夢幻外伝:高橋葉介

夢幻外伝1 死者の宴

朝日ソノラマ刊の隔月刊誌「眠れぬ夜の奇妙な話」に平成四年から五年にかけて連載された、新しい“夢幻紳士”の短編集です。

妖艶さや、気だるさは旧作に優るとも劣らない。どの作品も、愛故に魔界にさ迷う男と女を描いた話ばかりです。私は特に、『海鳴りの家』と『人でなし』が好きです。前者は、愛し合う夫婦が死んでまで互いを愛し、愛するが故に狂ってしまうという話で、夢幻魔実也がその狂いを解きほぐし、冥府へ誘います。最後に、海の底に沈んだ旦那の元に向かおうとする妻が、ちょっとした気の迷いで、魔実也の投げた釣り針にかかる所が、なんとなく微笑ましくて好きです。

後者は、双子の霊能者の姉妹が、ろくでなしの男を取り合って、呪術合戦をし、魔実也がそれに巻き込まれる話です。三者の呪術対決がかっこいい。しかも、その結果がなんの役にも立たず、ろくでなしは別の女と再婚し、姉妹に呪い殺されるという救いようの無さが、良いですねえ。

現在、朝日ソノラマの漫画文庫「ヨウスケの奇妙な世界」にも第四巻として収録されてます。

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