時の石:栗本薫

角川文庫から出てる初期短編集です。「時の石」、「黴」、「BURN(紫の炎)」の三編が収録されてます。

「時の石」

何気ない高校生の話です。ある日、友人とぶらぶら帰る道すがら、“僕”はやけに重い奇妙な小石を拾う。それを友人に渡すと、友人には、それがとても軽く暖かく感じられたようだった。友人はそれを欲しがり、翌日、彼は昏睡状態になる...。

“僕”が拾った小石を巡って起こる幻想ミステリー栗本薫の“優しい空想世界への憧れ”が現れた作品です。

「黴」

パニック物と言うべきでしょうか。生きた生物や無生物にまで繁殖する黴によって世界が滅んでいく話です。

話は、主人公が喫茶店で頼んだ紅茶に付いてきたレモンスライスの小さい黴から始まります。やがてそれはどんどん広がっていくのですが、その展開の描写が力強くテンポ良く、ぐいぐい読ませます。

世界が白い黴に覆われた時、主人公は..。

「BURN(紫の炎)」

いわゆる、the day after物です。

ある朝目覚めると、太陽は紫色になり、世界が全く違う生態系に覆い尽くされていた...。