少女が虚空に剣を差し出す。紀元剣はそのまま虚空へと浮かび大空へ、いや、宇宙へと飛び立っていった。
急いで塔に備え付けられた天体観測装置を起動し、その様子を見守る。
剣は徐々に速度を落とし、虚空に静止した。その直後。
みしり。
空間が軋む。宇宙には空気はないはずだが、そんなことは知らぬと言わんばかりに世界に響く。
無限大の情報はそれだけで質量と重力を生み出す。打ち克たねば概念単位で存在を微塵に砕かれ、情報の渦へと消え去るであろう。
それに抗うかのように、流星が降り注ぐ。
名前 :流星剣
オーナー:10面ダイス
体力 :10
神経反射:9
知性 :5
雨:火火風地剣剣剣水地
霰:火火火風地剣剣剣水
嵐:風風風火火剣剣剣剣
星:水水風地火火剣剣剣
紀:風風風風風剣剣剣剣
スキル:
練り直し 〔リシンク〕 《風》
捕縛 〔スコットランドヤード〕 《火火》
転調 〔モデルストリーム〕 《水水》
悪計 〔ガイル〕 《風地》
斬撃 〔スラッシュ〕 《剣》
暗殺 〔カットスロート〕 《剣剣剣》
祝福 〔キュアー〕 《水地》
レストロオセの姦計 《水火》
静謐 〔サイレンス〕 《風風風》
特権 〔エル・グランデ〕
プラン1:練り直しは可能な限り重ねる。
プラン2:相手の使用済みパネルが3枚以上の時、斬撃は優先度最低。
プラン3:紀。
乱数表:5-86右、1
願い事:
ねがいをかなえる
設定:
流星がひとつ、またひとつと姿を消していく。
それぞれが紀元剣になろうとして、喰われている。
空の大半を覆っていた流星もあらかた消えてしまった。
最後に残ったひときわ大きな流星も黒く染まり、剣の形を取る。
星見の塔に降る流星雨は、このまま夜空の塵と消えるのか、それとも――
第1ターン
先攻判定
流星剣:10+6=16
紀元剣:9+3.5=12.5
流星剣先攻
スキルパターン
流星剣
紀:風風風風風剣剣剣剣
紀元剣
不朽不滅:剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣
先攻アクション:流星剣
流星剣の斬撃! 風風風風風剣剣剣剣
>紀元剣の水平一閃! 剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣
>>流星剣の練り直し!*5 風風風風風剣剣剣剣
>>>紀元剣の言理否定!*4 剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣
>>>流星剣の練り直し4つ打ち消し&Bind!
>>紀元剣の水平一閃打ち消し!
>>流星剣の風パネルが剣に変化! 風風風風剣剣剣剣剣
紀元剣に3点ダメージ!(HP33/36)
流星剣の暗殺! 風風風風剣剣剣剣剣
紀元剣に42点ダメージ!(HP-9/36)
流星剣の勝利!
エピローグ Written by 10面ダイス Edited By N.M
流星は星見の塔の周辺に大小の欠片となって降り注いだ。まるで塔本体を避けるかのように。
流星はいつしか止み、日が昇る。
「ケーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
撃鉄が朝を告げる。だが、いつもの塔の中央部ではなく、縁に立って告げている。
こんなことは初めてである。ひとしきり鳴き終えると撃鉄は上を向いた。
少女が訝しみながらもつられて見上げると、何か超巨大な質量を持ったどす黒い物体が星見の塔めがけて高速落下してきているではないか!
無我夢中でニワトリにしがみつく。直後、それは塔に深々と突き刺さり、爆発した。
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「うん、何でもできるとは言ったけど、まさかこうなるとはね……」
被害状況を確認した後、少女は呟いた。
落ちてきたものは超巨大化した紀元剣。いや、紀元剣と同化した大会の勝者。
塔の石組みは周囲に積み重なり、さながら闘技場のごとく再構築されている。
「まったくもって……何がしたかったのか……」
そのど真ん中に悠然と佇む巨大な剣。クレーターはさながら闘技場の広場。
「これだけ大きくなっちゃったらアクセスしただけで情報に飲み込まれたりしそうで怖いのよねぇ」
ぶつくさ言いながら紀元剣に触れる。目的のものはすぐ見つかった。
それは始めはつむじ風だったもの。そして今は紀元剣そのものとなった一つの意思。
「あなたは一体何がしたかったの?」
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「なるほどね。世界にあなたの存在を知らしめ、そのお返しをしたい、と」
帰ってくるのは肯定の響き。
「超巨大な紀元剣となり、星見の塔トーナメントの呪術力と剣の力で願いを叶えるチカラとなる」
星見の塔のあった場所に突き刺さった巨大な剣。周囲を吹き飛ばしたことと相まってどこからでも見えるランドマークと化している。
「絶対これは目立つよねぇ……というか人ん家破壊したのはさすがにまずいような」
手にした撃鉄が賛同するよう「ケーッ」と啼く。
問いかけのゆらぎが少女に伝わる
「え? そういえば願いを悪用される虞れは考慮しなかったのかって? 私はしなかったけど?」
肩をすくめて言葉を続ける。
「ま、今度のランプの魔人役は貴方なんだから貴方のモラルに従いなさい」
くるり、とあたりを見回し、ため息をつく。
「さすがに不老不死の姉妹と未来永劫やりあう気はないし、貴方のしたいこと……願いを叶えることがが本当に出来るか、ちょっと試してみましょう?」
ウィンクして続ける。
「最初の勝者の願いは星見の塔の再生。うまくいったら大会の宣伝はするわよ?」
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空と大地に跨って刻みつけられた傷のように見える、あの大きな大きな黒い塔、あるいは剣は強いものの願いを叶える――そんな噂がささやかれるようになったのはいつのころからだったろうか。
星見の塔周辺に流星が降り注いだ夜、最後にひときわ大きな流星が現れた。その流星はしばらく姿を消したかと思うと、しばらく後に再び姿を現した――ひたすらに黒く、ひたすらに大きな剣の姿となって。
その流星、あるいは剣は、落着点付近のあらゆるものを吹き飛ばし、クレーターを形成しつつ、地面にまっすぐに突き立った。
幸いにして人里から離れた地であったことから人的被害は少なかったが、大規模災害に当たるとして、近隣各国から調査団が派遣された。
しかし、調査団が成果を持ち帰って戻ってくることはなく、危険区域として一帯の立ち入りが禁じられるにとどまった。
調査団についておかしな噂が立ち始めた。未帰還となっていたはずのある国の調査団団長が大金を持って遠い町の酒場で豪遊しているのを見た、であるとか、
ある調査団団員が大怪我を負った(なぜその怪我を負うに至ったかは頑として語らなかったが)状態で自宅へ運ばれたが、それを出迎えたのは数年前に死んだはずの妻だった、など。
剣にまつわる奇妙な噂とそれ自体の奇妙な姿があいまって、剣に近づくものは後を絶たなかったが、少数の帰還者が何かを得た、という話が聞こえてくる程度で正体をつかめたものはいない。
いつしか、あの剣については漠然と「訪れたものの願いを叶える」という噂が流れるようになった。
巨大なコロシアム、その中央に突き立つ剣。そしてその闘技場を見下ろす塔。その雄大さは神の御業とも、魔女の気紛れとも言われている。
今日もまた願いを叶えようとするものたちが集まり、試合が開始される。
Tournament of Celestial Gaze Execution
The End