社交ダンスの種目

 イギリスの教師協会が世界各地で踊られていた民族舞踊を整理、ルール化し、競技会の種目として採り入れました。それがインターナショナル・スタイルとなり、競技会の発展とともに定着します。一般的には社交ダンスの正式種目といえば、以下のスタンダード種目5種、ラテンアメリカン種目5種の計10種目を指します。

1. スタンダード種目 男女が互いのボディを接し、腕の枠(ホールド)を保持したまま一体となって踊る優雅なダンスです。宮廷舞踊の伝統を色濃く残し、競技会や舞踏会では正装として、男性は燕尾服、女性はドレスを着用することを定められていることが多いです。


ワルツ (アメリカ)

  3拍子で上下動をしながら優雅に回転しながら踊る種目です。ウイーンで生まれたワルツが1910年頃アメリカに渡り、現在のワルツのようなゆったりとしたボストンワルツに生まれ変わり、1920年頃にイギリスの教師協会によって正式種目とされました。

タンゴ  (アルゼンチン)

  情熱的激しく強く踊る種目です。1870年ごろアルゼンチンのブエノスアイレスの酒場や売春宿で船乗り、労働者たちによって踊られていたのが始まりで、当時は荒くれものたちの踊りでした。20世紀 に入るとヨーロッパに入りヨーロピアン・タンゴと呼ばれ、パリで大流行しました。またアルゼンチンタンゴの特徴であるバンドオネンの代わりに通常の管弦楽団で演奏されるようなります。それが日本に入り、コンチネンタルタンゴと呼ばれます。

スローフォックストロット (アメリカ)

  4拍子の流れるような踊りです。アメリカのジャズのルーツの一つである「ラグタイム」というテンポの速い激しい音楽から生まれたダンスがフォックストロットで名づけ親はハリー・フォックス。キツネ(FOX)の動きとは関係ありません。イギリスにおいて、1929年頃にワルツの要素も入れながらゆったりとしたリズムに変えられました。

クイックステップ (アメリカ)

  早い音楽にのって飛んだり走ったり軽快でスピード感のある踊りです。フォックストロットにチャールストンの要素を入れて1929年にクイックステップと名づけられました。

ヴェニーズワルツ (オーストリア)

  宮廷舞踏から発達した最古のダンスで、早い3拍子でフロアを回る踊りです。


2. ラテンアメリカン種目 中南米を発祥とする種目が多く、離れたり、近づいたりと様々な変化をしながら、自由度の高い躍動感のある情熱的なダンスです。


ルンバ (キューバ)

  男女の愛の表現をする大人な踊りです。キューバのアフリカ系住民の音楽ソン」が起源で、1930年代にヨーロッパに伝わりルンバと呼ばれました。

サンバ (ブラジル)

  明るくフロアを練り歩く踊りです。アフリカ系ブラジル人によるアフリカ系の音楽とヨーロッパの音楽が融合したと言われています。

チャチャチャ (キューバ~アメリカ)

  明るく切れ味のあるスタイリッシュな踊りです。キューバの「ソン」を起源とするマンボをアメリカで発展させたものです。1950年代にニューヨークで大流行しました。

ジャイブ (アメリカ)

  軽快な音楽に合わせた弾むような踊りです。1920年頃、ハーレムではスイングジャズに合わせたスイングダンスと呼ばれるものが踊られるようになります。このスイングダンスはジッタバーグチャールストンリンディポップ を始め、様々な種類に細分化されます。このうちジッタバーグがヨーロッパでジャイブとなっていきます。

パソドブレ (スペイン)

  スペインの闘牛を模した力強い踊りです。男性マタドール闘牛士)、カポーテ(闘牛に使われる赤いケープ)と、時には闘牛、フラメンコダンサーをイメージして踊られます


3. パーティーで踊られる入門ダンス

  気軽にダンスを楽しめる種目で、スタンダード種目やラテンアメリカン種目の基本となります。

ブルース (アメリカ)

  歩くようなゆったりとした踊りで、スタンダード種目の基本となります。曲はスローフォックストロットと同じ曲を使うことが多いです。現在はスロー・リズム・ダンスと呼ばれています。

ジルバ (アメリカ)

  軽快な音楽に合わせた踊りで最もポピュラーな踊りです。前述のスイングダンスのジッタバーグが戦後に進駐軍とともに入ってきたときに、日本人にはジラバに聞こえ、ジルバに変化しました。

マンボ (キューバ~アメリカ)

  1928年にキューバ音楽ソン、ボレロ、コンガ、ルンバ がアメリカで商業的に紹介されました。そしてアメリカに出稼ぎにきたキューバ音楽ミュージシャンがジャズミュージシャンと交流するうちにビッグバンドによるマンボが生まれました。

スクウェアルンバ (キューバ~フランス)

  初心者にもやさしいラテン系の踊りです。キューバからヨーロッパに伝わったルンバは、フランスにおいてはカフェやサロンで踊られスクウェアルンバと呼ばれます。