御先祖様万万歳:押井守(監督)

OVA全六巻。スタジオぴえろの開設十周年記念として製作された作品です。

新築マンションに住む、父、母、少年の三人家族のもとに、少年の孫を名乗る少女がやって来ることから始まる家族の崩壊と再生のドラマ。というのが、妥当な説明だが、中身はどうして、そんな甘いものではない。押井守のその後の作品に通じる世界観が、かなり強く現れている作品です。

随所に施された演劇的な細工は、後の「トーキングヘッド」を想像させますし、各所にちりばめられた「犬」のキーワードは、「犬狼伝説」「ケルベロス」最新作の「人狼」(脚本担当)などに通ずる彼のメインテーマの一つとなってます。

話としてコンパクトにまとまり、しかも物語だけでない何かを感じさせる傑作です。

ちなみに、この作品は、ダイジェスト化されて、映画になりましたが、(「MAROKO」'90年作品だったかな?)かなり、駄目です。別物となってますので、興味ある方は面倒でもビデオで見ることをお勧めします。