浅田次郎『蒼穹の昴』

読書さとう

この作家の本はいくつも読んでいまして、その中でこの作品にたどりついたものです。講談社文庫で最初に発売されたときに読みました。私は2004年12月6日に少しだけ読んだ思いを書いています。

(1巻)中国を描いた日本人の小説としては、浅田次郎さんの書く内容表現はかなり違っている印象があります。一つには時代が清代ということもあるかと思います。でもとにかく、このあとの展開に非常に興味を持てます小説です。

(2巻)歴史上のたくさんの出来事が、歴史上の人物によって動かされていきます。日本の側の歴史で知っていたこととは、随分と印象が違って見えます。この視点から、中国を見ることもそしてあの時代の日本をも見ることは大事だななんて思っていました。

(3巻)いよいよ歴史の上で明らかになるたくさんの出来事があらわになってきます。読む私のほうも、ものすごく興奮して読んでいます。今まで知っていたことの違いに驚いています。「この人物は、こんな人だったのか?」なんていう思いを何度も心の中でつぶやいています。もちろん、浅田次郎が描く人物ではあるわけですが、私の中で過去思い描いていたこととの違いに驚くのです。

(4巻)これで、この小説の最後の巻でした。ただ、この作品は、「一体何をいいたいのかな?」というのがどうしても私には判らないのです。歴史の上では「戊戌の政変」がこの小説の出来事なわけですが、描かれている西太号の姿に、納得もしてしまうところもあるのですが、またどうしても違和感もあります。この小説を読み終わったあと、何人もの歴史上の女性政治家を思い浮かべていました。

私はこの作家のファンであったと言ってよく、いくつも読んできて、その数々の作品でいつも涙を流していました。電車の中ではいつも読めなかったものです。でもこの『蒼穹の昴』はどうしても納得がいかないです。そもそも宦官という制度を中国は二千年以上長くやってくるわけですが、20世紀の時代にもやっているのです。それがこの小説の主役の一人なのです。そのことをけっして許してはいけないことだというのを書いてほしかったなと思います。日本の奈良時代だと思いますが、日本にこの制度をけっして入れなかった政治家がいます。その人を私は尊敬するばかりです。