とおぼえ:内田百閒

黒沢映画の駄作(と私は思うのですが)『まあだだよ』で描かれた百閒像からは到底想像できないお話しです。というより、百閒の初期の作品は、そのほとんどが短編で、しかもどれもこれも、夜の夢をそのまま書いたような作品ばかりです。

その中でも、この作品は秀逸です。夜、ある茶店に一人の男がやってくる。(その男の一人称で語られてるのですが)その茶店で、ラムネや焼酎を飲みながら店の主人と話す。犬の遠吠えが聞こえる。話すうち、どうも男は死んでるんじゃないかと思いはじめる。そして、夜に消えて行く。と、こんな話です。なんだか不思議で、良く考えると、とても変で恐い話です。

短いので読書が苦手な人でもOKです。