「アフリカインターン体験談」

吉田 菜摘(アフリカ地域、2013年度入学)

はじめまして。東京外国語大学国際社会学部アフリカ地域専攻四年の吉田菜摘です。私は3年次修了後から1年間休学をして、その間、ルワンダ、続いてケニアでインターンをしていました。5月22日(月)6限の時間帯に、「アフリカインターン体験談」ということで、「アフリカに行ってみたい」と思っている後輩たちにお話する機会をいただきました。今回は、そこで話した内容の一部をお伝えします。

2016年2月~6月末まで、ルワンダにて、Bloom Hills Rwanda Ltd. というみずほ情報総研とトヨタ自動車が共同で設立した会社でインターンをした後、同年6月末~12月初めまで、ケニアにて、CanDo(アフリカ地域開発市民の会)という日本の開発協力NGOでインターンを経験しました。発表では、それぞれのインターンを始めるに至る経緯、業務内容、現地でのエピソードを話したのち、開発援助に興味をもつ後輩が多いのではないかと考え、ケニアのインターンで私が携わっていた事業について説明しました。

私がインターンをしていたCanDoでは現在、マシンガ県での外務省日本NGO連携無償資金協力(*1)、マシンガ県での草の根技術協力事業(JICA)(*2)の二つの事業を並行して進めています。これらの事業は、公立小学校の教室建設・補修を行う教育活動、保護者に野菜の種の植え方などの研修を行う環境活動、保護者・教員にエイズ研修などを行う保健活動の三分野の活動が軸となっています。そのなかでも、私が主に携わっていたのは公立小学校の教室建設・補修を行う教育分野の活動です。

突然ですが、問題です!以下に、3つの異なる教室A・B・Cの写真を3枚ずつ載せます。CanDoの事業で補修された教室はどれだと思いますか?

(以下教室Aの3枚の写真、撮影:吉田菜摘)

(以下教室Bの3枚の写真、撮影:吉田菜摘)

(以下教室Cの3枚の写真、撮影:吉田菜摘)

参加していた1年生2人に聞いてみたところ、1人目は、教室BがCanDoの事業で補修されたものではないかと予想。自分が親であれば、Bの教室であれば子供を安心して通わせることができるから、と答えてくれました。2人目は、教室Cと予想。少し汚いから、と理由を答えてくれました。


正解は、、、教室Aでした。

見事に、2人とも間違えてくれました!


補修前よりも明るく、風通しがよく、強度の強いものがCanDoの教室です。ちなみに教室Bは、新国会議員選挙区開発基金(National Government Constituency Development Fund)を使って建設されたものです。教室Cは、CanDoの事業を行うニーズのある教室で、この学校では、私の任期中に、保護者との会議や研修会を実施していました。


CanDoは、3つのうち最も綺麗な教室Bを目指しません。CanDoが目指すのは、<援助の再現性>です。つまり、将来ほかの教室に補修のニーズが生まれたとき、CanDoの事業を糧に、保護者たちが自ら補修を行ってほしい、と考えています。


「援助の主体性」「草の根」などとよく言いますが、CanDoの活動でも主体となるのは保護者あるいは地域社会です。CanDoからはセメントや鉄筋などのハードウェアを供与しますが、教室建設・補修に使用する砂、レンガ、砂利の収集、建築職人の雇用、資材の管理・記録などはすべて保護者が行います。たとえば1教室の補修のために、一輪車で砂利130杯以上、砂100杯以上、レンガ約1400個を保護者が用意します。1つの教室を補修するために、保護者は多くの役割を担い、時間を費やします。


彼らが生きる地域の発展や、彼らの子供たちにより良い教育環境を与えたいと思っている保護者が多くいる一方で、「お金がない」というのが、それを実現できない1つの大きな理由になっている証拠ではないでしょう。しかし、「CanDoの事業を通して保護者が学校に集まれるようになった」「集金がスムーズに進むようになった」など、保護者の学校行事への参加率が向上した、との声を何度か聞きました。CanDoの事業は、資金面だけでなく、多様な面から<援助の再現性>を追求している事業だと思っています。


私は、アフリカで過ごした時間をなにかに活かしたいとは思いません。そうではなくて、カラッとした乾季の昼下がりの絵に描いたような青い空とか、乗り合いバスや街中で流れる音楽、朝ごはんに飲むミルクティーなど、自分が見たこと、感じたこと、触れたこと、それらの経験すべてを消化してしまうことなく、自分のなかに生かしつづけることで、これからもアフリカに向き合っていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(*1)事業期間は2015年3月5日~2018年3月4日

(*2)事業期間は2013年10月1日~2017年9月30日

Last updated: 2017年7月22日