ウィキリークス・ケーブル 中国政府トップがグーグル攻撃を指令と報道

Spider on

昨年、中国高官がグーグル検索を操作しようと、中国ハッカーに攻撃を命令したという。今年のはじめにグーグル社が検閲廃止を求めて中国政府と割れた後、中国による攻撃があったが、それ以前に、すでに攻撃が開始されていたわけだ。

今年、カナダの大学の研究者が中国政府のハッカー部隊ゴーストネットの存在を暴露したが、サイバー戦争は見えない部分で熾烈に行われているようだ。

これを報じたウィキリークスは、先日のアメリカなどの機密文書暴露で大規模な攻撃にさらされてサイトがダウンし、アマゾンに移転したが、アマゾンが規約違反を理由にウィキリークスのサイトを締め出した。

また、ウィキリークスへの寄付を管理していたペイパルが、ウィキリークスへの支払いを停止した。

現在、ウィキリークスのサイトにはアクセスできない状態にある。すぐに復活するかもしれないが、ウィキリークスの設立者であるジュリアン・アサンジには逮捕状が出されている。

サイトはやられても情報は出すという事で、アサンジも根性を見せている。今回、一番痛いのはペイパルの動きだろう。資金が枯渇すれば活動できなくなる。

アサンジの逮捕はそれほどの問題ではないだろう。無罪だったらもちろん、有罪でもアサンジにとっては勲章のようなものだ。

英米各紙はケーブル発として記事をフォローしている。日本の報道は、朝日新聞が「ウィキリークスに強まる包囲網・・・でも米捜査は足踏み」と報じている他、日経が「機密暴露で世界に波紋、ウィキリークスとは何者か」という記事を編集委員・小柳建彦が書いている。

マヌケな記事だが見てみよう。

「偽情報や部分的な情報などがセンセーショナルに広まってしまうリスクが潜在的にあると思った方がよいだろう。もっともこれまでの同サイトの暴露情報のなかで、明らかに偽情報だったり政治的な誘導情報だったりした例は見つかっていない。

無国籍で組織の所在が不明なまま生情報を暴露するウィキリークスと、組織の所在を明確にし、その場の国内法に従う義務と責任を負いながら報道活動をする既存のマスメディアとは根本的に立場や責任が異なる。ウィキリークス自身、同サイトで明らかになった情報の真偽や意味合いについて、経験を積んでいる各国主要報道機関が改めて検証し、再報道することを積極的に勧めている」

偽情報、つまり誤報の問題だが、ウィキリークスに限った話ではない。誤報がセンセーショナルに広まってりまうリスクに身を晒したことのないジャーナリストは、特ダネと無縁というだけの話だ。

「国内法に従う義務と責任を負いながら報道活動をする既存のマスメディア」と言うに至っては、お前、どこを向いて仕事しているんだと聞きたい。ジャーナリストとしてまともに仕事をして行く中で法に触れる場合がある可能性がないんじゃ、本当につまらない仕事をして来ただけに決まっている。この小柳建彦という男、編集委員になるだけあって、無事是名馬と生きて来たというわけだ。報道人というより、無事馬だ。

この無事馬、記事の終わりに、ついにこんな事を言い出す。

「より広く長い視野で世界を見渡すと、典型的な民主主義国とみられていた場所でも、政府がネット上での情報流通を制限する規制を導入したり、情報の中身を政府がチェックできる一種の検閲制度を導入したりする動きが広がっている。同時テロ後の米国や、近年のフランスやイタリアなどが典型例。中国を筆頭に、非民主国家では政府がネットの普及に伴う情報流通の増大に対し、管理・監視能力を上げて統制・検閲体制を維持しようと必死だ。

つまり、国を問わずインターネット社会に共通して最も大事に扱われてきた言論・表現の自由が、徐々に逆風を浴びているのが今の現実といえる。ウィキリークスがあえて無差別に近い機密情報の暴露を繰り返すことで、そのような各国政府による統制強化の動きが加速してしまう副作用も懸念される」

言論の自由を行使すると規制されるから、自己規制をした方がいいという話なわけだ。すべきではない規制をする側より、規制される側が悪いという主張だ。さすが無事馬、上から狭くものごとを見ている。要するに権力におもねる太鼓持ちだ。

海外の報道はどんなだか知らないが、日本の新聞は記者クラブでの政府発表でほとんどの記事を埋め、後は、情報源(ブラック、利害関係者、役人が情報操作のためにやるリーク)からのネタといったところで埋まっている。政治部をはじめ、報道しない事を仕事にしている記者たちもいる。

そういう予定調和をしていたところに、ウィキリークスのような生々しい情報が入って来るのは刺激が強すぎて途方にくれたと、無事馬は正直に言えずに、もっともらしい事を言ってみたわけだ。

小柳建彦、馬。レベル低いぞ、お前。

世界的には、紙の新聞はもう終わりで、インターネットでの報道が中心になるのが必然だと考えられている。問題は、現在、ネットのニュースソースとなっている新聞を代替するのが何かというところにある。市民が報道に参加するといった試みは、質が低くて失敗した。日本の場合、上に書いたように、政府が記者クラブにではなく、国民に直接発表を開示すれば、報道の7割以上はカバーできる。新聞の購読者が減って行き、機能を果たさなくなれば、税金でやっている政府の発表はネットを通じるなどして、直接国民に対して行わねばならなくなるだろう。

政府の発表に偽情報が入らないかどうか、薬害エイズ問題などもあったし、時には疑わしいが、それは情報というものの宿命だ。つねにノイズが入り込んでいる可能性がある。そこでウィキリークスのような情報源は意味を持って来る。もちろん、それはウィキリークスの情報が常に完璧だと評価しているという事ではない。

で、最初に戻って、中国の話だが、グーグルの検索を操作しようという、マルクス主義丸出しの発想はすごい。中国の権力によるこうした情報統制、情報操作は容認しておいて、それを暴露しようという者を取り締まるというのは、ちょっとオソマツすぎないだろうか。