Linux再挑戦の巻

臥薪嘗胆の日々

VineLinuxに最初に出会ってから、三ヶ月。

最初の失敗からこの方ずっと、何をしていても頭の隅にLinuxを何とかしてインストールしたいという想いが渦巻いていました。

とはいえ、生半可な知識で再挑戦してもまた失敗するのは目に見えてます。

妻は、直接口にこそしませんが、Linuxに対し「危ないもの」という風に感じているようです。ここでまた失敗すれば、ますますLinuxを導入しづらい雰囲気になるでしょう。

そこで、まずはあわてず、情報を集めることを始めました。

Web上の公式サイトや個人のLinux紹介のサイト、ページはもちろん、何冊かの専門書や雑誌などに目を通して感じたのは、日進月歩のコンピューター業界の中でも、現在特に変化・進歩が著しい分野なのだということでした。

例えば、前回のインストールの時上手くいかなかったX-windowシステムのプログラムも、一ヶ月後には最新版が出てi810に対応し、その後に出たほぼ全てのLinuxディストリビューションに搭載されました。

また、前回入れようとしたVineLinux1.1では、WindowsのFAT32というファイルシステム上でデータの読み書きが出来なかったらしいのですが、その後カーネル(OSの基幹部分)の改良が進み、標準で可能になりました。

その他にも、OSの様々な部分がどんどん改良され、より使いやすく、安定し、機能が増えていってます。そして、それらが新しく出るディストリビューションに、その都度どんどん追加されていく。

"慌てる必要はない。時間が経てば使いやすくなる一方だから。"

そう感じました。必要なものが出揃うまで、再挑戦を延期しても問題ない。

とにかく、インストールしてもそれだけでは意味が無いから、使い方についてや周辺の技術(UNIXのコマンドやアプリケーションの使い方。ネットワークについてや、MS-DOSについても。)を身につけようと考え、しばらくそれに没頭していました。

チャンス到来

臥薪嘗胆の日々に、チャンスは唐突にやって来ました。

ネットで知り合った方のご厚意で、中古のノートパソコンをいただけることになったのです。

戴いたのは、IBMのThinkPad535です。だいぶ前の機種で、Windows98等では荷が重いですが、Linuxなら使いでがある。実際、これより前の世代のパソコンでLinuxを快適に使っているという話は、Web上でよく見かけます。

デスクトップ機に導入するのは後回しにするとして、とりあえずこちらでやってみることにしました。

インストールする機種が決まれば次はLinux自体の選択です。

上で、「ディストリビューション」という言葉を使ってますが、これは、Linux独特の配布形式なのです。

実はLinuxとは、コンピュータとプログラムや操作する人との間を橋渡しし、適切に処理していく機能を持つ、OSの根幹であるカーネルと呼ばれる部分だけのソフトなのです。

コンピュータを使う場合、それだけではどうしようもありません。

そこで、命令や機能を実現するプログラムを集めてきて調整し、パッケージすることで、それを入れればすぐOSとして使えるようなパッケージ法がとられるようになりました。

これをディストリビューションと言います。よりフリーであるために、カーネル以外のプログラムやアプリケーションにも基本的にフリーソフトが採用されてます。

パッケージされるプログラムに決まりは(明文化されたものは)特にないので、組み合わせは自由です。そこに、ディストリビューターの思想や個性が出てくるわけです。

このディストリビューションの選択も、Linux使いの楽しみの一つです。

(行き過ぎて使いもしないディストリビューションをやたらめったらインストールするインストールマニアと呼ばれる人達もいますが…。)

VineLinuxは、日本語の使用に徹底的に拘ったディストリビューションで、また、安定性でも高い評価を受けてます。

Kondara(こんだら)MNU/Linuxというディストリビューションは逆に、最新の機能やハッカーテイストなアプリケーションを満載し、「最新最強」を唱ってます。

PlamoLinuxは、とても基本的な簡潔明瞭なシステム構成で、基本から学ぶには打ってつけです。

他にも色々あり、どれも個性的です。

再挑戦に際し、まず挑戦したのは「UNIX USER」6月号に付録で付いていた「TurboLinux WorkStation 6.0」と「OmoikaneGNU Linux1.0」の二つでした。

理由は、その時本屋に雑誌が並んでいたことと、前回と違うデュイストリビューションで試してみようと考えたためでした。

しかし、これはどちらも失敗しました。

手に入れてすぐ、インストールを試してみましたが、どちらもノートパソコンの外付けCD-ROMをつないでいるSCSIのアダプターのPCSC-Vカードを認識してくれない(認識しても対応していない)ためでした。

PCSC-Vのドライバのソースファイル自体は、ネット上で公開されてました。これをコンパイルして、使えるようにすれば、カード自体は使えるのですが、コンパイルしようにもインストールしてからの話で、インストールの時点ではどうにもなりません。

「OmoikaneGNU Linux1.0」には、最低限のシステムをフロッピーからインストールできるモードが用意されていたのですが、Windowsでフォーマットすると、1.44MBのフロッピーに何故か1.35MB位しか入らず(システム情報が入ってるため。)インストール用のパッケージは1.44MBぎりぎり使えるLinux用のフォーマットでパッケージされていたため、使えませんでした。

この問題を解決するには、対応されてると思われる(古いタイプの)SCSIカードを誰かから借り、とにかくインストールするというのが早いと考え、知り合いに当たってみたところ、古めのノートを使ってる人が快く貸してくれました。

カードは、PIONEER PCMCIA INTERFACE CARD。中身はQlogicのカードのようです。

因縁の再会と雪辱戦

カードの問題が解決して、さあ再挑戦と思ったら、本屋に「UNIX USER」7月号が出てました。

付録には、因縁のVineLinuxの最新版「VineLinux2.0」。

速攻で買ったのは言うまでもありません。

これを、Vineを上手く入れられるまで、闘いは終わらない!!(何の闘いやねん。)

カードや周辺機器をつなぎ、マニュアルに沿ってデスクトップ機でインストール用のイメージディスクを作ります。

Vine2.0には三種類のイメージディスクがあり、その中のPCMCIAカードを使用するときのディスクを使いました。

フロッピーを入れて再起動。おお!CD-ROMが動いてる!!

すんなりとインストールプログラムが始まります。

ここで問題発生。Vine2.0では、インストールに、GUIモードと従来のテキストモードのいずれかを選べるのですが、GUIモードにしたところ、パソコンの能力を超えていたらしくフリーズ。再起動し、今度はテキストモードを選びます。

インストールの手順はほぼ同じです。間違っても、最悪再起動してはじめから出来るので、失敗を恐れずガンガン行きます。

Vine今回のバージョンでは、インストールするパッケージのパターンを四種類から選べます。うち二つは、Linux界で話題のGUI、GNOME&enligtenmentを使う場合と、同じくKDEを使う場合。あと二つは、サーバーとして使用する場合と、自分で選択する場合です。

どう違うのかわからないので、とりあえず、GNOME&enligtenment環境を選択します。

手こずったのは、X-windowの設定でした。ここはどんなパソコンに入れるときも、手こずりがちなところなのだそうです。システム情報さえ把握していれば問題なく行けるのですが、必要な情報が無いと困ったことになります。

ThinkPadの説明書には、液晶ディスプレイの型番や、周波数については書いてませんでした。また、グラフィックメモリも記述がありませんでした。とりあえず、試すだけ試して、上手くいったやつでそのままインストール続行。

CD-ROMがうんうん言い出します。期待が膨らみます。

ほどなくして、問題なくインストールは終了。前回に比べものにならないほど、すんなり入ってしまいました。早速起動。問題なく動くようです。そこで、肝心のX-windowシステムを起動させ、GUIを使ってみることにします。

画面が表示される。やった!と、思う間もなくエラーメッセージが二つ。画面はそのままフリーズ。マウスを動かそうとするが、画面の隅を這うように動くばかりで一向まともに動いてくれません。

どうやら、設定にミスがあったようです。設定プログラムを起動させ、設定を直そうとしても、上手くいきません。すぐフリーズしてしまうのです。

さーっと血の気が引く気がしまいした。なんだこれは。

フリーズと言っても,Windowsのようにシステムごと完全に止まってしまうわけでも、ブルーエラーが出るわけでもありません。X-windowさえ、強制終了させれば問題なく使えるのです。だが、それではあまりにもあんまりです。

しばらく調整してみますが、問題点がつかめず、結局インストールし直すことにします。GUI以外は問題ないのだから、その辺の設定だけきちっとできればちゃんと使えるはずです。

同じ手順で、インストールを行います。今度は、事前にネットでThinkPad535とLinuxをキーワードに検索し、問題の特定を行いました。

問題だったのは、グラフィックメモリだったようです。特に記述がなかったので、本で推奨されている2MBで指定していたのですが、本当は1MBでした。そのためグラフィック用じゃないところにまでデータの書き込みが起き、エラーとなってしまったのです。

もう一つはマウスの問題でした。マイクロソフトのインテリマウスだったのでそれで指定したのですが、上手くいかないようなので、「普通の2つボタンマウスで真ん中ボタンのエミュレート」を選びます。

以上を変え、また、インストールするパッケージをいくつか選び、画面表示が重いと定評があるGNOMEを止め、従来のWindowMakerを選びます。

インストール再開!

パッケージが増えた分、インストール時間も倍くらいになりました。ドキドキしながら待ちます。やがて、インストール終了。早速再起動。

大丈夫のようです。そこで、問題のX-windowを起動させます。

しばしの沈黙。と、画面が表示されます。美しい画面です。マウスを動かします。問題なく自在に動くようです。アイコンをクリックしたり、メニューをいじって、アプリケーションを起動させてみます。皆問題なく動きます。

どうやら、成功のようです。遂に、Linuxが使える状態になりました!!

こうして、私のLinuxへの道がようやくはじまりました。

うへえ。

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