが、そこもまたヤブの中で、5年前に見た切り分け道は影も形もない。ウォークマンのバッテリーが切れ、二つ目のウォークマンを点ける。アラン・ホールズワース。

中ノ沢岳

中ノ沢岳

甲分岐の木柱

ヤブの上の青空

(5年前)

甲分岐の木柱(2013年10月19日)

甲分岐から見る中ノ沢岳(2013年10月19日)

中ノ沢岳

風鞍

そこは三叉路になっていて、進行方向(北東)が薬師岳、背後方向(南西)が中ノ沢岳、そして斜め背後方向(西南西)が登山口になっている。ところが、登山口の方向に行くと、途中で尾根が切れ、踏み跡も切れている。いろいろ探ってみたが、踏み跡は見つからない。いったん尾根に戻り、休憩して頭を冷やす。バナナを食べながら、踏み跡が分からないならGPSトレースに沿って尾根を下ろう、と決め、灌木を乗り越えて斜面に下る。だが、斜面は急で、灌木も邪魔で、尾根沿いに下るのは難しい。いったん尾根に上がることにし、斜めに南西に登り、尾根に達すると、果たしてそこに踏み跡があった。助かった。踏み跡にザックを下ろし、もう一度休憩してから踏み跡を下る。風鞍は左右に羽を広げたような姿になっていて、印象的。これが風の鞍なのだろうか。(ロスト2度目)

甲分岐より下山途中から見る中ノ沢岳と風鞍: 中ノ沢岳、風鞍、大沢大大山、大台、黒森山、仙北市街

(5年前)

曲甲からの景観: 甲分岐、中ノ沢岳、風鞍、鳥海山、黒沢大台山、大台、大森山

曲甲

北にはいびつな形の曲甲。登山道はないが三角点と古い木柱があり、吊尾根を辿ってその頂上に達したのは2013年。その木柱が小さく見えていた。

曲甲・頂上と木柱

マイヅルソウ

急な尾根道を淡々と下っていくと、広くて緩い斜面に出て、広い踏み跡に合流する。その広い踏み跡は東に向かっていたが、どこに向かっているのか、標識やリボンはなし。まるで広く緩い斜面の道になったので、もう大丈夫だろう。完全に安心しきって下っていくと、その広い林の中で踏み跡が怪しくなり、気づいてみるとロスト。たぶんこっちだろうと進んで、それまでは踏み跡に復帰していたのが、今回は復帰できなかった。何度か踏み跡まで戻ってみたが分からず、仕方ないのでGPSトレースに近い北側に向かうが、これが今回は誤りだったようだ。沢筋を越えた先で尾根が分かれており、右の尾根に乗るが、最初はその右尾根を指していたGPSが左の尾根を指すので、左の尾根に乗り換える。その左の尾根に登ると、GPSは尾根の北側から西に下るルートを示すので、急な沢筋を下る。ところが、数十メートル下ったところでまたGPSの位置表示が変わり、尾根の上を指している。やれやれ、そこから尾根に直接登り返すのは不可能だったので、沢筋の尾根を北東に登り返し、沢筋が消えたところで南東に方向を変え、今度は尾根の上まで登る。すると、果たしてそこに踏み跡があった。バンザイ、助かった。ザックを下ろし、横になって休憩。(ロスト3度目)

「すずみ長根口」木柱

今度こそ踏み跡を外さないように歩き(というか、そこからは間違いようがなかったのだが、)ついに林道に下る。そこには5年前に見た、すずみ尾根口の標識があった。ただし、林道は林道の形になっておらず、灌木ヤブと化していた。とりあえず休憩。つづら折りの林道のヤブは最初すさまじく、灌木の枝パンチやツタの足すくいなどに悩まされる。やっと灌木がまばらになり、ボコボコで歩きにくい長いつづら折りを一度ショートカット。だが、つづら折りを外すとえらく急な何もない斜面になっているので、その後はおとなしくつづら折りを下る。

林道の刈り払い起点

渡渉点に出る手前で、林道全面の刈り払いを数百メートルほどしてあった。格段に歩きやすかった。もっと上まで刈り払いしてほしい。

渡渉点1

渡渉点は、5年前は二つとも無難に越えているが、今回は、最近の降雨で水量が多く、簡単ではなかった。最初の渡渉では、唯一渡れそうなルートの真ん中の黒い石がつるつるなので諦め、ダブルスティックでジャンプし、浅瀬に斜めに着地。被害なし。二つ目の渡渉は、着地点にある白い石めがけてジャンプ。その石が滑ったらやっかいだったが、滑らず、うまく着地できた。この後の林道歩きは2km弱だったが、長く感じた。あまり休みを取らなかったせいかウェストバッグをぶら下げていた首が痛い。林道は何ヶ所か補修されていて、きれいに盛り土、斜面補強されていた。甘露水を過ぎ、つづら折りを下り、通行止め標識の向こうに広い駐車場。もう1台も残っていない。橋を渡り、キャンプ場にもなる広場を過ぎ、駐車地点に戻る。やっと着いた。小さなヘビイチゴ。

渡渉点2

斉内川上流部と滝

甘露水

きれいに修復された林道

避難小屋

「小路又」案内

片付け、着替えて車に乗り込み、温泉とスーパーをカーナビ入力して車を出す。もう19時になっていたので、のんびりする時間はない。角館温泉というのは初めて入ったが、熱くて悪くない。最初にお湯から出ようとして立ちくらみになり、湯の中にすわりこむ。これで2度目(最初は昨年、どこだったかな)。急に立ち上がらないようにすべきか。

駐車地点のヘビイチゴ

距離13㎞、標高差1,000m、計画10時間を実績13時間強での周回。縦走路が荒れていて3度もロストしたのだからこんなところだろう。

ネット情報によると、数年前までは縦走路は歩かれていたようなので、整備しないとすぐに草や灌木で荒れてしまいやすい道なのだろう。奥深いところでアプローチも大変だが、ブナの大木、盛りだくさんの花、山岳景観、いつまでも残ってほしい縦走路だと思う。

問合せ・コメント等、メール宛先: kawabe.goro@meizan-hitoritabi.com