照射チェック画像の見方

投稿日: Apr 03, 2009 2:10:20 AM

ブログなどに掲載しているライトで照らした画像を私は照射チェック画像と称しています、

写真上は撮影した写真の中心付近を切り取ったもので、写真下が全体像です。

    • 中心部を先に見せる理由、

      • 人間の視覚と記憶は錯覚によって成り立っています、チェックポイントをきちんと知っていれば別に問題は無いのですが、普通の人は全体を見て「明るい」or「暗い」と判断してしまいます、しかし写真の全体像で「これは明るいな」と思った写真はほぼ「周辺光が明るい」機種なのです。そうなると集光度を上げて周辺光を減らし中心照度を上げた機種はその意図に反し暗いと判断されてしまいます、これでは作った人も浮かばれません。そこで周辺光による判断ミスを防ぐ意味でも中心部を先に掲載しています。

    • 中心よりちょっとずれています、

      • 最近照射チェックを行っている場所の特性なんですが(^_^;)左側に生垣があって、そこを見るとスポットと周辺光のつながりの判断がしやすい事がわかったので、写真の中心をちょっと左にずらしています、同様にしたにもちょっとずれています、全体像を見れば自動車が本当の中心であることがわかると思います。

    • 中心部の見方、

      • 中心照度、

        • まずは白い自動車を見れば微妙な明るさの違いがわかります、光色にも左右されますが、現実の人の目にも同様に映っているはずです。上の写真を例にするとSpiderFire C-R8の写真の自動車が一番明るく写っているのがお分かりになると思います。

    • なぜ照度計を使わないか?

      • 以前は照度計で計った中心照度をブログに載せていましたが、計っていくとある矛盾に気が付きました、これは同様に照度を測った人にはお分かりかと思いますが、50cm~1m程度の至近距離で照度を測ると誤差以上の特異値が発生することがあるのです、それはスポット内のある一点に更に極端に明るい超極小スポットがあるというものです、これはリフのわずかな形状の違いやリフと光源の微妙な位置のずれなので発生すると思われ、人間の目で見てもその違いは判断不可能です。1mで計測した際はその数値は最大50%upになるものもあり、これでは正確な明るさの違いを計ることは不可能です(´・ω・`)そこでライトの前面に乳白色の減光&拡散フィルターを入れるなどした照度計測筒(^_^;)を作ったりもしましたが、これも同じライト間での照度の違いを比較するには適当でも、リフの大きさや形状が違うライト同士で比較するには向かないことがわかったので現在その数値は公開していません。

    • スポットの大きさ、

      • 上の写真を例にすると自動車はSpiderFire C-R8が一番明るいのですが、ちょっと手前側の生垣やアスファルトはEagleTac P10C2の方が明るいことがわかります。つまりSpiderFire C-R8はそれだけ集光度を上げてスポットが強いライトだということがわかります。同じ光量のライトでもスポットを強くすることでより遠くを照らすことが出来る、その性格の違いがわかります。

    • 全体像の見方、

      • 中心部は以上で大体わかったと思うので次に全体像を見てみましょう。

      • 光のつながり、

        • この写真で私が一番最初に見るのは光のつながりです、手前から奥、つまり中心部までスムーズにつながるのか?それとも周辺光と中心スポットの間にダークリングが発生しているのか?などがわかります、わかりやすいのは左の生垣で、スポットと周辺光のつながりが自然であれば手前から奥まで生垣が同じような明るさで見えるはずです、光の特性として通常遠くへ行くほど暗くなるので、奥側がそんなに暗く見えないのは上手に集光している証拠にもなります。

      • ダークリング、

        • 光源にCREEを使ったライトの場合スポットと周辺光の間にダークリングといって暗くなる箇所が発生しやすいのですが、それのこの画像でわかると思います。スポットを強くするとこのダークリングは発生しやすいのですが、室内だけではなく屋外でも全体を見回すときにこのダークリングが邪魔になることがあります、例えば自転車などで移動中は一時として同じ箇所を照らさないのでほとんど関係ありませんが、歩きながら周囲を見渡すような用途では自然と懐中電灯を振ってダークリングの影響を排除しようとする行動になります(^_^;)

      • 中心部と周辺光の光のバランス、

        • 人の視覚の特性として、目立つものだけ記憶してたとえ視野に入っていても目立たないものは記憶されないというものがあります。周辺光の多いライトの場合これによりどうしても明るい手前側ばかりに目が行ってしまい、たとえ奥の方も照らされていても記憶に残らない=見えていないということになります。それを考慮し遠くをあまり見る必要がない場合は周辺光が広く明るいほうがいいですし、逆に遠くを見ることが追い場合は周辺光は邪魔になります。

      • 人間の視覚情報、

        • 実はこれ、自動車の事故原因の「よそ見」と呼ばれるものの大半を占めています。本当に別の場所を見ていたのではなく、視覚情報として正しく処理されていないためその人にとっては見えていなかったのです。プロドライバーとアマチュアドライバーの差は実は単純な運転技術の差ではなく、この視覚情報を的確に処理しているか否かにあります。自動車を運転している人に試していただきたいのですが漫然と運転せずに例えば通勤路のすべての交通標識を運転中にすべて口に出してみてください、たぶん処理が追いつかないしむちゃくちゃ疲れます、更にそれ以外のことが出来なくなって危険です。通常の運転ではプロドライバーならその道路標識が自分の運転に必要か否かだけを判断しています、アマチュアは最初からそもそも標識なんて見ていないようです(^_^;)同様に懐中電灯で遠くを見る仕事をしている人は、たとえダークリングがあってもたとえ周辺光が多くてもそんなの関係無しにきちんと遠くを見ているようです。

そうそう、当初は屋内で撮影していたんですよね、上の写真もそうですが基本はその場での明るさの記憶を再現した露出になっています。しかし、最初のころのLEDライトは暗かったので問題なかったのですが、だんだん性能が上がってきて明るくなってくると屋内撮影では中心部が白飛びして比較データとして役に立たなくなってしまいました(^_^;)例えば白とび限界の明るさを100とすると200も500も1000も同じ100に写ってしまうんですね(´・ω・`) 屋内での比較限界は80ルーメンくらいのようです。

撮影情報

    • カメラ、OLYMPUS E-410

    • レンズ、ZUIKO DIGITAL 14-42/3.5-5.6

    • シャッタースピード1.3秒

    • 絞り3.8

    • ISO感度400

    • ホワイトバランス、太陽光(日中屋外)

    • 撮影時の焦点距離、35mmフィルムカメラ換算で約34mm

    • RAWで撮影、SILKYPIX Developer Studio 3.0で現像

    • 現像パラメーターは階調(コントラスト)が「忠実」、それ以外はデフォルト

      • 照射チェック画像の撮影は以前はCASIO QV-4000で行っていましたが、さすがにガタが出てきたのでカメラを買い替えました、現在のブログになってからはすべて新しいカメラで撮っているのでそれ以前のブログの照射チェック画像とは単純に比較できません。両方のカメラで細かく露出を変えてかなり念入りに露出の違いをすり合わせて同じ写りになるようにしましたが、それでもカメラの性能の違いで写りが変わるのは避けられません。

      • 露出と階調、普通の人は露出が同じなら明るさは同じだろうと思っていると思いますがそう単純ではありません。写真歴が長い人ならそこに「階調」というほかの要素が絡んでくることがお分かりでしょう。

      • 露出、露出は基本的に感度と絞りとシャッタースピードで決まります。これはカメラが変わってもメーカーが変わっても国が変わっても変わる要素はありません。しかし、それは真っ黒から真っ白にいたる中のある一点の明るさだけを統一しているに過ぎないのです。

      • 階調、写真を趣味にしているとローキーとかハイキーとか、硬調とか軟調とかハイコントラストとかローコントラストとか聞いたことがあると思います、これを簡単に説明すればある一点の露出がいっしょでもそれより明るい側および暗い側の明るさが違うためにぱっと見の明るさおよび明暗の具合がまるっきり違って見えるのです。

      • 例えばCANON、CANONのデジカメが現在の人気を得たひとつにこの階調のコントロールがあります。デジカメは現実を正直に写しますが、しかし人間は自分の都合の良いようにそれを記憶します、よく言われる記憶色ってやつですね、赤い花はより赤く、夕日はよりオレンジに、青空はより青く脳に記憶されます。その人間の記憶に迎合した画像をもっとも先行して取り入れたのがCANONというわけです。そして最もそれに役に立っていると思われるのがPhotoshopで言われるところの「オートレベル調整」と同じ技術です。

      • オートレベル調整、Photoshopをお使いの方なら使ったことがあると思いますが、このオートレベル調整はとても便利です、RGB各色256階調を使いきれずに眠い写真になった場合も無理やりRGB各色256階調まで広げることにより鮮やかで綺麗な写真になります。しかしこれは現実とは違うし、また露出に関係なく行われるために結果的に露出の数値と画像の明るさが別物になります、CANONのデジカメに話を戻すとオートレベル調整は画像の違いで動的に行われるために同じ露出で撮ったはずなのに明るさが比較できない事も起こりうるのです。

      • 例えばCASIO、カメラメーカーとしては歴史のないCASIOもデジカメメーカーでは老舗です。そしてCASIOの中の人には画質にかなりこだわりを持っている人がいるのが使っているとわかります、つまり、カメラが勝手に画像をいじらないモードが存在するのです。人間の記憶に関係なく、常に現実に忠実に、それは哲学がないとこんな機能絶対搭載しません(^_^;)

      • RAW現像、さて、とはいえデジカメを買うのにCASIO以外選択肢は無いのは困ったものです(^_^;)そこで出てくるのがRAW現像です。デジカメで撮影したCCD(CMOS)のデータをカメラの勝手に現像させずにRAWファイルとして取り出し、正しい画像に展開してやろうというわけです。ここでカメラメーカーの現像ソフトを使うと結局カメラ内部で画像処理したことと同じになってしまうので、サードパーティー製で定評のあるSILKYPIXを使用しています。

      • SILKYPIXの「忠実」、SILKYPIXには階調表現に「忠実」という項目があります、これは見栄えをよくする階調処理をせずにあくまで現実に忠実に処理をしようというものです。もちろんCCDやCMOSから出力されるRAWデータがフラットであるとは限りません、各社のカメラのデータを解析しているSILKYPIXならではの機能です。これならカメラを買い換えてもほぼ同じ階調で出力できます。

    • 後半のお話は写真に興味がないとぴんとこないかもしれませんが(^_^;)しかし写真による比較を行おうとする場合には抑えておきたいポイントでもあります。