【戯曲】或る感染症を巡る六つのお話 作:升孝一郎

或る感染症をテーマにしたSF短編戯曲のオムニバス

【登場人物&あらすじ】

1.「笑う門には福来る」

夫が急に奇行を始め緊急入院した病院で、妻は主治医より夫が或る感染症に罹患していることを告げられる。治療法が見つかっていないその病気。進行を遅らせる方法として主治医から勧められたのは「笑う」ことだった。

・医者 四十代。男。
・女 三十代。女。緊急入院した男の妻。


2.「ゼロの不安」

或る感染症が世界的に大流行している中、感染者がゼロのままのある村の公式サイトへ「ゼロなのは隠蔽してるからでは」とのコメントが投稿される。ゼロのままだと怪しまれると考えた村長たちは、村の伝承を参考にゼロでないアピールのためのある作戦を考える。

・村長 四十代。男。王滝村の村長
・須藤 三十代。男。王滝村役場の職員。総務課情報政策係所属。
・久保 三十代。女。王滝村役場の職員。住民課で窓口担当。


3.「グリーンゾーン」

院内感染で病室の3分の1が或る感染症の患者で埋まった巨大病院。役所から来た感染対策班は、院内をグリーンゾーン(安全地帯)とレッドゾーン(危険地帯)に分け、レッドゾーンを感染症患者受入施設にする方向で交渉を進めるが…。

・石田 四十代。男。HWウィルス感染対策班のチーフ。
・安井 二十代後半。男。石田の助手。高梨と付き合ってる。
・高梨 二十代後半。女。石田の助手。安井と付き合ってる。猫を飼っている。


4.「ダンボールハウスの賢者」

河川敷にあるダンボールハウスの住人に立ち退きを迫る市の職員。そこに現れた女は、その住人が元は某国研究所の重要な研究者で自分は彼を迎えに来たのだと語る。しかし住人の男は「この国でやることがある」と言って首を縦に振らない。

・ヘイケ 四十代。男。ホームレス。元分子生物学の教授で研究所の中心人物だった。
・職員 二十代後半。男。市役所の河川管理課の職員。
・ハンナ 二十代後半。女。バブルクンド国立科学研究所の職員。


5.「箱の教室」

或る感染症の大流行により、ウィルスに抗体を持つ者以外は密閉された清潔な箱の中で生活するようになった世界で、今度は「ふれあい欠乏症」なる病気が流行りだす。その予防のために学校が復活し擬似的な「ふれあい」が行われるようになるが…。

・藤田 三十代。男。教師。数少ない永続的な狂猫病抗体を持つ人。
・神田 生徒の一人。
・越乃 生徒の一人。藤田が好き。
・中原 生徒の一人。ハッカー。
・フィルス 生徒の一人。感染学に興味がある。
・用務員1 四十代。男。学校の用務員。
・用務員2 三十代。女。学校の用務員。


6.「ネコと火宅」

同棲相手と密かに暮らす女性作家の元に担当編集が無理矢理押しかける。作家の同棲相手がある感染症に罹患しているという記事がSNSに投稿され大騒動になっているから、事態の収拾のための協力して欲しいと言うのだが。

・月星 三十代。女。作家。
・たっくん 四十代。男。月星の同棲相手。
・後田 二十代後半。男。編集者。