「農業商社スタートアップ

「Degas」での社会事業インターン」


田口暢亮(東南アジア第一地域、2016年度入学)

目次

1.はじめに

2.ガーナとの出会い

3.何故、農業なのか

4.何故、ガーナなのか

5.「DEGAS」の事業内容

6.私が感じたこと

7.理論と経験のバランス

1.はじめに

これは私が2019年6月の約1か月間、ガーナで社会事業に取り組む牧浦土雅さんと偶然出会い、彼が立ち上げた農業商社スタートアップ「Degas」でアグリビジネスの社会事業インターンに取り組んだ際の記録である(写真1)。2019年4月から半年間休学し、アジア・アフリカ諸国を周る過程での取り組みである。世界平和への貢献を志す私にとって、非常に有意義な体験となった。

写真1:牧浦土雅さんとDegasの社員たちと筆者

社会事業の定義は様々であるが、ここではソーシャルビジネスという意味で使っている。社会問題の解決を目的としたビジネスであり、寄付金などの外部資金に頼らずに自らが事業収益を上げながら継続的に問題解決に取り組むビジネスである。新しい仕組みを開発・活用し、新しい社会的価値を創出するのだ。また、アグリビジネスとは農業の生産だけでなく、生産の前段階である土地、種苗、設備の準備から、生産後の過程である農作物の流通、販売、マーケティングを含めた、農業関連トータルのビジネスを指す。

農作物を作ろうと思っても場所や苗が確保できなければ始められないし、いくら商品作物を作ってもそれが売れなければ自分の儲けにはつながらない。自分の暮らしの為だけに営む自給的農業であればさほど重要ではないかもしれないが、生計を立てる手段としてより大規模かつ利益を追及するための商業的農業、さらには企業的農業においては、生産の前後の段階がより重要になってくる。

私の人生の目標は世界平和を実現するために、各地の紛争や社会問題の解決に何か1つでも貢献することだ。世界の人々は相互に違う言葉、「人種」、バックグラウンド、価値観を持って暮らしている。お互いの違いが疑念を生み、対立へと発展し、紛争が勃発するケースも多い。しかし、その違いを称賛し合うとはいかないまでも、尊重し合い、何の気兼ねもなく肩を組み合って笑い合えたらどんなに素晴らしいことだろうか。そんな世界を完全に実現することは不可能に近いが、その方向へ近づくように何か1つでも紛争、或いは社会問題の解決に携わりたいというのが私の考えである。

このような考えに至った契機は大きく2つある。

1つは、私が中学2年生の頃。中東で「アラブの春」が起きた。反体制運動が激化するなかで子供たちも犠牲になった。血だらけになりながら泣いている子供たちの様子が、毎日新聞にも載っていた。自分は勉強も部活も満足にできる環境にいる一方で、この子たちは明日の命も分からない状況にある。このギャップは何だろうと私は中学生なりに感じた。夏休みの社会科レポートの課題で中東のテロリズムについて(提出日を大幅に過ぎながら汗)納得いくまで調べ提出したら、社会科の先生が内容について大いに褒めて下さった。今もそのレポートは僕の所に戻ってきておらず、その先生が後輩たちに紹介して下さっているそうだ。

もう1つは、私が浪人中に触れた予備校の先生の言葉だ。定年間近の世界史の先生はこのようなことをおっしゃった。「日本は戦後70年間ずっと平和主義を保ってきた。その分世界からの信頼は厚い。だからこそ日本人は、武力紛争で対立する二者の間に入って第三者として仲立ちする役割を担うことができる。長い間世界史を教えてきた私の願いは、この教室から正確な歴史認識と平和の重要性をしっかりと主張できる人材を輩出することです。」偶然一番前の席で聞いていた私は強く感銘を受け、その道で頑張ってみようと思うに至ったのだ。

しかし、メディアで得る情報と実際の現地の状況や地元の人々の意見には、往々にして大きなギャップがあると考えた私は、大学2年生時に単独で世界一周に取り組み、各地の社会問題や紛争の現状を体感し、地元の人の意見を聞いた。今回のインターンは(偶然始まったとはいえ)その第2弾という位置付け で出発した旅の過程の1つである。

2.ガーナとの出会い

2017年、大学2年生時に世界一周していた際、アディスアベバからカイロに向かうエチオピア航空のなかで、私は機内誌「Selamta」2017年9/10月号を読んでいた。斬新かつカラフルなデザインで革製のトートバッグを紹介した記事が目に留まった。

アメリカの住宅関係専門テレビチャンネル「HGTV」に人気番組「Fixer Upper」 がある。老夫婦「Chip & Joanna」が古い家をリノベーションするという内容だが、特に奥さんのJoannaさんのセンスが素晴らしく、ファンも多いそうだ。この老夫婦がテキサス州ウェイコで経営する雑貨店「Magnolia Market」も大人気で、当時大きな話題を呼んでいた。Joannaさんが愛用し「Magnolia Market」を通じて多くの西洋人が使うようになった革製のバッグは、実はエチオピアで作られている、という紹介文からこの記事は始まっていた。すこし、記事の内容を紹介してみよう。

このバッグを作っているエチオピアの服飾会社「Rosa Abyssinica」を立ち上げたのは、Yamerote Mengistuさんだ。彼女は2004年にアメリカからエチオピアに帰国したのち、教育を受けても働き口のないエチオピアの女性たちを母国に留まらせるために、海外の事業家たちから注目を受けていたエチオピア産皮革を使った服飾品を作ろうと思い立ち、会社を立ち上げた。彼女は記事のインタビューのなかで、「海外の消費者がエチオピアの革製品を気に入り、政府も援助してくれれば、わくわくすることがたくさんできる。

エチオピアの革製品は安いので財布にも優しいのよ」と述べている。「Magnolia Market」など他の会社とも提携し、2017年現在も市場を広げているという。首都のアディスアベバを拠点に40人の女性を雇用しているそうだ。卸売りやオンライン・ショップも開設している。Yamiさんはこうも言っている。「人々は社会的責任に沿った会社や製品を求めている。自分は他の人とは違うことをしている。誰かの人生を変えている実感も得られる。一方で、作っている女性たちも、自分たちの仕事に自信を持っている。」近年、企業側も消費者側も商品に社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility 企業の社会的責任)や質の高さを求めるようになっている。その流れに沿った経営戦略だ。

エチオピアの皮革産業では「Rosa Abyssinica」のみならず、多くのベンチャー企業が立ち上がっている。エチオピアは世界有数の家畜資源に恵まれている。飼育頭数は羊が世界第10位、牛が世界第5位、山羊が世界第7位(2018年、グローバル統計ノート)となっている。そんなエチオピアでは、これまでも未加工の皮革を輸出する第一次産業としてはある程度利益を上げてきた。しかし輸送途中で傷んで使えなくなるなど、「エチオピア・皮革ブランド」としての皮革産業ではなかった。

転機は2008年。未加工の皮革の輸出税が150%に引き上げられると、皮革産業分野では加工済みの消費者向け製品を輸出するようになった。アディスアベバにある「皮革産業開発研究所」も、幅広く技術やノウハウを提供している。こうした産官学連携の施策が功を奏し、今や国際的にビジネスを展開するまでになり、「エチオピア・皮革ブランド」が確立されつつある。その皮革製品の質の高さは、エチオピアには美しく素晴らしいものがまだまだたくさん眠っていることを国際市場に示唆している。

私はこの記事を読んで衝撃を受けた。自分たちの強みを生かした産業・雇用の創出、手触りの良さそうなカラフルなバッグ、生き生きと働く女性たち。2017年当時、一人当たりGNI(国民総所得)は約1,900米ドルで世界第160位の経済水準にあるエチオピアで、既にこのような産業が生まれているのだ。多様性に満ちたアフリカ大陸には、ファッション性に限らず、他にどんな可能性があるのだろうと機内で1人わくわくしたのを覚えている。エチオピア以外のサブサハラ・アフリカの国々についても知り、サブサハラ・アフリカがどんな可能性を秘めているのか探りたくなった。

そんな折にSNSで発見したのが、原ゆかりさんが共同代表を務めるガーナのNGO団体「MY DREAM org.」(mydream.tokyo)だった。ガーナ北部のボナイリ村で地元の女性たちが作った綿製品をガーナのみならずアメリカや日本にも販売し、その収益で村に学校や保健所を建て、子供たちが夢を持てるような学習環境・衛生環境を整えようという活動をされている。これを見たとき、私は「まさにこれだ!」と思い、この団体の活動についてもっと知りたくなった。原さんは東京外国語大学の先輩で元々外務省の出身でもいらっしゃるということで、NGOの活動やこれまでの国際活動についてもお話を伺いたいと連絡を取り、ガーナの首都アクラでお会いすることになった。2019年6月のことである。

6月1日に飛行機でアクラに到着し、郊外にあるホステルに荷物を置いて、その足でショッピングモール近くにある日本食レストラン「SAKAMOTO」に向かった。ちょうどガーナで活躍されている日本人の集まりがあり、原さんはその場に私を招待して下さった。そのパーティには国連やNGOで活躍される方、総合商社の駐在派遣員、青年海外協力隊、社会事業を立ち上げている方などがいらっしゃった(写真2)。

写真2: 原ゆかりさんと青年海外協力隊の方々と筆者

学生は自分1人だった。その場で偶然知り合った1人が、社会事業家の牧浦土雅 さんだったのだ。ガーナで何か社会貢献事業に携わりたいと目論んでいた私は、土雅さんが立ち上げた農業商社スタートアップ 「Degas」で1か月間インタ―ンとして参加させて頂くことになった。残念ながら原さんのNGO組織は予定が詰まっていて、私が業務体験をさせて頂くことは難しかった。

以下の3節、4節、5節では、私が今回約1か月間のインターンを通して土雅さんやDegasの社員たちから学んだことを、土雅さんから教えて頂いたことをもとにまとめていく(下記動画も参考)。


YouTube動画「ガーナで農業のインターンをやってみた!」(筆者作成)

3.何故、農業なのか

「Degas」の経営理念は「Changing People’s Lives Dramatically」だ。1日あたり2米ドル以下で暮らす貧しい人々の生活を劇的に変えるために、まずは彼らの生業である農業を変革するべく2018年11月に立ち上げられた。そのミッションは2つ。小規模農家の所得向上と、食料安全保障の達成だ。食料安全保障とは世界中の72億人の人たちが1日3食摂取できることだ。サブサハラ・アフリカだけで約6億人いる小規模農家の食糧安全保障は喫緊の問題だ。

土雅さん自身、バックグラウンドはIT系で過去には途上国のオンライン教育ビジネスなどを展開していた。しかし教育に価値を置かない地元の人たちに、さらに1,000円かかるオンライン教育サービスを買ってもらうのは難しかった。小規模農家にとって子供は労働力であり、学校に通わせると労働時間が奪われるため忌避されるのだ。そこでまず、土雅さんは彼らの所得を上げようと考えた。

衛星画像データを集積してアフリカの農地を解析し、収穫量を割り出し小農家に提供しようとした。そのデータをもとにバイヤーと交渉し、農業活動の一助になると考えたからだ。しかし彼らの反応は、「自分たちの収穫量なんて分かるから解析データは要らない。それよりも家の前に積んである去年の売れ残りのトウモロコシを買い取ってくれよ。」というものだった。

そこでまずはアグリビジネスに着手することになった。要するに彼らは、トウモロコシ収穫量の把握や増加を望んでいるのではなく、生産したトウモロコシを買い取ってくれる人こそを必要としていたのだ。衛星データや土地解析などは二の次で、今すぐ買い取ってほしいというのが彼らの望みだった。

生産のノウハウは心得ていても、生産物を買い取ってくれる人がいなければ一向に収入は増えず、結果として地方小規模農家の彼らは貧しいままなのだ。彼らにとって今最も必要なのは、農業サプライチェーンの構築支援なのだ。もっと簡単に言えば、彼らは家の前に積まれた大量の売れ残りトウモロコシではなく、現金が欲しいのである。

このような地方の問題はサブサハラ・アフリカ各国に共通する問題だ。首都の事情はそれぞれ違うが、「地方の問題=農業周辺の問題」はガーナ以外のサブサハラ・アフリカ諸国にも共通している(写真3)。農薬や肥料の不足、サプライチェーンの欠如など、生産労働そのものというよりもむしろその前後の過程に問題があり、商品作物としての農作物が換金されない。


写真3:ガーナの農村部。通称「きのこハウス」は藁と泥と木材からできている。

結果として地方部はいつまでも貧困に苦しみ、産業の高度化やインフラ整備、ITシステムの導入など夢のまた夢だ。だってそもそもこれらに投資するだけのお金がないのだから。地方の貧困、及び未開発の根源は「農業周辺の問題」に帰結する。逆に言えば「地方=農業」に集中して社会事業を展開すれば、自然と小規模農家の収入も上がり地方の開発進展の基盤が安定し国内経済の底上げにつながるのだ。

ところがここ10年で地方は全く変わらなかった。例えばルワンダは、首都キガリに大量の中国資本が入って目覚ましい発展を遂げたが、地方の農民は未だに貧困に苦しむ。これまで国際機関や、NGO、NPO、民間企業も入ってきたが、何も変わらなかった。それなら違う人が違う手法で新しいムーブメントを起こし変えていかないといけないと考えた。

土雅さんにとってアフリカの貧困を解決することは、願望ではなく使命なのだ。彼は恵まれた生い立ちの中で、「恵まれていたからこそ、平等な機会を得られる世界を作りたい。」との想いを抱くようになった。この社会事業への取り組みも、ビジネスで成功したい、お金持ちになりたいという気持ちは全くなく、誰かがやらないといけないことだと考えている。

サブサハラ・アフリカ人口約10億人(2019年現在)の8割が1日2~3米ドル以下で生活している。平均月収は100米ドルにも満たない。このマジョリティの生活を変えるには農業しかないのだ。サブサハラ・アフリカの約6~7割が農業従事者なのである。インフラ開発を行っても、使う人が育たなければ無意味だ。東南アジアでは中国からの借款でインフラを作ったものの、使われずに返済できず、その代わりに運営権90年分を中国が握るという失敗が多い。

アフリカのインフラ開発も今のままでは二の舞になる。IT系で農業開発するにしても回線すらない環境なのであって、まずはオフラインの仕事で農村の人と信頼関係を構築する必要がある。工業やサービス業へと産業を高度化させるなど現状では不可能だ。アフリカは何もかも不足している。

諸問題を根本的に解消するには、まず農業から着手するしかないというのが土雅さんの信念だ。農業サプライチェーンの構築支援こそ、人々の暮らしとあらゆる産業の基本である第一次産業の農業生産を通して、地方の小規模農家が収益を上げ、サブサハラ・アフリカの地方部で今後経済発展が進んでいく基盤となる社会事業なのだ。

農業サプライチェーンの構築支援がサブサハラ・アフリカ全域で求められているからこそ、大きな事業規模で社会に与えるインパクトを大きくする必要がある。例えば100億円売り上げる場合を考える。都市部と農村部では1人あたりの経済価値、すなわち1人あたりの労働生産性が違う。例えば都市部だとおよそ1,000円で、1,000円×1,000万人=100億円となる。

一方地方部ではおよそ100円で、都市部と同等の資本を生み出すためには100円×1億人=100億円で1億人の人口が必要となる。すなわち地方で事業を展開するには、1人あたりの労働生産性の低さを補うだけの事業規模が必要となる。そのため「Degas」は「面」を取ることを重視する。都市部だけに限定した「点」ではなく、広範囲の地方=「面」に事業を展開してこそ、ビジネスとして成立するし、社会的インパクトも大きくなるのだ。

社会事業にとって「事業規模=社会的インパクト」である以上、事業規模の拡大を追求するのは当然だ。「Degas」もまた多くの資本を調達して事業規模の拡大を追求し、大手企業が入らない地方部でのマーケットシェアを広げて競争優位性を高めるために泥臭く活動している。その分のコスト(移動費、輸送費、人件費)も大きくなるが、「面」での事業範囲を獲得すると同時に社会的インパクトを大きくするためには、地方でアグリビジネスを展開するのが論理的かつ効果的だ。

4.何故、ガーナなのか

西アフリカのガーナはサブサハラ・アフリカ諸国の中でも比較的政情が安定している。人口に比例する市場規模を考えると、ナイジェリア(約2億人)やエチオピア(約1.1億人)、コンゴ民主共和国(約8,500万人)で展開するのが適当だろう。しかし現在の政情と「Degas」の事業経験から考えると、まずはガーナで始めるのが妥当と言える。ガーナは、1957年サブサハラ・アフリカ諸国で初めて、現地人が中心となってヨーロッパの宗主国から独立を達成した国家だ。

初代大統領エンクルマはアフリカ統一運動を推進した。2019年現在の総人口は約3,000万人。うち1,000万人程が地方の農民だ。地方行政区分は10の州に分かれており、「Degas」が事業拠点としているのは、タマレが州都のノーザン州、ボルガタンガが州都のアッパーイースト州、ワが州都のアッパーウエスト州だ。

ガーナ北部の土壌は、南部のアクラ周辺よりも比較的肥沃である(写真4)。熱帯雨林気候の大量の降水で養分が流出する南部に比べて、北部はサバナ気候で養分の流出が少なく、粒径の小さい土壌であるため養分を蓄えやすいのである。クマシの北側にはBaという肥沃な土壌が広がる。Baとは細粒状構造型の乾性褐色森林土のことだ。土壌の中で比較的肥沃とされる褐色森林土の中でも土の粒径が小さく、従って土中の養分が流出しにくい。またガーナ北部のほうが南部よりも10度ほど気温が高く乾燥しており、乾性土壌となるので良い農作物ができるのだ。

写真4: 赤土ラトソルが印象的なガーナの風景。乾性森林褐色土は森林地帯に分布しているが、露出した雨にさらされる土壌はラトソルとなる。

サブサハラ・アフリカの農業の一番の課題は、湿度が高いと農作物にバクテリアや害虫がついてアブラトキシンが付着することだ。これはカビ毒の一種で人間に害なのでバイヤーは買ってくれない。農作物の4割ほどは捨てられてしまう。アフラトキシンはアフリカ全土の問題だ。

しかしガーナ北部は乾燥して良質なコメやトウモロコシ、マメが生産されるため、「Degas」も北部を拠点とする。ガーナで流通する農作物の3,4割は北部で生産される。トウモロコシは、西アフリカやガーナの市民の食生活で主要に消費される重要な食糧作物の1つだ。ガーナではこねてパウダー状にし、バンクーやケンケ、フフなどを作って1日2食の主食とする。カロリーも栄養価も高いので、栄養が不足しがちな貧困地域においても重要な食糧となる。

中米の肥満率が高い原因の1つは、トウモロコシで作られたタコスだという説も有名だ。また一方では家畜の飼料にもなる。ギネスなどのビールの原料にもなるし、ベビーフード用にもなる。食糧作物としての質の高さとその他の分野への汎用性の高さが、トウモロコシが世界三大穀物である裏付けであり、西アフリカでも重宝される所以である。ちなみにこの地域ではトウモロコシの他に、元来主要作物であったヤム、キャッサバ、コメも重要な食糧となっている。

5.「Degas」の事業内容

「Degas」の事業は主に2つだ。1つは国内のサプライチェーンを構築することだ。北部の農村部で売れ残っているトウモロコシを南部の都市部のトウモロコシが不足している市場や加工会社に拡販するのだ。もう1つは「Degas」自身がコメ生産を支援する事業だ。農業従事者に農薬や肥料、トラクターなどを提供し、生産したコメの幾分かを対価として譲り受けるというものだ。私は、前者の事業には農村部における買い取り価格の交渉や買い取ったトウモロコシを保管する倉庫の整理などに、後者の事業には契約した農地の視察や農薬、肥料などの引き渡しに同行させてもらった。

ガーナの農業にとって、トウモロコシサプライチェーンの構築は重要な課題だ。タマレやワなどのガーナ北部の都市には多くの農村が分布している。そのほぼ全ての農村でトウモロコシが作られているが、自給だけでは十分すぎるほどの量が生産されている。しかし商品作物としてのトウモロコシの拡販経路が確立されていないのだ。一方で、ガーナ南部にある首都アクラなどの大都市では食糧が不足している。また、ビールやガーナ料理の原料、家畜の飼料としての需要も高い。このような「情報の非対称性」を解消するのが「Degas」の役割の1つだ。このビジネスのポイントは主に3つだ。1つ目は買い取り価格を交渉すること。2つ目は買い取ったトウモロコシに付加価値をつけること。3つ目は拡販する時期を見極めることだ。

例えば、トウモロコシの収穫期である11、12,1月頃に100㎏入った袋を農村部で125セディ/袋で買い取る。(※1セディ≒20円)これをそのまま市場で130セディ/袋で売ったら5セディの利益だが、市場のトウモロコシ価格が高騰する5,6月に拡販したり、拡販する前にトウモロコシを磨いたりゴミを取り除いたりしてトウモロコシのグレードを上げることで、より高値で売ることができる。

写真5: USAIDが貸し出しているトウモロコシ洗浄機

このグレードの基準は残念ながら詳しく聞かなかったが、ガーナ経済の中でトウモロコシのグレードと販売価格相場が決まっていて、トウモロコシをグレード3からグレード1に上げることで、140~150セディ/袋で売ることができるようになるという。採れたてのトウモロコシに付加価値を足すことで、15~25セディ/袋の営業利益が出るのだ。1シーズン当たり約数十万袋という膨大な量のトウモロコシを、ガーナ北部全域の農村から買い取るため、150~250万セディの営業利益が出ることになる。

そこから8セディ/回の輸送費や人件費を差し引いて営業純利益とする。これがざっくりとしたビジネスモデルだが、実際はそんな簡単な話ではなく、そこから輸送費や人件費を差し引くと純利益は容易に出せない。そこで規模の経済を働かせるため、純利益を出すためにはより大規模でトウモロコシを販売しないといけない。

一般的なスタートアップと違って在庫というリスクを抱えなければならない。なぜなら機会損失が発生してしまう場合があるからだ。しかしDegasはそれが競争優位性になると考えリスクテイクしている。より大規模に国内でサプライチェーンを構築するために必要なリスクなのだ。そして機会損失を発生させないためにも、抱えている大量のトウモロコシをいつ市場に売るかの意思決定が重要になってくる。

コメ生産の支援事業は6月後半の雨期の開始と共に本格化する。ガーナでは大土地所有者が小農家を雇って、植えたり収穫したりする。この大土地所有者に「Degas」が土地、農薬・肥料、トラクターを貸し出すのだ。まず土地について、50㎏/袋のコメが50袋/1エーカーで収穫でき、多いときで10人/1エーカーの小農家が雇われる。またこれに対して農薬は1袋弱/1エーカーの量が目安だ。

トラクターは300人ぐらいで1台を共有している。このようにガーナではトラクターが不足しており、そのために小農家は狭い土地しか耕せずに生産量も少なくなってしまうのだ。トラクターはUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁。非軍事の海外援助を行う、国務省管理下の公的機関)が民間に貸し出しているものや中国製、インド製のトラクターが主流だ。

銀行から融資を受けて買う人もいるそうだ。トラクターは300万セディ/台ほどなので、600エーカーの土地、すなわち60セディ/袋の12万袋分(=120万セディ)が収穫できれば、2,3年で完済できる計算になる。「Degas」は彼らのために土地を借り、農薬や肥料、営農知識を提供する。

この2つの事業に加えて、農業分野以外での新事業も模索している。例えば畜産業だ。

「Degas」の従業員の1人Faisalが、鶏小屋を経営している。総計4000羽で年間トウモロコシ1tを飼料として消費するそうだ。鶏は1年間卵を産み続けるが、だんだん生む卵が小さくなってくる、そのため2年周期で殺して鶏肉として売るのだ。卵1個が80ペソ、鶏肉が25セディで売れるそうだ。

この鶏小屋と提携、もしくはこれを買収して新たな事業を展開できるのではないかと新規事業担当マネージャーの1人は考えていた。土雅さんも「nice!」とは言っていたものの、畜産などの地球温暖化に繋がってしまう事業に将来性はないと考えているため、まだGoサインは出ていない。スタッフのアイデアにも耳を貸しつつ、自分たちのためではなく地球環境とサブサハラ・アフリカの人々が共生できるバランスを考えながら、事業を展開していきたいと土雅さんは考えている。

社会事業を0→1で始める際にネックになるのが資金調達だ。多くの社会事業家がここで苦労する。彼らの事業は持続的な資金調達が上手くいくかどうかに懸かっている。「Degas」への投資先は日本企業が多い。アフリカでのビジネスに関心はあるものの、何をしていいのか分からない日本企業は多い。その代わりに「Degas」が投資を募り、代わりに事業を進める。

アフリカビジネスに関してシナジーのあるトヨタ、クボタ、コマツ、カゴメなどの日系大企業メーカーもある。土雅さんは資金調達の交渉が得意であるのに加えて、「Degas」の事業も実際に伸びているため、現状は事業成長に必要な資金調達ができている。むしろ土雅さん自身のメインの仕事は資金調達にあるとも言える。

3、4か月に1度日本に帰国する際も、そのほとんどの日程で企業の方との商談や会食を通じた資金調達に奔走する。プレゼン資料や財務諸表も急遽作成することも多い。ぎりぎりのところで社会事業に取り組んでいる。土雅さん自身も数千万円を投資しているが、まだ不十分だそうだ。数兆円単位の売上に伸ばすためには、数十億円単位で調達しないといけない。

なぜなら「資金調達=事業規模=社会的インパクト」であり、社会的インパクトの大きさは、調達資金額の大きさに比例するからだ。土雅さんは日頃からこう言っていた。「社会へのインパクトは、売上と利益の向上である、というモデルを作ることが我々の使命でありミッションだ。」と。

逆に言えば、それだけの大きな期待を背負っている。簡単に途中で投げ出すわけにはいかない。また、シナジーのある日系企業があるといってもその数は少数である。日本はまだアフリカをあくまで潜在的市場と見ており、文字通り”ビッグマーケット”と見ている企業は少数だ。日本がアフリカに進出する道筋を作るためにも、「Degas」が果たしていくべき役割は大きい。

6.私が感じたこと

約1か月間のガーナでの貴重な経験を通して、様々な体験をさせて頂いた。その中でも特に印象深かった体験が2つある。

1つ目は、トウモロコシを買い取るために農村を訪問した時の体験だ。タマレからタクシーをチャーターし片道約3時間かけて目的地の農村に向かう。ただでさえ舗装されていない赤土のでこぼこ道は、雨期明けで水溜まりがたくさんでき、タクシーは激しく揺れた(写真6)。しばらくするとエンジンがショートし動かなくなってしまった。ガーナにおいてさえ分単位で動く土雅さんにフラストレーションが溜まる。その後、近くの村の少年2人がバイクタクシーに乗せてくれて、荷台で激しく揺れながらも何とか目的地の農村に着いた。

写真6: 雨季のぬかるんだ未舗装の幹線道路。片道3時間かけて農村へ。

地元の農民約50人と価格交渉をして「Degas」がトウモロコシを買い取る契約が完了した。その時、農民たちから歓声が上がった。「土雅、ありがとう!ありがとう!助かった!」私はこの光景を目の前にして大きく心を動かされた(写真7)。やっとの思いで辿り着いた地方の農村では、これだけの農民が「Degas」のサービスを求めている。「社会を変える」というのは、こういうことなのだと肌で感じた。そして、地道に泥臭く社会事業を進める土雅さんと「Degas」を尊敬した。

写真7: 契約成立。「ありがとう!ありがとう!」と歓声が上がった。

2つ目は、従業員の1人Nanaと夜ビールを飲みながら話した時の体験だ。彼はアフリカとガーナを農業から変革したいという情熱を語った。土雅さんと出会い、彼と一緒に農業でガーナを変えようと決心した。「誰もが知っているように、アフリカは他の地域に比べて貧しく未開発だ。私はこの現状を解決しアフリカを豊かにしたい。そのために農業はとても重要なんだ。」私は彼の情熱と言葉に大きく心を動かされた。

その理由は2つある。1つは心意気の高さである。彼らにとって貧困と未開発は切実な問題であり、だからこそ何とかしてこの現状を打破したいという強い思いを肌で感じた。もう1つは、その情熱が「Degas」の理念として社員に浸透していることだ。怠慢業務や農民との契約金着服は多少あるだろうが、ガーナを農業で変えたい、豊かになりたいという情熱は従業員にも共有されていた。そして彼らは機会を与えてくれた土雅さんに感謝していた。アフリカ人自身も自分たちの貧しさを何とかしたいのだが、自分たちだけで抜け出すのはとても難しいのだ。

この2つの経験の他にも様々な体験をした。農村に行って、トウモロコシの買取交渉の許可を首長に請うたり、10エーカー程の田植え予定地を視察したり、トウモロコシを磨いてグレードアップする作業工程を手伝ったりした(写真8)。これらの体験は私の人生の中でも非常に有意義なものになった。農業を根幹として、直接的で(Direct)劇的で(Dramatically)根本的な(Drastic)社会事業、すなわち机上の知識や理想論「2D=二次元」ではない、地に足の着いた「3D=三次元」の社会事業を肌で感じた経験。この経験が今後の私の人生に大きな意義を持つことは間違いない。

写真8: トウモロコシ畑で働く農家の子ども

土雅さんに「どのようにしてビジネスを展開しているのか」と聞いたら、「普通にエクセルを見ながら、経理担当の人と一緒に収穫量とか販売価格とかを決めてるだけだよ。」と言った。四則計算とコミュニケーションができれば、誰にでもできる仕事だと。「安く買って高く売る」ビジネスの基本を理解しておけば、誰にでもできる仕事だと。私には衝撃だった。

「Degas」の地に足の着いた社会貢献の在り方は、何となく世界平和への貢献を目標にしていた私にとって目から鱗だった。世界を平和にするためには、経済的に苦しんでいる貧困層が健康で文化的な最低限度の暮らしをできるように食糧の安全保障を達成することが第一歩だ。

今、彼らが必要としているのはお金だ。農業によってお金を稼ぎ金銭的余裕が生まれれば、子供の教育やITを含めたインフラの開発整備、観光資源の開発や産業の高度化に投資できる。教養や他のコミュニティとの交流が深まり、これまで敵視していた他者を尊重する余裕も生まれる。相手を慮る余裕が生まれるだろう。

もちろん「お金が全て」ではない。金銭的余裕が生まれたからといって、その後も自分たちの利益だけを追及するという利己的な方向に向かってしまえば、それが新たな対立を生むことを歴史は証明している。経済発展によって幸福になり他者への尊重の気持ちが生まれるか、あるいは新たな対立により他者を傷つけることになるか。どちらを採るかは当事者に委ねられている。

しかし今のサブサハラ・アフリカの地方農村部には、そもそもその機会がない。「平等な機会を得られる世界を作りたい。」という土雅さんの想いに沿って「Degas」は活動を続ける。現地の人が何を必要としているか、それをいかに支援するかが最も重要だ。今ガーナの地方農村部で貧困にあえぐ小規模農家が必要としているのはお金であり、トウモロコシを商品作物として換金できるような支援が求められている。

しかし四則計算とコミュニケーションに加えて「やり抜く力」もないといけない。近年提唱されているGRITだ。心理学者でペンシルベニア大学教授のアンジェラ・リー・バッドワース氏の提唱によれば、「才能やIQや学歴ではなく、個人のやり抜く力こそ社会的に成功を収める最も重要な要素だ。」として「GRIT理論」を提唱している。

Guts(度胸;困難なことに立ち向かう)、Resilience(復元力;失敗しても諦めずに続ける)、Initiative(自主性;自分で目標を見据える)、Tenacity(執念;最後までやり遂げる)。この非認知的特性はもちろん普段の字ごとや勉強においても重要だろうが、アフリカでビジネスをすることにおいては非常に重要になる。

先進国の常識で生きていたら1日目で事業は頓挫するだろう。そうではなく、地元のやり方に合わせつつも正しい方法を粘り強く浸透させ、自分自身も対応してイノベーションを起こしていくやり抜く力が必要なのだと、土雅さんも強く言っていた。言わずもがな、それを支える対応力、体力、メンタルも重要だ。

表面的な理念だけでは、途上国の貧困層は救えない。世界経済や食糧問題などマクロな視点だけ学んでいても、それは机上の知識に過ぎない。もちろん、状況を把握し戦略的・効果的な開発段階を把握するためには、マクロな視点で理論や知識、教養が必要だ。しかしミクロな視点で、問題のある現場の足元では必ず数字と経営能力が必要になる。

そこにはもっともらしい熱い言葉や情熱よりも、むしろ経営管理やExcelの知識が求められている。当たり前のことだが、自分自身でこれに気づけたのは大きなことだった。それはビジネス業界で言うところの「市場価値」であり、「現場で使えるか使えないか」だ。頭でっかちではいけない。語弊があれば恐縮だが、これは私自身が今回のインターンを通してひしと痛感したことだ。はっきり言って、私は役立たずだった。むしろ足手まといだったと自覚している。

それはすなわち英語やトゥーイ語(ガーナの主要語)を使ったコミュニケーション力の不足、現状に関する知識と問題解決力、そして何よりその思考を実際に現地に還元する実行力と行動力の不足だった。土雅さんと「Degas」の社員たちはアフリカとガーナを農業から変えたいという強い情熱を持っている。もちろん私もその思いは持っていたが、だからと言って何かできるわけでもなく、彼らの農民との交渉や業者との打ち合わせをただ傍観するだけだった。

7.理論と経験のバランス

ガーナから日本へ帰国後、日本政府がホストとなって2019年8月28-30日に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)」に、補助スタッフとして参加する機会があった(写真9)。農業に関心を持っていた私は、国際連合食糧農業機関(FAO)と国際連合工業開発機関(UNIDO)が主宰するパネル・ディスカッション「アフリカ農業・アグリビジネス振興による若者雇用加速化に向けたイニシアティブ発足」を業務の合間に傍聴した。

写真9: TICAD7の会場にて、アフリカ地域専攻の妹と筆者

資料には、持続的に農業を機械化する重要性が書かれていた。農業生産は、アフリカ人口の約60%が従事し域内GDPの約21%を占める一方で、収穫量は世界平均の約56%にしか及ばない。SDGsの第2項目「飢餓をゼロに」を2025年までに達成するためには、農業の機械化が最も重要だと書かれていた。具体的には、機械提供サービスへのアクセス向上、種子や農薬など質の良い安価な初期投資へのアクセス向上、灌漑を含む効率的な水資源の供給システムの構築の3つが挙げられている。そしてその対象は、政府や外資主導のアグリビジネスセクターではなく、アフリカの大半を占める小規模農家にこそ提供されるべきだと強調されていた。

すなわち重要なのは「小規模農家を中心とした農業バリューチェーンの構築」だ。収穫量の増収や新品種の導入ではない。種子や農薬、農業機械や営農知識を手に入れやすくし、灌漑システムを効率化し、流通経路を確保することが重要だ。アメリカの経営学者マイケル・ポーターの著書『競争優位の戦略 』によれば、主活動の「購買物流」と「出荷物流」においてアフリカの小規模農家のネットワークは不十分だそうだ。

「購買物流」とは原材料を外部から調達する活動であり、「出荷物流」とは最終製品を顧客に届けるための活動である。生産活動ではなく、むしろ調達活動や技術開発の面で外部からの支援が求められている。これらを含めた包括的な支援があって初めて、小規模農家中心の農業バリューチェーンが構築され、彼らの収入につながっていく。

サブサハラ・アフリカの発展途上国にとって、国民の大半を占める小農家の所得向上は、直接国家全体の経済水準の向上につながる。工業化やIT化はその後の話だ。今回のインターンでガーナ地方部の農村を訪れると、その実態を強く実感する。「トウモロコシを作ることはできても、売り方が分からない」、「拡販経路は確保できたので、商品作物の収穫量を増やして農業収入を増やしたいが、そのための農薬やトラクターの入手経路が少ない」といった声が現地の小農家の方々からは聞かれた。

「トウモロコシの生産方法が分からない」、「土地がやせていて生産できない」ということではない。インターンでのミクロな体験と理論上のマクロな知識が整合した瞬間だった。何か問題を解決する際には、理論と経験のバランスが重要だと考えている。このことには、今後もこだわっていきたい。

農業の他にもアフリカには課題が多い。ガーナでは道端で多くの行商人から営業を受けた。彼らは「ホーカーズ」と呼ばれ、売上は1日1米ドルぐらいだ。使えるかもわからないイヤホン、ベルト、帽子、SIMカード、ダンベル、水。ダンベルなど果たして売れるのだろうか。水ならまだましだが、それでも1個10ペソ程度の売上だ。10個売ってやっと1セディになる。

このような行商人が大量にいて、ただでさえ少ない営業利益は分散する。彼らは恐らく利益や営業効率など特に考えていない。私もガーナ中部の都市クマシのモコラマーケットで、ジーンズを3セディで売る男性を飛び込みで手伝ったが、その左隣と正面では同じようにジーンズが売られていたし、どこも1枚も売れていなかった(写真10)。

写真10: モコラマーケットでジーンズ販売のお手伝い

販売品を変えたり、場所や手法を変えたり、工夫できそうな部分がたくさんある。彼らの所得向上のために、私がアドバイスできそうなことが必ずあった。「Degas」での体験を生かして社会を変えていけるか。すなわち、多くの人が共通して困っている問題をシンプルな考察で捉え、その考察を実行に移して、多くの人から「ありがとう!ありがとう!」と言ってもらえるか。また、そう言ってもらえるだけじゃなくて、持続的に彼らの生活水準を上げることができるか。社会が良い方向に向かうように、より大きなインパクトを社会に与えられるか。私の今後の動向が試されている。

最終更新: 2020年4月20日