アフリカンウィークス2021 報告書

東京外国語大学 アフリカンウィークス2021実行委員

共催 現代アフリカ地域研究センター

目次

1. はじめに

2. イベントの概要・趣旨

3. 実行委員 メンバー一覧

4. 各企画の報告

① 展示企画

② 文化紹介企画

③ インタビュー企画

④ 広報企画

⑤ 国際交流サロンDIVE コラボ企画

5. ウェブサイト・SNS情報

1. はじめに

このたびは、本報告書をお読みいただき誠にありがとうございます。


2017年度にアフリカ地域専攻の有志学生により始まったアフリカンウィークスは、今年で5年目を迎えました(図1)。今年も昨年に引き続きコロナ禍での開催となり、不安が多い中での活動となりましたが、無事にイベントを終えられたことを嬉しく思っております。


アフリカンウィークスは、「アフリカの多様な魅力を伝えたい」という想いのもと行われてきました。一般的なアフリカへのイメージは、紛争や貧困、飢餓や砂漠化などマイナスなものが多いでしょう。近年では、アフリカ諸国の経済成長がめざましいため、「開発可能性の高い最後のフロンティア」といったような認識を持っている方もいるかもしれません。


もちろん、これらのイメージもある意味では正しいものでしょう。しかし、「哀れみの対象」「開発の対象」としてのアフリカの側面だけでなく、等身大のアフリカの魅力を知ってもらいたいという想いが私たちにはありました。そのために今まで5年間、アフリカンウィークスを続けてきました。


さて、2021年度のアフリカンウィークスのコンセプトは「共有」でした。社会的な分断が加速する現代においては、他国や他地域のことをステレオタイプで捉え、乱暴に扱うことが増えてきている気がします。その固定観念を壊し、遠い国の人々とともに共生社会を築いていくにはどうしたらいいか。私たちが考えた答えが、「共有」です。


自分の経験や考え、感情を「共有」することで、人は等身大の関係を築けるのではないか。そうして生まれた関係のひとつひとつが、共生社会の一片を成すのではないか。アフリカンウィークス2021では、私たちが得たアフリカの情報や魅力を皆さまに「共有」することを試みました。私たちの想いが、皆さまに届いていましたら幸いです。


最後になりましたが、共催をご快諾くださった現代アフリカ地域研究センターの皆さま、アドバイザーとしてあらゆる面でご助言をくださった先生方、そして事務面でご協力くださった大学スタッフの方々、本当にありがとうございました。


そして何より、写真展やビブリオバトルに応募してくださった皆さま、インタビューに応じてくださったウスビ・サコさん、福島黎さん、渡辺晴海さん、上田紗英子さん、赤尾健祐さん、ファッション企画でコラボしてくださった渡部莉歩さん、アウトリーチ企画を提案してくださった府中国際交流サロンの関谷さん、堀谷さんに、深く感謝申し上げます。


私どもの運営は至らない点ばかりで、皆さまには多大なご迷惑をおかけしましたが、皆さまのご尽力のおかげで参加者の方々にアフリカの魅力を存分に伝えられたと思っております。皆さま、本当にありがとうございました。


※ハイブリッド形式で開催されたため、コンテンツの多くはアフリカンウィークス2021の公式ホームページでご覧いただけます。本レポートは、そちらも参照しながら読んでいただけると幸いです。

図1:アフリカンウィークス2021のロゴ

2. イベントの概要・趣旨

  • 主催:東京外国語大学 アフリカンウィークス2021実行委員会

  • 共催:現代アフリカ地域研究センター

  • 責任者:奥富彩夏(東京外国語大学国際社会学部国際社会学科・アフリカ地域専攻2年

  • アドバイザー:東京外国語大学国際社会学部アフリカ地域専攻・現代アフリカ地域研究センター教職員


  • 開催期間:2021年11月27日〜12月10日

  • 実施形態:大学構内ガレリアでの展示、HPへの掲載、SNSでの発信


  • コンセプト:「共有」

  • 趣旨:アフリカンウィークス2021は、学生が中心となり、アフリカのさまざまな魅力や課題を発信するイベントです。一般的に認知度の低いアフリカの事情について広め、アフリカに親しみを持ってもらうことを目的としました。特に、紛争や貧困といったマイナスな側面に偏りがちなアフリカに対する印象を払拭したいという思いのもと活動しました(図2)。

図2: 学内に掲示したアフリカンウィークス2021のポスター

3. 実行委員 メンバー一覧

(所属・学年は2021年12月当時のもの)

【名前】奥富彩夏

【所属】国際社会学部アフリカ地域専攻2年

【担当】実行委員長/文化紹介企画/国際交流

    サロンDIVEコラボ企画(責任者)

 ※実行委員インタビューはこちら

名前】仙北谷あすか

【所属】国際社会学部アフリカ地域専攻2年

【担当】副実行委員長/展示企画(班長)/インタビュー企画

 ※実行委員インタビューはこちら

【名前】隂山真依

【所属】国際社会学部アフリカ地域専攻1年

【担当】副実行委員長/展示企画/文化紹介企画

【名前】鈴木理花

【所属】国際社会学部アフリカ地域専攻1年

【担当】副実行委員長/インタビュー企画/広報企画

【名前】久我桃子

【所属】国際社会学部アフリカ地域専攻2年

【担当】インタビュー企画(班長)

【名前】鈴木すみれ

【所属】国際社会学部アフリカ地域専攻2年

【担当】展示企画/文化紹介企画(班長)

【名前】谷口由奈

【所属】国際社会学部アフリカ地域専攻2年

【担当】展示企画/広報企画

【名前】藤原萌乃

【所属】国際社会学部アフリカ地域専攻1年

【担当】展示企画/広報企画

【名前】丸山潮音

【所属】国際社会学部アフリカ地域専攻1年

【担当】展示企画/インタビュー企画

【名前】色川慶

【所属】国際社会学部フランス語科4年

【担当】インタビュー企画

【名前】アルバクリ・シァイマ

【所属】国際社会学部アラビア語科4年

【担当】インタビュー企画

【名前】田村夢夏

【所属】国際日本学部日本語科4年

【担当】インタビュー企画

【名前】林佑紀

【所属】言語文化学部中国語科4年 

【担当】文化紹介企画

【名前】喜多野元

【所属】国際社会学部ラオス語科1年

【担当】インタビュー企画/文化紹介企画

 ※実行委員インタビューはこちら

【名前】馬場口佳乃

【所属】上智大学4年

4. 各企画の報告

①展示企画


本や写真という視点を用いて、多くの方にアフリカについて知っていただける機会を提供することを目的としました。また、今年のアフリカンウィークスのコンセプトである『共有』については、参加者が展示を通じてそれぞれのアフリカに対する想いや経験を共有できる場を作ることを目指し、以下2つの企画を実施しました。

〈企画概要〉


1. ビブリオバトル

「アフリカと関連がある本であればジャンルを問わない」という条件のもと、アフリカ地域専攻の教授の方々に本の紹介文の執筆を依頼したほか、一般公募も実施し、合計7件の紹介文を集めることができました。


開催時期:2021.11.26~2021.12.10(アフリカンウィークス開催期間)

開催場所:東京外国語大学キャンパス1階ガレリア、アフリカンウィークス公式ホームページ(本の紹介文は、こちらで読むことができます。


2. 写真展

アフリカ各地で撮影された写真を展示し、視覚から具体的なアフリカのイメージを伝える企画です。写真はメールなどを通じた依頼、またアフリカンウィークス公式SNSなどを使用して一般公募を実施し、アフリカで撮影された写真と紹介文をお寄せいただきました。展示の際は、写真とともに撮影地の地図や基本情報なども掲載し、写真からより具体的なイメージを伝えられるように工夫しました。


開催時期:2021.11.26~2021.12.10(アフリカンウィークス開催期間)

開催場所:東京外国語大学キャンパス1階ガレリア

図3:写真展示の広報のために、公式ホームページ及び各種SNSに掲載したポスター

〈振り返り〉


1. ビブリオバトル


当初想定していたよりも一般公募によって紹介文を集めることができず、アフリカンウィークス開催期間中も展示をみた方が応募できる形に切り替えました。しかしながら、やはり十分な数が集まらなかったので、企画の広報面で改善が必要だったと思います。


また、紹介する本のジャンルをもう少しバラエティに富んだものにしたかったという思いもあります。ガレリアでの展示は目にする人がある程度限られますが、公式ホームページにも掲載する形だったので、絵本を紹介するなど、より広い年齢層の方に届けるための工夫をする必要があったのではないでしょうか。

2. 写真展


想定していたより数が集まりませんでしたが、アフリカンウィークスのその他の企画でご縁が繋がった方々にも、写真展企画に賛同していただきお寄せいただくことができました。また、当初は写真と撮影場所の地図だけを展示する予定でしたが、新しく撮影場所についての基本情報も内容に加えたことで、ガレリアで立ち止まって展示を見てくださる方々が増えたと思います。


一方で、展示品としてお寄せいただいた写真について、クレジットを掲載するか否かという点で、匿名で募集するという企画コンセプトと、応募者の間の認識が曖昧になってしまったので、事前に確認が必要でした。

〈総括〉


ビブリオバトルは、応募数が予定していた数に達しなかったために、規模を縮小せざるをえなかったことが心残りでしたが、外大生の目線から選んだ本を中心に紹介できたことで、大学生に向けて、アフリカについて知っていただく機会を作ることには繋がったのではないかと考えています。


写真展は、実際に印刷したものを展示できた場所が大学構内のガレリアのみでしたが、写真に加えて、撮影地の国の国旗や基本情報など、装飾にも工夫を凝らしたことで、授業の合間に展示品を見るために立ち寄ってくれる方が、イベント後半に向けて少しずつ増えていると実感できました。しかしながら、やはりどちらの企画も、もっと広報班と連携して企画について周知することができていたら、より活気のある展示会場を作れていたのではないかという反省が残っています。


最後になりますが、アフリカンウィークス開催前のみならず開催中にかけても、展示班企画に賛同してくださり、写真や本の紹介文を寄贈して下さった皆様に、深く感謝申し上げます。

展示班長 仙北谷あすか

②文化紹介企画

展示パネルや SNS 等を用いてアフリカの文化を紹介し、参加者により興味を持ってもらうことを目的としました。参加しやすいコンテンツを増やすことで、アフリカと日本の間での体験、また参加者同士の学びの「共有」を促進できるよう、以下2つの企画を実施しました。

〈企画概要〉


1. Introduction to African Fashion


本学4年生の渡部莉歩さんが運営しているアパレルブランド「Passiona」とコラボし、アフリカのファッションの魅力を発信しました。Passionaは「古着×アフリカ」というコンセプトで運営されています。アフリカの情熱的なファッションを日本に届けるとともに、アフリカ各地で問題となっている古着の供給過多に関しても喚起している、時代に沿ったブランドです。


本企画では、実際に販売されている洋服や小物をガレリアに展示しました。さらに、渡部さんへのインタビューもパネルに掲載しました。

開催時期: 2021年11月29日〜12月10日(アフリカンウィークス開催期間)

開催場所: 東京外国語大学研究棟1階ガレリア

展示した洋服は1セットのみでしたが、アフリカらしいカラフルなデザインで、視覚的にインパクトのある展示にすることができました。展示の写真を撮ってくださる方もいて、とても嬉しい気持ちになりました。

渡部さんへのインタビューでは、ブランドPassionaのことはもちろん、渡部さん自身の想いやアフリカにおける古着問題など幅広い情報をお伝えすることができたと思っています。古着の供給過多という問題提起をするとともに、アフリカのアツいファッションの魅力も詰まった展示にできたのではないでしょうか。

)ファッションブランドPassionaの公式HP:​​https://passiona.theshop.jp/

図4: 研究棟1階ガレリアでの展示

2. アフリカおみくじ


より多くの人にアフリカへの興味を抱いてもらうため、おみくじというエンタメ要素を取り入れた企画を実施しました図5, 6, 7。小さな紙にランダムで1か国の情報を詰め込み、デザインにもこだわりました。

開催時期:2021年12月6日〜12月10日(アフリカンウィークス最終週)

開催場所:東京外国語大学研究棟1階ガレリア

図5: 研究棟1階ガレリアに設置したおみくじ箱

図6: 「おみくじ」の例(その1)

7: 「おみくじ」の例(その2

アフリカンウィークスを実施している2週間のうち、おみくじは最終週のみの設置となりましたが、多くの方にご参加いただけました。およそ300枚(40種類)のおみくじを作成したのですが、そのほとんどすべてを引いていただき、最終日にはおみくじ箱が空に近い状態になっていました。おみくじに記載した情報からの学びはもちろん、おみくじの中身が分かるまでのドキドキも併せて楽しんでいただけたと思います。その楽しさとともに、アフリカに少しでも親しみを持っていただけていれば幸いです。

〈総括〉


どちらの企画も、「親しみやすさ」を念頭に置いてエンタメ性や視覚的なインパクトを重視したことが功を奏したのではないかと思っています。


Introduction to African Fashionに関しては、展示規模としては小規模なものでしたが、パネル1枚に情報を詰め込んで充実した展示にできたと感じています。一方で、アフリカおみくじの展示デザインは簡素なものになってしまいました。もっとパネルの装飾にこだわれば、おみくじを増刷しなければならないほどのより多くの方に参加いただけたのではないか、という反省点もあります。ここでの反省点は来年度以降にしっかりと引き継ぎ、また文化紹介企画を行うことがあればより充実した企画になると良いなと思います。


最後になりましたが、Introduction to African Fashionに快くご協力くださった渡部莉歩さん、おみくじ等の印刷にご協力くださったASCの皆さま、その他さまざまな場面で文化紹介企画にお力を貸してくださった方々に、深く御礼申し上げます。


文化班 奥富彩夏

③インタビュー企画

〈企画概要〉


記事を通してアフリカに興味がある人もない人も楽しみつつ、さらにアフリカについて考えてみる機会を提供することを目的に、アフリカに様々な形でかかわる方々にインタビューをしました(計3つ)。主にアフリカンウィークス期間中に公式ホームページにて定期的にインタビュー記事を掲載させていただきました。(インタビュー記事はこちらから読めます。

〈企画内容の詳細・実際に行っての評判や感想〉


企画段階でアフリカにもともと興味がある人もそうでない人も楽しめるように、様々な層にむけたインタビュー記事を展開したいという意見にまとまり、結果として「アフリカに留学している日本人学生」「在外公館派遣員としてアフリカで働く日本人学生」「京都精華大学学長のウスビ・サコ学長」という3つのインタビュー先が決定しました。

「アフリカに留学している日本人学生」へのインタビュー記事は今までアフリカにあまり関心がなかった方にも読んでもらえるような記事として書かせていただきました。日本では意識的に情報を収集しないとアフリカについての物事を見聞きするのは難しいと思っています。そのためアフリカに行ってみて、暮らしてみて、実際どうなのかということを留学という形でアフリカに触れている方から聞くことができたのは班としてもかなり有意義なことだったと感じています。

在外公館派遣員としてアフリカで働く日本人学生京都精華大学学長のウスビ・サコ学長へのインタビューは前者と比較して、アフリカに対してすでにある程度の関心がある人々に向けて書かせていただいたものになります。

在外公館派遣についてはアフリカについて関心を持っている方々に向けてアフリカで働くということについてお伝えすることを目的としてインタビューさせていただきました。在外公館派遣の制度は東京外大のアフリカ学科から参加されている方も多く、別々の国で活躍されている複数の方から座談会形式でお話を聞くことができたのが今回のインタビューの面白い点だったかと思います。

ウスビ・サコ学長へのインタビューについてはより専門的なお話を聞くことができたら、という思いでインタビューさせていただきました。アフリカのマリ共和国出身で日本の大学の学長として活躍されているというご経歴から、研究などの少し難しめの話やご自身の立場からみた日本人の学生へのご意見などを聞くことができ、アフリカのことのみならず日本にいる自分たちについても考えさせられる内容になったかと思います。

〈総括〉


インタビュー企画はアフリカンウィークス初の試みで、前例がないだけに進めていくのがかなり大変でした。企画段階から、どのような方に読んでもらいたいのか、そのためにはどのような方にインタビューしてどのような質問をさせていただくのがいいのか等をメンバーで話し合いを何度も重ねました。


自分たちの見積もりの甘さなどから満足にいかない部分も多かったですが、インタビューをさせていただいたことが私たち自身の学びに大きくつながりました。私たちの記事が読んでいただいた皆様にとっても学びにつながっていましたら大変うれしく思います。


また最後になりますがこの度お忙しい中インタビューをお引き受けいただいた皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

インタビュー班長 久我桃子

④広報企画

   

〈企画概要〉


主にSNSやホームページを用いて学内外への広報活動を実施。単なる活動報告やイベント予告では終わらず、アフリカに親しみを持ってもらえるような多彩な内容を企画・実施しました。

〈企画内容の詳細・実際に行っての評判や感想〉


1. アフリカクイズ企画


アフリカに関して簡単なクイズを作成し、TwitterとFacebookに投稿しました。投票機能などを利用したほか、解答には解説もつけ、そこからより詳しくアフリカについて知っていただけるよう工夫しました。回答が一定数あったほか、インプレッションも増加したことが大変良かったと感じています。

2. 委員インタビュー企画


「そもそも私達は何故アフリカンウィークスに参加するのか?」というテーマから、アフリカ関係者へのインタビューだけでなく、委員へのインタビューも実施しました。結果、それぞれの委員からそれぞれの思いや動機を知ることができ、それをホームページへ掲載して閲覧者が親しみを得られるようにしました。

3. ロゴ・ポスター・チラシ作成


「アフリカンウィークスのテーマや雰囲気が一目でわかるロゴ作成」を掲げ、有志でロゴ・ポスター・チラシの作成を実施しました。それらをSNSアイコンや広報に用いて、より充実した活動になったことと思います。ポスター・チラシは、たくさんは印刷しませんでしたが、企画やテーマを情報として入れつつ見やすいデザインを心がけていただき、閲覧者の心に残る見た目となりました。

〈総括〉


AWを終えて: SNS運用に当たっては、中の人との進捗共有があまり上手く行かず難航した時期もありましたが、結果的に全回のクイズ終了や活動状況報告の実施もできたので、良かったと思います。委員インタビュー企画、そしてロゴ・ポスター・チラシ制作は、主に有志の皆さまにご尽力いただき、広報活動を強力に後押ししていただきました。広報をすると言っても、単に広報班だけでできたことではなく、他班の皆様や委員会内外の有志の方々のお力添えがあってのことであり、深く感謝申し上げます。


       広報班長 藤原 萌乃

⑤国際交流サロンDIVE コラボ企画

2021年11月27日(土)、28日(日)に開催された第7回府中協働市民まつりにて、府中国際交流サロンDIVEさんのご協力のもとアフリカンウィークスのアウトリーチとして企画を出展しました。東京外大の地元である府中市で行われた協働市民まつりは、子どもからお年寄りまで多くの方々が訪れるイベントです。そこにアフリカンウィークスの企画を出すことで、一般市民の皆さまにもアフリカの魅力を知っていただくことを目指しました。

〈経緯〉


2021年8月某日、府中市国際交流サロンDIVEの代表である関谷昴氏より、DIVEとアフリカンウィークスでコラボイベントを行わないかというご提案をいただきました。東京外大生のみならず、府中の市民の皆さまにもアフリカの魅力をお伝えできるという点に可能性を感じ、この提案をお受けすることとなりました。その後何度かにわたるオンラインでの打ち合わせで、DIVEの事業内容である「①異文化を理解する機会の提供 ②外国人住民への情報提供・交流の機会提供 ③多文化共生社会へ向けた市民活動の支援」という3項目を基盤として、以下2つの企画を打ち出しました。

〈企画概要〉


1. アフリカンウィークス展示班企画であるビブリオバトルの展示


東京外大研究棟1階のガレリアにて展示したビブリオバトル企画を、DIVEさんのサロンスペースにおいても展示しました。「アフリカに関連する本であれば何でも」という条件のもと、アフリカ地域専攻の先生方をはじめとするさまざまな立場の方々から集まった計7点の紹介文を、府中市民の皆さまにもお届けしました。

開催期間:2021年11月27日〜28日(第7階府中協働市民まつり実施期間中)

開催場所:国際交流サロンDIVEサロンスペース(武蔵府中ル・シーニュ5階 府中市市民活動センタープラッツ内)

プラッツは両日とも、協働市民まつりを訪れた府中市民の皆さんで賑わっているようでした。実行委員の私たちはあまり見に行くことができなかったのですが、協働市民まつりを訪れた市民の方々の中で一人でも「アフリカに関する本、読みたいかも」と思ってくださった方がいたら嬉しいです。

2. 映画上映会


上映会タイトル: アフリカンウィークスで考える多文化共生 映画「かぞくの証明」上映会&トーク

岩崎祐監督によるドキュメンタリー映画「かぞくの証明」の上映会を、オンラインで行いました(図8)。また映画視聴後、岩崎祐監督による映画の解説と、エチオピア事情に造詣の深い村橋勲先生(東京外大現代アフリカ地域研究センター特任研究員)による「エチオピアの政治と文化」に関するプレゼンの時間を持ちました。

開催日時:2021年11月28日

開催形態:オンライン(Zoom)

図8:「かぞくの証明」上映会のチラシ。

映画「かぞくの証明」は、日本で難民申請を続けるエフレム・ハイレ氏(エチオピア出身)を中心としたドキュメンタリーです。彼には妻も娘もいるのですが、難民申請が受理されていないため、日本では彼の結婚も親子関係も法的には認められていません。エフレム氏は日本語で行われる煩雑な役所手続きや曖昧な窓口対応に苦労しながら、「かぞくとは」という根源的な問いを追い求めていきます。


「かぞくの証明」はドキュメンタリーということもあり、日本での難民申請の現状を簡潔に理解できるような映画となっていました。難民申請受理の判断基準の厳しさを目の当たりにし、「日本は難民とどう向き合っていけばよいのだろう」と考えさせられました。一方で、エフレム氏の日本での生活を支える仕事仲間や地域の人々もたくさんおり、心温まる場面も多く見られました。


特に、娘さんが通う保育園の保育士さんがわかりやすい日本語で小学校の入学手続きについて説明してくれるという場面が印象に残りました。「日本人は冷たい」とはよく言われますが、そうでない人ももちろんたくさんいて、日本もまだまだ捨てたもんじゃないと思えるような内容でもありました。


後半の岩崎監督のお話では、映画撮影に至るまでの経緯やエフレム氏の人柄などを詳細に知ることができました。画面には映りきらない、もしくは読み取りきれない事情や監督の想いをお話ししていただけて、非常に有意義な時間となりました。


村橋先生のエチオピアに関するお話では、エチオピアという国について、基礎的な知識から現状に至るまで分かりやすい紹介をしていただきました。地理的には日本から遠い国ですが、難民として日本に来ている方々がいるからには、「遠い国」と思わず積極的に学び関わっていく姿勢が大切になると感じました。

〈総括〉


今回のDIVEさんとのコラボで、外大内とSNSのみで完結する予定だったアフリカンウィークス2021に、「府中市民・府中在学在勤の方」という新たなターゲットを定めることができました。これは、2017年から始まったこのアフリカンウィークスにとって、大きな一歩になったと感じています。私たち委員だけでは為せなかったことです。


お声がけくださった関谷さん、企画をご担当くださった堀谷さん、本当にありがとうございました。また、映画を上映することを快諾してくださったうえ、上映後のお話も引き受けてくださった岩崎監督と、エチオピアについてお話することをご快諾くださった村橋先生にも深く御礼申し上げます。

国際交流サロンDIVEコラボ企画責任者 奥富彩夏

最終更新:2022年3月22日