【記録】プロジェクト×(ペケ) -失敗者たち-

三十年近く前。私がまだ子供だった頃、未来は明るい希望と理想に満ちた世界でした。科学が究極に進歩すれば、人類が抱えた不幸の多くが解決され世界中の人々がみな幸せになれる。そんな希望です。

そんな未来が来ないことは、十年も経つとイヤと言うほど思い知らされ、そこからの十年は暗黒の未来しかあり得ないと思いこんできました。そんな未来もアンゲルモアの大王共々やって来ないことがわかって、私は微妙に未来を見失いました。

世界は、徹底的に幸福にも不幸にもならない。日に日に滅亡に向かっているようで、でもそれなりに希望もあって、混沌と微妙なバランスで日々が過ぎていきます。そんな私達にとって、失敗していった大事業というのは、成功したそれより魅力的に映るのは、そこに大きな夢が隠れているからではないでしょうか。

「プロジェクト×」は某国営放送局の番組のパロディです。

と同時に時代の流れに消えていった大きな夢への鎮魂歌でもあります。