二ツ岳 岩尾根を越えて

愛媛県  1,647m  2018年8月12日

四国百名山

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さっきからゴウゴウと音がするなと思っていると標識が立っていて、「敬天の滝展望所」とある。振り返ると、谷向こうに巨大な滝が落ちていた。落差70m余りという説明もあったが、100mくらいあるんではなかろうか。巨大な滝を撮影しようといろいろ試すが長すぎてうまく画面にはまらない。遠くに響く滝の音にセミの声が重なる。

レイングローブをはめて岩尾根に向かう。すぐに大きな斜めの岩が出てきて、両手を使って登っていく。50mほど進んで最初の岩峰ピーク(P8・1,290m)。

岩の道には黄色いイワオトギリ。もう枯れかけたカラマツソウにとまっているハチ。P5の先でハシゴを登って尾根に上がると、「鯛ノ頭」の表示。すぐ近くに越えてきたP5がいかめしく見えているので、それが鯛ノ頭なのだろう。

P3・1,580mの幅広の岩峰の脇を通るあたりから傾斜は更に急になり、黙々と登る。「もう一息、油断しないで着実に」の標識があったが、そこからまだまだ遠かった。急坂を登ってふと見上げると、P2の鋭角ピークが頭上に見えている。

最後のとんでもない急坂を登り、ついに二ツ岳頂上に到達。狭い頂上は岩場ではなく、林になっていて、三角点に頂上標識があった。苦労してたどり着いた頂上には憩がある。涼しい風が心地よい。

P7とP8の展望所まで下ると少し雲が晴れ、頂上方面が見えていた。頂上そのものは雲の中。いや、わずかに見えているあの最奥が頂上だろうか。

 P7とP8の展望所まで下ると少し雲が晴れ、頂上方面が見えていた。頂上そのものは雲の中。いや、わずかに見えているあの最奥が頂上だろうか。
 敬天の滝: 巨大な滝を撮影しようといろいろ試すが長すぎてうまく画面にはまらない。
 急坂を登ってふと見上げると、P2の鋭角ピークが頭上に見えている。
 つづら折りで斜面を登るとホトトギスが咲いている
 道の上にゴソゴソ動いているのはサワガニ。元気にハサミを振り回すのもいる。
 岩の道には黄色いイワオトギリ
 ついに二ツ岳頂上に到達。狭い頂上には三角点に頂上標識があった。苦労してたどり着いた頂上には憩がある。
  4:44 駐車地点・中の川登山口(標高460m)発  7:21 奥の登山口(標高870m)  7:42 敬天の滝・展望所  9:06 峨蔵越(標高1,266m)10:17 鯛ノ頭(P5・1,470m?)11:09 二ツ岳(標高1,647m)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り6時間25分11:18 二ツ岳発11:55 鯛ノ頭12:57 峨蔵越14:09 敬天ノ滝・展望所14:25 奥の登山口(標高870m)15:51 駐車地点・中の川登山口(標高460m)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復11時間7分

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距離5㎞弱、標高差1,300mある二ツ岳・わさび谷は私には難敵で、登りに少なくとも7時間はかかるだろう。台風や大雨の影響もあるだろうし、登れない滝もあるかもしれない。そこで、無理に沢を登り切らず、途中で引き返して夏道を登るというプランを設定。弱気かもしれないが、私の技量ならばこんなところだろう。

深夜の道の駅を出てR11を東に向かい、浦山川沿いの道を南へ。立派な舗装路。次第に道は細く、荒れてきて、カーナビ・ルートと違う舗装路に付け替えられていたかもしれない。わさび谷出会いの橋はちゃんとあり、そこの小さなスペースに駐車。だが真っ暗では沢には降りられない。しかも西日本の夜明けは遅い。こんなところで1時間も夜明けを待ち、曇で明るくならなければもっと遅くなるかもしれない。ここは登山道を登って頂上まで往復し、戻ってから沢を歩こうと決める。橋を渡った先の車道も舗装されていて、ほどなく登山口表示のある駐車場に到着。「4㎞先にも登山口があります」というのに素直に従ってあと4㎞進めばよかったのだが、この先の車道は荒れているだろうと思い、ここから歩く。大差ないだろうと思ったのだが、大きな差があったようだ。

ヘッドランプを灯し、車道から狭い登山道を上がり、林斜面の道を登っていく。沢筋を横断するところで間違えて沢筋方面へ登ってしまい。これはおかしいと気づいて下る。暗いととんでもない間違いをしてしまう。復路で間違えた沢筋を確認しようとしたが、とても間違えそうもない小さな沢筋ばかりで、どれが間違えた沢筋だったのか分からずじまい。「歩きやすい」と思った登山道にはところどころ荒れた箇所や倒木があり、やや苦戦しながら進む。もう明るくなり、下に白く見えていた車道も見えなくなり、4㎞先の登山口との合流点はまだかなと思っていると、雨が降り出した。タフに持ち替え、レインウェアを着込み、ポカリを一口。道の上にゴソゴソ動いているのはサワガニ。元気にハサミを振り回すのもいる。ようやく別の登山口からの道との合流点に達し、ザックを下ろしてパンを食べて休憩。雨は止んでいたと思うが下が濡れているので立ったまま。

分岐標示のすぐ先で突然、林道に出る。林道は向こう側に続いていて、登山道との出会で唐突に終わっている。訳がわからないが、「登山道→」という標識があるので、林道を先に進む。さっきの登山口表示が怪しいのでそこまで戻り、壁際を探すとヤブに隠された登山道を発見。そのヤブに突入し、急な道を登る。急な道はやがて尾根に上がり、尾根道に合流する。尾根道は下(北)に続いているようだが、表示はなし。もう廃道なのだろう。

さっきからゴウゴウと音がするなと思っていると標識が立っていて、「敬天の滝展望所」とある。振り返ると、谷向こうに巨大な滝が落ちていた。落差70m余りという説明もあったが、地図を見ると100mくらいあるんではなかろうか。巨大な滝を撮影しようといろいろ試すが長すぎてうまく画面にはまらない。真下をさっきの林道が通っていて、帰りに林道の橋まで行ってみたが、そこから滝は全く見えなかった。山の斜面の縦溝に沿って滝が流れ落ちているため、真正面の位置からでないと見ることのできない滝なのだろう。稜線上が雲に霞む山の斜面を落ちる巨大な滝。遠くに響く滝の音にセミの声が重なる。

尾根を乗越して尾根の東斜面に入り、ようやくワサビ谷の上流部を横切る。流れは広がっていて、沢筋は複数。水量は多く源流の雰囲気ではない。そこから小屋跡のようなところを過ぎ、更につづら折りで斜面を登るとホトトギスが咲いている。やっと嵯蔵越1,266mに着く。二度目の休憩。下は乾いていて、腰を下ろしてバナナを食べる。

レイングローブをはめて岩尾根に向かう。すぐに大きな斜めの岩が出てきて、両手を使って登っていく。50mほど進んで最初の岩峰ピーク(P8・1,290m)。視界が広がるが、行く手は雲に隠れている。目の前に二つ目のP7が立っているが、いったん下り、コルから登り返し。そのP7(1,360m)にはよい展望所があり、四周を見渡せたが、雲間に見える頂上方面はまだまだ高く、遠い。(P2~P8は仮設定、標高は推定)

P6・1,400mとP5・1,470mはピークのだいぶ下を南側からトラバースして越えていく。岩の道には黄色いイワオトギリ。もう枯れかけたカラマツソウにとまっているハチ。P5の先でハシゴを登って尾根に上がると、「鯛ノ頭」の表示。すぐ近くに越えてきたP5がいかめしく見えているので、それが鯛ノ頭なのだろう。P3・1,580mの幅広の岩峰の脇を通るあたりから傾斜は更に急になり、黙々と登る。「もう一息、油断しないで着実に」の標識があったが、そこからまだまだ遠かった。急坂を登ってふと見上げると、P2の鋭角ピークが頭上に見えている。

最後のとんでもない急坂を登り、「危険」のマーキングのある西への縦走路分岐のすぐ先で、ついに二ツ岳頂上に到達。狭い頂上は岩場ではなく、林になっていて、三角点に頂上標識があった。林の西側にある岩場は開けていたが、周囲は雲に隠れていた。苦労してたどり着いた頂上には憩がある。その地面は乾いていたので、ザックを枕に少し横になる。涼しい風が心地よい。

P7の展望所まで下ると少し雲が晴れ、頂上方面が見えていた。頂上そのものは雲の中。いや、わずかに見えているあの最奥が頂上だろうか。やっと嵯蔵越に着き、また横になって休憩。虫がたかるのでスプレーを何度も使う。登山口870mに下り、休憩する前に南の橋まで歩き、敬天の滝を見に行くが、岩と樹木に遮られて全く見えなかった。林道を北に歩いて行くと、背後に二ツ岳の稜線が見えていた。往路のときは雲に隠れて稜線は見えていなかった。今も頂上は見えていないようだが、手ごわかったギザギザの稜線を感慨を持って眺める。

登山口870mから駐車地点460mまでの下りは長く感じた。もう終盤近くになってようやく下に車道が見え、朝迷った沢筋はよくわからずに車道に下る。だいぶ遅くなってしまったのでもう沢はなし、着替えて温泉に向かう。

わさび谷

距離5㎞弱、標高差1,300mある二ツ岳・わさび谷は私には難敵で、登りに少なくとも7時間はかかるだろう。台風や大雨の影響もあるだろうし、登れない滝もあるかもしれない。そこで、無理に沢を登り切らず、途中で引き返して夏道を登るというプランを設定。弱気かもしれないが、私の技量ならばこんなところだろう。

橋の手前のスペース

深夜の道の駅を出てR11を東に向かい、浦山川沿いの道を南へ。立派な舗装路。次第に道は細く、荒れてきて、カーナビ・ルートと違う舗装路に付け替えられていたかもしれない。わさび谷出会いの橋はちゃんとあり、そこの小さなスペースに駐車。だが真っ暗では沢には降りられない。しかも西日本の夜明けは遅い。こんなところで1時間も夜明けを待ち、曇で明るくならなければもっと遅くなるかもしれない。ここは登山道を登って頂上まで往復し、戻ってから沢を歩こうと決める。

中の川登山口(標高460m)

橋を渡った先の車道も舗装されていて、ほどなく登山口表示のある駐車場に到着。「4㎞先にも登山口があります」というのに素直に従ってあと4㎞進めばよかったのだが、この先の車道は荒れているだろうと思い、ここから歩く。大差ないだろうと思ったのだが、大きな差があったようだ。

中の川登山口の道標

ヘッドランプを灯し、車道から狭い登山道を上がり、林斜面の道を登っていく。沢筋を横断するところで間違えて沢筋方面へ登ってしまい。これはおかしいと気づいて下る。暗いととんでもない間違いをしてしまう。復路で間違えた沢筋を確認しようとしたが、とても間違えそうもない小さな沢筋ばかりで、どれが間違えた沢筋だったのか分からずじまい。「歩きやすい」と思った登山道にはところどころ荒れた箇所や倒木があり、やや苦戦しながら進む。

荒れた登山道

もう明るくなり、下に白く見えていた車道も見えなくなり、4㎞先の登山口との合流点はまだかなと思っていると、雨が降り出した。タフに持ち替え、レインウェアを着込み、ポカリを一口。道の上にゴソゴソ動いているのはサワガニ。元気にハサミを振り回すのもいる。ようやく別の登山口からの道との合流点に達し、ザックを下ろしてパンを食べて休憩。雨は止んでいたと思うが下が濡れているので立ったまま。

サワガニ

サワガニ

分岐標識

奥の登山口(標高870m)

分岐標示のすぐ先で突然、林道に出る。林道は向こう側に続いていて、登山道との出会で唐突に終わっている。訳がわからないが、「登山道→」という標識があるので、林道を先に進む。分岐標示のすぐ先で突然、林道に出る。林道は向こう側に続いていて、登山道との出会で唐突に終わっている。訳がわからないが、「登山道→」という標識があるので、林道を先に進む。さっきの登山口表示が怪しいのでそこまで戻り、壁際を探すとヤブに隠された登山道を発見。そのヤブに突入し、急な道を登る。急な道はやがて尾根に上がり、尾根道に合流する。尾根道は下(北)に続いているようだが、表示はなし。もう廃道なのだろう。

稜線の分岐表示

敬天の滝

さっきからゴウゴウと音がするなと思っていると標識が立っていて、「敬天の滝展望所」とある。振り返ると、谷向こうに巨大な滝が落ちていた。落差70m余りという説明もあったが、地図を見ると100mくらいあるんではなかろうか。巨大な滝を撮影しようといろいろ試すが長すぎてうまく画面にはまらない。真下をさっきの林道が通っていて、帰りに林道の橋まで行ってみたが、そこから滝は全く見えなかった。山の斜面の縦溝に沿って滝が流れ落ちているため、真正面の位置からでないと見ることのできない滝なのだろう。稜線上が雲に霞む山の斜面を落ちる巨大な滝。遠くに響く滝の音にセミの声が重なる。

敬天の滝

敬天の滝・展望所の標識

尾根の東側の登山道

わさび谷の渡渉

ホトトギス

峨蔵越(がぞうごえ)

尾根を乗越して尾根の東斜面に入り、ようやくワサビ谷の上流部を横切る。流れは広がっていて、沢筋は複数。水量は多く源流の雰囲気ではない。そこから小屋跡のようなところを過ぎ、更につづら折りで斜面を登るとホトトギスが咲いている。やっと峨蔵越1,266mに着く。二度目の休憩。下は乾いていて、腰を下ろしてバナナを食べる。

P8・1,290mの岩峰

レイングローブをはめて岩尾根に向かう。すぐに大きな斜めの岩が出てきて、両手を使って登っていく。50mほど進んで最初の岩峰ピーク(P8・1,290m)。視界が広がるが、行く手は雲に隠れている。目の前に二つ目のP7が立っているが、いったん下り、コルから登り返し。そのP7(1,360m)にはよい展望所があり、四周を見渡せたが、雲間に見える頂上方面はまだまだ高く、遠い。(P2~P8は仮設定、標高は推定)

P7・1,360m

「ここから先は特に危険」標識

イワオトギリ

カラマツソウとハチ

鯛ノ頭へのハシゴ

鯛ノ頭の標識と鯛ノ頭

P6・1,400mとP5・1,470mはピークのだいぶ下を南側からトラバースして越えていく。岩の道には黄色いイワオトギリ。もう枯れかけたカラマツソウにとまっているハチ。P5の先でハシゴを登って尾根に上がると、「鯛ノ頭」の表示。すぐ近くに越えてきたP5がいかめしく見えているので、それが鯛ノ頭なのだろう。P3・1,580mの幅広の岩峰の脇を通るあたりから傾斜は更に急になり、黙々と登る。「もう一息、油断しないで着実に」の標識があったが、そこからまだまだ遠かった。急坂を登ってふと見上げると、P2の鋭角ピークが頭上に見えている。

鯛ノ頭

「もう一息、油断しないで着実に」標識

P3・1.560m

P2・1,620m

「ここから先、エビラ方面、危険」標識

二ツ岳頂上

最後のとんでもない急坂を登り、「危険」のマーキングのある西への縦走路分岐のすぐ先で、ついに二ツ岳頂上に到達。狭い頂上は岩場ではなく、林になっていて、三角点に頂上標識があった。林の西側にある岩場は開けていたが、周囲は雲に隠れていた。苦労してたどり着いた頂上には憩がある。その地面は乾いていたので、ザックを枕に少し横になる。涼しい風が心地よい。

三等三角点とザック

雲に隠れた二ツ岳(P7より)

P7とP8の展望所まで下ると少し雲が晴れ、頂上方面が見えていた。頂上そのものは雲の中。いや、わずかに見えているあの最奥が頂上だろうか。やっと嵯蔵越に着き、また横になって休憩。虫がたかるのでスプレーを何度も使う。登山口870mに下り、休憩する前に南の橋まで歩き、敬天の滝を見に行くが、岩と樹木に遮られて全く見えなかった。林道を北に歩いて行くと、背後に二ツ岳の稜線が見えていた。往路のときは雲に隠れて稜線は見えていなかった。今も頂上は見えていないようだが、手ごわかったギザギザの稜線を感慨を持って眺める。

二ツ岳(P8より)

林道の南側

敬天の滝の末端

ノリウツギ

林道から見る二ツ岳

林道から見る二ツ岳

登山口870mから駐車地点460mまでの下りは長く感じた。もう終盤近くになってようやく下に車道が見え、朝迷った沢筋はよくわからずに車道に下る。だいぶ遅くなってしまったのでもう沢はなし、着替えて温泉に向かう。

麓から見る雲をかぶった二ツ岳

道の駅マインドピアのイルミネーション汽車