名前 :ドラドロ
性別 :男
オーナー:drau
性能
HP70/知5/技5
スキル
・混乱魔法/10/0/8 防御無視 封印
・衣装変え/0/7/1
・ナイフ /5/0/1
・モールシャの剣/25/0/8 防御無視
・隠しナイフ/5/0/1
プラン
01:相手が何も構えていない状況で、相手の最新同時行動スキルの攻撃力が0ではなく防御力が5以上なら「衣装変え」。
02:相手が何も構えていないなら「ナイフ」。
03.相手のスキルの攻撃力が0なら「衣装変え」、もしくは攻撃力10以上かつウェイトが1なら「衣装変え」。
04.相手のスキルが回復でないかつ、ウェイトが8以上かつ、その攻撃力が自分のHPより下なら「モールシャの剣」。
05.相手のスキルのウェイトが9以上かつ、相手のHPが25以下なら「モールシャの剣」。
06:相手のスキルが回復または吸収なら「混乱魔法」。
07:相手のスキルが防御無視なら「ナイフ」。
08:相手のスキルの防御力が0かつ、ウェイトが2以上なら「ナイフ」。
09:相手のスキルのウェイトが10以上なら「モールシャの剣」。
10:さもなくば「隠しナイフ」。
設定:
緑の紋章をぽつんと、申し訳程度にちょこんと綴られた騎士の鎧に身を包んだ男。
ドラドロはモールシャ家の公騎士の一人。町にいるモールシャ系列の公騎士は他の公騎士の中でも立ち位置が特殊であり、人員も少なく、目立たない。
森の開拓や警戒、農耕地区の警備に力を入れているモールシャ家が申し訳程度に街に配置した騎士だからである。
森から街に追いやられた二軍狩人として、意味も無くモールシャ本家の森の狩人(もしくは農耕地区の公騎士)たちからは軽んじられている。
街に居る他家の騎士達からも「あいつ等、なんか違うんだよね」と近寄りがたく思われている。
モールシャ系列の人間を街に案内する時や、逆に街からモールシャに人を連れて行く時が一番の特殊任務で士気も上がるというもの。むしろ、彼らの祭りであり、舞台である。
その任務を聞いたら「っしゃー!!」「いやっほー!」と叫んで拳を掲げる。怪盗事件によって引き起こされた騎士達総出の怪盗対策任務も皆と一丸となったような気分に包まれ、心躍り
っぱなしで在る。ドラドロも夢心地だろう。
エンカウント:ドラドロ Written By drau
夜闇に紛れて、騎士は呟く。路地に向かって、時折、荒く声を上げる。
「本家は未だごたついている」
「今しかないんだ」
「観測者システムも現在途絶えている。」
「外から、内から、生まれ消えて、入り去る。火種は根を生やしている。街は今もなお、爆ぜる直前だ」
「本家が俺達をどうしようとしてるかわかってるのかよ、姉さん達は!」
「俺達が今まで奴らにどんな目で見られ、生きてきたのか!?姉さん達は、刻み込まれているだろう!?」
「だから今なんだ!逃げるなら!この街が爆ぜる前に、俺達が邪魔になって消される前にだ!」
一見、男は独り言を叫んでるようだが、その顔は狂ってはいなく、真面目で悲痛だった。
「――こんな夜更けにさわいでんじゃねぇよ、糞騎士が」
月明かりの下、照らされた狂った人面を飾る男。
「ヘル・ライオット…!?」
騎士は腰に手を回しながら、大きな看板の酒場を思い返す。
「おーい!そっちにいったぞー!!」人の怒声が聞こえる。足音から察するに数人の騎士達だろう。
騎士は舌打ちする。人が来た。路地の奥に向かって手を振った。去れ、と。
「今、街から逃げるわけには行かないか、怪しまれる。だが丁度良い、お前を捕まえる事ができれば!俺たちの今後の立場も良くなるさ!」
今頃ドラドロは、鎧を着けてない素の姿で酒場で飲んだくれて、すっかり泥になって机に突っ伏していて、気持ちよさそうに寝ているだろう。
鎧を装着して怪盗と遭遇したドラドロは、あるハートロストの一人の変装だ。
「――怪盗の凶行はここまでだ」
ハートロスト・ライオット:ひとでなし Written by N.M
「俺を止めるだと? 面白い。今まで地面に沈んだ奴らの数を知らないわけではあるまい?」
「関係ないな」
「逆に俺がお前を捕らえて、立場を悪化させてやろう!」
***
まずは牽制としてナイフを振るう。
だがあっさり躱される。
それどころか力が抜けていくような感触。
(これは浴び続けたらまずい)
別人になりすまし、不意を打とうと試みる。
「遅い!」
浴びせられる針の連打。
逃げようにも針の雨の中では思うように動けない。
なんとか付かず離れずの距離をとる。
「……逃げ続けるなら仕方ないな。辺り一帯を焦土にせざるを得ない」
怪盗はそう言うと右手を掲げる。
集まる力はその言が本気であることを証明している。
「まぁ俺とやり合って逃げるなんて前例作ることに比べれば、この程度の犠牲、大したこと無いよね」
もちろんここはリリオットの中である。
だが、ヤツは本気だ。そして狂っている。逃げられないのなら止めるしかない。
隠し持ったナイフを手に突っ込む。だが。
「はい、つーかまーえたっと」
左手一本でナイフを持った手を掴まれる。見かけ以上の握力。
「は、離せ!」
「いやぷー。こんなに狙いやすい位置に来てくれてありがとう!」
「やめろ! やめてくれ!」
「まぁお前のような正直者は死して裁かれた後は地獄より天獄に逝きそうだな?」
その面に表情はなく。右手は無慈悲に振り下ろされ。
***
結局、彼は生きていた。生かされたというべきか。
理由はわからない。いや、わかりきっている。
公園のど真ん中の柱に縛られ、晒し者にされている。
胸に下げられたボードに「このひとでなしー!」と書かれている。
自分がハートロストだと知ってやったのかどうか。それはわからない。
わかるのは、奴がとんでもないバケモノだ、ということだけである。
ハートロスト・ライオット:ひとたびの Written by drau (タイトル:N.M)
そして、彼が目覚めたのは、もうすっかり夜が明けての頃だった。
「……起きた?」
そっと問いかける男の声に反応し、シーツの上で横になっていた身体を起こす。辺りを見渡せば、そこは見慣れた、自分達にあてがわれた家の室内だった。
「お、俺は……ぐぅっ!」
じわりと滲むような痛みに肩を狭め、目覚めた男は身体を縮める。
「痛むだろうけど、殴られたことによる損傷はそれほどでもない。良かった?あぁ、でも、ただ……あんたは無様な、実に惨めな醜態を晒した」
そう責める男の声は、目の前の人物から出ていた。
「そうだ、俺はヘル・ライオットに……くそっ、くそっ!」
昨夜の出来事を思い返す。
怪盗との出会いと、仮面の表情、避け続ける自分を御した一撃。その瞬間に見えた、一切の表情が消えた怪盗の仮面。同時に呼び覚まされた恐怖が、寒気となって背筋を走る。それを隠すように声を荒げた。
「ちくしょうっ!あんな奴に会わなければ…!」
「違う。あんたは真っ先に逃げれば良かった。欲を覚え、向かっていって、破れたのはあんたの過ちだ」
斬るような否定が、荒げた声を消え入らせた。
「大層な言葉を吐いたのにも関わらず、折角の変装の考えも、望みも、機会もまた一夜延びてしまった」
男の声は淡々と、結果を告げる。
「そして、無様に晒されたあんたをどうしたかわかるか?人目を避けながら、酒場で寝てた騎士を背負ってきて、あんたの着てた鎧を着替えさせて、元に入れ替え直したんだ。朝が来る前に、慌てながら。誰がやったかわかってる?誰があんたの尻を拭いたかわかってる?変数だってわかってる?」
「ちっ、ごめんよ、俺が浅はかだった……もう、これでいいだろ、責めないでくれよ、“姉さん”」
枯れた男の声で、目の前の女は続けた。
「責めるわ。あんたに何かあれば、変数は、どうなるか」
「……わかってるよ、だから、なんだよ。俺は、だから、今すぐにでも離れたかったのに」
消え入りそうな男の声にため息をつき、女は部屋を出ようと背を向けながら、男に言った。
「兄さんを繋いでいれるのは私達だけなのよ。だから、軽はずみな戦いには気をつけなさい」
男は黙って頷き、枕元のナイフを握る。間を置いて、男の震えた声が、一人きりの室内に響いた。
「……緑髪に、ヘル・ライオット……どいつもこいつも、俺達の、兄さんの、邪魔をしやがって……」
男は、ナイフを力任せに、衣装棚に投げつけた。音を立てて、刃が木目に刺さる。
「くそっ!……くそっ!幸せになってやる!幸せにしてやる!俺が、だ!」
人でなしは、怪盗と出会い、そして破れた。
夜は明けたが、一期一会の果てはまだ、見えていない。
さぁ、街へ、行こう。衣服を取り、外へ向かおう。そして、出逢おう。
街に蔓延するおろか者達と、人でなし達 Written By drau
また、夜が来た。
相も変わらず、朝も夜も街は騒がしく、眠らない。
いや、眠れないのだ。
日毎に激しくなる怪盗の巻き起こすエフェクトは飽和状態にあった。極限まで高められ、向けられた怪盗への感情は爆発的に増加し続けていた。
「不思議と、また逢えると思っていたよ」
何処であろうと、何処に居ようと。セブンハウスが、公騎士団が、リソースガードが、エフェクティヴが、リインカネーションが、ヘレン教会が、商人が、職人が、旅人が、余所者が、町
人が、怪盗を目指していた。全ての道が、地獄の暴動へと。
ヘル・ライオットへと続いていた。
それは人非人であっても変わらない。
「俺達の幸せの為、お前を捕まえる」
狂人の仮面とマントを身につけた怪人の前に、鎧姿のドラドロが道を塞ぐ。
ハートロストの変装だ。
「ハッ!また路上に沈むことになるとは思わなかったか?」
「思った。思ったけど、な。なんでか、俺達はここに居る」
「そうか、脳が沸いてるのか…」
およよと、泣き真似をする怪盗。
「挑発には乗らない」
ゆったりと歩きながら、焦り無く、緩やかに背中へ手を回す。すぅっとナイフを取り出してみせて、怪盗に突きつける。両者の距離が縮まっていく。
「おっ?今度は逃げ回らずに積極的に沈んでくれるのかな?こいつは速く済みそうだ。人でなしは心に続いて能無しにもなってくれるかな!?」
挑発混じりのにやつきで、構える怪盗。騎士は仰々しく天を仰ぐ。
「なんだ、お前、そんな余裕あるのかよ?」
無防備な姿を晒しながら再び視線を戻し、その至近距離に歩を進めた狂人に向き直る。
「――狼煙は放たれた」
「あぁん?」
「お前は凄いな。この前の仕打ちからして気付いていたのか、俺がハートロストだって。随分と詳しいんだな、この街の暗部に」
ふと、怪盗の後ろから人影が声と共に現れた。奇妙なことに、すぐ目前の騎士と同じ声だった。
「お前の正体、結構気になるな」
また、新たな人影と声。今度は目前の騎士の、背後から現れた。まったく同じ姿形で。まったく同じ声で。
「なんだ、そりゃ」
「紹介しよう、ライオット。俺は、ドラドロだ」
目前の背後の騎士が告げる。すると、怪盗の後ろからも、
「紹介しよう、ライオット。俺は、ドラドロだ」
同じ声で、同じ台詞が聞こえた。
「おいおいこれって【混乱】か?いや、ありえねー。俺様がそんな状態になるなんてありえねーし。そんな真似を許すはずがねーし」
「「ややこしいか?ライオット」」
前後からの声の応酬に、怪盗がうざったそうにしていると目前の騎士も、遅れて発言しだした。
「紹介しよう、ライオット」
「おいおい、お前もドラドロとか言うのかよ!」
「――解は出さない」
「「はぁ?」」
街の騒音が近づいてくる。
「いや待て、「なんで声が重なるんだ?」…ってまたかよ!」
後ろから、怪盗自身の作り声がした。
「うわー……「面倒くせぇ!」」
ため息混じりに怪盗がバックステップし、続けて真横に跳ぶ。壁を背にして、異常を見極める。
「あ、こっちのは女か」
背後から声を出していたのは大人しい色合いのドレスを纏う女だった。火薬臭い。
「いや、女である前に、ドラドロよ」
「意味わかんねーよ!」
「紹介しよう、ライオット。私は変数、何者にもなれる。モールシャの騎士、ドラドロにも成り替われる。……俺はドラドロだ」
「いきなり言ってくるなよ!?つーかお前ら三人ともドラドロか!」
「――いや、と言いますかぁん。なんていうかですねぇぇん?」
「口調変えてくんなよ!」
ふと気付く。街が、騒がしい。先程から、騒がしすぎる。
「ほら、さっきから聴こえてきませんかぁん?この足音、この賑やかさが、気になりませんかぁ?」
「なんだ、ありゃ」
「獲物を漁る鼠達の群れです。この街を構成する、リリオットやリリオット外部の人々。さぁ、鼠があなたを追ってきましたよ。あなたを捕まえて、引きずって放り込もうと群れを為して
、近づいてきてますよぉん」
「へー、害虫駆除だけじゃなくて害獣駆除も必要だな、この街は」
「害チューですよ。……あっはっはっはっはっ!!」
「…………」
「私は変数。値を代入されれば何者にもなれる」
「俺は変装。外見を変える」
「私は変声。声を変える」
「そして、改めて、私は変数。…………数を変える」
「それで、ドラドロとやらの人数を変えたとかそういうことで無理矢理に合わせてくんなよな!」
「そう、ドラドロを集めた」
「「俺はドラドロだ」」
「お前を“捕まえて引きずって、しかるべき場所に放り込む”奴らが、皆、ドラドロだ」
「“ドラドロを演じる役者は、まさにこのリリオット全土!”」
もはやどれがどいつの声かも分からない。一々把握してられない。地獄の暴動が、人でなし達によって化かされていた。
「聴こえてくるぜ、ドラドロ達の声が」
「んだよちくしょー!」
前から、後ろから、遠くから近くから。まさに、リリオット全土からあらゆる追っ手が現れる。
「いたぞ!怪盗だ!」「捕まえろ!」「見つけたー!!」「押しきるでごわす!」「発見!」「気をつけろ!」「囲め、囲め!」「許せません!」「デルタフォーメーションだ!!」「ふ
わー……人が多くてうまく走れない、だよー。このままじゃ待ち合わせに遅刻、遅刻、だよー!」「怪盗を捕まえろぉ!!」「シチューの仇だ!」「ヘル・ライオットォ!!」「檻の中に
ぶちこんでやる!」「鎧は何処……公騎士をクビになってしまう」「ボウズゥ」「金返せ!」
今夜は特に、街が騒がしい。
人ごみの中から騎士が鍬を手にしながら現れた。
「貴方がライオットですね。俺は、ドラドロ。モールシャの騎士です!」
その騎士は鎧を身に着けておらず、私服だった。
「は?お前、農民じゃん」
「違うやい!騎士です!」
「あーそう。ここでやっと本人登場かよ、なんか、もう疲れてきた……」
「え、俺が一杯いる!?なにこれ!あっ、その鎧返して!」
「男であり、女であり、冒険者であり、町人である。お前に立ち向かうものがドラドロだとするならば」
「そうつまり俺達4人はハートロスト・ドラドロだ」
「いや俺はモールシャの騎士ですってば!」
「俺たちは今までドラドロだった!だが違う!dorado=oroだ!この街を豊かにする、黄金の金貨になるんだ!」
「何処の国の言葉すか?博識っすね先輩!」
「うおー!!」
エフェクティブの男達が声を上げると、周りも勢いを増した。
「おらぁ!!もういいからこの茶番を終わらせるぞ!!面倒くせぇよ!」
いざ、出逢いの果てへ。
「さぁ――「「「この街の騒ぎも、気狂いも、今夜までだ」」」」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお「だよー」おおおおおおおおおおおおおおおお
お!!!!!!!!!!!!!!!!!」
一期一会の果てへ。
名前 :“ドラドロ”
性別 ;どれかわからないんです。
オーナー:drau
性能
HP70/知5/技5
スキル
・変装/0/7/1 衣装を変えるんです。「ディーフェンス!」
・変声/5/0/1 声を変えるんです。 「ディーフェンス!」
・変数/10/0/7 防御無視 凍結 演じてあげるのが好きなんです。
・+A/45/0/15 防御無視 吸収 お腹にママがいるんです。
・モールシャの剣(真の型)/20/0/7 防御無視 剣はおまけです。真の型は鍬なんです。
設定:緑の紋章をぽつんと、申し訳程度にちょこんと綴られた騎士の鎧に身を包んだ男。
ドラドロはモールシャ家の公騎士の一人。町にいるモールシャ系列の公騎士は他の公騎士の中でも立ち位置が特殊であり、人員も少なく、目立たない。
森の開拓や警戒、農耕地区の警備に力を入れているモールシャ家が申し訳程度に街に配置した騎士だからである。
森から街に追いやられた二軍狩人として、意味も無くモールシャ本家の森の狩人(もしくは農耕地区の公騎士)たちからは軽んじられている。街に居る他家の騎士達からも「あいつ等、な
んか違うんだよね」と近寄りがたく思われている。
モールシャ系列の人間を街に案内する時や、逆に街からモールシャに人を連れて行く時が一番の特殊任務で士気も上がるというもの。むしろ、彼らの祭りであり、舞台である。
その任務を聞いたら「っしゃー!!」「いやっほー!」と叫んで拳を掲げる。怪盗事件によって引き起こされた騎士達総出の怪盗対策任務も皆と一丸となったような気分に包まれ、心躍り
っぱなしで在る。ドラドロも夢心地だろう。
プラン
01:初手に「+A」
02:相手の最新選択スキルが回復ならば「変数」
03:「モールシャの剣(真の型)」
農夫の利 Written by N.M
怪盗は針を投げるが相手が多すぎて殆ど意味がない
「あー、もー、ゾロゾロと鬱陶しい! まとめて片付けてやるから覚悟しろ!」
わらわらと近づいてくる"ドラドロ"たち。そのうち一人が退避しても全く分からないぐらいに。
怪盗の仮面が傲慢の表情を浮かべる。
剣に力が集まる。
そこに飛び出してくる巨体。
「だよー!」
「あばらっ!!」
ぶつかるだけで異常に体力を奪われたが剣のチャージは終了している。
「くっそー、邪魔だ! ぶっ飛べ、オラっ!!」
怪盗が本気でぶっ放した剣閃は、巨漢、ハートロストご一行、その他もろもろをまとめて吹き飛ばした。
「……ぜーぜー…。俺を怒らすからこうなるんだよ…」
地に伏したがまだ気絶するに至らない者を剣でどついている。
(……あれ、これって実はチャンス?)
そこにソロソロ背後から忍び寄る一人の男。
(騎士道にもとるけど悪人相手にそんなこと言ってられないよね)
それこそ本物のドラドロであった。
(何か知らないけど、疲れてるようだし)
彼は一人、安全圏に退避していたのだ。
(気絶させればなんとかなるよね)
鋤を振りかぶって、敵を殲滅して油断している怪盗の後頭部に、
(せーの)
思いっきり叩き込んだ。
You Defeated the Enemy!!
エンディング:ドラドロ Written by drau
気を失い、捕らえられた怪盗は公騎士団本部へと運ばれた。
「ご苦労様だったね、うん。えーと、……ドラドロ君、実に大した事をしたよ、お手柄だ」
「お、恐れ多いです!総団長様!」
バルシャの公騎士団、そして他全ての公騎士団を含む中での総団長。焼けつく様な熱気を剣にたぎらせたマカロニ・グラタン様と、俺は面会していた。こうやって直接面会して、しかも会
話まで出来るなんて、想像すらしたことがない。まさか、モールシャの中でも立場の低い外様騎士の俺が!今この瞬間を例えるなら、戦乙女ヘレンの直ぐ側で膝をついているような感覚。
そのヘレンが俺を誉めてくれている。まさに夢心地の気分だ。
「あの怪盗には随分と手を焼かせられたからねぇ。君の様な騎士が居てくれて助かったよ。君の存在こそ、騎士の誉れだ。」
そうやってグラタン様は手をこちらへと差し出した。握手と来たよ。これは、当分興奮で眠れなさそうだ。
「はっ、ははぁっ!って、これは…」
頭を何度も強く下げて、手をそろそろと握り、そこで気付く。
「おや、どうしたのかな?」
その手の平には見るも無惨な火傷の跡が色濃く残っていた。 あの煮えたぎって音を立てる腰の炎熱精霊剣。余程、怪盗には頭を悩まされたんだろう。グラタン様は怒らせると危険だ、そ
の場で相手を焼き斬り尽くすと噂されている。優しそうな笑顔の裏に、瞬間的に白熱へと至る程の怒りの顔が渦巻いているのだ。手を焼かせられたって、そういうことなのかな。自分の剣
を握ってて、火傷する程怒ってたのか。恐ろしい。今この瞬間がなんとも恐れ多い。
「ハハハ、どうしたの、かな?うん?」
「…い、いえ!何でも御座いません!」
おっそろしい!というか熱い!室内が熱い!湯気たってる!ポコポコって聴こえてくる!
「正直な話、羨ましいね。是非とも私の手で捕らえたかったものだ。ハハハ、いやぁ、私もやはりまだまだ若輩者なのだろうね。学ぶ事が多くて退屈する暇が無いよ!ハッハッハッ!」
鞘が融けてる。そして垂れた金属の滴で、床も融けてるって!!
「いや、いやいや俺なんて運が良かっただけですよ。グラタン様の手にかかればもっと速やかに収まってました!間違いありません!」
まさか、これ、嫉妬なのかな。
「ハハハ、君にそう言って貰うとこちらの方が恐れ多くなるね、なんとも、憧れてしまうなぁ」
は、速く帰りたい! 怖いって!!
「しかし、あの怪盗の正体が、……まさかねぇ」
怪盗の正体。それは、他の話にしよう。俺に大事なのはこの街を護れたって事実だ。
そして、それは俺の悩みにもなった。
幼き日に移住してから、今まで俺が育ってきた街。
怪盗が事件を起こす度に、後処理に右往左往した。俺は街の住人として、騎士として、初めて皆と一つになれたような気がしていた。 それだけで充分だった。
だけど、まさかのまさか、俺が怪盗を捕まえてしまった。 そして、この状況だ。昨日のグラタン様との会見に続いて、クローシャ卿、ラクリシャ卿、バーマン卿。厳かなる面々が俺に代
わる代わる賛辞を述べてくれた。こんな名誉なことがあるか?
道すがら、今まで挨拶もしてくれなかった他家の騎士達がこちらを見て敬礼をしてくれる。 あまり街に馴染めていなかった俺には、もう、訳がわからなくなった。一挙一動をどう振る舞
えばいい?どう接してみればいい?俺にはそれがわからず、ただ笑い返すしか出来なかった。
舞台に立ち、周りの人がそれに視線をくれる。
そう、観客。舞台上に立つべき役者にとっては、受け入れて当たり前のそれが、俺には異常なる異形に見えた。かちこちだった。めったな事を言えないなと思った。自分を見せるというこ
とに怯えた。もういっそ、夢なら覚めてほしかった。
「ぴゃー!!」
薄暗い寮の一室にて一人、叫んだ。
――俺って誰だっけ?
「いやっほー!」
「帰って来たな、英雄!!」
「絶対お前出世頭になれるぞ!胴上げしようぜ!」
「な、なんですか!?」
どたばたと他のモールシャの騎士達が俺の部屋に入ってきた。
「わっしょーい!」
「わっしょーい!」
抗う間もなく、俺は天井の汚れが見えるぐらいに浮かされた。
「うわわ!怖いですって!」
「やるじゃんなかなかやるぅーじゃん!やーるじゃん、おーまえー♪」
「鎧をみーがくっきゃない!」
「綺麗にみーがくっきゃない!」
同僚達が手にした毛ブラシが、天井付近を上下する俺の鎧を洗剤との摩擦で綺麗に磨きあげてくれた。洗礼。彼らからの最大限の賞賛。 薄汚れていた鎧が、光を反射するようになり、俺
は床に下ろしてもらった。
「ふ、ふぇー…こ、怖かった…」
「見違えたぜ!ドラドロ!」
「お前の偉業は俺達の誇りだ!」
「いや、違うよ、俺は……」
「あー、羨ましいぜ!こんにゃろ!」
笑いながら皆が俺の頭を叩く。
……違うんだ。ただの偶然の産物なんだ。俺はそんな、誉められるような人間じゃない!
「……違うんだよ!!」
俺は叫ぶ。きょとんとした皆の横を走り抜けた。水溜まりが蹴られ、室内に泡が弾ける。俺は逃げ出した。一人になりたかったから。
「違うぜなんだか違うぜ」
「違うぜあーいつー」
「戦ってるらしい、あいつの心が」
モールシャの騎士達は背を見送って意味もなく頷く。そして誰からともなく、泡やらなんやらで散らかった部屋の片付けを開始した。
街を走り抜ける俺。人目につきたくないから、出来る限り路地裏を駆け抜けた。そして大通りを横断しようとした。馬車の隙間、人の波を一気に掻き分けた。後ろから罵声が飛んだ。も
うすこしでまた路地裏に入るという所で、俺は横から歩いてきた老人にぶつかりかけた。
「ひぇっ!?」
「危ない、だよー!」
「あぶらぁ!」
大きな何かが老人を包んで守る。俺は大きな固まりに頭をぶつけ、元来た道へとふっとび、意識は天へと昇った。
†
「大丈夫ですか、だよー」
俺を心配する、優しい声で目が覚めた。
「あ、あう…すみません、でした」
先程の大通りの端で、俺は壁に背を預けていた。
気を失っていたらしい。
介抱してくれたらしい目の前のお、ん…なんだろう。目の前の、背が高い人に礼を言う。
「立てますか、だよー…」
「だ、大丈夫、です。自分、鎧磨いていますから!」
意味がわからない。
起き抜けにこれだから、やっぱり混乱しているみたいだ。
そんな俺の渇いた笑いに、……えーと彼(なのかな、彼でいいのかな)は小首を傾げてニコリと微笑んだ。
「ふふっ、良かった、だよー♪」
彼は安心したのか、はふーと息を漏らすと、胸を撫で下ろした。
……分厚いな、胸。この体格に、この恰好。大胸筋に白いワンピースドレス。頭に付けた麦ワラ帽子。なんていうか実に爽やかで、夏を感じました。彼を見てると大量の(冷や)汗をかき
ました。すると同時に、なんだか、自分も安心したような気持ちになれたのです。
「えっと、あ、貴方の名前は…?」
「アスカ、だよー」
「お、俺は騎士ドラド・オーロ!ド、…ドラドロと呼んでください!あのアスカさん、このお礼というかお詫びをしたいのですが!」
「ふぇ?」
「訳あって我を忘れ、危うく老人を轢く所でした!ここで礼をせねば騎士道に反します!」
アスカさんは驚いていた。そして俺も驚いていた。
俺が、一人になりたかった俺が、他人にアクションを起こそうとしている。
「えと、うーん……」
アスカさんは悩んでいた。お腹をさすって見つめていた。俺もまた悩んでいた。自分のこの一躍を、自分の戸惑いを、この人に話して、言葉を聴いてみたくなった。
「いいですよ、だよー♪じゃあ、ちょっと手伝って貰おうかな、だよー」
「おぉ、騎士道を果たせます!かたじけないです!」
そして俺は、アスカさんのお手伝いをすることになる。
これが、俺と、怪盗…街を騒がせた怪盗でも、俺の鎧を奪った怪盗でもない。それらの続き、もう一人の怪盗、容疑者Aとの出逢いだったのだ。
その話をまず、此処に記す。
†
書いてる途中で胸が熱くなってきた。少し休もう。お腹の中で、アスカんから伝わった命の鼓動が脈打っていた。彼に、この子を返してあげるかどうか。俺はまだ、悩んでいる。今は只、続きを記そう。答えを見つけるために。
・to be continued 100/100/10 ルール無視 強引……エンディング“中編”に続く。