「マダガスカル体験記」

宮城由(アフリカ地域、2013年入学)

はじめに

こんにちは。アフリカ地域専攻2013年度入学の宮城由です。私は2016年の3月から2017年1月までの10ヶ月間、アフリカ大陸の右下にあるマダガスカル島へ留学に行っていました(写真1)。大学の第二外国語で表面をなぞる程度にしかフランス語を勉強していないにもかかわらず、フランス語圏であるマダガスカルへ語学留学という名目で行ってきました。坂井真紀子先生の元ゼミ生の方が今まで2人ほどマダガスカルへ留学しており、私は坂井先生からマダガスカルのホームステイ先をご紹介いただいてフランス語圏への留学を決めました。

写真1: 背中のコブが特徴的なマダガスカルのゼブ牛(撮影:宮城由)

留学動機

これといった明確な留学動機は実のところありません。アフリカの社会学とかにも興味はありますがそれを勉強するためだけに行くのはどうしても私にとって荷が重く、純粋にアフリカに行きたいという思いが一番の理由です。第二外国語で学んでいたフランス語に興味があったため仏語圏アフリカに行ったら面白そうだと感じたことと、実際にアフリカで生活を送ってみたかったからです。また、日本人がほとんどいない国なのでその点が私を大きく魅きつけました。

ホストファミリー

坂井先生からご紹介いただいたマダガスカル人女性のご自宅で、まるで本当の家族のようによくしてくださいました(写真2)。私を含めて今までに4、5人の日本人留学生・インターン生を受け入れており、日本のことも日本人のこともよく理解されている方でした。私の場合は彼女の自宅にあまりの部屋がなくなってしまっていたので、その方の親戚のアパートの一室をお借りすることになりました。セキュリティも万全でかなり広い部屋でして、家賃は日本より高かったです。具体的には寝室2部屋、お湯が出るお風呂と便座のないトイレが一つずつ、キッチンに10畳くらいのリビングがありました。

写真2:アンタナナリボの空港到着直後のホストファミリーとの写真(撮影:宮城由)

留学準備

私は直前になって非常に焦りながらドタバタと準備を始めました。出発の3日前くらいにビザを取りましたし、ホストファミリーとはほとんど連絡が取れないままマダガスカルの空港に到着することになっていたほどです。

しかし、予防接種と現地で使えるキャッシュカードは作り、生活ができる環境だけは整えるように気をつけました。語学留学先として現地のAlliance Française(マダガスカルの首都にはAlliance Française以外の語学学校はありません)という学校を選びましたが、こちらも2往復目からメールの返信がなくなり準備したくても特にできない状況でした。予防接種は思いがけない出費となるので気をつけたほうがいいです。

学校

現地に到着した翌日から語学学校に行ってコースへの登録を完了させ、その入学許可証を持ってビザ延長の申請をしにホストファミリーと行きました。しかし、この語学学校が3週間弱で登録を更新するため学生ビザの対象になっておらず、ツテをたどりに辿り別の学校(現地の大学)から入学許可証をいただきなんとか滞在することができました。また、半年ほどしてマダガスカルの生活に慣れてきてからは、Université Catholique de Madagascar (URL: http://www.ucm.mg/)という私立大学にも聴講生として少しだけ授業を聞きに行ったりもしました。語学学校でも外国人はほとんどいなくて、マダガスカル人と一緒に授業を受けていましたが、私立大学ではフランス語ぺらぺらのマダガスカル人ばかりだったのが印象的でした。

生活(家・食・移動)

先ほども書きましたが、住んでいた家はかなりいいところで東京の家よりもかなり広かったです。しかし家賃が330ユーロ/月と想像をはるかに凌ぐ値段でした。もちろん自分で探し回ればもっと安い部屋も見つかると思いますので、もう少し節約できたと思います。ホストファミリーはキリスト教徒だったのでイースターやクリスマスなどは家でパーティーをするほど盛り上がっていました。親戚が非常に多くホストマザーは10人兄妹なので、誰が誰だかわからないほどの大所帯でプレゼント交換などしたクリスマスは壮観でした。日々の食生活以外は一般的なマダガスカル人よりもいい暮らしをしていたなと強く感じる毎日でした。

マダガスカルの食は恵まれており、食材が非常に豊富で肉はなんでも食べますし、主食もコメで味付けもアジアよりという好条件でした(写真3)。普通の食堂では一食100円くらいでラヴィトゥトゥという見た目不味そうな美味しい料理を食べられます(写真4)。毎日食べていました。ちょっと贅沢したければホテルのフレンチとかも400円くらいでは食べることができたと思います(あんまり食べなかったので覚えていませんが)。

写真3: 魚の燻製かと思っていたらピーナッツと小麦のスイーツだったクバ(撮影:宮城由)

写真4: キャッサバの葉っぱと豚肉を煮込んだマダガスカル料理ラヴィトゥトゥ(撮影:宮城由)

移動手段に関しては、首都アンタナナリボでは基本的にバス移動か徒歩になります。ギュウギュウに詰まった超アフリカ感のあるタクシーべという名前のバスは、市内一律16円くらいでどこにでもいけます(写真5)。

また、首都には中国人がやっているアジア食材屋のようなものが数軒ありますが、日本食が置いてあるのは私が調べた限り4畳半くらいの小さなお店一軒だけでした。そこにはキッコーマンの醤油と「出前一丁」が置いてあります。日本食や生活に必要なものは持っていくことをお勧めします。

写真5: 首都の渋滞に引っかかるバス(撮影:宮城由)

費用

留学にかかった費用を個々に記録しておらず概算しかできませんが参考程度に書いておきます。

▶︎渡航費

往復 261,310円

・ 日本→マニラ(Philippine Airlines)

・ マニラ→バンコク(Philippine Airlines)

・ バンコク→レユニオン(Air Austral)

・ レユニオン→アンタナナリボ(Air Austral)

▶︎予防接種

6種類 約80,000円(狂犬病、黄熱病、日本脳炎、A型肝炎、B型肝炎、破傷風)

▶︎保険

172,940円

▶︎居住費

330ユーロ×10 約430,000円

Wi-Fi 全く覚えていません。すみません。

▶︎学費

Alliance Française 約15,000円

Université Catholique de Madagascar 約40,000円

これに生活費や国内旅行などを足して合計で700,000円くらいでした。

おわりに

私の大きな反省点として、マダガスカル留学に対する準備を怠りすぎたことが一番大きいです。留学に行く目的をもっと明瞭にしておくのもそうですが、留学先の下調べやいったいどんな国なのかをより深く知った上で行けばよかったと思っています。

自分のことを管理する人が全くいないため非常に過ごしやすく自由に生きることができたのは快適でしたが、もっと計画的にやればよかったことも多々あります。当たり前のことですが、しっかり考え準備をすることが充実した留学生活につながるのかなと今になってひしひしと感じます。

しかし準備はひどかったですが、道端で中国人と間違えられるのは構わないのですが、すれ違う瞬間に耳元で中国語をバカにするような言葉をかけられたり、約束していた時間から2時間待たされたことや、キオスクのおばちゃんと友達になったりと実際のマダガスカル生活では驚いたり、ムカついたりたくさん面白いことがありました(写真6)。

おかげでやっと、ほんの少しだけマダガスカルやアフリカを知るきっかけが掴めたかなと思います。留学やインターン、短期のプログラムなど様々な形でアフリカへ挑戦する機会があるので、ぜひ一度足を運んでみるといいかもしれません。

写真6: 住んでいた家近くの様子(撮影:宮城由)