勘平の愛した女、おかる

読書さとう

仮名手本忠臣蔵の5段目(山崎街道の場)やそのあとの6段目(早野勘平腹切の場)を私もテレビでよく見ていたものでした。中学生のときにはこの話が、「忠臣蔵と何の関係があるのだろう?」と判らなかったものでしたが、高校生になると、実にこの場面の一つひとつが分かるようになったものです。

おかるは夫勘平の仇討ちのために、身売りして行きます。だがそのときに勘平は義父を銃で討ってしまったと勘違いして腹を切ります。でも忠臣蔵の連判状には彼の名前も記されます。

どうにも若い私には、あまりに理不尽な話の内容に、この忠臣蔵自体が嫌になってしまったものでした。

いやこの仮名手本自体が実際の元禄の頃ではなく、南北朝時代の話になっていますから、分かりにくいのですが、このおかるを愛した勘平のことはよくよく判ってきたものでした。