巌谷小波『こがね丸』

読書さとう

この作家は1870(明治3)年6月6日~1933(昭和8)年9月5日の生涯でした。私は中学1年のときに、この作家の作品集を読んでいます。ただし、私が読んだのは口語で書かれたものでしたから、最初は文語で書かれていたものを、1921(大正10)年に口語体に書き直して刊行されたものだったのですね。

こがね丸という日本犬が、義兄弟の約束を交わした鷲郎という犬と二匹で、父母を殺した虎を討つというお話でした。あの日本犬が何の種類だったかと思うのですが、秋田犬のようには大きくなかったように思い出します。こがね丸か鷲郎のどちらかが白犬だったようでした。でも私もまだ小さかったから、あれは二匹とも秋田犬だったのかな。敵(かたき)の虎は実に大きいのですから、敵をとると言っても実に大変なことでした。

いいお話でした。そして私には今も、この二匹の犬が敵討ちのために必死になって、組んずほぐれす、戦いの訓練をしている姿が見えるような思いになります。

こがね丸は見事鷲郎ととにも父母の敵を討ちます。相手は大きな虎だったのによくやったものです。