コミュニケーション不全症候群:中島梓

大学在学中に見つけた本です。著者には他に、ほぼ同じテーマをより軽めに書いた『我が愛しのフラシュマン』というエッセイ(作品論?)があり、そちらも大変面白く読んだのですが、それがより深化して発展した本です。

この本で語られる“コミュニケーション不全症候群”とは、他人とのコミュニケーションが上手くとれず、個人の中で関係性が空回りしている、ないし切り捨てている人々の状態を指します。この本ではその例として、“おたく”と“ダイエット症候群”を取り上げてます。

おたくはもちろん、あのおたくです。「ダイエット症候群」とは、ダイエットに血眼になってる人々のことです。何故、これらとコミュニケーションが関係あるのか?

中島梓独特の力強いタッチで、書かれています。

最後に、作者は自分の考えを述べてます。そこが、これが学術書でなくエッセイだと感じる一番大きな点ですが、中島梓は、”それは新しい人のあり方なのではないか?”と訴えます。

TVを見れば、コミュニケーション不全のために事件を起こした人が目白押しです。身近にだって(自分も含め)コミュニケーション不全気味の人は沢山います。でも、それがいけないことなのでしょうか?

コミュニケーションが取れずに潜り込んだ空想や想像の穴蔵の中で過ごしたとしても、その想像や空想を通して、人は人のぬくもりを感じ取るでしょう。それは、従来のコミュニケーションとは違うだろうけど、新しいコミュニケーションのあり方だといえないでしょうか?

この感想を発表しているこのページも、私のおたく(ホーム)のページです。私もまた、物語の世界を通して皆さんと接しているわけですから。今。