和名倉山 奥秩父の景観
埼玉県 和名倉山(白石山)2,036m、東仙波2,003m 2006年9月9~10日(テント1泊)
山梨県 唐松尾山2,109m
(和名倉山)日本二百名山
220
秋の声が聞こえるかい
鳥たちが囀っているのが聞こえるかい
風とせせらぎの音が聞こえるかい
(秋の縦走)
🍂🍂🍂🍂🍂
西仙波1,983mの頂上辺りに出ると、目指す和名倉山の全景が見えた。なんと大きな山だろう。その巨大で平らな山は少し右に傾いていたが、とにかく、あきれるほどにでかい。
林の中に続く細い道を辿ると、やがて林の真ん中に山頂標識と三角点があった。「白石山」という標識もある。デジカメ・スタンドを持ち出し、10秒セットで自分の写真を撮り、一人の山頂を楽しむ。大きな山のちっぽけな山頂。きっと恥ずかしがり屋なんだな。
恥ずかしがり屋の頂上からの帰り、千代蔵ノ休場を上まで登ってみると、東の飛龍山、中央の富士山、西の唐松尾山が一望できた。抜けるような青空の下に、真っ黒な飛龍、青い富士、濃い緑に覆われた唐松尾が三者三様に並ぶ。
八百平を過ぎてトラバース路に出ると、甲武信が見えてきた。雁坂嶺の後に並んだ双耳の左が甲部信岳、右が三宝山(山頂左に三宝岩のようなのが見える)だろう。その左手には、古札山と水晶山の背後に北奥千丈と国師が見えているようだ。更にその左手には白根三山も見えている。まだ歩いたことのない古札山や雁坂嶺はどんなところなのだろう。一度は登ったことのある甲部信や白根三山にも、もう一度登ってみたい。
赤土の吹上ノ頭のトラバースを過ぎ、小さな鞍部に下ってから岩場を登って東仙波・・・と思ったら、まだ焼小屋ノ頭であった。広い鞍部からは東側の視界が開け、白岩山と雲取山が見えている。逆光ぎみだが、ここから見る雲取は左右対称のすっきりした姿をしていて、真っ黒な飛龍と実に好対照。光と影、白と黒。だが、どちらの山にも良き思い出がある。
リンノ峰を越えると、南に竜喰山。飛龍を一回り小さくしたような黒々とした姿。魅力的な名前をもち、縦走路はあるが頂上への道の記載はない。この山も登ってみたい山の一つ。
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D1
朝6時過ぎに林道入口に到着。とにかくずっと舗装路なのは良い。奥多摩湖もなかなか。晴れたら混むだろう。林道を登っていくと、テント場のあたりに民家がたくさん建っていて、登山道入口に気づかずに通り過ぎる。マップを見て引き返すが、まわりは民家で車を止められない。すこし登った先に駐車スペースがあり、1台先客がいたのでそこに止める。
しかし、ずっと小雨模様で、奥多摩に着いてからもガス。天気予報も今日は曇で、午後には雷と夕立もあるという。あきらめて奥多摩の2山、大岳山と三頭山に登るプランとし、大岳山のロープウェイ方面に向かう。しかし、青梅街道を降りていくと忽然と雲間に青空が見える。晴間は少ないが、やけに青く、上は晴れてるのかも。天気予報も、明日・日曜は秋晴れになると言っている。それならばと引き返す。約2時間ロスして出発。しかし、スケジュール上は十分余裕がある。途中でテントを張ってもよい。
水は給水袋にペットボトル5本で合計3.5リットル。先週と同じ沢登りウェアに登山靴のスタイル。駐車スペースから登山口までは下りだが、結構ある。帰りはつらそうだ。将監小屋までの道は沢沿いの広い林道。9時半前に七ツ石尾根分岐に到着し、最初の休憩。登りは将監小屋経由で行こうと思っていたのに、なぜか時間がないかも・・と勘違いして七ツ石尾根を登ってしまう。これでもう将監小屋に行くことは永久にないかもしれない。1時間強で分岐。もう牛王院平に着いてしまったと思い、2回目の休憩後、将監峠まで空身で行こうと歩き出す。が、やはりからだがだるいので止める(多少風邪ぎみ)。約20分で次の分岐。もう山ノ神土に着いてしまった。道も3方に分かれている(標識はないが)ということで、迷わず右手の和名倉方面に進む。ガイドでは踏跡程度の道とあったが、やけに広くて刈り払われた道である。変だなとは思いつつ、和名倉も最近は見直されたのかも・・・と思う。道は右に曲がり、少し下っていく。草原のようなのが見えてきたと思ったら標識がある。
いくら和名倉でもこんなにきれいな場所はおかしい、もしやここは将監峠では・・・と標識のところに行ってみると、果たしてそこは将監峠であった。草原を下っていくと将監小屋、まっすぐ尾根沿いにゆくと飛龍・雲取。反対側へは笠取・甲武信とあるが、今来た道のほかにもう一本の道がある。マップには3本しか道はない。たぶん今来た道はマップにない植林用か何かの道なのだろう。半分はがっかりして、しかし半分は将監峠に来れたことを感謝?しつつ、笠取・甲武信方面に向かう。
20分ほどで牛王院平*。小ぶりの草原があるのでそこで休憩(3回目)。食事にしたが、お湯をわかす気がしないのでバナナだけにする。ペットボトル1本目を空ける。標識の裏に、和名倉方面は登山道未整備、遭難事故多発とある。やれやれ。
*牛王院平の位置: 古い木標に「牛王院平、標高1,837米」とあり、地理院地図の1,860mとは異なるが、山ノ神土から10分の位置であり、1,850mを越えた地点ではないかと思う
10分弱で山ノ神土(かんど)。四差路になっており、和名倉方面は笹の中の狭い踏み跡。こうでなければおかしい。先週の乙妻山へのヤブ道と比べると、全然分かりやすい道に思える。少し刈払いの跡のある笹ヤブを、笹に足を滑らさないように慎重に歩く。山腹をトラバースしていくと視界が開け、前方にリンノ峰の前峰1,940mが見えてくる。山腹を鹿が走っていった。西側をトラバースすると遠くに目指す和名倉らしき平たい山頂が見える。近いなと一瞬感じたが、次に西仙波・東仙波らしき二つのピークがまだ遠くに見えたのでがっくり。
リンノの本峰1,974mの西側をトラバースしたあたりで人にであう。「初めて人に会った」と言っていたが、時間帯からして今朝、将監小屋から和名倉に行ってきたところなのだろう。小ザックだった。西仙波1,983mの頂上辺りに出ると、目指す和名倉山の全景が見えた。なんと大きな山だろう。その巨大で平らな山は少し右に傾いていたが、とにかく、あきれるほどにでかい。手前に吹上ノ頭と焼小屋ノ頭が並ぶ。
鞍部に下って東仙波の前峰に登り、岩場を下って緑の笹原を登って東仙波2,003mに着く。三角点の上に古い標識。東尾根に下りないようロープが張ってある。ここからテント場までは2時間、16時には着くだろうから、湯を沸かして食事(2回目)にする。飛龍の東側に雲取が見えるんだろうなあと思う(事実、翌日には雲取と白岩が見えた)。「秩父山地緑の回廊」という標識が和名倉の登山道に入ってから何度も出てくるが、東仙波の頂上にもある。東仙波を下ると正面に焼小屋ノ頭の半分ハゲた山頂が見える。
鞍部に下りると東側に白岩岳が見えていたようだ(写真で見て後で気づく。雲取はガスで隠れている)。焼小屋ノ頭1,990mを超えると西側のトラバースとなるが、西側に見えるはずの甲武信その他は見えない。吹上ノ頭の向こうには広い和名倉の山頂が見えている。緩い三つのピークがあり、真ん中のが山頂だろう。吹上ノ頭1,990mは良く分からずに過ぎたが、林の中を下っていくとふいに八百平に着く。といっても標識もないので確認はできない。1時間経ったので休憩。草原ではなく裸地の林で、テント場に向いていると思われる。
リボンが西側に付いていたのでそちら側に向かう(正面の尾根ルートもあったのかもしれない)。やけに登るなあと思ったら、「二瀬方面」と書いた標識に遭遇。二瀬分岐に着いてしまった、と勘違いする。ならばさっきのがテント場だったのか、ここらでどこでもテントを張れるところはないか、と坂を登っていくと、さっきと同じような裸地の林に到着。「山頂方面」という標識に「水場」という標識もあり、平らな場所を吟味してザックを下ろす。ここまで来てしまえば今日中に山頂に行っておこうと思い、まずテントを張る。倒木と石にロープを結び、30分で設営完了。新購入の携帯ザックにレインウェアも詰め込んで出かける。少し登ると「二瀬尾根」という標識あり。ここが二瀬分岐で、左が二瀬尾根、和名倉山頂は右であった。
確かに分かりにくい踏跡を少し下ると木の生えてない山火事の跡のようなところに出る。実はここが千代蔵ノ休場であった。しかし、草原というよりは火事跡の裸地に近いと思う。そこもトラバースして再び林に入り、直角にやや登ったところにリボンあり。それらしい岩場で、ここが山頂かなあと三角点を探すが無い。奥に山頂方面への標識を発見し、林の中に続く細い道を辿ると、やがて林の真ん中に山頂標識と三角点があった。「白石山」という標識もある。デジカメ・スタンドを持ち出し、10秒セットで自分の写真を撮り、一人の山頂を楽しむ。大きな山のちっぽけな山頂。きっと恥ずかしがり屋なんだな。テント場に戻り、着替え、食事をして18時頃就寝。風もなく、しばらくテントの網のみ閉めておくと、鹿の親子が回りをうろついている。どうも食べ物をほしがっていたのかも知れない。鈴を鳴らしても全く逃げない。月明かりで夜も明るかったが、林の中なので星は見えず。大きな山の静かな一夜。
D2
4時半、まだ暗かったが起床。テントを畳んでザックを仕上げ、もう一度、和名倉山頂上に向かう。もう来ることもないだろう。千代蔵ノ休場に来ると視界が開け、飛龍に唐松尾に富士山が見えている!まだ暗いが快晴になりそうだ。恥ずかしがり屋の頂上からの帰り、千代蔵ノ休場を上まで登ってみると、東の飛龍山、中央の富士山、西の唐松尾山が一望できた。抜けるような青空の下に、真っ黒な飛龍、青い富士、濃い緑に覆われた唐松尾が三者三様に並ぶ。
もっと西に行けば雲取が見えるかもしれないと、千代蔵の上を移動。が、雲取は見えず。移動したところから斜めに降りた先でロスト。ふうふういいながら下りすぎた斜面を登り返し、バカなことをした、と腹を立てながらテント場に到着。朝日で地面が光って踏み跡が見にくいのもロストの原因だろう。曇り空のほうが踏み跡を辿りやすいのかもしれない。
少し休んでからザックをしょって出発。気温が上昇してきて沢ウェアに汗。少しでも風が吹けば涼しくなるのだが。八百平を過ぎてトラバース路に出ると、甲武信が見えてきた。雁坂嶺の後に並んだ双耳の左が甲部信岳、右が三宝山(山頂左に三宝岩のようなのが見える)だろう。その左手には、古札山と水晶山の背後に北奥千丈と国師が見えているようだ。更にその左手には白根三山も見えている。まだ歩いたことのない古札山や雁坂嶺はどんなところなのだろう。一度は登ったことのある甲部信や白根三山にも、もう一度登ってみたい。
赤土の吹上ノ頭のトラバースを過ぎ、小さな鞍部に下ってから岩場を登って東仙波・・・と思ったら、まだ焼小屋ノ頭であった。広い鞍部からは東側の視界が開け、白岩山と雲取山が見えている。逆光ぎみだが、ここから見る雲取は左右対称のすっきりした姿をしていて、真っ黒な飛龍と実に好対照。光と影、白と黒。だが、どちらの山にも良き思い出がある。
東仙波の登りをあえぎながら登っていくと、最初の登山者に会う。頂上で休憩。お湯をわかす気にならず、ビスケットを食べる。ペットボトルが最後の1本となる。水を汲んでいこうと思う。
東仙波の頂上を降りるときに二人目の登山者に会う。東仙波・前峰の上からは和名倉の大きな頂上が見渡せ、中央やや左に千代蔵ノ休場が丸く見えている。西仙波への途上で団体に会う。もう9時近いから、帰りは夕刻になるのだろう。まあ、大勢が登っているのはいいことだ。
リンノ峰を越えると、南に竜喰山。飛龍を一回り小さくしたような黒々とした姿。魅力的な名前をもち、縦走路はあるが頂上への道の記載はない。この山も登ってみたい山の一つ。リンノ峰の前峰を出たところで休憩。雲取が大きく見える。水場で一本、水を汲み、10時までに山ノ神土に着いたら唐松尾に登ろうと決めて歩くと、予想よりも早く、ほぼ10時きっかりに山ノ神土に到着。
唐松尾への道を少し登ったところにザックを置いて出発。まあ、こんな天気だから、登らないわけにはいかないだろう。山腹の緩い登りで楽だが、途中の沢の橋が落ちていて、笹ヤブを巻いて越える。南のみ視界があり、富士山が美しい。同じ調子で淡々と登り、標識があると思ったら頂上だった。視界は無いが、三角点と標識がある。山頂に立てたことで十分満足。
帰りにマップに「眺めがよい」と書いてある西御殿岩に向かう。踏跡を辿ってピークのヤブ道をかきわけ、これ以上は標高が低くなるところまで進み、樹間に和名倉山、背後に唐松尾の頂上を見る。そこが本当に西御殿岩だったかは分からない。ヤブ道を登山道まで下っていくと西御殿岩への分岐標識があったが、もう登らなかった。疲れきった足をひきずり、そこからの下りはずいぶん長く感じた。山ノ神土に戻って二つ目のクッキーを食べる。そういえば、下る途中で男性に会い、どこか眺めのよいところはないか聞かれた。唐松尾への途中から富士山が見える、と言っておいたが、もう雲が出ていて見えなかったかもしれない。
もう下るのみ。ザックは重いが思ったよりも軽い足取りで広い登山道を駆け下る。約1時間半で登山口に到着、そこからは車道の登りだったが、ザックをしょったまま黙々と登る。民宿みはらしでは、外で食事している人。暑い日差しの中をなんとか駐車地点に達し、着替えをして出発。もう14時を過ぎており、道は観光客らで混んでいる。鶴ノ湯温泉・馬頭館というのに寄っていく。シャワーが水で冷たかった。すぐに出るというと、1,000円を800円に負けてくれる。
日曜の快晴に恵まれ、富士山はじめ奥秩父を満喫できたツアーであった。
D1
駐車地点
D1
朝6時過ぎに林道入口に到着。とにかくずっと舗装路なのは良い。奥多摩湖もなかなか。晴れたら混むだろう。林道を登っていくと、テント場のあたりに民家がたくさん建っていて、登山道入口に気づかずに通り過ぎる。マップを見て引き返すが、まわりは民家で車を止められない。すこし登った先に駐車スペースがあり、1台先客がいたのでそこに止める。
将監峠入口標識
しかし、ずっと小雨模様で、奥多摩に着いてからもガス。天気予報も今日は曇で、午後には雷と夕立もあるという。あきらめて奥多摩の2山、大岳山と三頭山に登るプランとし、大岳山のロープウェイ方面に向かう。しかし、青梅街道を降りていくと忽然と雲間に青空が見える。晴間は少ないが、やけに青く、上は晴れてるのかも。天気予報も、明日・日曜は秋晴れになると言っている。それならばと引き返す。約2時間ロスして出発。しかし、スケジュール上は十分余裕がある。途中でテントを張ってもよい。
将監峠への登山道
水は給水袋にペットボトル5本で合計3.5リットル。先週と同じ沢登りウェアに登山靴のスタイル。駐車スペースから登山口までは下りだが、結構ある。帰りはつらそうだ。将監小屋までの道は沢沿いの広い林道。9時半前に七ツ石尾根分岐に到着し、最初の休憩。登りは将監小屋経由で行こうと思っていたのに、なぜか時間がないかも・・と勘違いして七ツ石尾根を登ってしまう。これでもう将監小屋に行くことは永久にないかもしれない。1時間強で分岐。もう牛王院平に着いてしまったと思い、2回目の休憩後、将監峠まで空身で行こうと歩き出す。が、やはりからだがだるいので止める(多少風邪ぎみ)。約20分で次の分岐。もう山ノ神土に着いてしまった。道も3方に分かれている(標識はないが)ということで、迷わず右手の和名倉方面に進む。ガイドでは踏跡程度の道とあったが、やけに広くて刈り払われた道である。変だなとは思いつつ、和名倉も最近は見直されたのかも・・・と思う。道は右に曲がり、少し下っていく。草原のようなのが見えてきたと思ったら標識がある。
将監峠
いくら和名倉でもこんなにきれいな場所はおかしい、もしやここは将監峠では・・・と標識のところに行ってみると、果たしてそこは将監峠であった。草原を下っていくと将監小屋、まっすぐ尾根沿いにゆくと飛龍・雲取。反対側へは笠取・甲武信とあるが、今来た道のほかにもう一本の道がある。マップには3本しか道はない。たぶん今来た道はマップにない植林用か何かの道なのだろう。半分はがっかりして、しかし半分は将監峠に来れたことを感謝?しつつ、笠取・甲武信方面に向かう。
黄色い花・・・・・マルバタケブキ?
牛王院平標識
20分ほどで牛王院平*。小ぶりの草原があるのでそこで休憩(3回目)。食事にしたが、お湯をわかす気がしないのでバナナだけにする。ペットボトル1本目を空ける。標識の裏に、和名倉方面は登山道未整備、遭難事故多発とある。やれやれ。
*牛王院平の位置: 古い木標に「牛王院平、標高1,837米」とあり、地理院地図の1,860mとは異なるが、山ノ神土から10分の位置であり、1,850mを越えた地点ではないかと思う
山ノ神土の標識と和名倉への笹の道
10分弱で山ノ神土(かんど)。四差路になっており、和名倉方面は笹の中の狭い踏み跡。こうでなければおかしい。先週の乙妻山へのヤブ道と比べると、全然分かりやすい道に思える。少し刈払いの跡のある笹ヤブを、笹に足を滑らさないように慎重に歩く。山腹をトラバースしていくと視界が開け、前方にリンノ峰の前峰1,940mが見えてくる。山腹を鹿が走っていった。西側をトラバースすると遠くに目指す和名倉らしき平たい山頂が見える。近いなと一瞬感じたが、次に西仙波・東仙波らしき二つのピークがまだ遠くに見えたのでがっくり。
初めて見えた和名倉山
縦走路稜線と東仙波
和名倉山
リンノの本峰1,974mの西側をトラバースしたあたりで人にであう。「初めて人に会った」と言っていたが、時間帯からして今朝、将監小屋から和名倉に行ってきたところなのだろう。小ザックだった。西仙波1,983mの頂上辺りに出ると、目指す和名倉山の全景が見えた。なんと大きな山だろう。その巨大で平らな山は少し右に傾いていたが、とにかく、あきれるほどにでかい。手前に吹上ノ頭と焼小屋ノ頭が並ぶ。
東仙波の頂上標識と三角点
鞍部に下って東仙波の前峰に登り、岩場を下って緑の笹原を登って東仙波2,003mに着く。三角点の上に古い標識。東尾根に下りないようロープが張ってある。ここからテント場までは2時間、16時には着くだろうから、湯を沸かして食事(2回目)にする。飛龍の東側に雲取が見えるんだろうなあと思う(事実、翌日には雲取と白岩が見えた)。「秩父山地緑の回廊」という標識が和名倉の登山道に入ってから何度も出てくるが、東仙波の頂上にもある。東仙波を下ると正面に焼小屋ノ頭の半分ハゲた山頂が見える。
東仙波頂上
白い花・・・・・ヨメナ(ノコンギク?)
吹上ノ頭1,990m
鞍部に下りると東側に白岩岳が見えていたようだ(写真で見て後で気づく。雲取はガスで隠れている)。焼小屋ノ頭1,990mを超えると西側のトラバースとなるが、西側に見えるはずの甲武信その他は見えない。吹上ノ頭の向こうには広い和名倉の山頂が見えている。緩い三つのピークがあり、真ん中のが山頂だろう。吹上ノ頭1,990mは良く分からずに過ぎたが、林の中を下っていくとふいに八百平に着く。といっても標識もないので確認はできない。1時間経ったので休憩。草原ではなく裸地の林で、テント場に向いていると思われる。
ヒルメシ尾根の道標
リボンが西側に付いていたのでそちら側に向かう(正面の尾根ルートもあったのかもしれない)。やけに登るなあと思ったら、「二瀬方面」と書いた標識に遭遇。二瀬分岐に着いてしまった、と勘違いする。ならばさっきのがテント場だったのか、ここらでどこでもテントを張れるところはないか、と坂を登っていくと、さっきと同じような裸地の林に到着。「山頂方面」という標識に「水場」という標識もあり、平らな場所を吟味してザックを下ろす。ここまで来てしまえば今日中に山頂に行っておこうと思い、まずテントを張る。倒木と石にロープを結び、30分で設営完了。新購入の携帯ザックにレインウェアも詰め込んで出かける。少し登ると「二瀬尾根」という標識あり。ここが二瀬分岐で、左が二瀬尾根、和名倉山頂は右であった。
二瀬尾根の道標
テント設営(D2映像)
確かに分かりにくい踏跡を少し下ると木の生えてない山火事の跡のようなところに出る。実はここが千代蔵ノ休場であった。しかし、草原というよりは火事跡の裸地に近いと思う。そこもトラバースして再び林に入り、直角にやや登ったところにリボンあり。それらしい岩場で、ここが山頂かなあと三角点を探すが無い。奥に山頂方面への標識を発見し、林の中に続く細い道を辿ると、やがて林の真ん中に山頂標識と三角点があった。「白石山」という標識もある。デジカメ・スタンドを持ち出し、10秒セットで自分の写真を撮り、一人の山頂を楽しむ。大きな山のちっぽけな山頂。きっと恥ずかしがり屋なんだな。テント場に戻り、着替え、食事をして18時頃就寝。風もなく、しばらくテントの網のみ閉めておくと、鹿の親子が回りをうろついている。どうも食べ物をほしがっていたのかも知れない。鈴を鳴らしても全く逃げない。月明かりで夜も明るかったが、林の中なので星は見えず。大きな山の静かな一夜。
千代蔵ノ休場(D2映像)
和名倉山頂上(D2映像)
D2
朝の富士山
4時半、まだ暗かったが起床。テントを畳んでザックを仕上げ、もう一度、和名倉山頂上に向かう。もう来ることもないだろう。千代蔵ノ休場に来ると視界が開け、飛龍に唐松尾に富士山が見えている!まだ暗いが快晴になりそうだ。恥ずかしがり屋の頂上からの帰り、千代蔵ノ休場を上まで登ってみると、東の飛龍山、中央の富士山、西の唐松尾山が一望できた。抜けるような青空の下に、真っ黒な飛龍、青い富士、濃い緑に覆われた唐松尾が三者三様に並ぶ。
唐松尾山
飛龍山、富士山、唐松尾山
飛龍山
もっと西に行けば雲取が見えるかもしれないと、千代蔵の上を移動。が、雲取は見えず。移動したところから斜めに降りた先でロスト。ふうふういいながら下りすぎた斜面を登り返し、バカなことをした、と腹を立てながらテント場に到着。朝日で地面が光って踏み跡が見にくいのもロストの原因だろう。曇り空のほうが踏み跡を辿りやすいのかもしれない。
雁坂嶺と甲部信岳、三宝山
少し休んでからザックをしょって出発。気温が上昇してきて沢ウェアに汗。少しでも風が吹けば涼しくなるのだが。八百平を過ぎてトラバース路に出ると、甲武信が見えてきた。雁坂嶺の後に並んだ双耳の左が甲部信岳、右が三宝山(山頂左に三宝岩のようなのが見える)だろう。その左手には、古札山と水晶山の背後に北奥千丈と国師が見えているようだ。更にその左手には白根三山も見えている。まだ歩いたことのない古札山や雁坂嶺はどんなところなのだろう。一度は登ったことのある甲部信や白根三山にも、もう一度登ってみたい。
三宝岩と三宝山(上の拡大)
古札山、水晶山、北奥千丈岳、国師岳
白根三山
南西の情景: 左端より白根三山(農鳥岳、間ノ岳、北岳)、黒金山、北奥千丈岳・国師岳、古札山・水晶山(中央)、雁坂嶺、甲部信岳・三宝山
南西の情景2: 唐松尾山、白根三山、奥秩父
唐松尾山と赤い岩
東仙波と西仙波
南東の情景: 白岩山、雲取山、1,960m峰、飛龍山、東仙波、西仙波
雲取山
赤土の吹上ノ頭のトラバースを過ぎ、小さな鞍部に下ってから岩場を登って東仙波・・・と思ったら、まだ焼小屋ノ頭であった。広い鞍部からは東側の視界が開け、白岩山と雲取山が見えている。逆光ぎみだが、ここから見る雲取は左右対称のすっきりした姿をしていて、真っ黒な飛龍と実に好対照。光と影、白と黒。だが、どちらの山にも良き思い出がある。
富士山
東仙波の登りをあえぎながら登っていくと、最初の登山者に会う。頂上で休憩。お湯をわかす気にならず、ビスケットを食べる。ペットボトルが最後の1本となる。水を汲んでいこうと思う。
東仙波から南の情景: 飛龍山、竜喰山、リンノ峰、唐松尾山
飛龍山、大常木山、竜喰山
和名倉山
東仙波の頂上を降りるときに二人目の登山者に会う。東仙波・前峰の上からは和名倉の大きな頂上が見渡せ、中央やや左に千代蔵ノ休場が丸く見えている。西仙波への途上で団体に会う。もう9時近いから、帰りは夕刻になるのだろう。まあ、大勢が登っているのはいいことだ。
西仙波と東仙波
竜喰山
リンノ峰を越えると、南に竜喰山。飛龍を一回り小さくしたような黒々とした姿。魅力的な名前をもち、縦走路はあるが頂上への道の記載はない。この山も登ってみたい山の一つ。
雲取山
リンノ峰の前峰を出たところで休憩。雲取が大きく見える。水場で一本、水を汲み、10時までに山ノ神土に着いたら唐松尾に登ろうと決めて歩くと、予想よりも早く、ほぼ10時きっかりに山ノ神土に到着。
リンノ峰と雲取山
唐松尾山頂上標識
唐松尾への道を少し登ったところにザックを置いて出発。まあ、こんな天気だから、登らないわけにはいかないだろう。山腹の緩い登りで楽だが、途中の沢の橋が落ちていて、笹ヤブを巻いて越える。南のみ視界があり、富士山が美しい。同じ調子で淡々と登り、標識があると思ったら頂上だった。視界は無いが、三角点と標識がある。山頂に立てたことで十分満足。
唐松尾山三角点
和名倉山・・・・・西御殿岩付近より
帰りにマップに「眺めがよい」と書いてある西御殿岩に向かう。踏跡を辿ってピークのヤブ道をかきわけ、これ以上は標高が低くなるところまで進み、樹間に和名倉山、背後に唐松尾の頂上を見る。そこが本当に西御殿岩だったかは分からない。ヤブ道を登山道まで下っていくと西御殿岩への分岐標識があったが、もう登らなかった。疲れきった足をひきずり、そこからの下りはずいぶん長く感じた。山ノ神土に戻って二つ目のクッキーを食べる。そういえば、下る途中で男性に会い、どこか眺めのよいところはないか聞かれた。唐松尾への途中から富士山が見える、と言っておいたが、もう雲が出ていて見えなかったかもしれない。
唐松尾山・・・・・西御殿岩付近より
もう下るのみ。ザックは重いが思ったよりも軽い足取りで広い登山道を駆け下る。約1時間半で登山口に到着、そこからは車道の登りだったが、ザックをしょったまま黙々と登る。民宿みはらしでは、外で食事している人。暑い日差しの中をなんとか駐車地点に達し、着替えをして出発。もう14時を過ぎており、道は観光客らで混んでいる。鶴ノ湯温泉・馬頭館というのに寄っていく。シャワーが水で冷たかった。すぐに出るというと、1,000円を800円に負けてくれる。
日曜の快晴に恵まれ、富士山はじめ奥秩父を満喫できたツアーであった。