名前:えぬヴい
性別:女 ポジション:セブンハウス 性能:HP96/知4/技4 スキル: ・おねがいあいして/4/0/1 ・わたしだけをみて/10/3/6 [封印] ・ひとつになりたい/200/300/106 [封印・吸収] ・ずっとそばにいて/40/0/16 [防御無視・封印] プラン: 1:1ターン目はずっとそばにいて 2:相手のウェイトが7以上で防御0ならわたしだけをみて 3:相手の構えているスキルが防御無視でないならひとつになりたい 4:相手の構えているスキルが防御無視ならおねがいあいして 5:ずっとそばにいて 設定: ラクリシャ家に飾られていた彫像。 「eN.vY」というタイトルがつけられている。envyのことだが、Lucky Starをらき☆すたと表記するような感覚だ。製作者は名前にトリッキーで複雑な意味を込めることで知られるためタイトルの表記は重要視され、「eN.vY」も普通にenvyと発音されることは少ない。だいたい「えぬヴい」に近い音で呼ばれる。 これまでラクリシャを離れたことがなく、ほかの彫像が人手を渡ってきた話を聞く度に、自分が今まで盗まれたり買われたりしたことがないのは自分に魅力がないからだと思い続けてきた。 ヘル・ライオットに盗まれた時、 「私なんかを、選んでくれる人がいたんだ……」と感激し、『ロストバージンオーバードライブ』[要出典][hosa出典]により動けるようになった。 彫像の彼女の時間感覚はとても緩やかだ。 (ヘル・ライオット様はとても素敵だけど、動きすぎるのが玉に瑕ね。 2、3年くらいじっとしていられると、もっと素敵なんだけどな……) オーナー :niv URL : ツイッターID:https://twitter.com/PacelloAggrello
初恋のキスは土の味 Written By N.M
彫像が動く。
その手のものとしてはリビングスタチューやらガーゴイルやらが有名である。
たいがいにして、最初から魔力なりなんなりで命令を吹きこまれ、動くようになっている。
一方、何らかのエフェクトがきっかけで像が動くこともある。
ピグマリオンの話が有名だろう。
これも、そうした話の一つである。
***
怪盗ヘル・ライオットは今日も今日とて悪事に手を染めていた。足を洗う様子はない。
今日はラクリシャ邸の宝物庫をターゲットとした。手近にあればなんでも良かった。
マントに小物を入れ、ズダ袋にはポケットに入らないものを入れた。
その彫像はその中にあった。
少々大きかったが、仕上げに突っ込むには問題なかった。
跳躍して天井を破るという蛮族的脱出法で逃亡。
次は盗んだものを街中に巻く。彫像――eN.vYと銘打たれたそれ――は適当な空き家に放り込まれた。
帰りに怪盗が空き家を覗いた時、そこに彫像はなかった。
誰かが持ち去ったのだろうと結論づけ、彼はねぐらに戻った。
***
後日。
今日も今日とてヘル・ライオットが日課をこなしていた所、何やら後を追う気配が。
(人間大。隠れているようだが音が聞こえる。…だが、足音が重い。命の気配もない?)
どこかの術師がゴーレムか何かを送り込んだのだろうと考え、屋根に飛び乗る。
(飛んで追いかけてくる様子もない。このまま適当に移動すれば振りきれるだろう)
もし監視用で、待ち伏せがあったとしても、ぶち抜けばいい。問題ない。
結局、その考えは間違いだった。
いつの間にか気配は戻ってきて、付かず離れずの位置を保っている。
仕事の邪魔をしに来るでもない。監視をしているようでもない。そこら辺が不気味である。
その夜の作業をひと通り終えた怪盗は、人気のない四つ辻のど真ん中で足を止める。
「……そこにいるのはわかっている。出てこい」
果たして現れたのは。
空き家に放り込んだ後行方がわからなくなった彫像。それが、近づいてくる。
「おかしいな? 盗んだときは精霊も魔力も感じなかったのだが…」
「ヘル・ライオット様ぁぁぁぁぁん!! ずっと私のそばにいてぇぇぇぇ!!」
だんだん加速している。
それはまるで、好きな人を見つけて駆け出す少女のようであり。
試しに針を投げるが止まらない。仮面に傲岸不遜な表情が浮かぶ。
「彫像が、俺の嫁になろうなど、百万年早いわぁぁぁぁぁ!!」
必殺の一閃。彫像は空高く打ち上がり、頭を下にして、地面に突っ込む。まだ足をバタバタさせている。
「全くなんだよこれ…」
剣で叩いたり、針でつついたりして抜け出す様子がないことを確認すると、右手に力を込める。
「彫像に死という概念があるかどうかは知らんが俺が裁いて天獄か地獄に送ってやるよ!」
衝撃。彫像は完全に地面にめり込んだ。
「まったく誰の差金だよ…」
怪盗は乙女の慕情に気づくことはなかった。
いや、気づいて跳ね除けたのかもしれないが。
名前 :えぬヴい
性別 :女性 ポジション:ただの恋する女 性能 :HP70/知5/技5 スキル: ・HAYATEのごとく! /5/0/1/ ・EVANGELION:2.0 /30/0/9/防御無視 ・A・Iが止まらない! /50/0/16/防御無視・封印 ・ROSARIO+VAMPIRE /26/6/9/炎熱 ・ToLOVEる ダークネス /100/15/25/凍結 プラン: 定義部 プランが自分の所持しないスキルを参照している場合、代わりに頭文字1文字目が同じスキルを参照する。 相手がスキルを構えていない場合、攻撃力0、防御力0、残ウェイト0、オプションなしのスキルを構えているものとして計算する。 「a、d、w、オプションoで勝てる」: 変数定義 my_d:相手のスキルが防御無視なら0、そうでなければd。 my_a:oに防御無視を含むならa、そうでなければa-相手の防御力。 op_a:相手のスキルが回復なら0、そうでなければ相手の攻撃力-my_d。 op_r:相手のスキルが吸収ならop_a、回復なら相手の攻撃力、それ以外は0。 safe_at_num:(相手ウェイト-1)÷w(端数切捨て) at_num:相手ウェイト÷w(端数切捨て) op_hp_aft_w:相手HP-my_a×at_num+op_r
my_hp_aft_w:自HP-op_a
max_damage:op_a+(w-相手ウェイト)×相手技術
以下のいずれかを満たせば真。
a.相手HP≦my_a×safe_at_num
b.op_hp_aft_wが0以下かつmy_hp_aft_w未満
c.oに封印を含み、相手知力≦my_a÷10×safe_at_num
d.oに封印を含み[相手知力≦my_a÷10×at_num]かつ、op_hp_aft_w<my_hp_aft_w
e.oに防御無視を含み、[0<(w-相手ウェイト)≦5]かつ[相手のHP-my_a+op_r<自分のHP-max_damage]かつ[max_damage-相手技術<自分のHP]かつ[相手のHP-my_a+op_r≦0]
「強気で迫ってくれる」:
以下のいずれかを満たせば真。
a.相手HP/相手初期HP>自分HP/自分初期HP
b.最後に構えた時の自分のHP/2<(最後に構えた時の自分のHP-現在HP)
c.最後に構えたスキルがR
「愛が数え切れない」:
常に真。
実行部
・5、0、1、オプションなしで勝てるなら H――ロマンチックな誤解に浸りたい。
・30、0、9、オプション防御無視で勝てるなら E――ヒロインの座は今日から私のものよ。
・50、0、16、オプション防御無視・封印で勝てるなら A――生物の境を越えて愛し合いたい。
・強気で迫ってくれるなら R――本当の私を見せてあげるわ。
・愛が数え切れないなら T――オトナな恋愛、してみない?
設定:
その朝、ブックオフに行こうとしたソラは地の底から響くかすかな声に気づいて足を止める。
体に金箔を塗りたくった人が地面にめり込んでいる、と思った彼女はマックオートと2人でえぬヴいを引っ張り出した。だが、えぬヴいはそれにも気づかずに泣き続けた。
彫像である彼女は、何らかの理由で外側に露出する必要がない限り体液が存在しない。頭に血が上るということもないので、身体感覚として上下の観念が掴みづらいのだ。
また、ヘル・ライオットに埋められてっきり彼女は盲目になっていた。涙も体と同じ材質であるため透明度がなく、泣いていると目が塞がってしまうのである。
「ううううううう、せっかく、せっかく人を好きになったのに! あの方は私を見てくださらない! こんな、こんな辛い思いをするのなら、心など持たなければよかった!」
「それは違うわ」
金箔を塗りたくった人ではなく何らかの事情で心を得た動く彫像であるのに気づいて、ソラはもちろん驚いた。
しかし、自分も耳のことで色んな辛い思いをした。きっと彫像である彼女にも複雑な事情があるのであろう。そう思い、彫像に優しい言葉をかけることにしたのだ。
えぬヴいは目が見えないまま、ソラの方へ顔を向けた。
「初めて心を持って、びっくりしてしまっているのね。でも、その痛みはとても大切なものなの。その辛さがあるから、大切なこともわかるのよ」
えぬヴいはソラの胸の中へ顔をうずめ、自分のこれまでのこと、長い孤独の時と初恋、ロストバージンオーバードライブ、手ひどい失恋。心を持つことへの疑問、なぜ自分が心を持ち動けるようになったのか、eN.vYという名前は、自分が不幸になり幸せな人を妬むことを願ってつけられた名前なのか、など。
悪名高いヘル・ライオットがその意中の人であることはやはりソラを驚かせたが、自分がヘレン教では悪とされていた黒髪のマックを愛したように、彫像である彼女がヘル・ライオットを選ぶこともあるのだろう。そう考え、何も言わなかった。
一通り話を聞くと、ソラはえぬヴいの髪をかき分けた。彫像の髪は板状で、指を差し込めば裂け、寄せれば一体化する。
顔が見えるようになると、マックオートは涙に痛覚がないのを確かめてから、ノミで涙を削り落とした。
自分が関心を寄せていることに対するマックの集中力はとても優れている。ガラス職人になって以降、マックの関心は美術と工芸技術に向けられていた。
頬や胸元に落ちている涙の跡を削っている間に、マックは彼女が名高い芸術作品eN.vYであるのに気づいた。
仕上げが終わるとえぬヴいは涙でぼこぼこになっていた自分の顔を撫で、失恋の痛みを知る前の滑らかな表面を取り戻しているのを確かめ、とても感激した。
「あの、あなたはもしかして、私をつくって下さった方では?」
彫像である彼女の時間感覚はとても緩やかで、人間がもっと短命であることも知識としては知っていても実感として把握していない。
彼女の作者はとうの昔にこの世を去っているし、製作当時心の片鱗しかなかった彼女が持っている作者の記憶は、ほとんど空想で作り出したものだ。
しかし、ソラはこの誤解を利用することにした。
「そうよ。いい? 彼があなたにつけた名前はね、かつてこの街を救った勇敢な少女――えぬえむからとられているの。だから、一度くらいの失恋であきらめないで。もう一度、チャレンジしてみればいいじゃない――ねえ、あなた?」
まるきりの嘘である。だが、彫像の話を聞く限り、彼女はまだ子供のようなものだ。子供の心を癒すための優しい嘘は、どんな大人だって言うものだ。
マックオートはかつて自分の運命が翻弄された経緯から、人の人生を左右するような嘘をつくのは気が引けるところがあった。
しかし、かつて自分の運命を握っていたのは悪意ある神々だった。自分の愛した女神のような女性がその運命の糸を握っているのならどうだろう。そう考えてマックはこの話に乗ることにした。
「そう――えぬ、の部分はえぬえむちゃんだ。そして、ヴいの部分は、彼女と対決した、おとぎ話に語られた金属の少年、ヴィジャからとっている。そこに込めた思いは対立の調和、女性と男性、生物と無生物、英雄と悪役、火種と解決――えぬえむ&ヴィジャ、いわばキング&クイーン。それが俺が君につけた名前の真意だ。彫像にして心を得て動くまでに至った君ならばきっと、生物と無生物の対立を超えて、恋を叶えることができるはずだ」
もはや呪い辞典はすっかり忘れてしまったが、代わりに今は主だった美術図鑑や評論を暗記している彼にはこれくらいの作り話は簡単なものだ。
彼自身名前にはこだわる性質でもある。男の子が生まれたら自分の名前とよく似た響きを持つ、「真実」という意味の東方の言葉「マコト」を名前として与えようと考えていたものだ。
「……ほんとにそんなこと考えてたんなら、あんたなら『マッソラ』とでもつけそうなもんだけどね」
遊びに来ていたえぬえむがボソッと言ったが、えぬヴいには聞こえなかった。
勇気付けられ、もっと人間の恋のイロハを知ってもう一度アタックしたい、と語る彼女に、ソラは段ボール箱を差し出した。
「これ、マンガとかヴィジュアルレコードだけど恋愛物多いからもしかしたら参考になるかも。読んでみる?」
ありがたくダンボールを受け取った彼女は、空き家に篭ってソラからもらったマンガを読みふけった。
「自分もヘル・ライオット様とこんな恋がしたい!」と再アタックの意欲がみなぎっていた。
必ず最後に愛は勝つ Written By N.M
怪盗が日課を手掛けようとしたところ、背後から感じたことのある気配。
あの動く彫像であろう。知った相手なら様子を見ることもない。路地裏におびき寄せる。
「またお前か。いい加減にしろよ?」
「いいえ、恋する乙女は一途なのです! もう、止まりません!」
そう言って金色の乙女は駆けだす。
例によって針が飛んでくるが気にしない。
怪盗の表情が傲慢に変わる。
「もういっぺんぶっ飛べ!!」
必殺の剣。だが、乙女は止まらない。
「クソッタレ!!」
憤怒の拳が叩き込まれる。それでも止まらない。
「ば、馬鹿な!?」
愕然としたような、それでいて諦めきった表情。
えぬヴいは、己の望むものを捕まえたのであった。
You Caught Hellriot!!
エンディング:えぬヴい Written by niv
彫像である彼女と、不死である仮面とはよいカップルといえた。 仮面の宿主が息絶えると、適当に新しい宿主を見つけて被せた。 仮面はなにせ仮面であるし、彫像である彼女は倫理において人間一般のそれと隔絶している。いずれにせよ、環境が精神に刻印をするのだ。その環境の100%をライオットの仮面が占めたとしてなんだというのだろう? 身長が伸びたり縮んだり、体型が変わったり肌の色やしなやかさの変化することも、人間の感覚でいうイメチェンくらいのものでしかない。 えぬヴいとライオットは怪盗コンビとして世界中を旅した。見るものすべてが新しく、それは素敵な日々だった。 時間感覚が緩やかなえぬヴいにとってさえ、長い時間が経った。 ライオットは次第に静かに、穏やかになっていった。 それが何かの予兆であることにえぬヴいは感づいていた。 仮面にかけられた魔術も永遠ではなかった。仮面がさらに自身を複製することもできたが、彼はそれを望まなかった。 えぬヴいも、ライオットの意志を曲げてまで地上にとどめようとは思わなかった。 えぬヴいはひとりきりになった。 手持ち無沙汰な日々を送るうち、えぬヴいはライオットとの最後の冒険で盗んできた霊算機をなんという理由もなく立ち上げた。 それが、元彫像である彼女故に感じ取れた心の片鱗に無意識に導かれてのこととは気づいていない。 お気に入りの中からなんとなく選んだページは、ほかの霊算機からはほとんどアクセスのないネットのある領域に構築されたテキストの塊だった。 「まだない話をしよう」、そう銘打たれたそのテキスト群は書き手の熱意によって魂が宿りつつあったが、省みる者がいなかった。 殻を破るには外部からの熱が必要なのだということをえぬヴいはわかっていた。 ヘル・ライオットが最初にして最後の運命の恋、そういう物語に殉じたくもある。 だが、あの日ヘル・ライオットが最初の手を差し伸べなかったら自分は目覚めることはなかったのだ。
あの日きっかけによって無生物から生物として目覚めた自分が今、こうして心が目覚めようとしている場所に辿り着いたことには、何か順ずるべき理由があるのだろう。
鏡に映るその姿は、肌が金色とはいえ衰えてはいない。そのどちらにせよ、物理的な形をまだ持たない彼が気にかけることなのかはわからないけれど。
「こんにちは、私はえぬヴいと言います」
魔法のかけ方はもうわかっている。えぬヴいは霊算機のキーに指を走らせた。
「とても素敵なお話ですね。今度は私とまだない話をしませんか?」
neverending velvetlovesong...