ロバート・A・ハインライン『宇宙の戦士』

読書さとう

アメリカという国は第2次世界大戦後、まったくお節介な世界の警察になっていったわけですが、これはさらにそのアメリカが宇宙空間にも出て行くということなのでしょう。ベトナムへ行き、いったいどれくらいの人の人生を駄目にしてしまったのかまったく分かっていないのでしょうか。

学園が荒れたり、暴走族になる若者が多いと、やはり徴兵制度があり軍隊での体験を若者に味あわせられれば、きっとなにもかもうまくいくのにと考えてしまう傾向をもつ人がいるのと全く同じに思えてきます。

この小説の兵士たちの訓練のシーンを読むと、私が昔沖縄で働いていたときの米軍の訓練姿を思い出します。夜米軍用の飲み屋のはじで、ハンバーガーしか食べなかったたくさんのアメリカの若い兵士たちの姿を思い出します。彼らの日々はとてもいい経験だったのではなく、下手をしたらベトナムで死体を作り、自らも死体になっていたかもしれないための経験だったのです。

著者には反発を覚えることはありませんでしたが、全編非常に嫌な思いだけで読み終ってしまいました。1960年ヒューゴー賞受賞作品で、私はハヤカワ文庫で読んでいました。(1994.03.06)