企画者の菅沼は、友人と北千住でアートギャラリー"PUNIO"を運営していて、様々な背景を持つ作家の作品を展示してきました。ルワンダに拠点を置く作家の、Emmanuel Mutuyimanaが手がけた作品群をギャラリー外で展示するという機会を頂いて、企画に繋がりました。
Emmanuelとは、僕がアフリカ大陸を縦断しているときに出会いました。それから日本に帰ってからも、彼の熱量や作品の強さに感化され、東京で展示をすることにつながっています。主題"Perspective"は、"視点"の意味に加え、絵画の領域で"遠近法"を意味します。
この大学では、日本以外の国に対する距離感が近い人が多いことが想像できます。様々な興味に従って、各々自分の世界を作り上げていっていると思います。ただ、そんな大学にいると逆に、無限に広がる世界を見て、自分の立ち位置を考える時もあるのではないでしょうか。僕自身は入学時の感性とのギャップを良い意味で感じます。
この大学にいる方々だけでなく、見てくれた人全てがどんな視点を持ちうるのか。学生の方も、先生方も、関係者の方も同じように内省する瞬間があり、そこに寄り添えるのは美術的なものだと思います。
「美術」そのものにしても、物理的に遠く離れた場所に住む人の「思考」にしても、自分の世界の外郭に存在するものに出逢ったときに、どんな風にお互いが魅了し合うのか。遠くからやってきた美術を通して、自分の視点が揺れ動き、距離感を測り、どんな立ち位置を選ぶのか、そういったことを主題としています。
ぜひ、少しだけまっさらに絵に向き合ってみて、自分と周りの遠近感を、楽しく捉えてみるきっかけになれば、とても嬉しいです。
企画担当:アフリカ地域専攻4年・菅沼蓮
図:展覧会ポスター
最終更新:2024年5月15日